IAA Mobility 2021:メルセデスEQシリーズ増強、「EVファースト」から「EVオンリー」へ

スマートのEVコンセプト、ルノー「メガーヌ」のEV、ダチアの新型MPV「Jogger」

2021/09/29

要約

IAA 2021 venue
IAA Mobility 2021 会場

  IAA(国際モータショー)は123年の歴史を誇る。70年前から隔年でフランクフルトで開催され、世界最大級の自動車ショーに成長した。ここ数年、来場者数が減少していることから、主催者であるVDA(ドイツ自動車工業会)は会場をミュンヘンに移し、コンセプトを一新することを決定した。

  来場者数が減少している理由としては、自動車業界全体の混乱が挙げられる。これまでのIAAは、自動車メーカーやサプライヤーが最新の製品や技術を紹介する、どちらかというと伝統的なモーターショーであった。

  VDAは今年から、IAAを革新的な新型車だけでなく、二輪車や電動スクーター、さらにはインテリジェントな公共交通機関など、さまざまなモビリティソリューションに焦点を当てたモビリティプラットフォームにしたいと考えた。それに伴い、今年のイベントのテーマを「What will move us next」とし、より持続可能な世界に向けたソリューションが中心となった。

  2021年9月6日から12日まで(6日と7日は報道関係者向け)、ミュンヘンの街は、テクノロジー企業、モビリティサービス・プロバイダー、公共交通機関及びスタートアップ企業が出会い、議論する場となった。

  新しいIAA Mobilityは展示会場だけでなく、ミュンヘン市内でも開催された。「サミット」は、自動車メーカー、サプライヤー、サービスプロバイダー及びスタートアップ企業が最新製品、技術、コンセプトを展示する場であった。2日目にはプレス関係者や来場者を対象に、国際的なディシジョンメーカーや業界のオピニオンリーダーによる、モビリティの未来に関する講演会が開催された。ミュンヘン市内のいくつかの広場、いわゆる「オープン・スペース」では、人々が未来のモビリティ・コンセプトについて意見を交換したり、最新のテクノロジーを体験したりすることができた。また、「ブルーレーン」では、ミュンヘン市内と見本市会場との間で試乗をすることが出来た。

  IAA Mobility 2021では、32カ国から約744の出展者と936人のスピーカーが参加した。ショーには95カ国から40万人以上の来場者が訪れたが、これは2019年に比べて16万人少ない数字であった。しかしながら、会期が2019年の2週間から1週間に短縮されたことを考慮すると、来場者は極めて多かったと言える。来場者の3分の2は40歳以下であった。

  前回の2019年のIAAとは対照的に、今年のモーターショーでは自動運転に焦点を当てるのではなく、持続可能性に焦点を当て、自動車セクターが代替燃料や技術への道に進むための新たな選択肢を提供した。

  次回のIAA Mobilityは、2023年9月5日から10日までミュンヘンで開催される。

 

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Mercedes-Benzとsmart:トランスフォーメーションが本格化、エレクトリック時代を形作る

Mercedes Benz exbhition at the IAA 2021
メルセデス・ベンツのIAA Mobility 2021での展示

  メルセデス・ベンツは、より持続可能なモビリティへの変革を推進する、という会社の約束を主張してプレゼンテーションを開始した。

  世界的なCO2排出量削減のための野心的な計画へのコミットメントを強調するために、同社はIAAに数多くの新しいEVモデルを持ち込んだ。ダイムラーグループ全体では、電動化戦略を加速させることで、2039年までにサプライチェーン全体で完全なカーボンニュートラルを達成することを目指す。

  メルセデス・ベンツAGのCEOである オラ・ケレニウス(Ola Källenius)氏によると、ますます多くの顧客が電気自動車を選択している。このことが、同社をして「EVファースト」戦略から「EVオンリー」計画への移行を意欲的にさせている。

  2022年にはメルセデス・ベンツが提供する各セグメントにバッテリー駆動の選択肢を用意し、2025年までにはメルセデス・ベンツが製造する各モデルにフルEVの選択肢を用意する予定である。そして2030年までには、全てのメルセデス・ベンツ車をフルEVにすることを目指す。

