Magna International Inc. 2011年12月期の動向

ハイライト

 

業績

(単位:百万ドル)
  2011年
12月期
2010年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 28,748 23,465 22.5 -全ての地域で売上が増加。
修正後EBIT 1,367 1,211 12.9 -
地域別売上高
北米 14,764 12,314 19.9 -新規受注の獲得。 1)
-搭載モデルの生産量増加。
-既存搭載モデルの同社製品採用増加。
-為替差益。
-価格設定が奏功。
欧州 12,429 10,168 22.2 -新規受注の獲得。 2)
-搭載モデルの生産量増加。
-為替差益。
-価格設定が奏功。
その他地域 1,506 930 61.9 -Resil MinasおよびPabsa S.A.などの買収効果(321百万ドル)。
-中国、ブラジルにおける新規受注の獲得。
-為替差益(45百万ドル)。
-搭載モデルの生産量増加。

要因

1) 北米における新規受注
-BMW 「X3」
-Chevrolet 「Cruze」、「Equinox」
-Dodge 「Durango」、「Charger」
-Jeep 「Grand Cherokee」
-Ford 「Explorer」
-Chrysler 「300」、「300C」
-Volkswagen 「Passat」

2) 欧州における新規受注
-MINI 「Countryman」
-Porsche 「Cayenne」
-Volkswagen 「Touareg」
-Audi 「A1」、「A6」
-Mercedes-Benz 「SLK」、「C-Class Coupe」
-Range Rover 「Evoque」

企業買収

<Cosma International>
-同社傘下のCosma InternationalがThyssenKrupp Automotive SystemsよりブラジルのThyssenKrupp Automotive Systems Industrial do Brasil Ltda. (TKASB)を買収したと発表。TKASBは、シャシー構造部品およびモジュールの生産・組立を行っている。2011年9月期の売上額は、約250百万米ドル。ブラジルのSao Bernardo do Campo、Ibirite、Camacari、Sao Jose dos Pinhaisに計4工場を保有し、従業員数は約770名。Ford、Fiat、Renault-Nissan、ホンダ、PSAなどに供給している。なお、Magnaは現在、南米において生産9拠点・研究開発2拠点を保有している。(2011年12月6日付プレスリリースより)

-同社傘下のCosma Internationalは、BDW technologies groupを買収することで合意したと発表。BDWは、ドイツを本拠とする真空高圧アルミダイカストメーカーで、2011年の総売上額は約160百万ユーロ。納入先はVolkswagen、Audi、Porsche、Mercedes-Benz、Ferrari、ZFなど。今回の買収においてCosmaは、BDWのドイツ2拠点・ポーランド1拠点・ハンガリー1拠点を取得する。これにより、複雑なボディインホワイト(車体骨格構造)向けの軽量部品や、スチール製・アルミ製・アルミスチールハイブリッドのシャシー部品に関して、生産能力の拡大を目指す。なお、買収完了は2012年の第1四半期を見込んでいる。(2011年11月17日付プレスリリースより)

-同社傘下のCosma International(メタルフォーミング製造)は、Grenville Castings Limitedを買収すると発表。カナダのオンタリオ州Perthを本拠とするGrenville Castingsは、乗用車・大型トラック向けのアルミ鋳造メーカー。なお、今回の買収は、Cosmaが2014年に開始を予定している自動車用シャシー生産にも貢献する見込み。(2011年8月31日付プレスリリースより)

-同社傘下のCosma International(ボディー・シャシーシステム製造)は、Acument GmbH & Co. OHG(ドイツ)の国内Durbheim工場を買収すると発表した。同工場では押出プレス製品を生産。Daimler、BMW、General Motors、Ford、Renaultなどを顧客としている。(2011年2月4日付プレスリリースより)

<Magna Seating>
-同社傘下のMagna Seatingは、アルゼンチンBuenos Airesに本拠を置くシートサプライヤーPabsa S.A.を買収すると発表。Pabsaは元々、L'Equipe Monteur Groupの傘下にあり、シート一式、フォーム製品、トリムカバー、シートストラクチャーなどを生産している。2010年の売上は約1億1,000万米ドル。今回の買収には、アルゼンチンBuenos AiresとCordobaにある2工場、約960名の従業員が含まれる。なおPabsaは今後、Magna Seating Argentinaとして運営される。(2011年1月12日付プレスリリースより)

売却

<Magna Electronics>
-Continentalは2011年7月1日付で、Magna International傘下のMagna Electronicsにおけるレーダーエンジニアリング部門を買収すると発表。この部門はドイツのOttobrunnに拠点を置いている。この買収により技術者11名がContinentalへ異動となる。同部門を売却することで、Magna Electronicsはカメラベースの製品・システムの開発に注力する計画。なお、両社は買収金額を非公開とすることで合意している。(2011年6月20日付プレスリリースより)

