各種のモーターに関する自動車関連主要メーカーの技術動向

トヨタ、スズキ、NTNによるモーター関連の特許出願傾向

2019/08/19

要約

  本レポートは、トヨタテクニカルディベロップメント株式会社(TTDC)が提供している「技術情報配信サービス-swimy」の特許情報をもとに、昨今の自動車業界を取り巻く技術トピックスに関するレポートをMarkLinesが作成した。TTDCは、知的財産(IP)事業と計測制御事業を展開。知的財産(IP)事業では世界の自動車開発に関する情報収集と解析を行い、研究企画のコンサルティングをはじめ、外国語特許の出願や技術翻訳を実施している。

  本稿では、汎用的なモーター、車両駆動用モーターやアクチュエータ用モーターなどの各種のモーターについて、自動車メーカーや自動車サプライヤーなどの自動車関連の主要なメーカーの特許出願状況に基づく技術動向を示す。

  自動車関連主要メーカーによるモーターに関する出願は日本、中国、米国、ドイツの順に出願件数が多い。出願人ごとの各国への出願では、トヨタ自動車は中国、米国では同程度、次いでドイツへの出願件数が多く、デンソーは米国、次いで中国、ドイツが同程度で出願件数が多く、BOSCHは中国、EP、米国の順に出願件数が多い。出願人ごとの出願件数では三菱電機、トヨタ自動車、次いでBOSCHとデンソーが同程度で多い。開発アイテムごとでは、トヨタ自動車の開発アイテム:回転電機(開発グループ1)の出願件数が最も多く、次いで、スズキの開発アイテム:回転電機(開発グループ2)、NTNの開発アイテム:電動アクチュエータ(開発グループ1)の出願件数が多い。トヨタ自動車の開発アイテム:回転電機(開発グループ1)では渦電流損失を抑制するとともに、転積による幾何公差を確保できる技術などがある。スズキの開発アイテム:回転電機(開発グループ2)ではロータの回転速度が低い領域においても高いトルクを出力することができる技術などがある。NTNの開発アイテム:電動アクチュエータ(開発グループ1)では低コスト化およびシリーズ化に好適な電動アクチュエータを提供することができる技術などがある。


トヨタテクニカルディベロップメント株式会社

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TTDC関連レポート:
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各種モーターに関する特許出願動向

【抽出条件】

表


  自動車関連主要メーカーによるモーターに関する出願は日本、中国、米国、ドイツの順に出願件数が多い。三菱電機は中国、米国、ドイツの順に出願件数が多い。

自動車関連主要メーカーの各国への出願件数
図1 自動車関連主要メーカーの各国への出願件数

出典:技術情報配信サービス-swimy URL:http://www.toyota-td.jp/business/ip/swimy/


  出願人ごとの自国以外への各国の出願件数に注目すると、三菱電機は中国、米国、ドイツの順に出願件数が多い。トヨタ自動車は中国、米国への出願件数は同程度、次いでドイツへの出願件数が多い。デンソーは米国への出願件数が多く、次いで中国、ドイツへの出願件数は同程度である。BOSCHは中国、EP、米国の順に出願件数が多い。

自動車関連主要メーカー各社の各国への出願件数
図2 自動車関連主要メーカー各社の各国への出願件数

出典:技術情報配信サービス-swimy URL:http://www.toyota-td.jp/business/ip/swimy/


  出願人ごとの出願件数に注目すると、三菱電機、トヨタ自動車の順に出願件数が多く、次いでBOSCHとデンソーの出願件数が多く、BOSCHとデンソーの出願件数は同程度である。

自動車関連主要メーカー各社の出願件数
図3 自動車関連主要メーカー各社の出願件数

出典:技術情報配信サービス-swimy URL:http://www.toyota-td.jp/business/ip/swimy/


  開発アイテムごとの出願件数に注目すると、トヨタ自動車の開発アイテム:回転電機(開発グループ1)の出願件数が最も多く、次いで、スズキの開発アイテム:回転電機(開発グループ2)、NTNの開発アイテム:電動アクチュエータ(開発グループ1)の出願件数が多い。

自動車関連主要メーカー各社の開発アイテム
図4 自動車関連主要メーカー各社の開発アイテム

出典:技術情報配信サービス-swimy URL:http://www.toyota-td.jp/business/ip/swimy/

 



トヨタ:回転電機(開発グループ1)

  トヨタ自動車の開発アイテム:回転電機(開発グループ1)の課題変遷に着目すると、2015年では固定の簡易化、樹脂部の飛散抑制、渦電流抑制、コイル移動防止を課題としている。2016年では絶縁性確保、電食抑制、コイル温度推定、トルク確保を課題としている。2017年ではコギングトルク・トルクリップル抑制、トルク特性低下抑制、渦電流損抑制を課題としている。

