日本メーカーの世界生産: 2010年は前年比480万台増の2,290万台

2007年実績比で、国内生産は 83% (963万台)、海外生産は 112% (1,327万台)

2011/02/21

要 約

 日本の自動車メーカーの2010年生産台数は、経済危機の影響で落ち込んだ2009年に比べ、26.8%増の 2,289.3万台となった。 (ピーク時の2007年実績 (2,345.6万台) の 97.6% まで回復した。うち国内生産は2007年実績の 83%、海外生産は 112%に達した。)

 JAMA 発表によれば、2010年国内生産は前年比 21.3%増の 962.6万台。9月まで実施されたエコカー補助金の効果で国内販売が増え、米国やアジア向けの輸出も拡大したこと等により、3年ぶりに前年を上回ったが、2年連続で1,000万台を割り込んだ。輸出は前年比 33.8%増の 483.8万台で、2年ぶりに増加した。

 海外生産は、新興国を中心に現地生産が拡大し、2010年1~9月は前年同期比 38.4%増の 968.1万台。中国を含むアジア地域での生産は 44.6%増加した。北米生産も回復傾向にあり、米国での生産は 44.9% 増加した。

 需要拡大が続く BRICs および東南アジア諸国等の新興国では、今後も現地生産の拡大が見込まれる。レポート巻末には、新興国における日本メーカーの生産体制拡充の動向と、市場が回復傾向にある北米での日本メーカーの生産動向をまとめた。

日本の自動車メーカーの国内/海外生産と日本からの輸出

(1,000台)
日本の自動車メーカーの国内/海外生産と日本からの輸出

日本の自動車メーカーの生産、国内販売、日本からの輸出

(1,000台)
  2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
国内生産 10,286 10,512 10,800 11,484 11,596 11,564 7,935 9,626
海外生産 8,608 9,798 10,606 10,972 11,860 11,651 10,118 * 13,267
生産合計 18,894 20,309 21,406 22,456 23,456 23,215 18,052 * 22,893
国内販売 5,828 5,853 5,852 5,740 5,354 5,082 4,609 4,956
日本からの輸出 4,756 4,958 5,053 5,967 6,550 6,727 3,616 4,838
資料:JAMA広報資料
(注) 1. 集計対象は主要メーカー12社。
2. *標記の 2010年海外生産は、乗用車メーカー 8社は各社の広報発表速報、トラックメーカー 4社は MarkLines Data Center による統計の合計。2010年の生産合計の算出にも、この数値を使用。


2010年 1~9月のアジアと米国での生産は前年同期比45%増加

 海外生産は、地域別には中国を含むアジアでの生産が急拡大しており、2010年 1~9月は前年同期比44.6%増の513万台。海外生産に占めるアジアの構成比は 53% で、海外生産全体の半分を超えた。

 また、米国生産は、経済危機の影響で2008、2009年は前年比マイナスとなったが、2009年末から景気が緩やかに回復し、2010年 1~9月の生産は前年同期比 44.9% 増加した。

日本の自動車メーカーの地域別海外生産台数

(1,000台)
日本の自動車メーカーの地域別海外生産台数

 

日本の自動車メーカーの地域別海外生産台数 (日本ブランド車を対象とするJAMA集計)

(台)
  アジア 中近東 欧州 北米 中南米 アフリカ 大洋州 合計
EU 合計 米国 合計
2003年 3,007,348 5,820 1,245,469 1,338,476 2,821,723 3,487,012 457,467 162,969 148,471 8,607,563
2004年 3,638,978 10,800 1,296,516 1,454,903 3,143,603 3,840,744 534,863 191,537 125,726 9,797,551
2005年 3,964,209 10,500 1,369,556 1,545,355 3,383,277 4,080,713 645,074 225,725 134,581 10,606,157
2006年 4,129,856 11,400 1,509,402 1,702,836 3,281,073 4,001,639 745,827 259,050 121,635 10,972,243
2007年 4,523,751 3,342 1,789,875 1,976,407 3,324,326 4,049,068 895,099 252,384 159,710 11,859,761
2008年 4,877,074 0 1,693,151 1,876,109 2,893,466 3,576,246 920,738 257,646 143,741 11,651,554
2009年 5,145,450 0 1,136,145 1,228,294 2,108,161 2,687,527 790,794 168,651 96,836 10,117,552
2009年1-9月 3,548,131 0 812,081 882,069 1,399,344 1,807,726 565,274 123,576 66,169 6,992,945
2010年1-9月 5,130,941 0 925,348 1,001,192 2,027,758 2,587,185 723,880 145,659 92,200 9,681,057
2010年1-9月
増減率
44.6%   13.9% 13.5% 44.9% 43.1% 28.1% 17.9% 39.3% 38.4%
2010年1-9月
構成比
53.0%   9.6% 10.3% 20.9% 26.7% 7.5% 1.5% 1.0% 100.0%
資料:JAMA広報資料 2011.1.31
(注) 1. メキシコは中南米、トルコは欧州に含む。
2. 集計対象は、2006年までは原則として海外生産用部品の輸出台数をベースとする日本ブランド車。07年からは、原則として海外現地工場でのラインオフ台数(自社工場・合弁工場・出資関係のある工場等における自社ブランド車)。他社からのOEM供給車と、CKD/SKD 組立車は含まない。

