CALB Group Co., Ltd. [中創新航科技集団股份有限公司] (旧 中創新航科技股份有限公司) 2022年12月期の動向
業績 |
(単位:百万元) |
2022年12月期 | 2021年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 20,374.94 | 6,817.12 | 198.88 | -主に同社の生産能力拡大と顧客需要の増加により、乗用車および商用車向けが202.1%増となった。また、エネルギー貯蔵市場向けも172.8%増となった。 |
営業利益 | 711.66 | 113.12 | 529.12 | |
純利益 | 693.54 | 111.54 | 521.18 |
受注
-同社は、小鵬汽車の「P7i」の全4モデルに高電圧三元系セルを供給すると発表した。「P7i」のCLTCにおける総合モードでの航続距離は702kmで、0-100km/hの加速は3.9秒。29分で10%-80%まで充電可能、充電効率は90%に向上し、10分間の充電で最高240km走行可能。また、中創新航は業界初となるTPP(Thermal Propagation Prevention)熱抑制技術を採用し、安全性の向上を実現した。(2023年3月10日付中創新航の公式サイトより)
-同社は、複数の駆動用バッテリーセルが零跑汽車(Leapmotor)のCシリーズモデルに採用されると発表した。「C11」レンジエクステンダーモデルの180舒享版は、中創新航のリン酸鉄リチウムイオン電池セルを搭載し、出力は200kWに達する。285舒享版/智享版は、高電圧の三元系リチウムイオン電池セルを搭載し、容量は43.74kWhに達する。EVモードでの航続距離は285km。また、零跑の23年モデル「C01」525舒享版には、L300シリーズのリン酸鉄リチウムイオン電池セルが搭載される。このセルは、長さが300mmの方形セルであり、全極タブ積層技術を採用し、現在すでに量産されているという。(2023年3月2日付中創新航の公式サイトより)
-同社は、ホンダのQAV2-5や安全ビジョンに合格したと発表した。これにより、広汽ホンダの「e:NP1」や東風ホンダの「e:NS1」モデル向けに製品を供給する正式な資格を取得したという。(2023年2月23日付中創新航の公式サイトより)
-同社は、同社の駆動用バッテリーを搭載した「スマート#1」が独テュフ認証に合格し、EUのPEFCR (Product Environmental Footprint Category Rule)およびISO14067のカーボンフットプリント認証を取得したと発表した。このモデルが搭載した駆動用バッテリーは中創新航が生産する急速充電対応バッテリーで、高電圧と高エネルギー密度、高い安全性、長寿命などが特長。(2022年11月24日付け中創新航のWeChat公式アカウントより)
-同社は、小鵬汽車の新型電気SUV「小鵬G9」に800V高圧プラットフォームをベースに開発した新世代鉄リチウム電池とニッケル含有の高圧三元系リチウム電池を供給すると発表した。航続距離570と702km、高倍率急速充電に対応し、20分で10%‐80%の充電を実現する。鉄リチウム電池は新型急速充電電解液を採用し、電池サイクル寿命は2,500回を超える。ニッケル含有の高圧三元系リチウム電池のエネルギー密度は250Wh/kgに達する。構造面では、この2種類の電池は新型のミニマルデザインのカバープレートなど革新的なデザインを採用し、電池セルの空間利用率を引き上げ、電気抵抗を引き下げると同時に極柱の熱放散条件を改善したとしている。(2022年9月22日付中創新航WeChat公式アカウントより)
新製品
「頂流 (トップストリーム)」円筒形電池
-同社は、2023中国電気自動車百人会フォーラム(China EV 100 Forum)で「頂流 (トップストリーム)」円筒形電池を発表した。これは、中創新航のOne-Stop (OS)と呼ばれるミニマムデザインコンセプトをベースに、同社開発の構造や化学体系の改良を通じて開発された電池。この電池はトップストリーム構造を採用することで、内部抵抗が50%低減し、エネルギー密度は300Wh/kgまで引き上げたられたほか、6C急速充電も実現した。なお、製造効率や電池性能も向上しているという。(2023年4月6日付中創新航の公式サイトより)
