現代自動車:電動化戦略を推進、SUV KONAのEVなどを投入

SUV、高級車ブランド"Genesis"、高性能車"N"シリーズのラインアップ拡大

2018/12/13

要約

Kona Electric
サブコンパクトSUV KONAのEVモデル

  現代自動車グループの世界販売は、2017年に中韓の外交関係が悪化した影響で中国販売が低迷し、前年比8.1%減の724万台に落ち込んだ後、2018年1-9月は前年同期比0.6%減の526万台となった。販売は持ち直しているが、米中など主要市場の成長が鈍化し、両国の貿易摩擦の余波もあって、本格的な回復には至っていない。

  現代自の営業利益率は2013年の9.5%から徐々に低下して2018年1-9月には2.7%、起亜自の営業利益率も2013年の6.7%から2018年1-9月には1.9%に低下した。現代自グループは、直近の収益性低迷はリコール費用などの一時費用とウォン高が要因だと説明しているが、長引く不振の原因は、需要が高まるSUVのラインアップ不足や商品の競争力低下の影響が大きい。

  今後、現代自グループは、SUV、高級車ブランド"Genesis"、高性能車"N"シリーズのモデルラインアップを強化し、ブランド価値と商品力の向上を目指すとしている。また、CASE等次世代技術において、先進企業との提携戦略も推進する。既に自動運転技術では百度、Aurora、Metawaveと提携。モビリティサービスでは配車サービスのGrabとMigoに投資した。

  電動化計画では、電動車(HV、PHV、EV、FCV)を2018年の14車種から2020年には31車種、2025年には38車種に拡大する。EVとFCVでは性能面で他社をリードする地位を維持し、電動車の販売台数でトヨタに次ぐ世界第2位を目指す。

  米国市場では、ラインアップを乗用車中心からSUVへとシフトしてきた戦略の効果がようやく表れ、小型トラックの販売が拡大してきた。今後も引き続きSUVの品揃えを拡大するとともに、Genesisブランドの高級車や電動モデルを投入し、一層の販売増加を図る。

  中国市場はTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備による中韓外交への影響が終息し、2018年1-9月は現代自・起亜自とも販売が拡大したが、2016年のレベルにはまだ戻っていない。2018年には現代自の年産能力が15万台拡大したが、現代自グループの合計年産能力は出荷計画台数をはるかに上回っており、工場稼働率の低下が懸念される。

  インド市場でスズキに次ぐ第2位のシェアを有する現代自は、2019年にChennai工場の年産能力を5万台引き上げ、2020年までに電動車を含む9車種の新型車を投入する。起亜自は2019年にインド市場に参入する予定で、年産能力30万台の新工場を建設中。

 

関連レポート:
韓国:現代・起亜はSUV・電動車投入を加速 (2018年5月)
OEM各社の電動化戦略:HV強化とEV・PHV・FCVへの多様化 (2018年4月)

 



SUV、高級車、高性能車のラインアップを拡大

Veloster N
現代自の高性能車"N"シリーズ Veloster N
(デトロイトモーターショー2018)

  新型車投入計画では、現代自が2018年に中型SUVの新型Santa Fe、サブコンパクトSUVのKonaを、2019年にはフルサイズSUVのPalisade、さらにKonaの下位に位置する小型SUVを投入し、起亜自が2018年にコンパクトSUVのNiro EV、フルサイズSUVのTellurideを、2019年に中型SUVのSorentoを投入し、SUVラインアップを強化する。

  また、現代自はBMWやMercedesに対抗できる高級車ブランド"Genesis"と、モータースポーツのノウハウを生かして開発した高性能車"N"シリーズの新型車を順次投入し、商品の競争力とブランド価値を強化する。

 

現代自動車グループの新型車投入計画(2018-2019年)