 



2010年の欧米向け輸出は回復、新興国向け輸出は大幅増加

 日本からの輸出は、2009年には景気後退の影響で欧米向けが半減したが、2010年には欧米向けが徐々に回復したほか、需要の拡大しているアジアが 51.3%増、中南米が 62.4%増と新興国向けも大幅に増加した。

 2010年夏から円高が進行して輸出には不利な環境が続いているが、自動車メーカー各社はコスト低減や国内生産の効率化により為替損を吸収し、輸出規模を維持する努力を続けている。

日本からの仕向地別輸出台数 (JAMA集計)

(台)
  アジア 中近東 欧州 北米 中南米 アフリカ 大洋州 合計
EU 合計 米国 合計
2003年 524,093 439,587 1,019,058 1,159,706 1,594,157 1,786,387 272,297 146,269 418,202 4,756,343
2004年 510,939 457,406 1,036,127 1,275,229 1,559,607 1,726,465 344,844 182,451 448,671 4,957,663
2005年 420,067 519,594 895,728 1,178,197 1,662,939 1,854,438 413,259 209,548 447,922 5,053,061
2006年 381,561 590,341 923,658 1,305,861 2,261,552 2,488,373 479,324 269,956 441,912 5,966,672
2007年 440,920 811,887 919,421 1,497,800 2,215,451 2,455,098 569,945 330,978 434,268 6,550,173
2008年 525,081 952,749 812,163 1,589,054 2,068,062 2,318,254 517,900 351,762 460,561 6,727,091
2009年 378,840 428,042 542,215 685,026 1,202,732 1,379,150 244,196 145,131 347,394 3,616,168
2010年 573,306 583,684 568,508 936,496 1,531,026 1,727,305 396,499 188,674 425,206 4,838,536
2010年増減率 51.3% 36.4% 4.8% 36.7% 27.3% 25.2% 62.4% 30.0% 22.4% 33.8%

資料:JAMA広報資料 2011.1.31
(注) 合計には、その他地域への輸出を含む。

 



2010年の海外生産は1,300万台規模 (各社発表ベース)

 日本の自動車メーカー各社が発表した2010年の海外生産は、前年比28.2%増加して、1,300万台規模に達した。乗用車メーカー 8社は、全社とも前年比 2桁増を達成。中国やインド、東南アジアの需要拡大に対応し、各社の現地生産が拡大している。

 海外生産が多い主要4メーカーのうち、トヨタは前年比 21.3%増の 434.0万台、日産は 41.8%増の 292.0万台、ホンダは 22.1%増の265.1万台、スズキは 22.7%増の 181.5万台を生産し、ホンダ以外の3社は海外生産台数の過去最高を記録した (トヨタは過去最高の2007年実績から3万台増)。 

日本の自動車メーカー別海外生産台数

(1,000台)
日本の自動車メーカー別海外生産台数

 

日本の自動車メーカーの地域別生産台数 (各社発表)

