欧州6社:BMW/Daimlerは、2016年も過去最高販売を更新見込み

排ガス不正問題の影響が続くVWは前年並みの計画

2016/05/19

要約

欧州6社の販売台数比較

欧州6社の営業利益比較

 本レポートは欧州の主要自動車メーカー6社、VW, BMW, Daimler, PSA, Renault, FCAの2015年通期の連結業績、2016年の目標、中期戦略について報告する。

 欧州6社の2015年の合計販売台数は2,542万台で、前年より1.5%増加した。高級車メーカーのBMWとDaimlerはそれぞれ過去最高を更新、Renaultは3.3%増加したが、PSAとFCAは微増。排ガス不正問題の対応に追われるVWグループは、前年より2.0%減少した。

 地域別では、回復する欧州市場では全社が販売を拡大。ドイツ3社とFCAは北米でも販売を伸ばした。中国は景気減速で、高級車メーカー2社以外の販売は伸び悩み、ロシアとブラジルでは大きく減少した。プレミアムブランドでは、BMWがトップを維持したが、Mercedes-Benzが中国でも大きく販売を増やしてAudiを抜き、BMWとほぼ肩を並べた。

 業績面では、VWグループの売上高は前年比5.4%増の2,133億ユーロとなったが、排ガス不正問題対策費に162億ユーロを計上し、営業利益は41億ユーロの赤字に転落。 BMWグループの売上高は14.6%増の921.8億ユーロ、EBIT (金利税引前利益)は5.2%増の95.9億ユーロでいずれも過去最高。Daimlerも売上高・EBITとも過去最高を記録し、売上高は15.1%増の1,495億ユーロ、EBITは22.6%増の132億ユーロとなった。

 PSAの売上高は6.0%増の547億ユーロ。営業利益も固定費削減等により前年の8.0億ユーロから27.3億ユーロに大幅増加し、純損益が黒字に転じた。Renaultも売上高が10.4%増の453億ユーロ、営業利益がコスト削減等により44.2%増の23.2億ユーロと大幅増加。FCAの売上高は18.1%増の1,106億ユーロとなったが、EBITは7.4%減の26.3億ユーロ。北米での生産能力調整等のための一時費用が利益を押し下げた。

 各社は2016年の自動車市場について、欧州/北米では微増、中国でも増勢を維持すると予測。一方、ブラジル/ロシアでは市場が縮小すると見込んでいる。その中で各社は、下記のような目標を掲げている。



欧州6社の2016年目標

VW グループの販売台数は前年並み。グループの売上高は南米とロシアの経済低迷、為替、排ガス不正問題の影響で前年比5%減、営業利益率は5-6%の見込み。
BMW グループの販売台数は過去最高を更新。グループの売上高とEBITは微増。自動車部門の売上高EBIT率は8-10%の見込み。
Daimler グループの販売台数と売上高は前年を上回るが、伸び率は減速する見込み。乗用車部門とバン部門、地域別ではアジアと西欧市場が貢献する。
PSA 自動車部門の営業利益率を2016-2018年に平均4%とする。
Renault グループの売上高の増加、グループの営業利益率の向上、自動車部門のフリーキャッシュフローをプラスとすることを目標とする。
FCA グループの売上高 1,100億ユーロ (2015年は1,106億ユーロ)、一時費用調整後EBIT 50億ユーロ(同48億ユーロ)、同純利益 19億ユーロ(同17億ユーロ)を目標とする。

欧州6社の業績概要

(100万ユーロ、世界販売は1,000台)

