ロシア:原油価格上昇・ルーブル安定により2017年から市場回復か

政府は引き続き需要促進・輸出拡大等の支援策を実施

2017/04/19

要約

ロシアの自動車生産・販売台数

 ロシアの2016年の自動車販売台数は143万台で、前年比11%減、過去最高を記録した2012年の294万台からは51.4%減少。ウクライナ問題に端を発する欧米の対ロシア経済制裁、原油安、ルーブル安等を背景とする景気後退により、市場は低迷していた。

 2017年は原油価格が持ち直し、ルーブルが対ドルで安定したことを背景に、景気回復が期待される。Association of European Businesses (AEB) は2017年の販売台数を前年比3.8%増の148万台と見込んでいる(2017年1月時点)。ただ、シリア情勢などロシア経済に影響を与える問題も存在し、今後もロシア市場は不安定な状況が続くと考えられる。

 ロシア政府は、2017年も引き続き自動車産業に対する支援策を実施する。2016年には約468億ルーブルを投じて、62万台の購入車に支援策を適用した。2017年には需要促進策として623億ルーブルの予算を計上する。

 ロシアの2016年の生産台数は前年比5.4%減の131万台で、過去最高だった2012年の224万台と比較すると41.6%減。ロシア国内の年産能力は約320万台に達しているが、国内需要が減少し、生産が伸び悩んでいる。政府は生産拡大のために、ロシア製車両の輸出促進対策や自動車メーカーへの助成を実施している。ロシア産業商務省は、2017年の生産台数を前年比7.0%増の140万台と予測している(2017年3月時点)。

 ロシアの経済低迷が長引く中、減産や市場撤退を余儀なくされるメーカーもあるが、多数のメーカーがロシア市場の中長期的な成長を見込んで、生産施設の拡充・生産車種の拡大を実施している。Daimlerはロシアに初の工場を建設し2019年に稼働開始する計画。中国・力帆汽車も2017年に年産6万台規模の新工場を稼働する。FordとVWは2015年9月にそれぞれエンジン工場の稼働を開始。マツダもエンジン工場を新設し、2018年に生産を開始する計画。

 LMC Automotiveの最新予測(2017年第1四半期)によると、ロシアの経済成長は2017年にはプラスに転ずるが、消費支出は依然として弱いため、ライトビークル市場の回復は同年下期まで持ち越される見込み。2017年のライトビークル販売は前年比6.7%増の152万台と予想している。その後、販売は着実に増加し、2020年には206万台に達する見通し。

関連レポート:

ロシア:原油安・欧米の制裁により市場低迷、回復は2017年以降か(2015年4月)



2017年1-3月販売は四半期ベースで4年ぶりの前年同期比プラス

ロシアの自動車販売台数と増減率

 ロシアの月別自動車販売台数は、経済低迷の影響で2014年12月から2016年10月まで前年比マイナスが続いた。2016年5~9月は2桁減で、10月に6カ月ぶりに減少幅が1桁台となったが、これは政府の支援策によるところが大きい。10月から年末にかけて販売が増加したのは、支援予算が残り少ないと考えた消費者が購入に踏み切ったためと考えられる。11月には約2年ぶりに前年比プラス、12月も微減にとどまり、市場が底を打ったとみられた。

 2017年1月に米国でトランプ新政権が生まれると、経済制裁が緩和されるとの期待から、ルーブルが対ドルで安定(注)。原油価格の上昇もあり、1月・2月は小幅の減少だったが、3月は前年比9.4%増と大きくプラスとなった。この結果、2017年1-3月期販売は前年同期比1.0%増となり、四半期ベースでは4年ぶりに前年比プラスとなった。ただAEBは、これが堅調な傾向と言えるかどうかは、もう少し様子を見る必要があるとしている。

(注)ルーブルは、最も安くなった2016年1月の1ドル約78ルーブルから、2017年4月中旬時点で約56ルーブルに戻っている。



ロシアの自動車生産台数と販売台数

(台)

