トヨタの自動運転:Autonomous Vehicle and ADAS Japan 2016 から(1)

高速道路向けシステムを2020年頃に投入、一般道向けではAIとビッグデータの活用も

2016/08/02

要約

自動車専用道自動運転実験車で、ドライバーがステアリングホイールから手を離しているところ(資料:トヨタ)

自動車専用道自動運転実験車で、ドライバーがステアリングホイールから手を離しているところ(資料:トヨタ)

 2016年7月11~12日に、TU Automotive主催の「Autonomous Vehicle and ADAS Japan 2016」が東京で開催された。本レポートは、トヨタ自動車株式会社の先進安全先行開発部 部長 鯉渕 健氏の講演「自動運転技術の概要と社会へもたらすインパクト」を中心に、トヨタの自動運転の概要を報告する。

 トヨタは、「Mobility Teammate Concept」のもと、人とクルマが協調する自動運転を作るとの考え方。

 近年の高解像度イメージスキャナ(LIDAR: Light Detection And Ranging)やそれを活用した3D地図などの新技術により、自動運転に必要な周辺3D網羅認識技術が大きく進歩してきた。トヨタは、2020年にも高速道路においてレーンチェンジを含む自動運転技術を導入する計画で、その概要を発表した。

 一般道における自動運転については、導入予定時期を発表していない。高速道路など自動車専用道路では、走行レーンが車専用かつ明確であり、また全ての車両が同じ方向に進む。しかし一般道では、走行環境が整備されておらず、走路と交通ルールが多様、様々な移動体が混在し進行方向も様々であり、それぞれのシーンへの総合的な判断が必要になる。現段階の運転知能では必要な運転知能との間に大きなギャップがあり、リッチ(情報量の多い)な地図とリッチなLIDARが必要。さらにAI(人口知能)の発展とビッグデータの活用により高度な判断力を構築することが必要としている。

 最後に鯉渕氏は、自動運転はMobilityを大きく変える可能性を秘めていることを指摘。またクルマの知能化における差別化領域が、従来の、1)ハードによる差別化、2)ソフトによる差別化、から、3)膨大なデータの収集活用による差別化、に変化していくとしている。


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