(注)発売時期は、特記しない限り韓国での発売時期を示す。下表も同様。

Hyundaiブランド
モデル 発売時期 概要
新型Santa Fe 2018年2月  2列シート5人乗り/3列シート7人乗りの中型SUV。2.0L 4気筒ターボガソリン、2.0/2.2L 4気筒ターボディーゼルエンジンを搭載。米国では5人乗りのSanta Fe SportはSanta Feに、3列シート7人乗りはSanta Fe XLに名称変更する。
新型Veloster 2018年2月  サブコンパクトクラスのスポーツクーペ。1.4/1.6L 4気筒ターボエンジンを搭載。6月には2.0L 4気筒ターボエンジンを搭載した高性能版Veloster Nを設定。
Nexo 2018年3月  コンパクトSUVの燃料電池車(FCV)。航続距離は609 km。充填時間は約5分。
Kona Electric 2018年4月  サブコンパクトSUVのEV。64 kWhの電池の場合、航続距離(EPA)は241マイル。
Palisade 2019年  フルサイズSUV。2019年1月のデトロイトオートショーに出展予定。3.8L V6ガソリン、2.2L 4気筒ターボディーゼルエンジンを搭載。PHVも設定される模様。
小型SUV 2019年  Konaの下位に位置するSUV。
新型Sonata 2019年  中型セダン。Kia K5の姉妹車。現行車はHVとPHVを設定。
Kiaブランド
モデル 発売時期 概要
新型K3 2018年2月  コンパクトカー。2月にセダン、10月に高性能版のGTを投入。GTにはハッチバックも設定。エンジンは1.6L 4気筒ガソリン、GTは1.6L 4気筒ターボガソリンエンジンを搭載。北米名はForte。
新型K9 2018年4月  フラッグシップセダン。北米名はK900。エンジンは3.3L V6ターボ、3.8L V6、5.0L V8の3種類。
Niro EV 2018年7月  コンパクトSUV。Hyundai Ioniqをベースに開発。64 kWhの電池の場合、航続距離は385 km。
新型Soul 2018年  コンパクトMPV。2018年11月のLAモーターショーに出展。1.6L GDIエンジンを搭載。EVは地域と数量を限定して販売される予定。
Telluride 2018年末  フルサイズSUV。GenesisブランドのGV70、GV80とプラットフォームを共有。3.8L V6ガソリンエンジンを搭載。
新型Sorento 2019年  2列シート5人乗り/3列シート7人乗りの中型SUV。
新型Ceed/Ceed Sportswagon 2018年2Q/4Q
(欧州)
 5ドアハッチバック/スポーツワゴン。cee'dから名称変更。
新型ProCeed 2019年1Q
(欧州)
 Cセグメントワゴン

 

高級車"Genesis"ブランドの投入計画

第1フェーズ(~2017年) 第2フェーズ(~2021年) 第3フェーズ(2021年~)
販売チャンネル ・既存のHyundaiディーラーを利用 ・一部地域でGenesisディーラーを開設
・オンライン販売を開始
・独立したGenesisディーラー網を運営
ラインアップ ・EQ900:フラッグシップセダン。2018年11月に車名をG90に変更
・G80:フルサイズセダン
・G70:中型スポーツセダン
・GV80:大型SUV。FCVまたはPHVが設定される模様
・スポーティクーペ
・GV70:中型SUV。HVまたはPHVが設定される模様
・パワートレインの多様化(電動車の設定)

資料:現代自 Investor Presentation 2018.11.21

 

高性能車"N"シリーズの投入計画

モデル名 投入時期 市場 概要
i30 N hatchback 2017年9月 欧州 最高速度:250 km/h
最高出力:275 ps/6,000 rpm
最大トルク:36 kg・m/1450-4700 rpm0-100 km/h
加速:6.1秒
Veloster N 2018年第4四半期 米国・韓国
i30 Fastback N 2018年末 欧州

資料:Automotive News 2018.8.20, 現代自 Investor Presentation 2018.11.21
注:1) i30 Fastback Nを投入後、SUVモデルを投入する計画。SUVモデルの前に、ボディタイプは未定だが、もう1車種投入し、全部で5車種にするとも報道されている。
2) 2021年以降は電動車も投入する計画。Genesisには"N"シリーズを設定しない。



電動化計画:EVとFCVをリードするメーカーへ


  現代自グループの電動化計画では、電動車(HV、PHV、EV、FCVを含む)を2018年の14車種から2020年には31車種、2025年には38車種に拡大する。EVとFCVでは性能面で他社をリードする地位を維持し、電動車の販売台数ではトヨタに次ぐ世界第2位を目指す。

Hyundai Nexo FCV Kia Niro EV
現代自の新型FCV NEXO(CES2018) 起亜自の電動SUV Niro EV(写真:起亜自)

 

電動車のカテゴリー別車種数(Hyundai、Genesis、Kiaブランドの合計モデル数)

カテゴリー 2018年 2020年 2025年
HV 6 10 10
PHV 4 11 12
EV 3 8 14
FCV 1 2 2
合計 14 31 38

資料:現代自Investor Presentation 2018.11.21
注:起亜自の計画は2025年までにHV、PHV、EVを各5車種、FCVを1車種投入する。新型FCVは2020年に投入予定。

 

EVで他社をリード(EVの仕様比較)