  また、2025年にメルセデス・ベンツは3つの新しいEV専用アーキテクチャーを導入し、電動化の目標に向けてさらに前進する。

 

Mercedes EQE

  メルセデスのEVモデルでは4番目の登場となる「EQE」は、EQSモデルをベースにしている。

  「EQE」は、MBUX(Mercedes-Benz User Experience)ハイパースクリーン、自動フロントドア、リアアクスル・ステアリング、先進ADAS機能を備えている。また、「EQE」は他のラグジュアリーモデル同様に、広い室内空間を確保している。

  「EQE」は、わずか1回の充電で最大660kmの航続距離を実現する。また、わずか15分の充電で250kmの航続距離を達成する。

  近い将来には「EQS」及び「EQE」のSUVバージョンの導入も予定されている。

Frontal view of the EQE Rear view of the EQE
EQEのフロント・ビュー EQEのリア・ビュー、調和のとれた照明デザイン
MBUX Hyperscreen: Big in-car cinema a lot of internal space
MBUX ハイパースクリーン:大きな車内シネマ メルセデス高級車の特徴である広い車内空間

 

Mercedes-AMG EQS 53 4-Matic

  AMGブランドの新しいエレクトリック・フューチャーの最初のアンバサダーと呼ばれるこのモデルは、メルセデスEQプラットフォームを採用しながらAMGのドライビング・パフォーマンスを維持している。

  このモデルは、グリルをはじめとするAMGらしいデザインが目を引く。「EQS 53 4-Matic」は、AMG UT/UXインフォテインメント・システムを採用し、合計出力484kWの2モーターシステムが最高のパフォーマンスを提供する。最高出力は761hp、最高速度250km/h、最大トルクは1020Nmで、0-100km/h加速が3.4秒と、電気自動車としては驚異的な性能を持っている。

  「EQS 53 4-Matic」のフル充電時の航続距離は526~580kmで、最大200kWのDC充電器で充電可能。

  本モデルは2021年末までに市場投入される予定である。

The typical AMG grille Rear view of the EQS Profile of the AMG
EQS 53 4-Maticの典型的なAMGグリル デザインスポイラーを装着したEQSのリア・ビュー 世界初公開のAMGのプロフィール

 

Mercedes-Maybach EQS Concept

Example of the MBUX Hyperscreen
3つのディスプレイが1枚のガラスカバーでおおわれているMBUXハイパースクリーンの例

  「マイバッハEQS」は、高級車ブランド初のフルEVモデルで、IAA 2021では、ミュンヘン中心部のオデオン広場にあるメルセデス・ベンツのオープン・エリアと、ミュンヘン・メッセホールの両方で紹介された。

  このSUVでまず目を引くのは、継ぎ目のない形状のツートンカラーの塗装と、ブラックパネルの上にクロームの縦ラインが入った目を引くフロントで、ドラマチックな効果を生み出している。ドライバーが車に近づくと、自動的にドアハンドルが飛び出す。

  「マイバッハEQS」には、「EQE」にも搭載されているMBUXハイパースクリーンが採用されており、3つのディスプレイが1枚のガラスカバーで覆われている。


  このモデルには、メルセデスが開発した新しい電動SUVプラットフォームが採用されている。この同じプラットフォームは、「マイバッハEQS」の2023年市場投入に先立って、他の次期モデルにも使用される。

The front view of the new Maybach EQS The back of the concept SUV Profile of the Maybach EQS
ブラックパネルの上にクロームの縦ラインが入った新型マイバッハEQSのフロント・ビュー コンセプトSUVの後ろ姿 堂々としたシームレスなデザインのマイバッハEQSのプロフィール

 

Mercedes EQG

  今年のモーターショーにメルセデスが持ち込んだ最も目を引くモデルの1つが、電動オフロード車のメルセデス「EQG」である。堅牢なGクラスでは初のフルEVとして発表され、EQシリーズのラグジュアリーな特徴を備えている。

  まだコンセプトカーではあるものの、「EQG」はメルセデスのオフロードモデルの今後の方向性を確実に表している。

  「EQG」は、各ホイールの近くに配置された、独立制御可能な4基のモーターにより、従来のGクラスと同等のパフォーマンスを実現している。また、「EQG」には2速ギアボックスが搭載されており、オンロード、オフロードを問わず、典型的な "G "の性能を発揮する。