One-Stop Hi-Mn LXFP Battery
-同社は、同社が開発したOne-Stop Hi-Mn LXFP Battery(以下、OSバッテリー)が中間試験を完了し、信頼性能試験を実施中であると発表した。セル構造と製造技術を改良したOSバッテリーは、円筒形、パウチ型、角形に続く第4の形状で、エネルギー密度と生産効率、体積利用率をいずれも改善したもの。OS技術を用いたリン酸鉄リチウム電池パックのエネルギー密度は152Wh/kg、全体的なエネルギー密度維持率は77%、600km超の航続距離を実現する。また、電池パックの高さは約110mm。(2022年8月29日付け中創新航のWeChat公式アカウントより)
製品の生産に関する動向
-同社は、武漢工場でリン酸鉄リチウムイオン電池パックを使用した電源システムの生産を開始したと発表した。この製品は、CALBの次世代D-MIR商用車向けの標準製品であり、複数の新エネルギー商用車に搭載される。(2023年4月12日付中創新航の公式サイトより)
-同社は、50GWh規模の駆動用バッテリー及び蓄電池の合肥工場で製品のラインオフ、第3期工場に関する契約を締結したと発表した。今回ラインオフした「L221」は、600km以上の航続距離実現に向けて開発された中ニッケル高圧三元系バッテリー。世界初となる全極タブ積層電池技術を採用し、エネルギー密度が250Wh/kgを超える。さらに、-30℃から55℃の環境で使用できるほか、急速充電にも対応している。主に輸出モデルに搭載されるという。また、中創新航は合肥市長豊県と合肥工場の第3期工場に関する契約も締結した。(2022年10月8日付中創新航のWechat公式アカウントより)
-同社は、武漢工場の駆動用バッテリーをラインオフしたと発表した。この製品は、中創新航が800V高圧プラットフォームをベースに開発した新しいリン酸鉄リチウムバッテリーで、急速充電に対応する。主に乗用車市場向けに展開され、「小鵬G9」にも採用されている。現在、中創新航の武漢工場では第2期、第3期工場の建設も進行中だという。(2022年9月28日付中創新航のWechat公式アカウントより)
-同社は、江蘇省の工場で初のCIR (Cell in Room)バッテリーシステムをラインオフしたと発表した。今回ラインオフしたCIRバッテリーシステムは、エンドプレート、サイドプレート、固定バンドのないシンプルな設計の角形C2P (Cell to Pack)。製造工程は約25%簡素化され、生産ラインの空間占有率は30%削減された。この製品は、中創新航が発表したパルスセルフ加熱技術を応用しており、温度上昇は3℃/minに達する。今回生産される電池パックは、納入先メーカーのフラグシップモデルに搭載されるという。(2022年9月13日付中創新航WeChat公式アカウントより)
-同社は、厦門工場の新規生産ラインが高エネルギー密度電源システムをラインオフしたと発表した。第2期工事で新設された生産ラインは電池セルからモジュール、パックに至る全自動生産を実現しており、モジュールの1ラインあたり生産能力は60%向上した。新規ラインで生産したパック製品は高安全性や長寿命、高エネルギー密度等の特徴を持っており、既に複数の量産車種に搭載されている。また、第3期工事ではCIRバッテリープラットフォームを応用した初のパック製品を近日中にラインオフする計画。(2022年8月30日付け中創新航WeChat公式アカウントより)
戦略的提携
Forsee Power
-フランスのバッテリーメーカーForsee Powerは、中創新航と提携し、同社のバッテリーシステムに組み込む高エネルギー密度セルを調達すると発表した。中創新航は、第三者監査に提出されたForsee Powerの最初のサプライヤーとなった。また、監査により中創新航は社会、環境、ガバナンスにおいて高いレベルであることが確認されたという。中創新航は、Forsee Powerの高エネルギーバッテリーシステムに組み込まれる、NMCリチウムイオンバッテリー技術を供給している。同社はポルトガルでの欧州ギガファクトリー建設を発表し、将来的にForsee Powerに欧州での調達機会を提供する。(2023年1月31日付プレスリリースより)