合弁会社

<Magna Exteriors and Interiors>
-同社傘下のMagna Exteriors and Interiorsは、中国に合弁会社を設立すると発表した。新会社MCC Wuhu Exteriorsは3社による合弁会社で、出資比率はMagna Exteriors and Interiorsが51%、常熟市汽車飾件(Changshu Automotive Trim Co.)が34%、奇瑞科技(Chery Tech)が15%。この合弁会社は、安徽省蕪湖(Wuhu)市に位置する既存の射出成形・塗装施設を買収する。面積30万平方フィートの工場は、2010年に売上額約43百万米ドルを記録。従業員約600名を抱え、奇瑞汽車へフロントおよびリアフェイシアを納入している。(2011年8月5日付プレスリリースより)

<Cosma International>
-同社傘下のCosma International(ボディー・シャシーシステム製造)と広州汽車集団零部件は、中国に合弁会社を設立すると発表。新会社の名称は「長沙卡斯馬汽車公司(Changsha Cosma Automotive)」で、湖南省長沙(Changsha)市に本拠を置く。工場を新設し、ボディー・シャシー主要部品および構造組立部品の生産を行う。フル稼働時で従業員500名から600名を雇用する予定。2011年中に着工開始し、2012年の稼動を目指す。同工場では、まず広汽菲亜特(GAC-Fiat)向けに生産を行う計画。(2011年5月10日付プレスリリースより)

海外事業

<日本>
-同社CEOのドナルド・ウォーカー氏は25日、日刊自動車新聞のインタビューに応じ「海外に事業を広げようとしている日本の部品メーカーとの協力に関心がある」と述べ、グローバルな供給網を活用し、新興国への進出を目指す日本の部品メーカーと協力関係を結んでいきたいとの意向を示した。メキシコやブラジルでは今後、日本の自動車メーカーの進出が増えることを踏まえ、同地域での事業進出を検討している日本の部品メーカーの生産を担うといった生産補完のビジネスを検討していきたい考え。(2011年10月26日付日刊自動車新聞より)

受注

<Magna Steyr>
-同社傘下のMagna Steyrは、ルーフシステム部門が北米仕様の2012年モデルFiat 「500 Cabrio」向けに、テキスタイルフォールディングルーフを生産開始したと発表。この車両は、Chrysler GroupのメキシコToluca工場で生産している。また、このルーフの生産拠点は、Magna SteyrのポーランドTychy工場。その後、メキシコのルーフシステム工場で最終組立チェックを行う。なお、ポーランドTychy工場では、欧州モデルのFiat 「500c」向けコンバーチブルルーフの生産も行っている。 (2011年6月28日付プレスリリースより)

-同社で車両やルーフシステム(コンバーチブル車の屋根)の受託開発、生産を手掛けるMagna Steyrは18日、日産自動車が近く北米で発売するコンバーチブル車「Murano CrossCabriolet」のソフトトップシステムを受注したと発表した。日産からルーフシステムを受注するのは3車種目で、Muranoの採用にともない日産向けの生産量は約1.5倍に拡大する見通し。(2011年5月19日付日刊自動車新聞より)

受賞

-Chrysler Groupより「2011 Supplier Award」を受賞したと発表。また、この賞に加えて同社の8生産拠点が、2010-2011年における品質面が評価され、Chrysler Groupより認証を受けた。対象拠点は以下の通り。 (2011年9月1日付プレスリリースより)
  • Victor Manufacturing (Cosma International) - 米国・アイオワ州Victor
  • Modatek Systems (Cosma International) - カナダ・オンタリオ州 Milton
  • Presstran Industries (Cosma International) - カナダ・オンタリオ州St. Thomas
  • Decoplas (Magna Exteriors and Interiors) - メキシコ・Cuautitlan Izcalli
  • Intier Auto Closures (Magna Closures) - 米国・ミシガン州Shelby Township
  • Ilz (Magna Powertrain) - オーストリア・Ilz
  • -Unimotion Gear (Magna Powertrain) - カナダ・オンタリオ州Aurora
  • Innovative Cooling Dynamics (Magna Powertrain) - カナダ・オンタリオ州Mississauga
<Magna Seating>
-同社傘下のMagna Seatingは、米国ミズーリ州Excelsior Springs工場がFordより「Silver World Excellence Award」を受賞したと発表。2010年における品質・納入・コストパフォーマンスが評価されたもの。同工場は、Ford 「Escape」向けにシートを納入している。(2011年4月8日付プレスリリースより)

