トヨタの自動運転(上):ADAS進化型と完全自動運転の2つのシステムを開発

人を理解する人工知能技術を搭載した「TOYOTA Concept-愛i」を公開

2017/02/13

要約

2017 International CESに出展した「TOYOTA Concept-愛i」
2017 International CESに出展した「TOYOTA Concept-愛i」

 オートモーティブ ワールド2017 カンファレンスが、2017年1月18~20日に東京ビッグサイトで開催された。トヨタ自動車株式会社 先進安全先行開発部 主査 松尾芳明氏による「トヨタが描く自動運転の在り方と今後の課題~知能化するクルマと人の協調とモビリティー社会の実現」と題した講演を中心に、トヨタの自動運転の取組みについて報告する。

 本レポート「トヨタの自動運転(上)」は、トヨタの自動運転が長期的に目指す方向性について報告する。

 トヨタは「MOBILITY TEAMMATE CONCEPT」のもと、人とクルマが協調する自動運転を目指している。また多くの企業が、システム主体とドライバー主体が混在するレベル 3を省略してその上のレベルの自動運転を目指すなか、トヨタは進化させた人工知能(AI)とHuman Machine Interface(HMI)によりレベル3を実現し、そこでレベルアップした人工知能技術を持ってレベル4~5の自動運転を目指すとしている。

 人工知能を研究するToyota Research Institute では、「レベル4・レベル5の完全自動運転(「ショーファー・お抱え運転手」と呼ぶ)」と「運転支援システムを進化させた自動運転(「ガーディアン・守護者」と呼ぶ)」の2種類のアプローチに取組んでいる。「運転支援型(守護者)」システムも下記の「Concept-愛i」と同様の人工知能技術を持ち、どんどん賢くなる。この面を強化して賢い人工知能を育てることが、完全自動運転に近づくための有力な道筋だとしている。

 また、2017 International CESにおいて、トヨタの未来のモビリティーを具体化した「TOYOTA Concept-愛i」を公開した。最新の人工知能技術を応用し、感情認識や嗜好性蓄積といった、人を理解するための複合技術を確立。乗る人に安全・安心やFun to Driveの領域で、新発想の体験を提供する。人工知能が、自動運転と手動運転切換え決定の支援も行う。トヨタが長期的に目指すコンセプトであり、数年後に実験車両が日本の都市を走行する予定。


関連レポート トヨタの自動運転:Autonomous Vehicle and ADAS Japan 2016 から(1)(2016年8月)

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