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
(見通し)
2016年
1-2月
2017年
1-2月
自動車生産台数 2,182,973 1,893,365 1,383,438 1,308,230 1,400,000 166,874 205,300
乗用車生産台数 1,919,143 1,692,505 1,215,972 1,124,774 1,200,000 149,392 187,000
商用車生産台数 263,830 200,860 167,466 183,456 207,000 17,482 18,300
自動車販売台数 2,777,447 2,491,404 1,601,527 1,425,791 1,480,000 193,226 184,574
資料:生産は ASM Holdings、販売は Association of European Business (AEB) 他
(注) 1. 販売台数は、大型トラックを含まない。
2. 2017年の生産見通しはロシア産業商務省の20173月時点、販売見通しはAEBの同年1月時点の予測。
3. 2016年1-3月の販売台数は319,220台、20171-3月は322,468台。


ロシア政府:2017年の支援策に623億ルーブルの予算計上

 ロシア政府は低迷する自動車市場を下支えするために、支援策を実施している。2016年には需要促進策としてローンの金利補助や下取り・廃車による買い替え支援を行い、約62万台の購入車に適用した。また、生産支援のためにも約900億ルーブルを計上し、自動車メーカーの財政負担軽減や輸出に対する助成を行った。2017年には需要促進対策に623億ルーブルの予算を計上している。

 ロシア産業商務省は2016年12月に、2025年までの自動車産業戦略を発表した。生産台数を引き上げるために、2018年末までに輸出を50%増加させること、部品の国産化のために研究開発に注力すること等を目標とする。



2016年の政府支援策:62万台の購入車に適用

目的 支援策 予算 適用された車両
需要促進 自動車ローンの金利補助 113億ルーブル 270,000台
下取り・廃車による買い替え支援 225億ルーブル 320,000台
自動車リース料金の値引き補助 50億ルーブル 32,000台
その他 80億ルーブル  -
生産支援 自動車メーカーへの助成 413億ルーブル  -
雇用確保のための人件費助成 462.9億ルーブル  -
輸出に対する助成 33億ルーブル  -



2017年の政府支援策(計画)

ロシア政府は2017年の自動車産業支援として623億ルーブルの予算を計上する計画。100億ルーブルは、従来と同様に自動車ローンの金利補助に充当される見込み。また、新たなプログラムとして、特定の消費者層(初めての購入者、子供が多い家庭など)を対象とした補助金プログラムに174億ルーブルを充当する計画。
資料:Analytical Center for the Government of the Russian Federation 2017.3.2



ロシア産業商務省:2025年までの自動車産業戦略(2016年12月発表)

ロシア国内の2016年末の生産能力は320万台に達しているが、国内需要はピーク時より40-45%減少している。生産台数を引き上げるためには、以下の2つのことが必要である。(1)輸出台数の増加:政府の長期的支援等により、2018年末までに輸出台数を50%増加 (2)部品生産の拡大:乗用車の部品の国産化率は30-55%にとどまっており、部品生産拡大のために研究開発に注力する。



ロシア政府とベトナム政府:自動車合弁生産で合意

ロシア政府とベトナム政府は20163月、自動車生産に関する議定書を締結した。KAMAZGAZUAZSollers等のロシア系自動車メーカーがベトナム企業と合弁会社を複数設立し、トラック、10席以上のバス、SUV、特別車両の生産・組立をベトナムで行う。合弁会社は、定められた現地調達率を10年以内に達成し、ベトナムへの技術移転やベトナム技術者の教育等を行うものとする。


メーカー別乗用車/LCV販売台数

 メーカー別の乗用車/小型商用車販売台数では、AvtoVAZの販売は2013-2015年に急減したが、2016年は前年比1%減にとどまり、市場シェアは1.9ポイント拡大して18.7%となった。Renault-Nissan Allianceの支援を受けて開発したLadaブランドの新型車 VestaとXRAYが好調で、販売を牽引した。

 現代グループは2013-2016年に22.2%減少したが、AvtoVAZ(41.6%減)やVW(46.6%減)より減少幅は少なかった。2015年にはAvtoVAZの販売台数を超え、2016年には20.7%の市場シェアを確保した。現代自のロシア向けセダン Solaris と起亜のサブコンパクト車Rioの人気が高く、2016年のモデル別販売台数でも1位と3位を占めている。

