Behr 2006年の動向

ハイライト

業績(連結決算)
(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 増減率
備考
売上高 3,188 3,052 +4.5% 前年比4.5%で、3,188百万ユーロ。ドイツ国外での販売は全体売上高の71.3%を占め、前年比で若干増加。
営業利益 95 92 +3.3% 売上の伸びの4.5%は営業費用で相殺。営業費用は、材料費と人件費の高騰を主な背景として3,074百万ユーロから3,209百万ユーロと増加。
部門別売上高
自動車用エアコン 1,304 1,318 (1.0%) 自動車用エアコン製品部門は、前年をやや下回り1,304百万ユーロの売上。HVACシステムを取り巻く市場の飽和状態が主たる要因。
エンジン冷却システム 1,463 1,296 +12.9% エンジン冷却システム部門は、12.9%増と大幅に売上を伸ばし1,463百万ユーロを計上。トラック業界の活況と、フロントエンドモジュールに対する旺盛な需要が続いたことなどがけん引した。
地域別実績
欧州
-ドイツ国内の売上は前年比で横ばいとなる915百万ユーロ。ドイツ以外の欧州地域は7%の売上増となり1,142百万ユーロ。その結果、欧州全体の売上構成は昨年同様の64.5%であった。増収の主たる要因は、東欧とイタリアにおける売上増。

北米
-2006年度の北米は市場が冷え込んだ状況下ではあったが、同社は売上を1.6%伸ばし774百万ユーロを計上した。

アジア
-アジア市場の成長は同社にとってもプラスの効果をもたらした。その結果、同地域における販売は15%伸び、161百万ユーロを計上。主にインドと中国における好調な販売が要因。

その他
-同社はブラジルと南アフリカなどの重要成長市場においても事業を展開。こうした市場における売上も7.1%伸ばし196百万ユーロを計上。

欧州と北米を除く地域での売上高では、対前年比でおおよそ10%の成長。

各合弁事業の現況
-Donfeng Behr Thermal Systems (DBTS)
武漢での新工場立ち上げ、新規マネジメントシステムと効率的プロセスの導入、新規受注獲得、新製品立ち上げなどを背景として2006年度通期でDBTS社はさらに基盤を固めるた。また、Behr Asia-Pacific Management社(上海)と密な連携を保ちつつ、新規顧客の獲得し、商用車とバスの分野における潜在顧客と将来性のある関係を構築。

-Hella-Behr Plastic Omnium (HBPO)
2006年度にドイツ及び国外にある10カ所の工場で生産されたフロントエンド部品の総数は約190万点に及ぶ。これは対前年比で27.5%の増加。
韓国をはじめとした世界各地で、新規の大口受注を獲得した。また、いくつかの生産立ち上げも行った。
2007年は、4つの工場を建設し、8製品の量産を開始する予定。

-Behr India:Anand Automotive Systems社との合弁企業
2006年度も引き続き伸張。2007年度初頭には、同社の計画による新しい節目となる新工場の建設が始まった。

-SBAS及びBTEC
2001年以来、Sanden-Behr Air-Conditioning Systems (SBAS) 及びBehr-Toyo Engine Cooling Systems (BTEC)の両社は日本における基盤を構築してきた。ここ数年間に、両社ともに初の大口受注を獲得した。

開発動向

研究開発費用

(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度
研究開発費 229 215 195 184 175
売上に対する割合(%) 7.2% 7.0% 6.4% 6.1% 6.2
研究開発体制
-開発拠点は世界に17カ所。その中でもドイツStuttgartと米国ミシガン州Troyの2カ所には総合開発拠点を保有している。2005年度に同社が取得した特許は233件。この数は、ドイツ国内の特許申請企業50社の中で16位にランキングされる。

-2006年度に同社が投じた研究開発費は前年比で6.5%増加の229百万ユーロで、売上の7.2%に相当。

製品開発

(1) エアコン・システム部門(Automotive air conditioning systems)
ノーアイドリングエアコンシステム(No-Idle Air-Conditioning System)
Behr Americaは、米国の主要トラックメーカーと連携し、ノーアイドリングエアコンシステム(No-Idle Air-Conditioning System)の開発にあたっている。2007年内に北米市場での販売開始を目指す。ノーアイドリングエアコンシステムとは、大型トラックでエンジンを切った状態でも車内空調が機能するというもの。米国ではより厳しい排ガス規制基準が敷かれ、ディーゼル燃料の価格高騰もあって、トラックドライバーはエンジンを付けたままにしたがらない。車中で仮眠をとることが多い長距離トラックドライバーにとって、このエアコンシステムは、朗報といえる。この新製品には、快適性に加え、燃費、ガス排出量削減効果もある。トラックメーカーは、このエアコンシステムを設計段階から車両に組み入れることで、高いパフォーマンスと卓越した快適性を実現したい考え。(2007年4月17日付プレスリリースより)

(2) エンジン冷却システム部門(Engine cooling systems)
新型EGR
Behr Americaは、性能をアップした新型排気ガスリサーキュレーション(EGR)クーラーを開発した。この新製品は大型トラックに適用される最新の米国排気ガス規制にも適合している。EGRクーラーは、ディーセルエンジン用に同社が開発したEGRシステムのための冷却装置で、インテイク・マニホルド からエンジンに流入する排気ガスを冷却する仕組み。EGRシステムは窒素酸化物(NOx)ガス排出を削減する効果がある。シリンダー内の酸素量を減らし、それにより燃焼温度を下げることで、窒素酸化物の生成を抑制する仕組み。(2007年5月7日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資費用
(単位:百万ユーロ) 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度
設備投資費用 150 178 169 151 123
-2006年度の設備投資額は前年比で-15.7%の150百万ユーロ。背景には、工場の生産性向上と、コストの安い国からの生産設備取得が増加したことなどがあげられる。設備投資の主な対象は、成長市場ほかドイツ、米国並びにフランスでの新工場建設。

海外投資
-2006年4月Behr South Africa社ではPretoria工場にて排気ガス交換器用の生産ラインの新設を開始。

-2006年6月、HBPOは東京にエンジニアリングオフィスを開設。また、韓国釜山市のジャスト・イン・シーケンス方式の組立工場では生産を開始。

-2006年9月、Behr Koreaを設立。初期段階では開発・営業事務所としてのスタート。

-2006年10月、チェコでの2番目となるOstrava工場の建設を開始。2007年半ばまでにはエンジン冷却システムの生産を開始する予定。

-2006年12月、Behr AmericaはメキシコのRamos Arizpeに工場を新設。2007年半ばにエンジン冷却部品の生産を立ち上げる予定。

-2007年1月、印Anand Automotive Systems of Indiaとのの合弁会社であるBehr Indiaは、最先端技術を駆使した生産工場をインドのマハーラーシュトラ州Puneに新設した。両社は2006年に総額1,200万ドルをこの新工場プログラムに投資しており、2007年末までに500万ドルを追加投資する計画。Pune工場の敷地面積は10エーカー超。新工場には最先端の生産設備が導入され、暖房、換気、エアコン(HVAC)モジュール、エンジン冷却モジュール、ラジエーター、チャージエアクーラー、コンデンサー、ViscoR ファンドライブシステムを含めた熱交換製品等、広範な自動車部品を生産。(2007年1月31日付けプレスリリースより)