  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
VW 世界販売 6,336 7,203 8,265 9,276 9,731 10,137 9,931
売上高 105,187 126,875 159,337 192,676 197,007 202,458 213,292
営業利益 1,855 7,141 11,271 11,498 11,671 12,697 (4,069)
純利益 911 7,226 15,799 21,884 9,145 11,068 (1,361)
BMW 世界販売 1,286 1,461 1,669 1,845 1,964 2,118 2,247
売上高 50,681 60,477 68,821 76,848 76,059 80,401 92,175
営業利益 289 5,111 8,018 8,275 7,978 9,118 9,593
純利益 210 3,224 4,907 5,111 5,329 5,817 6,396
Daimler 世界販売 1,551 1,895 2,111 2,198 2,354 2,546 2,853
売上高 78,924 97,761 106,540 114,297 117,982 129,872 149,467
営業利益 (1,513) 7,274 8,755 8,820 10,815 10,752 13,186
純利益 (2,644) 4,674 6,029 6,830 8,720 7,290 8,711
PSA 世界販売 3,188 3,602 3,549 2,965 2,818 2,938 2,973
売上高 48,417 56,061 59,912 55,446 53,079 51,592 54,676
営業利益 (689) 1,796 1,315 (560) (364) 797 2,733
純利益 (1,161) 1,134 588 (5,008) (2,327) (706) 899
Renault 世界販売 2,309 2,627 2,723 2,549 2,628 2,712 2,802
売上高 33,712 38,971 42,628 40,720 40,932 41,055 45,327
営業利益 (396) 1,099 1,091 782 1,242 1,609 2,320
純利益 (3,068) 3,490 2,139 1,712 695 1,998 2,960
FCA 世界販売 2,152 2,082 3,979 4,223 4,352 4,600 4,610
売上高 - - 59,559 83,957 86,624 93,640 110,595
営業利益 - - 3,467 3,541 3,002 2,834 2,625
純利益 - - 1,651 896 1,951 632 377
6社合計 世界販売 16,822 18,871 22,296 23,056 23,846 25,051 25,416
売上高 - - 496,797 563,944 571,683 599,018 665,532
営業利益 - - 33,917 32,356 34,344 37,807 26,388
純利益 - - 31,113 31,425 23,513 25,826 17,698
資料:各社の決算発表資料
(注) 「( )」 内の数値はマイナス値を表す。


VWグループ:排ガス不正問題対策費に162億ユーロ計上し、2015年決算は赤字

VW グループの地域別販売台数

 VWグループの2015年の世界販売台数は993.1万台で、前年より2.0%減少。排ガス不正問題で打撃を受ける中、西欧と北米は販売が若干増加したが、ロシアとブラジルの低迷で中東欧と南米の販売が減少した。また、国別市場では最大の中国が減少に転じ、3.4%減の354.9万台にとどまった。

 ブランド別では、VWブランド乗用車の販売台数は前年比4.8%減の582.3万台。その他のAudi, Skoda, SEAT, Porscheの販売台数は前年を上回った。一方、VWブランド商用車, Scania, MANからなる商用車部門は南米の不振が続き、合計で5.7%減の61.0万台となった。

2015年のVWグループの売上高は前年比5.4%増の2,132.9億ユーロとなったが、営業利益は40.7億ユーロの赤字、税引後利益は13.6億ユーロの赤字に転落した。これは、特別項目として排ガス不正問題の対策費用162億ユーロを計上したため。一時費用を除くと営業利益は128億ユーロで、前年から微増。VWは2016年4月21日、米当局との間で、不正車の買い取り・修理を含む顧客への対応について大筋合意した。

 VWグループは、2016年の販売台数は前年並みと見込んでいるが、排ガス不正問題や南米とロシアの経済低迷、為替レートの影響等により、売上高は前年比5%減と予測。営業利益率は5~6%の見込み。



VWブランド別/地域別販売台数

(100万ユーロ、世界販売は1,000台)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 1-3月
2015年 2016年
VW ブランド 5,091 5,738 6,022 6,119 5,823 1,479 1,460
Audi ブランド 1,304 1,457 1,575 1,741 1,803 438 456
Skoda ブランド 879 939 921 1,037 1,056 265 277
SEAT ブランド 350 321 355 391 400 103 103
その他ブランド 8 70 174 203 239 54 59
VW 商用車 529 550 462 447 431 109 113
Scania 80 67 80 80 77 18 18
MAN 25 134 140 120 103 22 23
世界販売 8,265 9,276 9,731 10,137 9,931 2,488 2,508
西欧 3,168 3,092 3,084 3,274 3,430 871 901
中東欧 563 672 668 671 615 148 151
北米 668 843 891 893 932 206 202
南米 963 1,082 992 795 558 153 111
アジア/大洋州 316 365 376 382 386 104 90
中国 2,260 2,815 3,271 3,675 3,549 898 956
その他 327 407 449 447 460 109 99
資料:VW Annual Report 各年版, Press Release 2016.1.8/2016.4.15
(注)
1. その他ブランドは Bentley, Lamborghini, Bugatti, Porsche を含む(Porsche は2012年8月分から)。MANは2011年11月9日分から計上。
2. VWは2014年より、南米で発売している Saveiro の分類を、商用車から乗用車に区分を変更した。上表は2013年データから反映されている。