(台)
  2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
トヨタ 北米 1,444,000 1,535,100 1,519,300 1,636,900 1,404,800 1,189,100 n.a.
中南米 80,400 138,500 177,900 183,100 194,800 181,500
欧州 582,500 638,200 808,800 806,500 688,300 507,300
アフリカ 108,800 121,100 143,800 145,700 179,200 102,800
アジア 717,000 1,029,200 1,137,700 1,387,300 1,590,000 1,501,400
大洋州 109,900 109,200 111,600 148,900 141,400 96,800
海外生産 3,042,728 3,571,303 3,898,975 4,308,553 4,198,400 3,579,000 4,340,494
国内生産 3,680,946 3,789,582 4,194,187 4,226,137 4,012,100 2,792,200 3,282,855
合計 6,723,674 7,360,885 8,093,162 8,534,690 8,210,500 6,371,300 7,623,349
日産 米国 754,716 835,946 743,478 703,662 545,057 372,906 511,498
メキシコ 325,086 362,591 407,222 496,713 450,968 355,414 506,490
英国 319,652 315,297 301,210 353,718 386,555 338,150 423,262
スペイン 142,889 193,604 205,990 222,914 157,237 52,577 104,864
中国       295,865 378,977 755,890 1,012,458
その他 212,769 349,355 337,768 179,446 182,954 183,704 361,462
海外生産 1,755,112 2,056,793 1,995,668 2,252,318 2,101,748 2,058,641 2,920,034
国内生産 1,439,007 1,451,212 1,234,400 1,179,080 1,293,082 894,575 1,133,667
合計 3,194,119 3,508,005 3,230,068 3,431,398 3,394,830 2,953,216 4,053,701
ホンダ 北米 1,217,755 1,348,897 1,385,693 1,432,731 1,421,427 1,030,958 1,287,775
(米国) 803,400 939,868 974,380 1,015,462 987,169 723,375 954,502
欧州 193,455 186,838 184,412 237,783 230,423 75,583 139,264
アジア 455,215 535,559 635,833 778,612 858,537 911,728 1,069,046
(中国)    267,000 352,551 463,998 517,571 601,920 676,515
その他 72,671 76,703 95,009 130,843 182,607 153,444 154,470
海外生産 1,939,096 2,147,997 2,300,947 2,579,969 2,692,994 2,171,713 2,650,555
国内生産 1,242,528 1,261,994 1,332,866 1,331,844 1,264,387 840,924 992,502
合計 3,181,624 3,409,991 3,633,813 3,911,813 3,957,381 3,012,637 3,643,057
スズキ 欧州 n.a. 148,000 172,000 239,000 285,000 180,000 n.a.
北米 0 13,000 31,000 13,000 0
アジア 887,000 950,000 1,108,000 1,109,000 1,299,000
海外生産 941,014 1,033,798 1,135,387 1,377,882 1,405,553 1,479,231 1,814,703
国内生産 1,045,735 1,090,786 1,206,805 1,218,297 1,218,235 908,302 1,078,242
合計 1,986,749 2,124,584 2,342,192 2,596,179 2,623,788 2,387,533 2,892,945
マツダ 海外生産 315,691 281,216 318,773 291,297 270,584 266,692 394,704
国内生産 818,730 864,929 966,547 995,511 1,078,690 717,175 912,836
合計 1,134,421 1,146,145 1,285,320 1,286,808 1,349,274 983,867 1,307,540
三菱自動車 アジア 513,762 493,539 339,685 368,422 300,699 272,170 415,388
北米 113,307 87,810 92,689 78,739 58,963 18,483 29,362
欧州 95,697 69,727 82,544 66,670 53,661 43,155 26,928
その他 50,754 46,697 39,680 52,061 46,101 34,343 41,003
海外生産 773,520 697,773 554,598 565,892 459,424 368,151 512,681
国内生産 639,883 664,900 758,478 846,083 841,949 426,530 660,104
合計 1,413,403 1,362,673 1,313,076 1,411,975 1,301,373 794,681 1,172,785
ダイハツ 海外生産 50,237 49,764 33,211 69,570 114,945 111,467 158,368
国内生産 679,485 724,509 791,291 786,601 793,257 684,255 665,177
合計 729,722 774,273 824,502 856,171 908,202 795,722 823,545
富士重工 海外生産 105,551 118,991 110,373 109,178 91,581 82,953 158,022
国内生産 487,127 469,497 482,283 475,850 524,916 408,399 491,932
合計 592,678 588,488 592,656 585,028 616,497 491,352 649,954
8社合計 海外生産 8,922,949 9,957,635 10,347,932 11,554,659 11,335,229 10,117,848 12,949,561
国内生産 10,033,441 10,317,409 10,966,857 11,059,403 11,026,616 7,672,360 9,217,315
合計 18,956,390 20,275,044 21,314,789 22,614,062 22,361,845 17,790,308 22,166,876
いすゞ 海外生産 218,940 242,327 230,889 216,283 224,909 146,609 261,883
国内生産 210,351 200,407 219,601 235,167 249,183 120,110 203,716
合計 429,291 442,734 450,490 451,450 474,092 266,719 465,599
日野 海外生産 19,545 22,371 24,573 28,147 30,481 26,521 44,756
国内生産 93,837 96,985 100,122 106,893 106,216 66,670 99,311
合計 113,382 119,356 124,695 135,040 136,697 93,191 144,067
三菱ふそう 海外生産 9,955 10,648 19,170 20,231 19,951 6,870 5,013
国内生産 120,118 132,274 141,503 141,280 126,184 54,467 76,593
合計 130,073 142,922 160,673 161,511 146,135 61,337 81,606
UDトラックス 海外生産 4,643 5,300 5,808 7,625 7,756 5,561 5,300
国内生産 40,723 41,704 43,429 46,340 48,300 20,290 30,471
合計 45,366 47,004 49,237 53,965 56,056 25,851 35,771
12社合計 海外生産 9,176,032 10,238,281 10,628,372 11,826,945 11,618,326 10,303,409 13,266,513
国内生産 10,498,470 10,788,779 11,471,512 11,589,083 11,556,499 7,933,897 9,627,406
合計 19,674,502 21,027,060 22,099,884 23,416,028 23,174,825 18,237,406 22,893,919
(注) 1. 乗用車 8社は各社の広報発表速報による (ダイハツはトヨタ発表で、マレーシアの Perodua ブランド車を含まない)。トラック 4社 (いすゞ、日野、三菱ふそう、UD トラックス) は MarkLines Data Center による (UD トラックスは旧・日産ディーゼル工業で、2010年 2月に社名変更)。
2. 国内生産は、完成車 + CKD でラインオフベース。海外生産は、原則として、自社ブランド車のラインオフ台数 (CKD分を除く)。
3. トヨタの地域別生産は概数のため、地域別合計と海外生産台数は一致しない。
4. スズキの地域別生産には OEM供給車を含む。概数のため、地域別合計と海外生産台数 は一致しない。