The EQG illuminated front grille The typical G-Class shape
斬新なパターンを採用したEQGイルミネーションフロントグリル 典型的なGクラスの形状に、EQラグジュアリーを採用
The spare tire box of the EQG The interior of the EQG
四角い形のEQGのスペアタイヤボックス、実は背面に充電ケーブルの収納スペースがある。 EOGのインテリア

 

Mercedes-AMG GT 63 S E Performance

  AMGは、IAA Mobility 2021で「GT 63 S E Performance」を世界初公開した。本モデルは、高性能PHEV(プラグインハイブリッド車)で、今年のオートショーでメルセデスが発表したモデルの中では、フルEVではない例外モデルの1つであった。

  本モデルには、4.0リッターV8ツインターボ・エンジンと、リアに電気モーターが搭載されており、1100Nmから1400Nmのトルクを発揮する。9速オートマチックトランスミッションを搭載し、0〜100km/h加速は2.9秒(200km/hまで10秒以下)、最高速度は316km/hに達する。

The AMG GT 63 S E Performance front The rear view of AMG's Plug-in Hybrid Profile of the spacious PHEV model
AMG GT 63 S E Performance のフロント AMG GT 63 S E Performance のリア 広々としたAMG GT 63 S E Performanceプロフィール

 

Mercedes EQB

  メルセデス「EQB 350 4Matic」は、よく知られたGLBクロスオーバーをベースにしており、2022年に欧州市場への投入が予定されている。「EQB」は、今年初めに上海で初公開され、欧州と同時期に北米でも「EQB 300」を追加して投入予定である。

  「EQB 350」は7人乗りフルEVで、最高トルクは521Nm。また、インストルメントクラスター・ダッシュボードには、最新のMBUXソフトウエアを採用している。

  「EQS」モデルとは異なり、「EQB」のグリルには、縦に伸びるクロームラインではなく、メルセデスのロゴを境に、横に伸びる2本ラインのデザインが採用されている。リアはフルワイドの照明が注目すべきデザインを構築している。

The front view of the EQB 350 4Matic The spacious internal setting of the EQB 350 The full-width rear lighting of the EQB model
EQB 350 4Maticのフロント・ビュー EQB 350の広々とした車内空間 EQBのフルワイド・リア・ライティング

 

Mercedes Concept EQT

  メルセデスのコンセプトカー「EQT」は、7人まで乗車可能な広々とした室内空間や、大きな荷物の収納スペースを備えた小型バンのセグメントにおいて先駆的なフルEVの先駆けとなる。後部座席の乗客のために、ワイド・スライド・ドアを採用している。

  また、このモデルにはMBUXインフォテインメント・システムが採用されており、ダッシュボードにはブルーピンクのライトが配されるなど、こだわりのインテリアに仕上がっている。 

  このTクラスバンの電気自動車は、成功した「Citan」モデルの次世代バージョンである。メルセデスのロゴが散りばめられた非常に特徴的なフロントグリルを持つ。しかし、この特徴は量産車に採用される予定はないようである。

  「EQT」は最大トルク245Nmで、航続可能距離は約265kmである。

The EQT's front grille Profile of the SUV
EQTの最も印象的な特徴の1つであるフロントグリル EQTのプロフィール
The side view of the EQT The dashboard of the EQT
EQTのサイド・ビュー EQTのダッシュボード

 

Mercedes C 220 d 4Matic All-Terrain

  メルセデスは、Cクラス初のオールテレイン車種「C 200 d 4Matic All-Terrain」を公開した。今回も、最も印象的なデザインのひとつであるグリルは、光沢のあるバーがメルセデスのエンブレムを包み込むように配置されている。 

  このモデルのもうひとつの特徴は、内外装に多数のクロームパーツを使用することで、ビジュアルに配慮していることだ。デジタルコックピットでは、センターコンソールに大型タッチスクリーンを設置し、第2世代のMBUXインフォテインメント・システムを採用している。 