ロシアメーカー別乗用車 ロシアの乗用車


ロシア製車両の輸出の動向

 ロシア市場の低迷が続く中、各メーカーはロシア製車両の輸出拡大を図っている。輸出先は、CIS諸国のカザフスタンやベラルーシをはじめ、中東や中南米にも拡大している。ロシア政府は2018年末までに輸出を50%増加させることを目指している。



カザフスタン

日産
Datsun車
日産は2015年12月、ロシア製Datsunブランド車をカザフスタンに初投入した。Datsun車の投入は、CIS諸国ではロシアに次いで2番目。AvtoVAZのTogliatti工場で生産した小型セダン on-DO、その5ドアハッチバック版 mi-DOを投入。
Ford
新型Fiesta
Ford Sollersは2016年2月、タタルスタン共和国Naberezhnye Chelny工場で生産している新型Fiesta(セダンと5ドアハッチバック)のカザフスタン向け輸出を開始した。同国向けには既に同工場で生産するEcoSport、Vsevolozhsk工場で生産するFocusとMondeo、Yelabuga工場で生産するTransit、Explorer、Kugaを輸出している。



ベラルーシ

Ford
新型Transit
Ford Sollersは2016年6月、Yelabuga工場で生産している新型Transitのベラルーシ向け輸出を開始した。ロシア生産車の輸出は、2014年11月に開始したカザフスタン向けに続き、2カ国目。ベラルーシには従来、欧州生産車を輸出していた。今後は、Focus、Mondeo、Explorer、EcoSportもロシアから輸出する計画。



イラン

GAZ
バス900台
GAZグループは2016年12月、イランのTabriz、Karaj、Qom、Urmiaの各都市の市長と、計900台のバス供給について覚書を交わした。GAZ傘下のバスメーカーLIAZ製のバスを、イランの公共交通機関向けに供給する。完成車を供給するほか、イランでの組立拠点が整備され次第、CKDキットも供給する。2017年から供給開始予定。



エジプト・レバノン

Hyundai
Solaris
現代自動車は2015年8月、St. Petersburg工場で、エジプトとレバノン向けのセダン Solaris の生産を開始した。両国向けの車両は、暑い気候に対応するため、特別なエアコンとバッテリーを装備する。2015年中に4,000台以上を海上輸送にて出荷する。



メキシコ

VW
Polo
VWは2016年8月、ロシアのKaluga工場で生産しているセダンのPoloを、メキシコに輸出していると表明した。当初の輸出台数は数百台とのことである。ロシア市場が依然として不振を極めているため、VWはさらに輸出を拡大したいとしている。



欧州

日産
部品
日産は2016年9月、St. Petersburg工場で生産したX-Trail用のフロントバンパーとリアバンパーの輸出を開始した。輸出先は、欧州市場向けのすべてのスペアパーツを統括しているオランダ・アムステルダムのパーツセンター。従来は日本から輸出していたが、ロシアからの輸出により、価格を引き下げることができる。2016年内に6,000個、2017年に1万個輸出する計画。



その他

UAZ UAZは2017年3月、今後3年間で輸出台数を年間2万台に拡大するという計画を明らかにした。これは同社の年間販売台数の約30%となる。輸出先は東南アジア、中東、中南米とする計画。


Renault-日産-AvtoVAZ(アフトワズ)の動向

AvtoVAZの動向

2016年は赤字縮小 2016年の販売台数は266,296台で、ロシア市場が前年比12%減であるのに対し、1%減にとどまった。これはLadaブランドの新型車が好調だったため。 乗用車の市場シェアは前年比1.9ポイント増の18.7%に拡大。売上高は前年比4.8%増の1,849億ルーブルと回復した。最終損益は156億ルーブルの赤字だが、赤字幅は前年より36.8%縮小した。
資本増強計画 AvtoVAZの取締役会は20169月、850億ルーブルの資本増強計画を発表。同年10月の臨時株主総会で承認され、12月には公募により250億ルーブルの増資を行った。AvtoVAZの戦略的目標は、20%以上の市場シェアを確保、フリーキャッシュフローの黒字化、輸出売上の増加、現地調達率の向上など。
Renault-NissanのHR16エンジンを生産 AvtoVAZは2017年1月、Renault-Nissan Allianceから1.6L HR16エンジンのフル生産を承認された。Togliatti工場では、同エンジンの生産のため、新たにアルミ鋳造と自動加工ラインを導入し、シリンダーブロックとシリンダーヘッドの鋳造、アルミニウム部品やクランクシャフトの加工も可能となっている。同工場でのHR16エンジンの年産台数は15万基。AvtoVAZによると、現時点では、ロシアで生産する海外メーカーのエンジンで、これほど国産化率の高い製品はない。
カザフスタンで生産 AvtoVAZは20166月、カザフスタンのAsia AutoOskemen (Ust-Kamenogorsk) 工場で、小型セダンのLada Granta、小型車のKalinaSUV 4x4 5d8月には小型車のPriora12月には小型セダンのVesta、新型SUVXRAYの生産を開始した。同工場では既にSUVLada 4x444 Urbanを生産していた。