 



中国/インド/ロシア/タイ/ブラジル等の新興国と北米で生産拡充の動き

 以下は、日本の自動車メーカーが2010~2011年初に発表した、新興国と北米における生産体制拡充の動きである。

日本の自動車メーカー:新興国での生産体制拡充等の動向 (2010~2011年初)

トヨタ
中国  四川一汽トヨタ (Sichuan FAW Toyota Motor Co., Ltd.) の成都工場を移転し、生産能力を 1.3万台から 3万台に拡大。2010年 5月から Coaster と Prado を生産している。(トヨタ広報資料 2010.5.19)
2010年 4月、建設を中断していた長春新工場の建設を再開し、2012年前半に稼働させると発表。現工場は年産能力 1万台で Land Cruiser を生産するが、新工場は同 10万台で Corolla を生産する。(トヨタ広報資料 2010.4.28)
インド Toyota Kirloskar Motor に建設した年産能力 7万台の第 2工場で、2010年12月からインド市場向け小型車 Etios の生産を開始。現在約 70% の現地調達率を2013年以降 90% とする予定。(トヨタ広報資料 2010.12.27)
ブラジル 2010年 9月、約 6億米ドルを投資し、TDB (Toyota do Brasil LTDA) の新工場の建設を開始。2012年後半から新開発小型車 (中南米向けに改良した Etios) を、当初年産 7万台規模で生産する。新開発小型車は、中南米の周辺諸国にも輸出する計画。(トヨタ広報資料 2010.9.9)
タイ IMV (Innovative International Multi-purpose Vehicle) を周辺国にも供給するため、Hilux と Fortuner を生産している Toyota Motor Thailand の Ban Po 工場の年産能力を、従来の12万台から2011年 1月に 14万台、9月に 22万台に増強する。タイと下記アルゼンチンの能力増強に向けての投資額は合計で約 255億円。(トヨタ広報資料 2010.12.9)
アルゼンチン IMV を周辺国にも供給するため、Hilux と Fortuner を生産している Toyota Argentina の工場の年産能力を従来の 7万台から、2011年11月に 9万台に増強する。(トヨタ広報資料 2010.12.9)
エジプト トヨタ、豊田通商、エジプトの現地販売代理店 Toyota Egypt の 3社は、2010年11月に合弁契約を締結し、12月中旬にCKD組立の準備会社を設立。2012年前半から現地の車両組立会社に SUV Fortuner の組立を、年間 3,000台程度委託する計画。(トヨタ広報資料 2010.10.25)
ロシア 三井物産およびロシア自動車第 3位の Sollers とともに、ウラジオストクで2012年にも乗用車生産を開始することで、最終調整に入った。ロシア極東で日本メーカーが生産するのは初めて。Sollers の工場を活用し、SKD 方式で SUV 1車種を生産する見込み。(2011年 2月報道)
日産
中国 2012年度の日産の中国での生産能力は、2010年 9月時点の 67万台 (鄭州日産の第 2工場稼働以前) から 120万台に拡大する。
2010年 9月、約 10億人民元(約 123億円)(1元 = 12.3円換算) を投資し、鄭州日産第 2工場の建設を完了。鄭州日産の年産能力は、従来の 7.5万台から 20万台となり、2012年度には 24万台に拡張する計画。東風日産花都工場から移管する SUV Qashqai と X-Trail も生産する。(日産広報資料 2010.9.20)
2010年 5月、広東省広州市で東風日産花都第 2工場 (年産 24万台)の建設を開始。2012年に稼働し、第 1工場の 36万台と合わせると年産能力 60万台で、日産の世界最大の工場となる。
ロシア Renault とロシア最大手の Avtovaz の提携に日産も参加する。2015年から、Avtovaz の Togliatti 工場で、3社のモデルを年間 90万台生産する。うち 70% は Avtovaz のモデルとする。(Renault/Avtovaz 他の共同広報資料 2010.7.15)
インド Renault-Nissan Alliance は、2010年 3月、Alliance として手掛けた初の新工場をチェンナイに完成させた。7年間で 450億ルピー(約 900億円)以上を投資し、フル稼働時の年産台数は 40万台。両ブランド車の混流生産が可能。(日産広報資料 2010.3.17)
2010年 5月に、チェンナイ新工場で新型 Micra の生産を開始。インド市場だけでなく、欧州、中東、アフリカ等 100ヶ国以上に輸出する計画。当初は 1ラインで生産を開始し、生産能力は 20万台だが、2010年度は 8万台以上を生産する見込み。(日産広報資料 2010.5.24)