仕様 Hyundai Kona EV Chevrolet Bolt EV VW e-Golf 2017
電池 64 kWh 60 kWh 35.8 kWh
モーター 150 kW 150 kW 100 kW
燃費 (Combined) 143 MPGe 135.6 MPGe 119 MPGe
航続距離 241マイル 238マイル 125マイル

資料:現代自Investor Presentation 2018.11.21

 

コンパクトSUVのFCV Hyundai Nexoを投入

  現代自は2015年のトヨタ、2016年のホンダに先立ち、2013年に世界初のFCVの量産車を発売した。FCスタック等の主要部品も社内で開発。2018年3月には燃費を向上させたコンパクトSUVのFCV、Hyundai Nexoを投入。FCVのメーカーとして第1人者の地位を維持するとしている。
  Hyundai Nexoの航続距離は韓国モードで609 km、EPAモードで380マイル、最高速度は177 km/h、燃費は韓国モードで96.2 km/kg、EPAモード(複合)で61 MPGe、水素の充填時間は約5分。

資料:現代自Investor Presentation 2018.11.21

 

Audiと現代自動車:燃料電池車の開発で提携

  Audiと現代自グループは2018年6月20日、燃料電池車(FCV)の部品と技術に関する既存および今後出願する特許の複数年のクロスライセンス契約を締結したと発表した。同契約により、起亜自動車およびAudiの親会社であるVWも同特許を共有できる。現代自は第1段階として、同社のFCVのix35とNexoの開発から蓄積された知識に基づく燃料電池部品の使用権限をAudiに付与する。

 

その他の環境対応車

Hyundai Ioniq  コンパクトハッチバックのエコカー専用車。HV、PHV、EVを設定する。
 HV:2016年1月韓国、春に欧州、2017年初頭に米国に投入。1.6L 4気筒エンジン、容量1.56 kWhのリチウムポリマー電池、出力32 kWのモーターを搭載。システム最高出力139 hp、燃費(EPA複合) 58 mpg。
 PHV:2017年2月に韓国、夏に欧州、年末に米国に投入。1.6L 4気筒エンジン、容量8.9 kWhのリチウムポリマー電池、出力44.5 kWのモーターを搭載。システム最高出力141 ps、EV航続距離(EPA)29マイル、航続距離(EPA)630マイル。
 EV:2016年7月に韓国、年末に欧州、2017年春に米国に投入。容量 28 kWhのリチウムポリマー電池、出力 88 kWのモーターを搭載。航続距離(EPA)124マイル。
Kia Niro  Hyundai Ioniqをベースに開発されたコンパクトSUVのエコカー用車。広い室内空間が特徴。HV、PHV、EVを設定する。
 HV:2016年3月に韓国、夏に欧州、2017年1月に米国と中国に投入。1.6L 4気筒エンジン、容量1.56 kWhのリチウムポリマー電池、出力32 kWのモーターを搭載。システム最高出力146 hp、燃費(EPA複合)50 mpg。
 PHV:2017年5月に韓国、3Qに欧州、12月に米国に投入。1.6L 4気筒エンジン、容量8.9 kWhのリチウムポリマー電池、出力44 kWのモーターを搭載。システム最高出力139 hp、EV航続距離(EPA)26マイル、航続距離(EPA)560マイル。
 EV:2018年7月に韓国、年末に欧州、2019年初頭に米国に投入。容量64 kWh・39.2 kWhのリチウムポリマー電池、出力150 kWのモーターを搭載。航続距離(WLTP)は64 kWhが239マイル、39.2 kWhが153マイル。


米国、中国、インド市場での動き

  米国市場では、ラインアップを乗用車中心からSUVへとシフトしてきた戦略の効果がようやく表れ、2018年1-10月の乗用車販売は前年同期比10.5%減だが、小型トラックは14.4%増となった。しかし、小型トラックのシェアは4.5%にとどまっており、今後も引き続きSUVの品揃えを拡大するとともに、Genesisブランドの高級車や電動モデルを投入し、一層の販売拡大を図る。

北米でのモデル計画

2018年 2019年 2020年 2021年
下期 上期 下期
Hyundai
ブランド
・Veloster N
・Kona EV
・Nexo
・Aセグメント
  クロスオーバー
・Santa Fe Diesel
・新型Sonata
・Palisade
Genesis
ブランド
・G70 ・新型G80
・GV80
・GV70 ・電動sedan
・3車種目の
  クロスオーバー
Kia
ブランド
・新型Forte
・新型K900
・Niro EV
・新型Soul
・Telluride
・新型Optima ・新型Sportage
・新型Sedona

資料:Automotive News 2018.8.20

 