  「C-Class All-Terrain」は、9速AT(9G-Tronic)を搭載し、最大トルクは440Nm、7.8秒で100km/hに到達する。この全輪駆動モデルのパワーは、前輪に45%、後輪に55%配分されており、さらに2つのオフロード走行プログラムが搭載されている。今回展示されたモデルはディーゼル・エンジンだが、ガソリン車、さらに48Vマイルドハイブリッド車(MHEV)も用意されている。  

Profile of Mercedes' first C-Class All-Terrain View of the internal space of the C-Class All-Terrain
Cクラス初のオールテレイン車のプロフィール Cクラス All-Terrainの室内空間とナッパレザーシート
The eye-catching of the chromed grille Chromed parts in the rear
クロームメッキのグリルが目を引く リアのクロームメッキパーツ

 

Mercedes V-Class

  別のオープン・エリアでは、Vクラスセグメントのミニバン「V 250 d EXCLUSIVE」と「V 220 d AVANTGARDE AMG Line」の2モデルが展示されていた。

  両モデルの違いの1つは最大トルクで、「V 250 d EXCLUSIVE」は440Nm、「V 220 d AVANTGARDE AMG Line」は380Nm。

The front view of the V 250 d EXCLUSIVE Internal space for passengers including the luxury seat package
V 250 d EXCLUSIVEのフロント・ビュー サンルーフ付きV 250の室内空間 ラグジュアリー・シートパッケージの室内空間
The front view of the V 220 d AVANTGARDE AMG Line The spacious internal space of the V 220 Side view of the V 220
V 220 d AVANTGARDE AMG Lineのフロント・ビュー V 220の広い室内空間 V 220のサイド・ビュー

 

Dashboard shared by both models
ダッシュボードは両モデルとも共通

  両モデルとも全く同じダッシュボードで、MBUX(Mercedes-Benz User Experience)インフォテインメント・システム、Burmesterサラウンド・システム、アンビエント・ライト及びパークトロニック(PARKTRONIC)が装備されている。

 

Smart Concept #1

  ダイムラーと吉利汽車の合弁会社であるsmartが開発したコンセプトカーは、従来の「ForTwo」や「ForFour」よりも一回り大きいサイズでありながら、小型SUVを思わせるデザインを持つ、フルEVシティ・カーとして発表された。

  このモデルには、目立たないライトが付いたドアハンドルが車体に埋め込まれており、ドアの表面が非常にスムーズになっている。さらには、Bピラーを無くし、サイドドアを観音開きにすることで乗降性を高めた。

  「smart #1」の室内は、コーナーに大きく張り出したホイールの位置により、とても広い空間を実現している。インテリアで印象的なのは、フロントシートの間に浮かんでいる、3Dタッチスクリーンを備えたセンターコンソール。

  「smart #1」は2022年に中国で生産が開始される予定である。

The smar concept #1 Rear view of the concept model
The smart concept #1 smart concept #1のリア・ビュー
Lateral view of the internal space dashboard and internal features
側面から見た室内空間 ダッシュボードと周辺機能の詳細ビュー

 

Concept Vision AVTR

  メルセデス・ベンツ・スタンドの別エリアでは、「Mercedes Vision AVTR」が紹介されていた。

  2009年に公開された映画「アバター」の美学をベースにしたこのコンセプトモデルの名前は、「Advanced Vehicle Transformation」の短縮形でもある。このモデルは、メルセデス・ベンツのデザイナー、エンジニア、研究者が考える遠い未来のモビリティのビジョンを示している。 

  IAA Mobility 2021で発表されたモデルでは、繭をイメージして開発されたリーフシートや、ステアリングホイールのない大胆なフロントパネルを装備し、将来の完全自動運転の実現を追求していくことを主張していた。

  もうひとつの興味深いAVTRの構造は、車両後方のルーフにある。33のバイオニック・プレートは、車両にエネルギーを供給するソーラーパネルとして機能する。これらのプレートは、環境に合わせて最適な位置になるように、独立して動くことができる。

Presentation of the AVTR the front panel of the concept model Front view of the model with open doors
AVTRのプレゼンテーション フロントパネルはタッチスクリーンで完全に覆われており、ステアリングホイールはない。 ドアが開いた状態のフロント・ビュー
View of the Leaf Seats Rear view of the AVTR Small-scale presentation of the concept vehicle
繭のように乗客を包み込む有機的な形状のリーフシートの様子 AVTRのリア・ビュー。バックルーフに設置されたバイオニック・フラップと呼ばれる太陽電池プレートは、環境と相互作用してエネルギーを供給する可動構造である。 コンセプトカーの小規模なプレゼンテーション


