電動車(xEVs)とリチウムイオン電池の動向(その1)

2017年7月にModel 3の生産を開始するTesla社の動向、B3社によるリチウムイオン電池需要予測

2017/03/09

要約

  第8回国際二次電池展が東京ビッグサイトで2017年3月1日~3日まで開催された。展示会と共に専門セミナーが開催され、自動車メーカーをはじめ、大学、研究機関等から電動車両の開発状況や、リチウム電池に対する課題、期待、需要の見通しなどが紹介された。本レポートではModel Sが2016年でEVモデル別世界販売第2位となったTesla社の発表内容と株式会社B3(Brain of Battery Business Corporation:車載用二次電池調査会社)によるリチウムイオン電池需要予測と課題について紹介する。

 2017年7月のModel 3生産開始に向けて準備を進めるTesla社からは年産35GWhのGigafactory立上げが紹介された。また同時に30%以上のバッテリーコスト低減を目標に、電池を構成する原材料をそのサプライチェーンの源流まで溯り、原価調査する取組みと、材料であるリチウム、グラファイト、コバルト等の調達状況が紹介された。今後5年~10年で急速な増加が予想されている電気自動車がバッテリーコストと供給問題を克服できるかという課題が浮き彫りとなっている。

 株式会社B3の試算では2017年にはリチウムイオン電池の需要が携帯端末(モバイル)用、電気自動車用と合計し100GWhに到達する。グローバルに米国のZEV規制や欧州のCO2規制等が電気自動車販売の牽引材料となると想定し、規制を満たすには2021年に電動車(xEVs)が900万台、2026年には1600万台必要で、電気自動車に供給すべきリチウムイオン電池の必要量が2021年に180GWh、2026年に450-500GWh規模になるという。これだけの量を世界で供給できるのか?リサイクルは?品質は?多くの課題が見え隠れする。


(Tesla資料)
(Tesla資料)



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