AvtoVAZ:新型車投入

Lada Vesta 2015年11月に発売。新型コンパクトセダンで、Prioraの後継モデル。Renault-Nissan Alliance の支援を受けて開発した新B/Cプラットフォームを使用。当初の現地調達率は71%。このうちエンジンやトランスミッションなど大半の部品はAvtoVAZのTogliatti工場で生産される。1.6Lガソリンエンジン(106hp)にRenaultの5速MTを組み合わせる。Izhevsk工場で生産。
Lada XRAY 2016年2月に発売。Renault-Nissan Allianceと共同開発したB0プラットフォームを使用し、500以上のオリジナル部品を採用した新型コンパクトSUV。現地調達率は50%で、AvtoVAZは70%にまで引き上げる計画。開発費用の120億ルーブルはロシア開発対外経済銀行(VEB)より調達。Togliatti工場で生産。
Ladaブランドの新型コンパクトセダンVesta(写真:AvtoVAZ) Ladaブランドの新型コンパクトSUV XRAY(写真:AvtoVAZ)
Ladaブランドの新型コンパクトセダンVesta(写真:AvtoVAZ) Ladaブランドの新型コンパクトSUV XRAY(写真:AvtoVAZ)



日産の動向

Qashqaiの生産開始 日産は2015年10月、St. Petersburg工場で小型SUV Qashqaiの生産を開始した。従来は英国Sunderland工場で生産したモデルを輸入していた。また、ロシアではDセグメントセダンの販売減少が顕著なため、同工場でのTeanaの生産を停止する。さらに、2016年春には現在の2シフトから1シフトに削減し、約500人の人員削減も実施する。
新型Muranoの生産開始 日産は2016年6月、St. Petersburg工場で3代目となる新型Muranoの生産を開始した。3.5L V6エンジンにエクストロニックCVTを組み合わせたものと、2.5Lスーパーチャージャー付きガソリンエンジンに15kWのモーターを組み合わせたハイブリッド版の2種を生産。ロシア国内のほか、カザフスタン、ベラルーシでも販売する。新型Muranoの生産と同工場の生産能力倍増に向けて、日産は1億6,700万ユーロを投資した。
プレス工場を稼働 日産は2015年8月、St. Petersburg工場のプレス工場の稼働を開始した。新プレス工場は9,200平方メートルで、4,300平方メートルの倉庫に5万個のプレス部品の保管が可能。同工場で生産するQashqai、X-Trail、Murano、Pathfinder等のボディパネルを生産する。



Renault:Kapturをロシアに投入

Renaultは2016年6月にロシアで新型クロスオーバーモデル Kaptur の販売を開始した。主に欧州向けに販売されているCapturよりも一回り大きい。1.6Lと2.0Lのガソリンエンジンを搭載し、1.6L車は2WD、2.0L車は4WDとなる。モスクワ工場で生産する。


ロシアメーカー(Kamaz)の動向

Kamaz:イラン市場に再参入

Kamazは2016年2月、イラン市場に再参入すると発表した。Kamazは2002年にイラン市場に参入し、2005年から同国で生産を開始したが、経済制裁の導入により、2010年に生産を停止していた。Kamazは2010年までに同国で2,000台以上のトラックを販売。2016年に改めて認証手続きを経た後、KD生産を開始。Kamazは今後5年間に海外市場の販売を強化する計画で、ベトナム、イラン、インドネシア、エジプト、ペルーを有望市場とみている。