  中国市場はTHAAD配備の影響で大幅に販売が減少した2017年から回復し、2018年1-9月は現代自・起亜自とも前年同期比で販売が拡大したが、まだ2016年のレベルにはほど遠い。現代自グループは、需要が引き続き高いSUVや中国専用車を投入し、販売回復を目指す。2018年には現代自の河北第4工場の年産能力が整備されるなど、中国での年産能力が15万台拡大し、現代自グループの合計年産能力は230万台超となった。2018年のグループ出荷計画台数は135万台で、工場稼働率の低下が懸念される。

中国でのモデル計画

2018年 2019年 2020年 2021年
Hyundai
ブランド
・新型Santa Fe
・Lafesta
  (中国専用コンパクトセダン)
・Encino
  (中国以外ではKona)
・Palisade
・Sonata PHV
・新型Mistra
・小型SUV
  (Encinoの下位)
・新型Sonata
・新型ix25
・新型Elantra
・新型Tucson
Kia
ブランド
・K3・奕跑(イパオ/Yi Pao)
・新型智跑(ズパオ/Zhi Pao、韓国名 Sportage)
・K5 PHV
・KX3 EV
・Telluride
・K3
・新型Cachet ・新型K5

 

  インド市場でスズキに次ぐ第2位のシェア(2018年3月期にスズキは50%超、現代自は16%)を有する現代自は、2019年にChennai工場の年産能力を増強するとともに、電動車の生産も可能になるように整備する。起亜自は2019年からインド市場に参入する計画で、インドに年産能力30万台の新工場を建設中。

インド市場での現代自の動き

Chennai工場   現代自は2018年7月、インドのChennai工場の生産能力を増強すると表明した。同工場の稼働率はほぼ100%となっている。現在の年産能力は70万台だが、スマート・エンジニアリングの導入により、追加投資をせずに2019年に75万台に引き上げる計画。また、電動車を導入したいとするインド政府の意向に対応し、同工場で電動車を生産する準備を進める。
新型車投入計画   現代自は2018年2月、2020年までにフェイスリフトモデルを2車種、新セグメントで2車種、全面改良モデルを4車種、電気自動車を1車種の合計9車種の新モデルをインドに投入すると発表した。

起亜自は2019年からインドで生産・販売を開始

  起亜自はアーンドラ・プラデシュ州Anantapur地区に新工場を建設しており、2019年後半に生産を開始する予定。年産能力は30万台。起亜自は2021年までに合計で20億ドルを投資し、この地域に1万名超の雇用を創出する。


将来のモビリティ技術を強化するため提携戦略を拡大

  現代自グループは将来のモビリティ技術を強化するために、様々な分野の企業との提携・投資を拡大している。自動運転技術の分野では中国のインターネット検索最大手の百度、米国のスタートアップAuroraと提携。現代自グループの投資会社である現代CRADLEを通して、レーダー技術を開発するMetawave、神経科学の新興企業Perceptive Automataにも投資する。モビリティサービスでは配車サービスのGrab、交通手段の検索予約アプリを提供するMigoに投資し、インドのカーシェアリング会社Revvと提携した。

 

現代自の自動運転車導入計画

現状   レベル1~2の自動運転システム(先進運転支援システム(ADAS)など)を新型車に装備、レベル3の自動運転システム(車線変更、ハイウェイへの進入・離脱など)の開発完了、ハイウェイでレベル4の自動運転を実証実験(NexoとG80が昼夜を通し、GPSが使用できない7つのトンネルがあるハイウェイで実証実験を実施中)
計画   2021年までにスマートシティ(情報通信ネットワークを中心的なインフラストラクチャーとする持続可能な都市構想)でのレベル4自動運転を、2030年までに完全自動運転を可能にする。今後も技術の開発および将来への準備のため、世界の先進企業と協力し、オープンイノベーションを継続する。

 

