VWグループ(上):SUVのラインアップを拡大、中国でNEV攻勢

2019年1-9月の世界販売は1.5%減も、SUVの販売増等で営業利益は24.5%増

2019/11/19

要約

  VWグループの2018年の世界販売台数は前年比0.9%増の1,083万台で、3年連続で世界一となった。2019年1-9月期の販売台数は前年同期比1.5%減の801万台。VWはこの販売減を、2018年9月の新燃費試験WLTP導入を前に駆け込み需要が生じ、比較対象である2018年1-9月期の販売が高水準となったためとみなしている。

  2018年の売上高は前年比2.7%増の2,358億ユーロ、営業利益は0.7%増の139億ユーロ。2019年1-9月の売上高は前年同期比6.9%増の1,866億ユーロ、営業利益は24.5%増の135億ユーロで、営業利益率は6.2%から7.3%に改善した。増益となった主な要因は、SUVの販売増など商品ミックスや価格の改善、生産コストの低減等による。

  VWグループは2019年第3四半期の決算発表時に、2019年通年の販売台数について、「前年を若干上回る」とする従来の見通しから「前年並み」へと引き下げた。欧州での経済減速や中国での需要低迷など、多くの地域で予想よりも早く市場の縮小が進んでいるためとしている。一方、業績については従来の見通しを据え置き、売上高は前年比最大5%増、特別項目を除く営業利益率は6.5-7.5%(2018年は7.3%)と予測している。

  新型車投入では、高級車・量産車ともに引き続きSUVのラインアップを拡大するとともに、セダンやクーペの投入・更新も行っている。Audiは2019年にクーペスタイルのコンパクトSUVである Q3 Sportbackを投入。中国にはミッドサイズセダンの新型A6Lを投入した。量産車部門では、VWブランドが2019年に同ブランドで最小のSUVとなるT-Crossを投入。8代目の新型Golfも発売する。中国には新型コンパクトセダンのSagitarを投入した。

  中国市場では新エネルギー車(NEV)とSUV攻勢を継続。新ブランドJETTAも導入し、2019年にセダン1車種、SUV2車種を投入する。米国市場ではSUVをはじめとする新型車投入により、2017年から2年連続販売が拡大。今後もSUV攻勢を継続する計画で、2019-2021年に新たに3車種を投入する。

  なお、VWグループの電動化、自動化、モビリティサービス、Fordとの提携関係等については、次稿の「VWグループ(下)」で取り上げる。

VW Groupの世界販売台数  8代目のVW Golf
8代目のVW Golf(写真:VW)

 

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