韓国メーカー(現代自動車)の動向

現代自動車の動向

新型Solarisを発売 現代自動車は2017年2月、ロシア市場向け小型セダンの新型Solarisを発売した。2011年に投入して以来、初めてのモデルチェンジ。発売以来、ロシアで累計64万台以上を販売し、2016年も90,380台で、モデル別でトップとなっている。2代目Solarisはボディサイズが一回り大きく、最新のフロントグリルとLEDライトを採用。Apple CarPlay、Android Autoに対応するインフォテインメントシステムを搭載する。
Cretaの生産開始 現代自動車は2016年8月、St. Petersburg工場で小型クロスオーバーの新型モデルCretaの生産を開始した。2016年の同モデルの生産計画は2万台。現代自動車は生産ライン更新のために1億ドルを投資した。


欧米メーカー(GM/Ford/VW/Daimler/BMW)の動向

GM-AvtoVAZの動向

Togliatti工場を1直制へ GM-AvtoVAZは2016224日より、SUVChevrolet Nivaを生産しているTogliatti工場の生産体制を1シフトに変更した。休暇中に組み立てラインのスピードを引き上げ、生産体制を1シフトにしても年間計画台数は変更しない。同工場の2015年の生産台数は前年比24.5%減の34,555台、2016年は3.0%減の33,520台。
カザフスタンでChevrolet Nivaを生産 GM-AvtoVAZは2017年4月、カザフスタンの地場企業SaryarkaAvtoPromでChevrolet Nivaの量産を開始した。ロシアのTogliatti工場から組立キットを供給する。カザフスタンはGM-AvtoVAZにとって重要な輸出先の一つで、現地生産により同モデルの競争力を高める。SaryarkaAvtoPromはカザフスタンでSsangYong、トヨタ、吉利、Iveco等の車両を組み立てている。



Fordの動向

エンジン工場の稼働開始 Fordは2015年9月、Ford Sollersがタタルスタン共和国に建設したYelabugaエンジン工場の稼働を開始した。総投資額は2億7,500万ドル。当初の年産能力は10.5万基で、今後20万基まで拡大可能。1.6LのDuratecエンジンを3タイプ(85ps、105ps、125ps)生産する。ロシア製Ford車の約30%が搭載対象。既にFiesta、EcoSport、Focusに搭載した。
新型Kugaの生産開始 Fordは2016年12月、小型SUV の新型Kugaの生産を、ロシアの合弁会社 Ford SollersのYelabuga工場で開始した。ロシアでは、新型Kugaは1.5L EcoBoostエンジン(150hp/182hp)または2.5Lエンジン(150hp)搭載。前輪駆動と四輪駆動が選択できる。ロシアで発売以来、Kugaの累計販売台数は52,000台。2016年販売は前年比21%増。



VWの動向

エンジン工場の稼働開始 VWは20159月、Kalugaに建設していた新エンジン工場の稼働を開始した。総投資額は25,000万ユーロ。既存の車両工場に隣接しており、1.6Lのガソリンエンジン EA211 (110 hp) を生産する。年産能力は15万基。Kaluga車両工場で生産されるVW PoloSkoda RapidNizhny Novgorod工場で生産されるVW JettaSkoda OctaviaおよびYeti等に供給する予定で、2016年までにVWグループがロシアで生産するモデルの30%以上に同国製エンジンを供給する見通し。
新型Tiguanの生産開始 VWは2016年11月、Kaluga工場で2代目となる新型Tiguanの生産を開始。2017年第1四半期に販売を開始する。同モデルはVWグループのSUVとして、初めてMQBプラットフォームを採用。新型Tiguanの生産のために総額1億8,000万ユーロをKaluga工場に投資して、新車体工場を建設し、塗装・組立ラインを更新した。同工場の年産能力は22.5万台。



