Rieter Holding Ltd. 2006年度の動向

ハイライト

業績

(単位:百万CHF) 2006
年度
2005
年度
増減率
(%)
要因、背景
全社
売上高 3,579.9 3,122.0 14.7% -
営業利益 180.6 183.0 (1.3%) -
自動車部門
売上高 2,179.2 2,031.4 7.3% (1)
営業利益 94.7 111.4 (15.0%) (2)

自動車部門の業績
(1)主要市場(西欧及び北米)の生産量は低調であったが、同社の自動車部門は売上高で伸張し、前年比+7%増加の2179.2百万スイスフラン。

売上増加の要因は、概ね通常事業によるもので、戦略的に重要性なRieter Automotive India買収の寄与は少なく、2百万スイスフラン。

業績傾向は、主要2市場で二分化した。
西欧では、特にフランス車メーカーの生産が落ち込んだことで、市場全体の生産量は低調であったものの、イタリアメーカーを始めとした、多くの新モデルの好調に支えられ売上は増加。また、自動車メーカー向け金型の平均以上の売上も部門の売上増加に寄与した。

一方、米国車メーカーの生産量低下が主な要因で、北米の売上はわずかに低下。
同部門の主要納入先が、ディーラーの過剰在庫調整のため下半期に急遽生産量を抑えたことや、燃料費高によるピックアップや大型オフロード車の需要低下も大きな要因。
北米の日本車メーカーの生産量増加もやや弱まり、また、大口のプログラムは昨年秋から始まったたため、マイナス要因を完全に補うことはできなかった。

(2)
EBITは、上半期に向上していたものの、下半期に急激に減少したため、2006年は売上増加にも拘わらず、減少した。

マイナス要因は以下の通り:
・エネルギーや原材料費が西欧、北米で予想以上に高騰したことが利益を圧迫した一方で、前年と違い、それらを価格転嫁することができなかったこと。
原材料費の高騰は、アルミや原油ベースの製品(同社の製造事業で使用する合成繊維、ポリウレタンフォーム、アスファルトなど)に影響を与えた。
・多くのモデル立ち上げの追加費用が発生した。
・加えて北米事業における工場閉鎖や、土壇場での生産中断及びフランスなど主要市場での生産量低下。


アジア地域の強化
-将来成長し得る新興市場としてアジア及び東欧に期待。
これら地域での事業を拡大し製品供給を行うとともに、低コスト労働力地域である利点を生かす。

中国:
-中国南部のGuangdonの工場は、生産能力を倍増
-中国北部Tianjinの新工場で、生産を開始。
両工場は、日本の合弁パートナー日本特殊塗料と運営し、中国における日本OEMへの納入を行う。
-中国中部のChongqing工場は、試運転を開始。2007年半ばに本稼働の予定。この工場は、同社の全額出資工場。
-上海には、営業及び開発チームと、自動車防音解析及びシミュレーション用のセンターを設置している。

インド:
-2006年4月、生産委託をしていたUnikeller India(ラジャスタン州、Behnor)の持株比率を35%から100%に引き上げた。同社は、インド生産能力の増強と、工場を拡張し、製品レンジを拡大する計画。
同社のあるBehrorは、Greater Delhi地方にあり、インド自動車市場の1/3に効率的に供給ができる。


タイ:
タイ事業は、アジア、北米、欧州でも実績のある韓国企業との合弁を通して行っている。

企業買収
アジアでのプレゼンスは、2006年度の以下2件の買収によって強化された。

-2006年1月、Tianjin Rieter Nittoku Automotive Sound-proof Co., Ltd.の株式を51%取得。この工場は、合弁パートナー日本特殊塗料と共同で運営し、従業員数は、約120名で2006年度の売上高は5百万スイスフラン。

-2006年4月、防振部品メーカーRieter Automotive India Pvt. Ltd.(旧Unikeller India pvt. Ltd)の持ち株比率を35%から100%に引き上げ完全子会社化。
同社は、従業員数約80名で、2006年度の売上高は2百万スイスフラン。

収益性向上のための方策
「利益成長へのロードマップ」プログラム(“Roadmap to Profitable Growth” Program)
・2006年も、同プログラム(2003年より開始)を継続。
・調達と生産コストの削減プログラムと、固定費の削減に加え、特定顧客の要求に対する注力と、低コスト地域での工場拡張を追加。
・ポーランド、ブラジル、中国では生産能力の増強によって活況であったが、全社的には、市場環境により、コストカット目標は達成できなかった。
・2006年に実施したリストラクチュアリングとコストカット策は、コスト構造を改善し、今後、効果が現れる見込み。

開発動向

研究開発費用

(単位:百万CHF)

2006年 2005年 2004年 2003年 2002年
研究開発費用 144.8 144.7 135.4 128.8 128.9

研究開発体制
-BMWの新型Mini用にラテックスフリーで環境に優しい新型ニードルパンチカーペットを開発。
-自動車のエンジニアリングからの主な要求の一つが軽量化であるが、Rieter Ultra Light技術を利用すると、効果的な騒音吸収、且つ軽量なシステムの製造が可能。
-天然繊維リンフォースメント付きアンダーフロアモジュール生産は、2005年の立ち上げ時はDaimlerChryslerの1モデル用であったが、採用モデルが拡大した。

設備投資

単位:百万スイスフラン

2006年 2005年
自動車システム 121.3 155.1
全社 186.2 182.3

-自動車システム部門では新興市場である東欧及びアジアでの工場拡張と共に西欧での生産能力の調整を図った。
中国北部で新工場を設立し、近く操業を開始する予定。また、ポーランド、スペイン、ブラジル、米国も拠点を設立した。