インドネシア 2010年 6月、20億円規模の新規設備投資を行い、インドネシアでの年産能力を 5万台から、2013年までに 10万台に引き上げると発表。2010年11月に新型 March、2011年には Juke の生産と同国内への投入を開始する。(日産広報資料 2010.6.29)
ホンダ
中国 ホンダの中国における2013年の年産能力は、広汽ホンダの48万台、東風ホンダの36万台、輸出工場の本田汽車の5万台を合わせ、89万台となる予定。
広汽ホンダは 9.3億元 (125億円)(1元 = 13.4円換算 を投資して、増城工場の年産能力を2010年秋時点の 12万台から、2011年後半に 24万台に増強する。黄埔工場と合わせた広汽ホンダの年産能力は 48万台に拡大する。2010年に Accord ベースの crossover Crosstour、2011年に自社ブランド「理念」の最初のモデルを投入する。(ホンダ広報資料 2010.5.25)
東風ホンダは、第 2工場を建設し、2012年後半に稼働する予定。初期投資額は約 20億元。当初の年産能力は10万台、2013年に 12万台、2015年までに 24万台に引き上げる。東風ホンダも2011~12年に自主ブランドを開発する計画。(ホンダ広報資料 2010.11.5)
インド Honda Siel Cars India Ltd. は、ラジャスタン州 Tapukara の第 2工場敷地内にあるパワートレイン工場を拡張し、2011年初頭より新たにシリンダーヘッドとシリンダーブロックの生産を開始する。投資額は約25億ルピー。(ホンダ広報資料 2010.7.28)
タイ 2011年からタイで新開発小型車 (Honda New Small Concept) を生産・販売する計画。生産規模は、インドとタイの合計で年間10万台程度。タイでは、タイ政府の進めるエコカー適合車として販売し、ASEAN諸国にも輸出する予定。
アルゼンチン 計画を延期していたアルゼンチンの新工場について、2011年前半から生産を開始することを決定。当初年産 3万台で開始し、順次生産能力を拡大する。
スズキ
インド 2010年 2月、Maruti Suzuki の Manesar 工場に 170億ルピー (約 330億円) を投じて、年産能力を 25万台拡大し、55万台とすると決定。稼働開始は2012年春。Maruti Suzuki の年産能力は、Gurgaon 工場 70万台と合わせて 125万台となる。(スズキ広報資料 2010.2.5)
マツダ
タイ 2010年 8月、Ford との合弁会社 Auto Alliance (Thailand) (AAT) は、pickup truck 工場に 3億 5,000万ドルを投資し、2011年半ばから、マツダと Ford の次世代 pickup truck を生産すると発表。(マツダ広報資料 2010.8.26)
中国 2010年 5月、長安汽車/Ford と 3社合弁の Changan Ford Mazda Automobile を解消する方針を表明。Ford とマツダは、それぞれ長安汽車と新たに合弁会社を設立する。再編後は、長安/マツダが南京工場、長安/Ford が重慶工場で生産する見通し。
これまでマツダは南京工場で Mazda2 (日本名 Demio) を生産していたが、2010年 5月にMazda3 (日本名 Axela) の生産を重慶工場から南京工場に移管し、生産を南京工場に集約している。
三菱自動車
タイ 2010年12月、Mitsubishi Motors (Thailand) の第 3工場の建設を開始。稼働開始は2012年 3月の予定。2011年度内に発売する排気量 1.0~1.2L クラスの小型乗用車 (通称 Global Small) を生産する。年産能力は 15万台で、将来 20万台まで増強可能。(三菱広報資料 2010.12.9)
中国 2010年11月、三菱と広州汽車集団は、両社がそれぞれ 14.59%、29% を出資する広汽長豊汽車を、両社の折半出資の新合弁会社とするための検討に入った。新合弁会社では、投入モデル、実行計画、生産能力増強計画について協議する。(三菱広報資料 2010.11.5)
ロシア 2010年 4月、三菱と PSA はKaluga 州で合弁車両組立工場を完工し、Peugeot 車の SKD 生産を開始した。今後三菱は、SUV Outlander を生産する計画。2012年の年産能力は 12.5万台。PSA の中型車 8.5万台、三菱と PSA の中型 SUV 4万台を生産する。(三菱広報資料 2010.4.23)
ダイハツ
インドネシア 2011年 1月、Astra Daihatsu Motor の年産能力を 従来比 5万台増の 28万台に増強。同年 5月には、33万台とする計画。MPV のダイハツ Xenia/トヨタ Avanza 等の販売拡大に対応する。(ダイハツ決算説明会資料 2011.2.1)
富士重工
中国 SUV Forester 等の販売が好調な中国では、複数の現地企業と合弁工場の建設について交渉中 (2011年初では奇瑞汽車が有力候補)。2012~2013年の稼働を目指す。2011年 3月までに正式決定する方針。富士重工としては初の中国での本格生産拠点となる。