Daimler:ロシアで初の工場を2019年に稼働開始

Daimlerは2017年2月、ロシアに初の工場を開設し、Mercedes-BenzブランドのSUVやE-Classセダンを生産すると発表した。総額2億5,000万ユーロを投資し、モスクワの北西40 kmにあるEsipovo工業団地に建設する。2019年に稼働開始予定。車体、塗装、組立など全工程を備え、フレキシブルな組み立てラインを採用する。1,000人以上の新規雇用を創出する見込み。



BMW:ロシア製X4の販売開始

BMWは2015年6月、ロシアでSKD生産されたクロスオーバーSUV X4 を発売した。米国Spartanburg工場より組み立てキットを輸入し、委託生産先のAvtotorのKaliningrad工場でSKD生産する。2.0Lガソリンエンジン(184 hp/245 hp)または2.0L/3.0L ディーゼルエンジンを搭載する。


中国メーカー(奇瑞/力帆/長城)の動向

奇瑞汽車:ロシアで新型Tiggo 3 を発売

奇瑞汽車は2017年3月、ロシアで小型SUVの新型Tiggo 3を発売した。同国では既にTiggo 5 を販売しており、ロシア連邦に属するカラチャイ・チェルケス共和国のDerways Automobile社のCherkessk工場でKD生産している。Tiggo 3 の全長は4,420 mm、前席のヘッドルームは1,030 mm、荷室容量は550-1,800L。今後はTiggo 2 と Tiggo 7も発売したいとしている。



力帆汽車:ロシアで新工場を建設

力帆汽車は20157月、ロシア西部Lipetsk州で新工場の建設を開始した。約3億ドルを投資し、車体、塗装、組立ラインを設置し、2017年に年産6万台規模で完成予定。年産能力は20万台まで段階的に拡大する計画。同社は2020年までに年間30万台のEV/HEVを生産するというIntelligent Blue Strategyを掲げている。ロシアのような寒冷地に対応するバッテリーも開発しており、近い将来、ロシアにもEV/HEVを投入するとしている。



長城汽車:2018年に新工場を稼働開始

長城汽車は2014年にTula州で完成車工場を建設すると発表し、2017年末から稼働する予定だったが、報道によると、稼働開始を2018年に変更する。総投資額は5億ドルで、当初は年産7万台規模。その後、2020年には年産15万台に増強する予定。主にHavalブランド車を生産する計画。


日本メーカー(トヨタ/マツダ/ホンダ)の動向

トヨタの動向

RAV4の生産開始 トヨタは2016年8月、St. Petersburg工場で小型SUV RAV4の生産を開始した。追加投資額は97億ルーブル(148億円)、新規雇用は約800名。同工場での生産車種としてはCamryに続き2車種目。RAV4の生産に伴い、年産能力を5万台から10万台に引き上げた。同モデルはロシアで販売するトヨタ車の中で、2016年1-6月期に最も販売台数が多い(16,169台)車種。Camry同様、ロシア国内のほか、カザフスタン、ベラルーシに輸出される。
ウラジオストクでのPrado生産終了 トヨタは2015年6月末に、ウラジオストクでのLand Cruiser Pradoの組立生産を終了した。三井物産とSollersの合弁会社 Sollers-Bussanが、2013年2月から月産1,000台規模で組み立てを行ってきたが、ロシア経済の低迷等から中長期的に事業継続は困難と判断した。2015年7月からは日本から完成車を輸入している。



マツダ:エンジン工場を新設し2018年に稼働開始

マツダとSollersの合弁生産会社 Mazda Sollers Manufacturing Rus(MSMR)は2016年9月、ロシア政府とエンジン工場新設に関する特別投資契約を締結した。MSMRの車両組立工場の隣接地に年産能力5万基の工場を建設し、2018年に稼働開始する計画。ロシア政府からは2023年まで支援策を受けられる予定。



ホンダ:2016年から現地法人は新車輸入を停止、ディーラーが直輸入

ホンダのロシア現地法人Honda Motor Rusは2016年から新車の輸入を停止し、現地ディーラーが直接輸入・販売する体制に変更した。ホンダはロシアに生産拠点を持たず、従来は現地法人が新車を輸入していた。補修部品の輸入やアフターサービスは引き続き行うが、関係者の中にはこれをホンダのロシア市場からの事実上の撤退と受け止めている人もいる。ホンダは不安定なロシア市場の影響を受け、2014年の21,761台から2015年には5,343台、2016年には1,910台と、販売台数を大きく減らしている。


