Mahle GmbH 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2011年
12月期
2010年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 6,002.2 5,260.6 14.1 -地域別の売上は、全ての地域において売上が増加したが、為替の影響で52.2百万ユーロ相殺。
純利益 231.1 176.6 30.9 -
部門別売上高
エンジンシステム・部品 2,699.3 2,377.9 13.5 1)
フィルター・エンジン周辺機器 1,700.4 1,522.0 11.7 2)

要因
1) エンジンシステム・部品

-グローバルで自動車市場が成長したことをうけ、2011年12月期の同部門の売上高は前年比13.5%増加。また、対ユーロでドル安であったため、売上が一部相殺されたが、金融危機以前の2007年の業績水準を超えた。

<地域別>
-欧州と北米の売上高は、商用車市場が力強く復調したことを受け、堅調に推移した。その一方で、南米は乗用車のエンジン生産が増加したことが売上高増加に寄与。
-アジアの売上高は、アジア全域の売上は増加したが、日本の大震災、タイの洪水、中国における商用車市場が軟調であったことが売上を一部相殺した。

<製品別>
-全ての製品分野で売上が増加した。特に商用車用エンジン部品の売上が大きく伸張した。また、乗用車用エンジンピストン、シリンダライナー、コンロッドも売上増に貢献。

2) フィルター・エンジン周辺機器
-2011年12月期の売上高は、前年比11.7%の増加。欧州と北米が堅調に推移したが、日本とタイの自然災害の影響があったアジア・太平洋は売上が減少。

<地域別>
-欧州の売上高は、オーストリアとドイツ拠点が牽引し、前年比で増加。
-北米の売上高は、前年比で増加。米国の乗用車メーカーの売上が増加したことによる、メキシコおよびカナダ拠点の売上増が主な要因。その一方で、日本の震災の影響が北米地域の売上を一部相殺。アジアからの部品供給が途切れたため、北米拠点の日本の自動車メーカー工場からの受注が減少した。
-日本とタイは自然災害で売上が減少したが、中国、韓国およびインドが前年に続き堅調に推移したこともあり、アジア全体の売上高は前年比でわずかに増加した。

企業買収

Behrの株式取得
-同社は、2011年1月にBehr Groupへの出資比率を19.9%から36.85%へ引き上げたと発表。なお、Mahleは2013年1月1日付で、Behr Group株式の過半数強を取得する計画。(2011年3月1日付プレスリリースより)

事業提携

-Mahle Technologies Holding (China)は、長城汽車(Great Wall Motors)と戦略的提携契約を締結したと発表。この契約により、同社はエアマネジメントシステム、サーマルシステム、エンジンピストン、エアチャージバルブなどを長城汽車へ供給する。また両社は、技術センターの共同建設も検討する予定。現在、同社の製品は、長城汽車のSUV「Haval」とピックアップトラック「Wingle」に搭載しているエンジン「LJ 2.0T」、「2.5TCI」、「2.8TC」に採用されている。対象製品はバルブ、ベアリングブッシュ、フィルターシステムなど。また両社はこれまで、長城汽車の「Haval H6」・「Voleex C50」・「Voleex C70」に搭載されるエンジン主要部品についても協業を行っている。(2011年6月23日付プレスリリースより)

海外事業

<インド>
-Mahle Filter Systems India Ltdは、インドChennaiに新設したエアフィルター工場が量産を開始すると発表した。同工場は2010年12月に完成しており、第1フェーズでは3,300平方メートルの敷地面積を有する。中期的には、エアフィルターシステム、インテークモジュール、オイルミスト分離装置付シリンダーヘッドカバーを生産する。同社は既にこれらの製品を受注しており、今後Chennai地域のカーメーカー各社に供給する計画。同社のインテークモジュールおよびエアフィルターは、2011年8月から出荷開始となる。なお同工場には現在、従業員80名が勤務し、中期的に約150名まで増員する見込み。(2011年5月5日付プレスリリースより)