自動運転技術に関する提携・投資

百度   現代自グループと中国のインターネット検索最大手の百度は2018年7月、Internet of Vehicles (IoV)事業において、次世代のコネクテッドカー技術での提携強化に関する覚書を締結したと発表した。両社はビッグデータ、地図、人工知能(AI)、ポータルサービスに基づく幅広い車内コンテンツを提供するコネクテッドカーサービスや、小度(Xiaodu)車載OS(音声対話型AIアシスタントの自動車向けユニット)を組み込んだ車両、百度の自然言語処理技術を利用した車載音声認識システム等を共同開発する。また、車両自宅間通信サービスのスピードアップにも引き続き協力する計画。
Metawave   現代自の投資会社である現代CRADLEは2018年5月、自動運転車のレーダーシステム開発のため、シリコンバレーに本拠を置くMetawaveに投資すると発表した。同社は、人工の電磁特性を備えたメタマテリアルと人工知能(AI)を活用したレーダー技術を開発している。レーダーシステムの多くは広範囲をカバーするために多数のアンテナとチップを必要とするが、Metawaveの先進レーダープラットフォームWARLOADにはアンテナが1つしかなく、そのアンテナが複数のペンシルビームを使用してビームを形成・操作し、様々な方向をカバーする。
Aurora   現代自と自動運転技術の開発会社Auroraは2018年1月に戦略的提携を結び、2021年までに現代自の自動運転車を投入すると発表した。この提携により、一部の都市における実証実験プログラムのために開発された現代自の車両に、Auroraの自動運転技術を搭載する。長期的には両社の協力により、世界市場に自動運転車を投入するとしている。
Perceptive Automata   現代自の投資会社である現代CRADLEは2018年10月、自動運転車と自動化システムに使用する人工知能ソフトを開発するため、米国の神経科学の新興企業Perceptive Automataに投資すると発表した。同社は自動運転車に、歩行者、自転車の利用者、他の自動車のドライバーの心理状況を理解する能力を与えるソフトウェアを開発した。

 

モビリティサービスに関する提携・投資

Grab
(東南アジア)
  現代自グループと東南アジアにおける配車サービス大手のGrabは2018年11月、現代自が1億7,500万ドル、起亜自が7,500万ドル、計2億5,000万ドルをGrabに追加出資し、東南アジアでEV の実証実験を行うために業務提携することで合意したと発表した。現代自が2019年初めにEV200台をGrabに提供し、Grabの所属ドライバーがEVを使用して、配車サービスを提供する。まずシンガポールで開始し、その後、車種や地域を拡大する。実証実験ではGrabのドライバーがEVを使用することにより費用効率を高めることに焦点を置くほか、EV事業に関わる地方政府やインフラ開発の企業等の関係者を集め、東南アジアにEVを普及させ、認知度を向上させるための取り組みで協力する。
  現代自は2018年1月にGrabに最初の出資(2,500万ドル)を行い、EV分野での協業を開始した。11月の追加出資には起亜自も参加した。
Migo
(米国)
  現代自の投資会社である現代CRADLEは2018年9月、モビリティサービスを展開する米国の新興企業Migoに投資すると発表した。Migoはオンデマンドで公共交通、ライドシェア、カーシェア、バイクシェアなど複数の交通手段をまとめて検索予約できるアプリを提供している。MigoのiPhone向けアプリは、シアトル、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、トロントなど米国とカナダの75都市以上で利用できる。
Revv
(インド)
  現代自は2018年8月、インドのカーシェアリングサービス会社Revvと提携すると発表した。両社は2020年に20億ドルに拡大すると予測されるインドのモビリティ市場をリードするため、必要な能力と技術を構築する。現在、1万5,000台のインドのカーシェアリング市場は、2020年には5万台、2022年には15万台に拡大する見込み。


業績:2018年1-9月の営業利益率は現代自が2.7%、起亜自が1.9%に低下

  現代自動車グループの2018年1-9月の世界販売は前年同期比0.6%減の526万台。現代自も起亜自も韓国からの輸出が減少して、販売台数が伸びなかった。現代自の売上高は0.4%減の71兆5,820億ウォン、営業利益は49.4%減の1兆9,210億ウォンで、営業利益率は2.7%。起亜自の売上高は0.4%増の40兆6,970億ウォン、営業利益は3,600億ウォンから7,760億ウォンに増加したが、営業利益率は1.9%にとどまった。現代自グループは、直近の収益性低迷はリコール費用やエンジンの安全技術開発コストなどの一時費用とウォン高が要因だと説明しているが、長引く不振の原因は、SUVの需要拡大への対応の遅れや商品の競争力低下と見られている。

現代自動車グループの出荷台数 現代自動車グループの営業利益率

 

現代自動車グループの出荷台数(卸売り販売台数)