四川省眉山市およびカンゼ・チベット族自治州
-同社は四川省眉山市およびカンゼ・チベット族自治州と3者間での戦略的提携を締結したほか、四川発展龍蟒股份有限公司などと4者間での投資協定に合意したと発表した。四川省カンゼ・チベット族自治州は、重要なリチウム鉱山区を保有する。また、4社間での提携では合弁会社として四川甘眉新航新能源資源有限責任公司を設立し、クリーンな産業を推進していく。(2022年6月17日付中創新航のWechat公式アカウントより)
株式譲渡
-同社は江蘇金航控股有限公司(金航控股)と株式譲渡契約を締結した。 同社は保有する中航鋰電(洛陽)有限公司の49%株式を金航控股に譲渡する。譲渡完了後、同社は中航鋰電(洛陽)有限公司の株式を保有しなくなる。 (2022年アニュアルレポートより)
新会社
-中国の国家企業信用情報公示システムによると、中創新航科技股份有限公司[China Lithium Battery Technology Co., Ltd.](中創新航)は、新たに合弁会社を設立したという。会社名は中創新航科技(江門)有限公司で、出資比率は中創新航が51%、江門市海納新能源投資合伙企業が49%。2022年2月23日付で設立され、登録住所は広東省江門市、登録資本金は40億元。事業範囲はバッテリーの製造販売、バッテリー管理システム(BMS)、エネルギー貯蔵バッテリーおよび関連統合製品やバッテリー材料の開発、生産、販売、市場応用開発など。(2022年2月国家企業信用情報公示システムに基づく)
新規生産拠点の設立動向
プロジェクト名 | 所在地 | 詳細 | 年間生産能力(GWh) | |
2022年9月 | 成都50GWh駆動バッテリー及び蓄電池生産拠点第2期 | 四川省 成都市 |
同社は、駆動用バッテリー及び蓄電池を生産する成都工場の第2期工事に関する契約を締結した。第2期工場の完成後、成都工場の生産能力は50GWhに達するという。成都工場は2期に分けて建設されており、製品は主に中国内外の新エネルギー車(NEV)やエネルギー貯蔵などの分野で使用される。(2022年9月29日付中創新航のWechat公式アカウントより) | 30 |
2022年8月 | 江門工場拡張プロジェクト | 広東省 江門市 |
同社は、江門工場の生産能力を増強すると発表した。今回の増強では、第1期工場の能力に10GWhを追加するという。(2022年8月7日付中創新航のWechat公式アカウントより) | 10 |
2022年6月 | 武漢工場第3期工事 | 湖北省 武漢市 |
同社は、武漢工場の第3期工事を開始すると発表した。武漢工場の第1期、第2期工事は現在進行中で、完成後は生産能力20GWhの工場となる。100億元が投じられている。今回の第3期工場は120億元を投じられ、生産能力が30GWh追加される。(2022年6月13日付中創新航のWechat公式アカウントより) | 30 |
2022年5月 | 武漢拠点車載電池および蓄エネルギー電池拡張プロジェクト | 湖北省 武漢市 |
同社は、武漢経済開発区と工場拡張に関する契約したと発表した。同社は、武漢の車載電池および蓄エネルギー電池の生産能力を30GWh拡大する。このプロジェクトの総投資額は120億元。同工場は、第1フェーズとして20GWhの工場建設を進めており、2022年3月には建屋の建設を完了した。武漢工場の拡張後の生産能力は50GWhとなる。(2022年5月11日付プレスリリースより) | 30 |
2022年4月 | 眉山拠点 | 四川省 眉山市 |
同社は、四川省眉山市で工場の建設を開始したと発表した。この工場は20GWh規模の駆動用バッテリーおよびエネルギー貯蔵システム、10万トンのリチウムイオン電池正極材工場を建設予定だという。(2022年4月28日付中創新航の公式Wechatより) | 20 |
2022年2月 | 高エネルギーリチウムイオン電池工場 | 江蘇省 常州市 |