VWグループの連結業績

(100万ユーロ)

  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
売上高 105,187 126,875 159,337 192,676 197,007 202,458 213,292
営業利益 1,855 7,141 11,271 11,498 11,671 12,697 (4,069)
税引前利益 1,261 8,994 18,926 25,487 12,428 14,794 (1,301)
税引後利益 911 7,226 15,799 21,884 9,145 11,068 (1,361)
資料:VW Annual Report 各年版, Press Release 2016.4.22
(注) 2015年の営業利益、税引前利益、税引後利益には、特別項目として排ガス不正問題の対策費用162億ユーロが含まれている。

VWの2016年目標

  • VWグループの販売台数は前年並みの見込み。市場の状況は厳しいが、中国では販売が拡大する見通し。
  • VWグループの売上高は、南米とロシアの経済状況、為替レート、排ガス不正問題等の影響を受け、前年比5%減の見込み。グループ全体の営業利益率 (operating return on sales) は5-6%と予測。
  • 乗用車部門の売上高はグループ全体より大きく減少し、営業利益率は5.5-6.5%となる見込み。
  • 商用車部門の売上高は前年並みで、営業利益率は2-4%の見込み。


BMWグループ:225万台を販売し過去最高を更新、2016年も販売拡大の見込み

BMWグループの主要地域の販売台数

BMWグループは2016年3月16日、2020年までの新戦略 "Strategy NUMBER ONE > Next" を発表した。人・車・サービスを結ぶデジタル・コネクティビティの分野を拡大するとともに、電動車および自動運転の技術開発を進める計画。

 2015年の世界販売台数は、前年比6.1%増の224.7万台で、6年連続で過去最高を更新した。BMWブランドは2 Series, 4 Series, X Series 等が好調で、前年比5.2%増の190.5万台、MINIブランドは12.0%増の33.8万台となったが、Rolls-Royceブランドは6.8%減の3,785台にとどまった。

 市場別では、欧州が9.4%増の100万台、うち本国ドイツは5.0%増、英国が12.6%増。アジアは4.2%増の68.6万台で、うち中国が1.6%増の46.4万台。米州は2.8%増の49.6万台で、うち米国が2.2%増の40.6万台。主要市場すべてで販売が増加した。

 2015年の業績は、売上高が前年比14.6%増の921.8億ユーロ、EBITは5.2%増の95.9億ユーロ、純利益は10%増の64億ユーロで、いずれも過去最高となった。

 2016年は、BMW 7 Series, X1, MINI Clubman等の牽引により販売は若干拡大し、過去最高を更新する見込み。販売増に伴い、売上高も若干伸びる。強力なブランド、魅力的な製品、海外市場の好調等により、EBITも微増の見通し。



BMW のブランド別/地域別世界販売台数

(台)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 1-3月
2015年 2016年
BMW 1,380,384 1,540,085 1,655,138 1,811,719 1,905,234 451,576 478,743
MINI 285,060 301,526 305,030 302,183 338,466 74,312 78,311
Rolls-Royce 3,538 3,575 3,630 4,063 3,785 781 551
Total 1,668,982 1,845,186 1,963,798 2,117,965 2,247,485 526,669 557,605
欧州 858,400 865,400 859,500 914,587 1,000,427 234,849 257,120
(ドイツ) 285,300 287,400 259,200 272,345 286,098 64,610 66,649
(イギリス) 167,500 174,500 189,100 205,071 230,982 - -
(その他欧州) 405,600 403,500 411,200 437,171 483,347 - -
米州 380,300 425,300 463,800 482,257 495,897 109,743 100,245
(米国) 306,300 348,500 376,600 396,961 405,715 91,479 81,601
アジア 375,500 493,400 578,700 658,384 685,792 166,678 183,204
(中国) 233,630 327,300 391,700 456,732 464,086 115,078 127,167
その他 54,800 61,100 61,800 62,737 65,369 - -
資料:BMW Annual Report 各年版, BMW Group Sales Release 2015.4.14/2016.4.12

BMW の連結業績

(100万ユーロ)