商用車メーカー(いすゞ/GAZ)の動向

いすゞの動向

大型トラックの生産開始 いすゞ自動車は、2017年からロシアの生産販売子会社 Isuzu Rusで大型トラックのノックダウン生産を開始する。現在は日本から完成車を輸出しているが、現地で組み立てることにより、関税や輸送費を削減する。Isuzu Rusは既に中型・小型トラックのノックダウン生産を行っている。
Sollers-Isuzuの連結子会社化 いすゞは2015年12月、Sollersとの合弁会社 CJSC Sollers-Isuzuの出資比率を引き上げ、連結子会社化した。従来はいすゞが45%、双日が5%、Sollersが50%を出資していたが、Sollersの保有株式をいすゞと双日が取得し、いすゞ74%、双日26%の出資比率となった。これにより、いすゞはロシア市場で主体的に事業強化を行い、いすゞ製商用車のブランド価値の向上と商品ラインアップ・販売の拡充を図る。
GAZと包括提携 いすゞは20159月、ロシア大手複合企業のBasic Elementグループの機械製造事業 Russian Machines、同社傘下でロシア商用車最大手のGAZグループ、伊藤忠商事の3社と共に「戦略・包括的協業関係の構築」を目指す覚書に署名した。今後、いすゞは、GAZ製車両の共同開発やエンジン等の主要部品の供給、車両の共同生産・販売などを検討する。



GAZの動向

CNGエンジンの生産開始 GAZは2016年11月、Yaroslavl工場で圧縮天然ガス (CNG) エンジン YaMZ-530の生産を開始した。直列4気筒または6気筒で、排出ガス規制のEuro 5およびEuro 6に対応。バン、トラック、乗用車、道路工事車、農機等に搭載される。同工場のCNGエンジンの年産能力は2万基、最大で4-5万基まで拡大可能。
Mercedes-Benz Sprinterのプレス部品を生産 GAZは2015年10月、Nizhny Novgorod工場でMercedes-Benzの商用バン Sprinterのプレス部品の量産を開始した。GAZは2013年7月よりSprinterの生産を行っているが、プレス部品は従来、非CIS諸国から輸入していた。ロシア製のプレス部品を使用することにより、国内調達率を向上させることができる。


LMC Automotive生産予測:ロシアのライトビークル生産台数は2020年に174万台となる見込み

LMC Automotive、2017年2月)

ロシアのグループ別ライトビークル生産予測

 LMC Automotiveは、ロシアにおける2017年のライトビークル生産台数を、前年比7.3%増の132万台と予測している。ロシア政府は2017年も販売拡大のための購入支援策、輸出への補助金、OEMへの資金援助など多様な方法で自動車市場を支援する。経済開発省は輸出台数の目標を、2020年には30万台、その数年後には50万台としているが、近年の輸出低迷を考慮すると、かなり野心的な目標である。ロシアにおけるライトビークル生産は2017年以降も拡大し、2020年には174万台となる見込み。

 AvtoVAZは、2017年8月にLada Vestaのステーションワゴン版の生産をIzhevsk工場で開始し、続いてクロスオーバー版の生産も開始する計画。この2つの派生車の生産台数は、2017年には5,000-8,000台、2018年には17,000台に拡大する見込み。AvtoVAZのその他の重要なモデルには、XRAYの耐久性を高めたXRAY X (HGA)やクロスオーバーの新モデルX-Codeがあり、XRAY Xは2018年から、X-Codeは2020年末から生産する計画。

 ロシアでは過剰生産能力が重大な問題となっている。ライトビークルの生産能力は330万-350万台と推定され、2016年の稼働率は36%前後と非常に低い。今後、この数値は予測期間を通じて増加していくと予想されるが、ロシアの国内需要が低いことを考慮すると、2024年でも55-60%を大きく上回ることはないだろう。



ロシアのブランド別ライトビークル生産予測 (LMC Automotive)

(台)