受注

-Robert Boschは、Bosch Mahle Turbo Systemsがカーメーカー6社よりターボチャージャーを受注していると発表した。これにより、供給量は年間1百万個超にのぼる見込み。Bosch Mahle Turbo Systems製品に含まれるのは、ガソリンエンジン用のウエストゲート付きターボチャージャーで、出力範囲は45~220kW。ディーゼルエンジン用製品は出力範囲が30~530kWで、可変タービンジオメトリー(VTG)型ターボチャージャーなども含まれる。また、タービンハウジングにエキゾーストマニホールドを統合した超小型ターボチャージャーシステムも同社製品に含まれる。なお、Bosch Mahle Turbo SystemsはドイツのBlaichachとオーストリアのSt. Michaelに生産2拠点を保有。両拠点では既にパイロット生産を開始しており、2012年はじめの量産開始に向け準備を進めている。(2011年9月13日付プレスリリースより)

受賞

授与された会社 所在地 授与メーカー 賞の名称
Mahle Engine Components (Yingkou) Co., Ltd. 遼寧省営口市/中国 奇瑞汽車 Best Cooperation Supplier
Mahle Donghyun Filter Systems (Tianjin) Co., Ltd. 天津市/中国 上海GM Excellent Supplier
Mahle Group ドイツ トヨタ Superior Quality Performance Award
Mahle Engine Components USA Morristown/米国 Ford World Excellence Award Gold
Mahle Engine Components Japan 日本 日野 Excellent Quality Award
Mahle Group ドイツ PSA Peugeot Citroen Supplier Award
Mahle Components Slovakia s.r.o. Dolny Kubin/スロバキア Cummins Supplier Award
MAHLE Metal Leve S.A. ブラジル Volkswagen do Brasil Supply Award

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
全社 323 310 246

 

研究開発体制

-研究開発は下記8拠点
  • Stuttgart (ドイツ)
  • Northampton (英国)
  • Farmington Hills (米国・デトロイト)
  • Novi (米国・デトロイト)
  • Jundiai (ブラジル・サンパウロ市)
  • 上海 (中国)
  • 埼玉県川越市 (日本)
  • 埼玉県桶川市 (日本)
-2011年、米国デトロイトと中国上海の研究開発センターのキャパシティを拡大。上海では試験エリアを拡大し、エンジンテストベンチを新たに設置する予定。

製品開発

間接インタークーラー一体型エアインテークモジュール
-通常の直接冷却タイプと比較し、間接インタークーラー一体型の過給空気経路を通すことで過給気圧損失の最大80%の低減を実現。さらに、速度変更等による負荷の変化に対応できるため低燃費を、また、負荷変更時の熱放射を向上させることで排ガスの排出量削減を可能とした。過給空気経路を短縮し、容積を小さくすることでよりダイナミックなエンジンレスポンスが得られる。同製品はフロントエンドおよびインタークーラーを大幅に縮小できること、また直接式インタークーラー用の過給空気ホースと比べて細いクーラントラインを使用することで、車両のスペースをより確保することが可能となった。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
セグメント 2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
全社 319 199 172
エンジンシステム・部品 159 89 87
フィルター・エンジン周辺機器 104 79 55


<エンジンシステム・部品>
-市場がさらに拡大することを念頭に、中国、日本およびインドなどのアジアに重点投資を実施。製造工程の合理化、新製法の導入等に投資。

<フィルター・エンジン周辺機器>
欧州
-2011年12月期の設備投資額は、前年比で増加。投資の大半はオーストリアのSt. Michael工場に集中。残りの一部は製造および流通の合理化に投資したが、主にスタートアップ段階の新製品製造拠点に投資。

北米
-北米の設備投資はメキシコに集中。前年比でわずかに増加したが、これは今後2年間で多くの新製品が立ち上がるため、その準備に投資された。

アジア
-アジアにおいては、中国上海工場にかなりの投資がなされた。日本では、投資の大半は設備の耐震性向上に使用。また、日本の顧客向け製品の生産能力の拡大にも投資。
-マーレフィルターシステムズは、福岡県直方市に新たに九州工場を開設すると発表した。新工場では、自動車エンジン用フィルター製品を生産する。敷地面積は27,400平方メートル。2012年末に操業を開始する予定。(2011年7月13日付プレスリリースより)