(1,000台)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2017年
1-9月
2018年
1-9月
現代自動車 韓国生産車 1,820 1,879 1,867 1,667 1,692 1,258 1,226
(内)国内販売 641 684 712 657 689 519 526
(内)輸出 1,179 1,195 1,155 1,010 1,003 739 700
海外生産車 2,912 3,083 3,096 3,191 2,837 2,021 2,092
合計 4,732 4,962 4,963 4,858 4,529 3,279 3,318
対前年比増 322 230 1 -105 -329 39
起亜自動車 韓国生産車 1,598 1,706 1,725 1,551 1,502 1,151 1,061
(内)国内販売 458 465 527 533 518 386 392
(内)輸出 1,140 1,241 1,198 1,018 984 765 669
海外生産車 1,229 1,335 1,325 1,467 1,206 858 876
合計 2,827 3,041 3,050 3,018 2,708 2,009 1,937
対前年比増 107 214 9 -32 -310 -72
現代自
グループ合計
韓国生産車 3,418 3,585 3,592 3,218 3,194 2,409 2,287
(内)国内販売 1,099 1,149 1,239 1,190 1,207 905 918
(内)輸出 2,319 2,436 2,353 2,028 1,987 1,504 1,369
海外生産車 4,141 4,418 4,421 4,658 4,043 2,879 2,968
合計 7,559 8,003 8,013 7,876 7,237 5,288 5,255
対前年比増 429 444 10 -137 -639 -33

資料:現代自・起亜自の決算発表資料

 

現代自動車グループの業績

(10億ウォン)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2017年
1-9月
2018年
1-9月
現代自動車 売上高 87,308 89,256 91,959 93,649 96,376 71,875 71,582
営業利益 8,316 7,550 6,358 5,194 4,575 3,799 1,921
営業利益率 9.5% 8.5% 6.9% 5.5% 4.7% 5.3% 2.7%
純利益 8,994 7,649 6,509 5,719 4,546 3,259 1,848
起亜自動車 売上高 47,598 47,097 49,521 52,713 53,536 40,530 40,697
営業利益 3,177 2,573 2,354 2,462 662 360 776
営業利益率 6.7% 5.5% 4.8% 4.7% 1.2% 0.9% 1.9%
純利益 3,817 2,994 2,631 2,755 968 863 1,062

資料:現代自・起亜自の決算発表資料
注:1) 現代自、起亜自とも、K-IFRS基準での決算。
2) K-IFRSでは50%超出資する子会社が連結対象となる。現代自の起亜自への出資比率は、2017年12月31日現在で33.88%。このため、起亜自は現代自のフル連結の対象ではなく持分法が適用され、持分利益が現代自の純利益に反映されている。

 



参考データ:海外工場の出荷台数、地域別卸売り販売台数、米国での販売台数

海外工場の出荷台数(卸売り販売台数)

(1,000台)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2017年
1-10月
2018年
1-10月
現代自動車 米国 399 396 380 387 328 291 264
中国 1,031 1,120 1,063 1,142 785 569 631
インド 633 613 643 662 678 557 598
チェコ 304 308 342 358 355 299 281
トルコ 104 203 227 230 227 188 171
ロシア 229 237 230 207 233 192 202
ブラジル 167 179 174 161 182 149 160
CHMC 45 27 32 39 29 26 10
その他 5 4 4 3 4
ベトナム 16 11 45
合計 2,912 3,083 3,096 3,191 2,837 2,287 2,366
起亜自動車 米国 370 366 371 372 292 261 200
中国 547 646 616 650 360 255 278
スロバキア 313 323 338 340 336 289 281
メキシコ 105 218 178 242
合計 1,229 1,335 1,325 1,467 1,206 983 1,001

資料:現代自・起亜自の販売台数資料
注:1) CHMC (Sichuan Hyundai Motor Company) は現代自と中国の商用車メーカー Sichuan Nanjun Automobile Groupとの合弁会社。新工場を建設し、2013年から生産を開始した。
2) ベトナムで現代車の組立を行っているThanh Cong Groupは2018年3月、現代自動車およびNihn Binh省とMOUを締結し、同省に第2工場を建設すると発表した。現代自とThanh Cong Groupの合弁会社の現在の年産能力は6万台。

 

現代自動車グループの地域別卸売り販売台数

現代自動車(単独)

(1,000台)

韓国 北米・中南米 欧州 AMEA&APAC 中国 合計
2016年 659 1,188 702 1,054 1,142 4,816
2017年 689 1,185 767 1,020 785 4,507
2018年(計画) 701 1,222 773 1,016 900 4,675
2017年1-9月 519 911 562 744 489 3,272
2018年1-9月 526 877 586 780 561 3,360

資料:現代自 Sales Results December 2017/September 2018
(注)1. 上表の数値はCKDを除く。韓国以外はCVも除く。
2. AMEA&APACはインド、中東、アフリカ、アジア太平洋、豪州を含む。

 

起亜自動車(単独)

(1,000台)

韓国 米国 欧州 ROW 中国 合計
2016年 533 629 439 734 650 2,980
2017年 518 601 478 787 360 2,743
2018年(計画) 520 610 487 808 450 2,875
2017年1-9月 386 464 369 589 213 2,019
2018年1-9月 392 448 379 609 242 2,071