SALES GROUP GLOBAL MAKE 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
Total   1,822,322 1,320,191 1,230,916 1,320,208 1,503,307 1,694,162 1,740,264
Renault-Nissan Group Lada 390,324 305,631 280,895 314,780 381,523 437,767 445,841
Dacia 188,897 124,516 105,735 98,062 98,696 102,552 104,016
Nissan 98,574 78,643 62,436 68,457 75,230 73,866 94,380
Renault 13,379 2,006 17,851 29,840 49,292 82,475 79,863
Datsun 18,273 31,176 14,530 23,049 27,442 32,903 32,785
Mitsubishi 32,707 20,759 13,685 10,638 14,380 16,520 15,838
Infiniti 813 0 0 0 0 0 0
Renault-Nissan Group sub-total 742,967 562,731 495,132 544,826 646,563 746,083 772,723
Hyundai Group Hyundai 139,362 136,916 131,722 148,172 165,174 176,298 177,224
Kia 199,057 166,243 151,052 142,349 151,029 146,670 120,090
Genesis 0 0 845 552 577 684 758
Hyundai Group sub-total 338,419 303,159 283,619 291,073 316,780 323,652 298,072
Volkswagen Group Volkswagen 111,296 84,923 87,376 79,683 86,590 97,128 92,285
Skoda 82,160 52,549 58,700 52,506 49,425 59,121 67,940
Audi 9,247 1,049 2,355 0 0 0 0
Volkswagen Group sub-total 202,703 138,521 148,431 132,189 136,015 156,249 160,225
Toyota Group Toyota 51,392 40,859 39,061 77,356 77,444 77,469 75,101
GAZ Group Gaz 67,212 54,187 54,681 57,739 63,746 69,700 70,834
Ford Group Ford 56,767 38,616 44,227 56,431 62,494 71,363 66,329
General Motors Group Chevrolet 123,385 43,646 32,104 32,177 31,739 43,983 53,263
Opel 28,447 1,733 0 0 0 0 0
Cadillac 817 331 0 0 0 0 0
General Motors Group sub-total 152,649 45,710 32,104 32,177 31,739 43,983 53,263
Other UAZ 50,302 57,169 49,931 40,567 33,727 33,974 37,247
Others 20,132 11,808 13,057 14,214 14,267 14,226 14,310
Luxgen 762 117 0 0 0 0 0
TaGAZ 58 570 0 0 0 0 0
Other sub-total 71,254 69,664 62,988 54,781 47,994 48,200 51,557
BMW Group BMW 24,843 16,422 18,224 23,870 31,294 40,034 44,810
Daimler Group Mercedes-Benz 6,782 5,517 6,098 6,297 7,868 13,632 34,763
Great Wall Motor Haval 17,090 0 0 0 11,561 24,031 26,471
PSA Group Citroen 7,127 2,722 1,938 2,335 7,405 11,372 14,478
Peugeot 5,369 2,252 1,792 1,532 6,074 8,626 10,198
PSA Group sub-total 12,496 4,974 3,730 3,867 13,479 19,998 24,676
Other Chinese Manufacturers Lifan 10,087 10,056 17,764 13,390 20,227 21,086 24,212
Hawtai 70 82 142 494 645 545 395
Other Chinese Manufacturers sub-total 10,157 10,138 17,906 13,884 20,872 21,631 24,607
Mazda Motors Mazda 30,846 23,214 24,110 17,496 24,747 25,673 23,306
Chery Group Chery 1,649 3,066 520 4,783 5,808 6,452 7,314
BAIC Group Foton 0 0 0 1,472 2,029 2,505 2,656
Brilliance Auto Brilliance 1,838 391 13 1,189 1,676 2,046 2,056
Changan Automobile Group Changan 0 0 56 778 1,198 1,461 1,501
Geely Group Volvo 0 0 8 0 0 0 0
Geely 10,697 871 0 0 0 0 0
Geely Group sub-total 10,697 871 8 0 0 0 0
FAW Group FAW 0 0 8 0 0 0 0
Mahindra Group Ssangyong 22,059 1,980 0 0 0 0 0
Jianghuai Automotive JAC 494 143 0 0 0 0 0
SAIC Group MG 8 28 0 0 0 0 0
Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (February 2017)
(注)1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。          
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キーワード

ロシア、アフトワズ、AvtoVAZ、LADA

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