Renault:新型メガーヌ E-TECH 100% ELECTRICを世界初公開、Renault 5プロトタイプも発表

Renault booth at the IAA 2021
IAA Mobility 2021でのルノーのブース

  ルノーは、新型「メガーヌ E-TECH 100% ELECTRIC」の世界初公開と、Renault 5プロトタイプの発表に向けて、ミュンヘンでの大々的なプレゼンテーションを行った。 

  ルノーのルカ・デミオ CEO(Mr. Luca de Meo)はIAA初日にプレゼンテーションを行い、同社のトレンドをリードするブランドが策定した戦略「Renaulution: electrification & transformation」(ルノーリューション:電動化と変革)の目標を改めて説明した。

  「Renaulution」の重要なポイントのひとつは、量よりも価値を重視することにあり、これこそがルノーの変革を加速させる道だと理解されている。

  ルノーは現在、欧州のEVフリート市場で最大の会社であり、「Twizy」などの小型シティカーからLCV(Light Commercial Vehicle)「Master」まで、8種類のEVモデルを提供する欧州最大のEVラインアップを有している。同社では、2021年から2025年にかけて、さらに14車種の新型電動車を市場投入する計画である。

 

MEGANE E-TECH 100% ELECTRIC

  新型メガーヌは、ルノーが取り組んできた電動化への革命を体現している。同モデルはフランス北部のDouai(ドゥエ)工場で生産される。この工場はルノーの「ElectriCity」の心臓部と呼ばれ、欧州で最大かつ最も競争力のあるEVの製造施設である。

  新型メガーヌは、適切なサイズを維持しながら、乗客に可能な限りのスペースと快適性を提供するように設計されている。メガーヌは、日産Ariya(アリア)と共通のCMF-EVプラットフォームを採用し、車輪を四隅に寄せているほか、バッテリーパックの高さがわずか11cmと非常に薄く、内部空間を広く確保している。

  このモデルは、60kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は470km、充電時間はAC(最大22kW)、DC(最大130kW)で、ともに市場で最も充電時間が短いモデルの1つである。30分で300kmまでの充電が可能。新型メガーヌには、最高出力220hp (最大トルク300Nm) と最高出力130hp (最大トルク250Nm) の2つのバージョンが提供される。0〜100km/hの加速タイムは7.8秒。また、新型メガーヌには、ドライバーの運転をより快適なものにするために、Googleが組み込まれ、26種類の先進運転支援システム(ADAS)搭載され、また市場最大のディスプレイである774cm2のインターフェイスを持つスクリーン「OpenR」が搭載されている。

  「メガーヌ E-TECH Electric」の販売開始は2022年第1四半期を予定している。

The front view of the new Megane Profile of the All-new Megane E-Tech Electric The OpenR screen
メガーヌのフロント・ビュー 新型メガーヌ E-Tech Electricのプロフィール 逆L字型で774cm2の面積を持つ、市場最大のOpenRスクリーン
The rear view of the model Detail of the door handle The charger socket
シンプルでエレガントなラインを持つリア・ビュー ボディに埋め込まれ、シームレスなデザインを実現したドアハンドル 充電器のソケット
Schematic of the Reanult E-Tech technology The E-Tech technology fitted into the CMP-EV platform
ルノー E-Techテクノロジーの概略図 CMP-EVプラットフォームに搭載されたE-Techテクノロジー

 

Renault 5 Prototype

  Renault 5プロトタイプは、初日のメガーヌに続いて、ミュンヘン・モーターショーの2日目に紹介された。このプロトタイプは2024年に発売される量産型EVモデルのベースとなるもので、初代「Renault 5」の誕生50周年を記念して作られた。

  現代的なデザインでありながら、1972年から1986年までフランスで最も売れた車である初代Renault 5を彷彿とさせる。

  このプロトタイプをベースに開発される量産モデルには、CMF-B(Common Module Family for B-segment:ルノー「Captur II」、日産「Juke」、さらには新型Dacia「Jogger」などに採用されている)をアレンジしたCMF-BEVプラットフォームが採用される。