資料:起亜自 Business Results 2017/2018 3Q
注:ROWは中南米、中東、アフリカ、ロシア、東欧、トルコ、アジア太平洋地域を含む。

 

米国での乗用車/小型トラック販売台数およびシェア

(台)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2017年
1-10月
2018年
1-10月
乗用車 Hyundai 589,858 570,505 579,985 547,079 417,055 347,631 300,945
Genesis 0 0 0 6,948 20,594 16,870 9,281
Kia 389,486 420,202 419,075 407,535 366,108 312,998 295,864
合計 979,344 990,707 999,060 961,562 803,757 677,499 606,090
シェア 12.5% 12.5% 13.2% 13.9% 13.1% 13.1% 13.5%
米国全体 7,810,515 7,934,814 7,566,668 6,895,771 6,120,774 5,156,562 4,494,937
小型トラック Hyundai 130,925 155,213 181,725 220,978 247,906 200,249 244,499
Kia 145,693 160,032 206,743 240,063 196,323 189,329 201,280
合計 276,618 315,245 388,468 461,041 471,466 389,578 445,779
シェア 3.5% 3.7% 3.9% 4.3% 4.2% 4.3% 4.5%
米国全体 7,793,163 8,596,256 9,916,173 10,657,658 11,125,098 9,079,148 9,808,108
合計 Hyundai 720,783 725,718 761,710 768,057 664,961 547,880 545,444
Genesis 0 0 0 6,948 20,594 16,870 9,281
Kia 535,179 580,234 625,818 647,598 562,431 502,327 497,144
合計 1,255,962 1,305,952 1,387,528 1,422,603 1,275,223 1,067,077 1,051,869
シェア 8.0% 7.9% 7.9% 8.1% 7.4% 7.5% 7.4%
米国全体 15,603,678 16,531,070 17,482,841 17,553,429 17,245,872 14,235,710 14,303,045

資料:Automotive News

 



LMC Automotive 販売予測:Hyundai Groupの世界販売は2021年に835万台へ

(LMC Automotive、2018年第3四半期)

Hyundai Groupライトビークル販売予測

  LMC Automotiveの販売予測(2018年第3四半期)によると、Hyundai Groupの2018年のライトビークル世界販売は前年比5.4%増の747万台となる見込み。2017年には主に中国での販売落ち込みにより世界販売は前年より9.4%減少したが、中国での反韓感情が大幅に緩和したため、販売が少しずつ回復している。LMC Automotiveは、2019年以降もHyundaiの世界販売は徐々に増加し、2021年には2018年比11.8%増の835万台に達すると予測している。

  米国では、Hyundai Groupの2018年のライトビークル販売は前年比2.4%増の131万台となる見込み。米国のライトビークル市場について、LMC Automotiveは、2018年から金利や中古車価格の影響が続き、2019年と2020年の販売台数は減少すると予測している。さらに、2020年には経済成長も鈍化する見込み。しかし、同年には1980~1990年代に生まれた"Generation Y"と呼ばれる世代の多くが初めて車を購入する年齢に達し、テクノロジーに詳しい消費者が最新装備が搭載された車を求めるため、車の販売は回復し始めると予測される。一方、米国市場の傾向とは対照的に、Hyundaiの米国での販売は2019年以降も徐々に増加し、2021年には2018年比9.4%増の143万台となる見込み。

  LMC Automotiveによる2018年の韓国ライトビークル市場の見通しは楽観的で、2018年7月19日に発効し、年末まで実施される乗用車の減税措置により、販売台数は増加すると予測している。一方、Hyundai Groupの韓国での販売は、新たに投入されたHyundai Santa FeとKonaが好調で、前年比4.3%増の123万台となる見込み。2019年以降、Hyundaiの販売はゆるやかに増加し、2021年には2018年比7.1%増の132万台に達する見通し。

  中国におけるHyundai Groupの2017年の販売は、中韓の政治的紛争とハイテク装備を備えた新型車の不足により急減した。Hyundaiはイメージ回復のため、2018年の北京モーターショーで新型スポーツセダンのLafesta、コンパクトクロスオーバーのEncinoのほか、SUVのix35を発表。今後は、さらに多くの中国専用車を発売するとともに、高級車ブランドのGenesisを中国市場に投入する計画。LMC Automotiveの予測によると、Hyundai Groupの中国での販売は2018年に前年比2.2%増の118万台となる見込み。2019年には0.6%減少するが、2020年以降は増加し、2021年には2018年比8.5%増の128万台に達する見通し。

