アルプスアルパイン (株) (旧 アルプス電気 (株)) 2020年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2020年
3月期
2019年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 810,570 851,332 (4.8) -車載情報機器事業が増収するも、電子部品事業が減収
営業利益 26,795 49,641 (46.0) -
経常利益 18,646 43,605 (57.2) -
親会社株主に帰属する当期純利益 (4,009) 22,114 - -
電子部品事業
売上高 424,709 468,605 (9.4) ー車載市場12.9%減。車載デバイス・モジュールともに市況軟化の影響を受けた。
営業利益 16,124 29,607 (45.5) ー非車載向け製品の減少、およびコロナウイルスの影響による車載モジュール売上高減少に伴い減益
車載情報機器事業
売上高 306,299 303,593 0.9 -市販製品は減少するも、自動車メーカー向け純正品 (特に欧州向けナビゲーション、音響製品)が増加
営業利益 5,655 13,921 (59.4) -売上高が増加したが、製品ミックスの悪化や開発費増等により減益

 

第1次中期経営計画 (2019年4月~2022年3月末)

-2024年までに売上高1兆円、営業利益率10%を達成する目標。
-事業別の注力分野:

  • 電子部品事業:HMI、センサー、コネクティビティの3つのコア技術の融合、およびソフトを内包させた機能デバイスへの進化
  • 車載情報機器事業:カーライフ全体を考えた提案型のシステム製品、および電子部品事業で培ったコアデバイスをあわせた高付加価値製品の開発

 

出資

スピーカーメーカーのファイタル社に追加出資し連結子会社化
-アルパインが昨年資本参加したイタリアの高級スピーカーメーカーのファイタル社に追加出資し、連結子会社化したと発表した。出資比率を従来の19.9%から80%に拡大し、スピーカー製品の開発力や品質、コスト競争力とプレミアム領域で魅力ある製品提案を強化していく。アルプスアルパインは2024年度までに売上高1兆円、営業利益率10%の達成目標を掲げる中期経営計画「ITC101」に向けて、高級スピーカー専門メーカーを連結対象子会社とし、シナジー創出を加速。従来から取り組んでいたサウンド・音響機器事業の競争力強化を狙う。(2019年7月4日付日刊自動車新聞より) 

IT(情報技術)企業のフリービットの株式10.1%を取得
-カルチュア・コンビニエンス・クラブなどから取得した。2018年11月に子会社のアルパインとフリービットがコネクテッドの分野で業務提携しており、今後は株式取得を通してコネクテッドサービス事業の構築などを加速させる。(2019年6月12日付日刊自動車新聞より)

 

2021年3月期の見通し

-2021年3月期の業績見通しは自動車販売が前年比20%減少するとして7,025億円と予想。同社前年比13.3%減となる。

 

研究開発費

(単位:百万円)
2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
全社 37,667 32,886 29,799
-電子部品事業 19,845 18,630 19,539
-車載情報機器事業 17,758 14,196 10,227

 

研究開発活動

電子部品事業-車載市場向け

<車載モジュール製品>

  • HMI(Human Machine Interface)技術及びセンシング技術を応用した開発
  • 小型電子シフターをはじめ、エアコンやオーディオの操作性向上を目的に、タッチパッド、静電ステアリングホイールスイッチなどの開発
  • 超短距離ミリ波レーダーの開発

<車載デバイス製品>

  • 中国で導入が先行するC-V2X(Cellular based Vehicle to X)の2020年市場導入に向けた準備
  • 独自の静電技術を応用したステアリングハンズオフセンサーの開発
  • 高周波技術を核としたミリ波センシングの多様化(乗員検出、障害検出、モーション検出等)の開発
  • 電子ミラーを核とし、センサーとディスプレイ製品で培ったイメージ処理技術を融合させた安全運転支援技術への取り組みを加速
  • 高度セキュリティとデジタルキー技術を実現するスマートフォンエントリーシステムの量産化
  • 電流センサーの高電圧化、多相化、小型・高精度に対応した製品バラエティーの拡充
  • デザイン性と操作フィーリングを両立する新たな静電・ハプティックデバイスの開発