  ルノー「Zoë」と同様のモーターで136hpを発揮し、52kWhのリチウム電池で400kmの航続距離を実現する。

  Renault 5の組み立ては、おそらくフランス北部のElectriCityにあるDouai(ドゥエ)工場で行われる予定。

Front view with the eye-catching LED lighting system Profile of the R5 Prototype Rear view of the model, enriched with LED on the boot and bumper
LED照明が目を引くフロント・ビュー R5 Prototypeのプロフィール トランクとバンパーにLEDを採用したモデルのリアビュー


Dacia:新ロゴマークとMPV「Jogger」を世界初公開

Dacia at Konigsplatz open area of the IAA 2021
IAA 2021のケーニヒスプラッツ・オープンエリアのダチア

  Dacia(ダチア)は、自社の車両をバイエルンの夏空の下でより良く紹介するために、モーターショー会場の外に独自のパビリオンを建設した。

  新しいロゴを採用し、より角度のある大胆なラインで、より現代的なセンスを表現した。ルーマニアに拠点を置く同社は、1999年にルノー・グループの一員となり、格安ブランドとしてルノー・日産・三菱アライアンスの一員となった。2021年初頭からは、Dacia-Lada戦略ビジネスユニットの一部を形成している。

Dacia Jogger

  ダチアはミュンヘンモーターショーで新型「Jogger」を公開した。このMPV(多目的車)は同ブランドのFleetの最新モデルであり、MPV「Lodgy」の後継モデルとなる。

  Joggerは5人もしくは7人乗りの新型車で、Bセグメントの廉価モデルに特化したCMF-B LSを採用している。同じプラットフォームは、2020年以降、「Logan」や「Sandero」などの他のDaciaモデルにも採用されている。このいわゆるファミリーバンは、160リットル(全てのシートで着座可能な状態)から最大1819リットル(運転席以外のシートを全て倒した状態)までのトランクルームを調節することができる。

  また、センターパネルには8インチのタッチスクリーンを搭載し、Apple CarPlayやAndroid Autoでスマートフォンとの連携が可能。Joggerはガソリン車とLPG車が発表された。ガソリンバージョンは出力81kW(110hs)。LPGバージョンは74kW(100hp)で、40リットルのガスタンクと50リットルのガソリンタンクを持ち、1000km以上の航続距離を実現しながら、CO2排出量は121g/kmに抑えられる。

  JoggerはルーマニアのPitesti(ピテスティ)にあるダチアの工場で生産され、Daciaの新しいロゴを付けて2022年初頭に発売される予定。2023年にはハイブリッドバージョンの発売も予定されている。

The front view of the Jogger the boot space can change greatly The profile of the family van
Joggerのフロント・ビュー 乗車人数によって、大きく変わるトランクルームの広さ Joggerのプロフィール
The 8-inch touchscreen Rear view
8インチのタッチスクリーンはAndroid AutoまたはApple CarPlayが接続可能 リア・ビュー

 

Dacia Spring Electric

  このモデルは、2020年のジュネーブ・モーターショーでのデビューが予定されていたが、イベント全体がキャンセルされたため、初公開はオンラインで行われた。

  今年初めから生産が低迷しているにもかかわらず、「Dacia Spring」はブランドにとって重要なモデルである。発売当時、欧州で最も安価な電気自動車として、Aセグメントの内燃機関車からの乗り換えを希望するユーザーの関心を集めた。

  このモデルは、33kW(44hp)のモーター、125Nmのトルク、26.8kWhのバッテリー容量を持ち、航続距離はWLTPモードで225km、WLTP Cityモードで295km。1時間の充電で、充電電力30kWのDCステーションを使用した場合、総容量の80%に達する。

  ルノー「Kwid」などと同様にCMF-Aプラットフォームを採用している。現在、中国の瀋陽で組み立てられている。

Electromobility for all A sportive design The compact size of the Dacia Spring
Dacia Springのモットーは "Electromobility for all" スポーティなデザインが特徴のAセグメント車 都市部での使用に適したコンパクトなサイズDacia Spring


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