トヨタ自動車の開発アイテム
図5 トヨタ自動車の開発アイテム:回転電機(開発グループ1)の課題変遷

出典:技術情報配信サービス-swimy URL:http://www.toyota-td.jp/business/ip/swimy/


  トヨタ自動車の開発アイテム:回転電機(開発グループ1)においては、例えば次のような技術がある(特開2017-060326)。

  回転電機のステータは、環状の電磁鋼板を積層して構成されるステータコア24とステータコイル26とを備える。ステータコア24を構成する電磁鋼板は、周方向に均等に配置された複数のかしめ部25によって互いに連結される。各かしめ部25は、ロータ12において周方向に隣り合う同極性の2つの磁極22がロータ回転中心Oに対してなす中心角αの整数倍の周方向ピッチで形成されている。ステータコア24は、外周面から突出し且つ挿通孔42が形成された固定部40を周方向に等ピッチで複数有する。かしめ部25の数が奇数であって、固定部40は、ロータ回転中心Oに対するかしめ部25の周方向ピッチと同一の又はその約数に相当する周方向ピッチで形成されている。

  この技術では、渦電流損失を抑制するとともに、転積による幾何公差を確保できる。

  この技術は11か国・地域(日本、米国、EP、中国、ブラジル、カナダ、インドネシア、インド、韓国、ロシア、タイ)に出願されている。同じ開発アイテム内では最も出願国・地域が多い出願である。

特開2017-060326の図 特開2017-060326の図
特開2017-060326の図 特開2017-060326の図
図6 特開2017-060326の図

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スズキ:回転電機(開発グループ2)

  スズキの開発アイテム:回転電機(開発グループ2)の課題変遷に着目すると、ほとんどが2015年のものであり、2015年では低コスト、小型化、マグネットトルクの有効利用、低保磁力磁石の着磁、安定駆動、トルク密度向上、アウタロータの機械強度向上、コイル飛出し防止、磁気干渉防止、インシュレータ嵌合外れ防止、トルクリップル平滑化、ダイオードホルダ強度向上、堅牢性・保守性向上を課題としている。2016年では磁束可変、高トルク出力を課題としている。2017年では車両旋回時のロータ駆動、インバータ効率低下、制御複雑さ、銅損抑制、ロータ低速域の高トルク出力を課題としている。

スズキの開発アイテム
図7 スズキの開発アイテム:回転電機(開発グループ2)の課題変遷

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  スズキの開発アイテム:回転電機(開発グループ2)においては、例えば次のような技術がある(特開2019-080375)。

  電機子コイル11を有するステータ10とロータ20とを備えた回転電機1であって、ロータ20は、周方向に所定の間隔で突極部22が複数形成されたロータコア21と、ステー10側で発生した高調波磁束が鎖交することにより誘導電流を発生させるロータコイル23と、ロータコイル23に流れる誘導電流を整流するダイオードとを有し、突極部22は、永久磁石30が設けられた第1の突極部31と、ロータコイル23が巻かれた第2の突極部32とを有する。

  この技術では、ロータの回転速度が低い領域においても高いトルクを出力することができる。

  この技術は5か国(日本、ドイツ、中国、フランス、インド)に出願されている。同じ開発アイテム内では最も出願国が多い出願である。また、この技術は同じ開発アイテム内では最も新しく公開された出願である。

特開2019-080375の図 特開2019-080375の図
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特開2019-080375の図
図8 特開2019-080375の図

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NTN:電動アクチュエータ(開発グループ1)

  NTNの開発アイテム:電動アクチュエータ(開発グループ1)の課題変遷に着目すると、その多くが2016年のものであり、2016年ではリム内径側空間の効率的な活用、低コスト、シリーズ化、動作精度、耐久寿命、汎用性、組立性、基幹部品共用、コンパクト化、設計自由度向上、搭載性、信頼性、遊星歯車内臓モーター、応答性、静粛性、軽量性を課題としている。2017年では軸方向寸法小型化、回転角度検出装置設置スペース小型化、バルブ開閉精度、出力軸安定作動、構成部品種類数を減らすことを課題としている。

NTNの開発アイテム
図9 NTNの開発アイテム:電動アクチュエータ(開発グループ1)の課題変遷

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  NTNの開発アイテム:電動アクチュエータ(開発グループ1) においては、例えば次のような技術がある(特開2019-080375)。

  駆動部2と、駆動部2からの回転運動を駆動部2の出力軸と平行な軸方向の直線運動に変換する運動変換機構部3と、駆動部2から運動変換機構部3へ駆動力を伝達する駆動力伝達部4と、運動変換機構部3を支持する運動変換機構支持部5とを備え、駆動部2は、駆動用モーター10と、駆動用モーター10を収容するモーターケース11とを有し、駆動力伝達部4は、駆動部2から運動変換機構部3へ駆動力を伝達する伝達ギヤ機構28と、伝達ギヤ機構28を収容する伝達ギヤケース29とを有し、運動変換機構支持部5は、運動変換機構部3を支持する支持軸受40と、支持軸受40を収容する軸受ケース41とを有する電動アクチュエータであって、駆動部2と運動変換機構支持部5は、駆動力伝達部4に対して連結分離可能である。

  この技術では、低コスト化およびシリーズ化に好適な電動アクチュエータを提供することができる。

  この技術は4か国・地域(日本、米国、中国、EP)に出願されている。

特開2019-080375の図
特開2019-080375の図
特開2019-080375の図
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特開2019-080375の図
特開2019-080375の図
特開2019-080375の図
図10 特開2019-080375の図

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キーワード
TTDC、特許出願、電動化、モーター、ステータ、ロータ、アクチュエータ、トヨタ、スズキ、NTN

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