<情報・通信機器>

  • スマートフォンをキーとして、カーシェアの予約や乗車を進化させる「スマートエントリ」、乗り手の好みのドライブプランを把握して自動提案する「レコメンドエンジン」等、様々な機能を組み合わせた「シームレススマートモビリティソリューション」の提案

<その他>

  • ブロックチェーン技術を活用したカーシェアリング向けデジタルキーの開発やコネクテッドカーの車両情報管理のため、フリービットの一部株式を取得し、業務提携によるMaaSビジネスを強化

 

研究開発

横浜ゴムと共同で乗用車用タイヤセンサーを開発
-従来の空気圧検知に加えて、摩耗検知や路面検知ができるセンサーを開発する。それらのデータをデジタルツールで処理・管理するソリューションビジネスの展開を視野に入れる。ただ、顧客にフィードバックするシステムやアプリケーションの開発も必要なため、センサー開発はアルプスアルパインのノウハウを借りる。コネクテッド技術でタイヤ技術に新たな付加価値を目指す。東京モーターショーのプレスデーで会見した野呂政樹取締役執行役員は「空気圧監視システム (TPMS) で取得した情報はいずれ、パンク検知以外への利用が想定できる」と展望した。(2019年10月25日付日刊自動車新聞より)

米イマージョンコーポレーション社と触覚による情報伝達の技術「ハプティック」の領域で協力協定を締結
-タッチ入力や照光、サウンドなどのHMI (ヒューマン・マシン・インターフェース) 技術と組み合わせることで新製品の開発に生かしていく。両社は、自動運転化やCASE (コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化) の普及に伴い、ハプティックに関連する車載向け製品の開発において協議を進めるとしている。(2019年10月12日付日刊自動車新聞より)

移動体通信技術などを手がける米クアルコム社の半導体部門会社とライセンス契約を締結
-第5世代移動通信システム (5G) モジュールの開発と生産体制を強化するのが狙い。クアルコム社の次世代自動車向け5Gプラットフォーム「スナップドラゴン」に対応するソフトウエアライセンス契約を、半導体部門会社であるクアルコムテクノロジーズと結んだ。アルプスアルパインは、5Gに関連する技術開発に注力しており、今回の契約締結により、車載用通信モジュールの製品化や複合型通信ユニットの開発量産体制を加速させる方針。 (2019年9月7日付日刊自動車新聞より)

  

設備投資額

(単位:百万円)
2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
全社 42,362 52,928 76,154
-電子部品事業 25,729 33,210 61,235
-車載情報機器事業 11,587 13,597 8,611

 
電子部品事業
-2020年3月期は、センサー等のコンポーネント製品の開発や製造設備への投資を実施

車載情報機器事業
-2020年3月期は、生産設備の更新や合理化を目的とした機械装置の他、新製品の金型を中心に設備投資を実施
-海外においては、中国生産拠点であるDALIAN ALPINE ELECTRONICS CO.,LTD.等において生産設備への投資を実施。

 

設備の新設

(2020年3月31日現在)
会社名 事業所名
(所在地)
セグメントの名称 設備の内容 投資予定額 着手年月 完了予定年月 摘要
アルプスアルパイン(株) 古川第2工場・古川開発センター他(宮城県大崎市他) 電子部品 コンポーネント製品・車載製品の製造設備等 15,049 2020年4月 2021年3月 新製品・増産・合理化等
小名浜工場・平工場
(福島県いわき市)
電子部品 コンポーネント製品の製造設備等 779 2020年4月 2021年3月 新製品・増産・合理化等
本社
(東京都大田区)
電子部品 システム関連の設備等 400 2020年4月 2021年3月 合理化等
いわき事業所    (福島県いわき市) 車載情報機器 生産設備・研究開発・その他設備 4,455 2020年4月 2021年3月 新製品・増産・合理化等
DALIAN ALPINE
ELECTRONICS CO., LTD
本社工場(中国遼寧省大連市) 車載情報機器 生産設備 816 2020年4月 2021年3月 新製品・増産・合理化等
ALPINE ELECTRONICS OF AMERICA,
INC.
本社事業所(アメリカ
デトロイト)
車載情報機器 生産設備 728 2020年4月 2021年3月 新製品・増産・合理化等