日本の自動車メーカー:北米での生産体制拡充等の動向 (2010~2011年初)

トヨタ
米国 約 1億ドルを投資し、2010年 8月に テキサス工場で北米向け pickup truck Tacoma の生産を開始。GM と合弁の NUMMI 閉鎖 (2010年 3月末) に伴い、Tacoma の生産を NUMMI からテキサス工場に移管した。(トヨタ広報資料 2010.8.7)
2010年 6月、ミシシッピ州の新工場の稼働開始を2011年秋とすると決定。 08年12月に稼働時期を延期していたが、このほど建設を再開した。年産能力 15万台で Corolla を生産する。 (トヨタ広報資料 2010.6.17)
日産
メキシコ 既存の 2工場に 6億ドルを投資して設備を拡充し、2013年までに新型小型車を年間 30万台規模で生産する方針。メキシコおよび北米・中南米向けに供給する。まず、2011年初から March の生産を開始し、将来的には新型小型車のラインナップを拡大する。
三菱自動車
米国 2011年 2月、Mitsubishi Motors North American Inc. の工場で、小型 SUV の Outlander Sports (日本名 RVR) の生産を、2012年半ばから開始すると発表した。米国向けに加え、他の地域への輸出も予定している。(三菱広報資料 2011.2.5)
富士重工
米国 Subaru of Indiana Automotive の Subaru ブランド車の年産能力を、従来の約 10万台から2010年 7月に 13.1万台に拡充。その後さらに拡充し、2010年度の生産計画は 16.7万台。Legacy と SUV の Tribeca を生産する。投資額は、数億円程度。(富士重工決算説明会資料2010.5.7/2011.2.4)
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