<Cosma International>
-同社傘下のCosma International(ボディー・シャシーシステム製造)は、GMより「2010 Supplier of the Year」を受賞したと発表。5年連続、通算12回目の受賞となる。(2011年3月29日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発拠点

-同社傘下のMagna Steyrは、中国上海市の嘉定(Jiading)区に「上海エンジニアリングセンター(Shanghai Engineering Center)」を開設したと発表。フル稼働時には、約500名の従業員を雇用し、週に8台の試作車を製作することが可能になる。Magna Steyrは、2004年に中国での操業を開始。現在、同国に4つのエンジニアリングセンターを保有している。また、年内には吉林省長春 (Changchun)市に、同社にとって中国初となる燃料システム工場を開設する計画。(2011年9月8日付プレスリリースより)

-2010年、同社傘下の合弁会社 Magna E-Car Systemsは米国ミシガン州Auburn Hillsに、ハイブリッド・電気自動車システム開発センター、バッテリー・素材試験施設を開設した。この新拠点を含め、同社は北米4拠点、欧州3拠点を保有。これらの拠点で、Ford 「Focus EV」、Volvoのハイブリッド、GM向けパワートレインコントローラーといったプログラムに取り組んでいる。

研究開発活動

-Magna E-Car Systemsは、GMのクロスオーバー車Chevrolet 「Equinox」をベースにしたEVのデモカー9台を開発した。このEVは、Magna E-Car Systemsの電気駆動システム(最大出力105kW、電池パック容量33kWh)を搭載。本プロジェクトはGMと共同で行われ、Magna E-Car Systemsにはカナダのオンタリオ州政府による助成金が支給されている。これらのデモカーは、GMのCanadian Engineering Centre(オンタリオ州Oshawa)と、Magna E-Car Systemsの同州Aurora拠点の共同チームにより設計・組立が行われた。今回のプロジェクトにおいてMagna E-Car Systemsは、推進システム・エネルギー貯蔵システムに関する設計および車両への統合を行った。また、GM Canadaは設計・検証に関するエンジニアリング支援を提供している。(2011年11月17日付プレスリリースより)

製品開発

運転支援システム
-同社傘下のMagna Electronicsが画像処理に関する提携先であるオランダのMobileyeと共同で、運転支援システムを開発したと発表。前方確認用シングルカメラを用いて、前方衝突警告・車線逸脱警報などの安全機能を提供するもの。このシステムは、北米で販売される2012年モデルのGM 「Chevrolet Equinox」および「GMC Terrain」にオプション搭載されている。なお、Magna Electronicsは、2005年より先進運転支援システムに関してMobileyeとの提携を開始。最初の製品は、Mobileye製の「EyeQ1」システムオンチップをベースにした車線逸脱警報システムで、GM 「Cadillac STS」、「Cadillac DTS」、「Buick Lucerne」に採用された。(2011年12月1日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
全社 1,236 746 616

海外投資

<E-Car Systems>
-Magna E-Car Systemsは、米国ミシガン州のGrand Blanc TownshipにHV・EV用部品工場を開設したと発表。工場面積は66,000平方フィートで、従業員数は約95名。Ford 「Focus Electric」向けの電気モーター、インバーター、電動パワートレイン制御システムを生産するほか、Fisker 「Karma」にはインバーターを納入する。なお、Magna E-Car Systemsは、新工場を含めて北米に4拠点、欧州に2拠点を保有している。(2012年4月16日付プレスリリースより)

<Magna Powertrain>
-同社傘下のMagna Powertrainは、中国の天津空港経済区に新工場を建設すると発表。工場面積は約13,500平方メートルで、フル稼働時には従業員400名を雇用する見込み。投資額は約68百万米ドル。2012年に生産を開始する。また、これに先立ちMagna Powertrainは、Volkswagenよりリアアクスルドライブ、パワーテイクオフユニットを受注。中国で生産されるVolkswagenおよびAudiのモデルに供給する計画。なお、Magna Powertrainは中国において計3拠点を展開中。上海に販売・エンジニアリングセンター、江蘇省常州(Changzhou)に生産拠点と販売・エンジニアリングセンターを保有している。(2011年10月24日付プレスリリースより)

<Cosma International>
-同社は、メキシコSan Luis Potosiに新工場を建設すると発表。同社傘下の、ボディーおよびシャシーシステムのサプライヤーCosma Internationalにより運営される。工場面積は30万平方フィートの見込みで、最大45万平方フィートまで拡張可能。本格稼動時には従業員約700名が勤務し、プレス・溶接部品を製造する。メキシコ政府、州、市当局の支援を受け、同社は新工場に1億米ドル超を投資。開所予定は2012年6月。(2011年1月27日付プレスリリースより)