  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
生産台数 (台) 1,258,417 1,461,253 1,738,160 1,861,826 2,006,366 2,165,566 2,279,603
売上高 50,681 60,477 68,821 76,848 76,059 80,401 92,175
EBIT 289 5,111 8,018 8,275 7,978 9,118 9,593
税前利益 413 4,836 7,383 7,803 7,893 8,707 9,224
純利益 210 3,224 4,907 5,111 5,329 5,817 6,396
資料:BMW Annual Report 各年版

BMWの2016年目標

  • 2016年のBMWグループの販売台数は、新型 7 Series をはじめとする魅力的な製品により微増し、過去最高を更新する。
  • BMWグループの売上高とEBITは微増。
  • 自動車部門の売上高EBIT率は8-10%。

新戦略 "Strategy NUMBER ONE > Next" (2016年3月16日発表)

概要 デジタル化によるモビリティの変化を、新たな顧客を取り込む機会ととらえる。人・車・サービス間のデジタル・コネクティビティの分野を拡大するとともに、電動車および自動運転の技術開発を進める。
主な戦略 ・2016年からEVとPHVを計7車種投入する(2016年後半に、電池容量を拡大した小型EV i3 の一部改良車を投入、2018年にはPHV i8 のオープントップモデルを発売、さらにはMINIのPHVを投入予定)。水素燃料電池技術の開発も継続。
・2018年に7 SeriesのSUV、X7を投入。
・新型7 Seriesに搭載した、時速210kmまで機能する先行車自動追従機能や自動駐車システムRemote Control Parkingを、他のモデルにも展開する。
業績目標 ・2017-2020年のBMWグループの売上高EBIT率は10%以上を目指す。
資料:Statements for Annual Accounts Press Conference for 2015, BMW Press Release 2016.3.16


Daimler:2016年も、伸び率は減速するが、販売台数・売上高とも過去最高更新見込み

Mercedes-Benz Cars の地域別販売台数

 Daimlerの2015年の自動車販売台数は、前年比12.1%増の285.3万台で過去最高を更新。このうち乗用車部門のMercedes-Benz Carsは16.2%増の200.1万台で、こちらも過去最高を更新し、200万台の大台を超えた。

 地域別では、中国での販売が前年比36.8%増と大幅に伸びて40.0万台となり、全体の増加を支えた。中国市場は米国を抜き、国別では同社にとって最大市場となった。現地生産車の増加が中国での販売を押し上げた。また、西欧全体では前年より15.7%増加して77.3万台となり、経済危機前の2007年の水準にほぼ戻した。ドイツでの販売台数は増加に転じ、前年比8.5%増の29.6万台。スペイン、イタリア、英国などその他の西欧諸国の販売はさらに好調で20.6%増の47.8万台となった。モデル別では、C-Class(38%増)やSUVモデル(27%増)の販売増が大きく貢献した。

 Daimlerの2015年の業績を見ると、売上高が前年比15.1%増の1,494.7億ユーロ、EBITが22.6%増の131.9億ユーロ、純利益が19.5%増の87.1億ユーロで、売上高、EBITとも過去最高となった。乗用車部門のEBITは前年比35.4%増の79.3億ユーロで、販売台数の増加や為替レートが増益要因となった。

 Daimlerは、2016年のグループ全体の売上高と販売台数は2015年を上回るが、伸び率は減速すると見込んでいる。業績拡大に貢献するのは、乗用車部門とバン部門、地域別ではアジアと西欧市場と予測している。



Mercedes-Benz Cars の地域別販売台数 (卸売台数)

(台)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 1-3月
2015年 2016年
西欧   625,168 631,423 640,162 668,578 773,485 187,284 210,586
内ドイツ 290,658 289,923 279,894 272,459 295,693 60,115 64,846
内ドイツを除く西欧 334,510 341,500 360,268 396,119 477,792 127,169 145,740
米国 250,355 299,741 318,507 344,365 359,108 78,156 75,769
アジア   335,449 338,286 389,065 475,633 618,244 138,467 172,246
内中国 223,059 208,494 238,727 292,663 400,395 78,183 106,641
その他 170,444 182,119 217,829 233,985 250,601 54,439 60,339
合計 1,381,416 1,451,569 1,565,563 1,722,561 2,001,438 458,346 518,940
資料:Daimler Annual Report 各年版、Daimler Press Release 2015.4.8/2016.4.6

Daimlerグループの連結業績

(100万ユーロ))