同社および雲南恩捷新材料股份有限公司の子会社は、リチウムイオン電池関連の工場を江蘇省常州市金壇区で建設する。中創新航が建設する高エネルギーリチウムイオン電池工場は、華羅庚ハイテク区に位置し、総投資額は120億元。2022年3月の建設開始、2023年12月の稼働開始を予定している。稼働後のリチウムイオン電池の年間生産能力は30GWhになり、年間売上高は100億元を見込んでいる。また、恩捷股份傘下の上海恩捷新材料科技有限公司が建設するリチウムイオン電池のセパレーターフィルム工場は金壇区経済開発区に位置する。総投資額は52億元で、広さは15.8万平方メートル。建設は3期に分けて行われ、合計16本の生産ラインが導入される。2026年6月の稼働開始を予定し、ベースフィルムの年間生産能力は10億平方メートル、コーティングフィルムの年間生産能力は10億平方メートルで、年間売上高では30億元を目指す。(2022年2月22日付常州市金壇区政府のリリース及び常州市政府リリースに基づく) | 30 |
2022年2月 | 廈門拠点第3期工事 | 福建省 廈門市 |
同社は、厦門工場の第3期建設を開始したと発表した。第3期プロジェクトでは生産能力40GWhを整備予定。建設完了後は、厦門工場の年間生産能力は60GWhに達するという。(2022年2月7日付中創新航の公式Wechatに基づく) | 40 |
2022年1月 | 駆動用バッテリー及び蓄エネルギーシステム生産拠点(広州/江門拠点) | 広東省 広州市、江門市 |
同社は、駆動用バッテリー及び蓄エネルギーシステムの生産拠点を広州と江門に建設し、生産能力を100GWh増強すると発表した。広州拠点の生産能力は50GWhで、主に駆動用バッテリーと蓄エネルギーシステムを生産する。建設は2段階に分けて実施する。江門拠点の生産能力も50GWhになるという。(2022年1月26日付プレスリリースより) | 100 |
研究開発拠点
-同社はパワーバッテリーイノベーションセンターを保有しており、先端材料、先端バッテリー、高度シミュレーション及びテスト、インテリジェント製造、バッテリーリサイクル技術、デジタル化の 6つの主要部分で構成されている。
-同社は深圳、上海、常州、成都に4つの研究開発センターを設立する予定。
施設名 | 所在地 | 概要 |
中創新航技术研究院(江蘇)有限公司 旧:中航鋰電技術研究院有限公司 |
江蘇省 常州市 |
敷地面積は約16万平方メートル。バッテリー技術、電力技術、電池材料、先進製造技術の研究及び開発を行う。 |
江蘇省動力及貯能電池製造業創新中心 [Jiangsu Power and Energy Storage Battery Manufacturing Innovation Center] |
江蘇省 常州市 |
同社が48%の株式を保有する研究開発施設。産学連携で共同イノベーションを図る。 |
先進技術(深圳)研究院 [Advanced Technology (Shenzhen) Research Institute] |
深セン市 | 2021年7月に発足。次世代のエネルギー貯蔵材料及びバッテリー、バッテリーマネジメントシステム、ビッグデータ、スマートデバイス、スマートファクトリーなどに関する研究開発を行う。 |
電池工程和先進技術研究院 [CALB Battery Engineering and Advanced Technology Research Institute] |
四川省 成都市 |
成都拠点の50GWh動力電池生産拠点とともに建設を行っている。第1期は2021年6月に着工。 |
認証
-2022年、同社は電池材料、電池構造、システム統合、電気回路、BMS、製造プロセス装置、電池リサイクルを含む電池産業チェーン全体に関する1,571件の特許を申請した。
-同社は、IATF16949、CE、UL、TUV、RoHSおよびその他の国際認証を取得。
-同社の実験センターが中国合格評定認可委員会 (CNAS) の認可を取得したと発表した。認可を取得した検査項目は56項目で、材料の物理・化学的特性に加え、動力用バッテリーのセル、モジュール、システムの性能、信頼性、安全性など多岐にわたる。