Daimlerのカーボンニュートラル戦略:2030年までに乗用車販売の50%をPHVまたはEVへ
2022年までにEQサブブランドから6モデル投入、バッテリーのグローバル生産網を構築
2021/07/08
- 要約
- 電動化戦略:2039年にサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを達成へ
- 2021年に大型EV用新プラットフォームを導入、EQSとEQEに採用
- 電動車向けバッテリーのグローバル生産網を構築、電池メーカーとも提携
- Daimler Truckをスピンオフ、DaimlerはMercedes-Benzに名称変更へ
- 2021年第1四半期はCOVID-19からの回復と販売好調な品揃えにより大幅増益
- 乗用車部門の売上高は16%増、商用車部門は前年並み、Mobility Serviceは微減
- 乗用車部門の販売は中国市場が牽引
- LMC Automotive生産予測:Daimlerグループの2024年生産台数は316万台
要約
Daimlerは中期経営計画「Ambition 2039」に基づき、2039年までにサプライチェーン全体のカーボンニュートラル達成を目指している。その一環として電動化戦略を推進、2030年までに新車販売の50%以上をプラグインハイブリッド車(PHV)または電気自動車(EV)とする計画。Mercedes-Benzは2020年10月に発表した新戦略で、電動ドライブと車載ソフトウェアの分野で業界をリードする方針を表明した。
Mercedes-Benzは電動化戦略に従い、2022年までにEVサブブランドから6モデルを投入する。既に発売したEQCに続き、コンパクトSUVのEQAとEQBを投入。2021年に大型EV用新プラットフォームを導入し、大型セダンEQSとそのSUV、中型セダンEQEとそのSUVに採用する。
EVの最重要部品であるバッテリーについては、欧州・北米・アジアにある9つの自社バッテリー工場でグローバル生産網を構築。また、中国の電池メーカー、FarasisおよびCATL(寧徳時代)と提携し、バッテリーの開発・供給で協力する。
Daimlerは2021年中にトラック・バス部門をスピンオフし、Daimler Truckとして分離・独立させる。DaimlerはMercedes-Benzに名称変更し、高級車事業に集中する。乗用車部門と商用車部門を分離することで、迅速な組織運営、積極的な投資、目標に向けた成長や協力が可能となる。Daimler Mobilityは分割して両部門に組み込まれ、それぞれのモビリティサービスをサポートする。
Daimlerグループの2021年第1四半期の販売台数は前年同期比13.1%増の73万台。このうちMercedes-Benz Cars & Vansは14.7%増の63万台、Daimler Trucks & Busesは3.8%増の10万台。新型コロナウイルス感染拡大からの世界経済の回復と好調なラインアップの提供が販売台数の増加に寄与したとしている。
2021年通年見通し(2021年4月発表)についてDaimlerグループは、自動車需要は世界的に好調に推移するとみており、同社の販売台数は前年より大幅に増加すると予測。売上高とEBITも2020年を大幅に上回ると見込んでいる。
2021年に投入予定のEVの"S-Class" EQS (出典:Daimler) |
EQサブブランドの新型車投入計画 (出典:Daimler) |
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