 

Hyundai Groupのライトビークル販売予測 (主要10カ国)(LMC Automotive, 2018年第3四半期)

(販売予測の全データはこちらからダウンロード可能です。)

(台)

COUNTRY GLOBAL MAKE 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
Hyundai Group Hyundai 4,774,784 4,735,038 4,278,923 4,503,236 4,632,323 4,644,033 4,911,824
Kia 2,869,843 3,008,267 2,705,337 2,882,961 2,995,185 3,091,578 3,213,685
Genesis 530 53,414 80,381 85,561 138,258 189,857 225,355
Horki 30 5 478 638 1,205 1,469 1,535
Hyundai Group Total 7,645,187 7,796,724 7,065,119 7,472,396 7,766,971 7,926,937 8,352,399
USA Hyundai 761,710 768,057 664,943 665,746 682,534 690,984 720,963
Kia 625,818 647,598 589,668 622,844 650,269 632,700 644,789
Genesis 0 6,948 20,612 16,867 48,215 59,717 62,877
USA sub-total 1,387,528 1,422,603 1,275,223 1,305,457 1,381,018 1,383,401 1,428,629
Korea Hyundai 689,181 585,616 604,381 642,273 642,115 632,263 679,921
Kia 524,240 531,890 518,647 525,207 527,224 518,213 514,136
Genesis 530 46,289 56,616 63,200 80,422 107,195 123,744
Korea sub-total 1,213,951 1,163,795 1,179,644 1,230,680 1,249,761 1,257,671 1,317,801
China Hyundai 1,071,746 1,145,678 786,170 797,846 794,026 802,255 870,874
Kia 637,678 665,110 364,932 377,179 372,046 403,374 400,900
Genesis 0 0 0 834 2,428 2,570 2,722
Horki 30 5 478 638 1,205 1,469 1,535
China sub-total 1,709,454 1,810,793 1,151,580 1,176,497 1,169,705 1,209,668 1,276,031
India Hyundai 476,001 500,537 527,320 544,404 533,123 518,146 535,438
Kia 0 0 0 0 9,799 102,748 218,030
India sub-total 476,001 500,537 527,320 544,404 542,922 620,894 753,468
Russia Kia 163,500 149,567 181,947 227,502 210,474 199,817 183,746
Hyundai 161,201 145,293 157,858 177,721 192,362 190,131 179,376
Genesis 0 46 1,031 1,846 2,396 3,481 4,956
Russia sub-total 324,701 294,906 340,836 407,069 405,232 393,429 368,078
Brazil Hyundai 204,667 197,854 201,963 203,936 210,265 228,278 221,078
Kia 15,930 10,779 8,433 15,226 35,222 36,898 33,982
Genesis 0 0 2 0 0 0 0
Brazil sub-total 220,597 208,633 210,398 219,162 245,487 265,176 255,060
Canada Hyundai 135,612 144,832 133,713 155,007 157,506 160,327 153,796
Kia 67,914 71,670 76,504 75,647 78,048 75,838 76,555
Genesis 0 93 525 1,732 3,883 4,684 6,961
Canada sub-total 203,526 216,595 210,742 232,386 239,437 240,849 237,312
Mexico Kia 11,021 58,112 86,713 96,372 114,773 115,368 118,035
Hyundai 26,251 36,287 46,386 53,057 62,901 61,978 67,380
Mexico sub-total 37,272 94,399 133,099 149,429 177,674 177,346 185,415
Germany Hyundai 109,080 108,698 109,727 117,198 118,091 108,346 111,047
Kia 55,890 60,736 64,147 66,660 69,447 65,703 64,292
Genesis 0 1 1 0 0 2,191 4,624
Germany sub-total 164,970 169,435 173,875 183,858 187,538 176,240 179,963
UK Hyundai 88,257 92,524 93,439 92,192 85,912 82,532 84,173
Kia 78,489 89,364 93,222 93,207 88,385 84,295 83,300
Genesis 0 0 0 0 0 1,189 2,783
UK sub-total 166,746 181,888 186,661 185,399 174,297 168,016 170,256

Source: LMC Automotive "Global Automotive Sales Forecast (Quarter 3, 2018)"
*国別データは主要諸国を対象としているため、国別合計は本表トップのHyundai Group Totalに合致しない。
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
   モデル別やパワートレインタイプ別等のより詳細な予測データのご用命、お問い合わせはこちらのページへ


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キーワード
韓国、現代、現代自動車、Hyundai、起亜、Kia、Genesis、ジェネシス、SUV、電動化、EV、FCV、Kona、NEXO、Ioniq、Niro

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