  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
生産台数 (1,000台) 1,456 1,941 2,137 2,195 2,384 2,582 2,924
販売台数
(1,000台)
乗用車 1,094 1,277 1,381 1,452 1,566 1,723 2,001
商用車 457 619 730 746 788 823 852
Total 1,551 1,895 2,111 2,198 2,354 2,546 2,853
売上高 乗用車 41,318 53,426 57,410 61,660 64,307 73,584 83,809
商用車 28,813 36,394 42,348 44,388 44,947 46,575 53,164
Total 78,924 97,761 106,540 114,297 117,982 129,872 149,467
EBIT 乗用車 (500) 4,656 5,192 4,391 4,006 5,853 7,926
商用車 (792) 1,998 2,873 2,023 2,392 2,757 3,670
Total (1,513) 7,274 8,755 8,820 10,815 10,752 13,186
Net profit (2,644) 4,674 6,029 6,830 8,720 7,290 8,711
資料:Daimler Annual Report 各年版
(注)
1. 乗用車は Mercedes-Benz Cars 部門、商用車は Daimler Trucks、Mercedes-Benz Vans、Daimler Busesの合計。生産台数は両部門合計。
2. 売上高 と EBIT (Earnings Before Interest and Taxes)の Total には Financial Services 部門を含む。
3. 「( )」内の数値はマイナス値を表す。
4. 2014年の連結EBITと純利益には、Rolls-Royce Power Systems Holding の株式の売却益10億600万ユーロと、
Tesla株の再評価益 7億1,800万ユーロが含まれる。2015年の連結EBITと純利益には、タカタ製エアバッグに関連するリコール費用3億4,000万ユーロが含まれる。

Daimlerグループの2016年の見通し

グループ全体 グループ全体の売上高と販売台数は2015年を上回るが、伸び率は減速する見込み。乗用車部門とバン部門、地域別ではアジアと西欧市場が貢献する。利益面でも伸びを期待するが、2016年は為替影響は少ない見込み(2015年は為替影響により約9億ユーロ増益)。2016/17年に研究開発には年平均72億ユーロ(2015年比約37%増)、設備投資には平均70億ユーロ(同約9%増)を投じる計画。
乗用車部門 Mercedes-Benz Carsの販売台数は、2015年を大幅に超え、過去最高を更新する見込み。2016年3月に発売した大型SUV GLSのほか、最先端の安全運転支援システムを多数備えた新型E-Classが貢献する。PHVバージョンも順次投入していき、2017年には10のモデルライナップをそろえる。中国は、2015年の36.8%増よりは緩やかな伸び率だが、2016年も大幅増、米国と西欧は微増を見込む。
バン部門 Mercedes-Benz Vansは、販売台数の大幅増加を見込む。欧州では大幅増、北米、中国市場でも拡大していくとしている。
トラック部門 Daimler Trucksでは、2016年の販売台数は前年並みの見込み。西欧では微増が見込まれるものの、トルコ、ブラジル等では減少の見通し。
バス部門 Daimler Busesでは、西欧での販売が順調であれば、2015年と同水準の販売台数となる。ブラジルでは販売の大幅減、メキシコでは販売増が続く見込み。


PSA:2015年に純利益黒字化、2016-2021年の新経営戦略 “Push to Pass” を発表

PSAの地域別販売台数

 PSAは、2016年4月5日に社名を PSA Peugeot Citroen から Groupe PSA (PSAグループ)に変更すると発表。同時に、2016年から2021年を対象とする新経営戦略 "Push to Pass" を発表した。従来の経営戦略 ”Back in the Race” のもとで進めていた財務の再建は2015年で完了し、今後はグローバルに新商品と新技術を展開する計画。

 PSAグループの2015年の世界販売台数は、前年比1.2%増の297.3万台。欧州は5.9%増の186.4万台となったが、拡大を続けていた中国/東南アジアが0.9%減の73.6万台にとどまった。また、南米は21.4%減、ユーラシア(ロシアを含む)は72.6%減と昨年に引き続き大幅に減少した。

 2015年の売上高は前年比6.0%増の546.8億ユーロで、うち自動車部門は4.0%増の375.1億ユーロとなった。営業利益は前年の8.0億ユーロから27.3億ユーロに大幅増加。自動車部門の営業利益も前年の0.6億ユーロから18.7億ユーロに大幅に改善した。PSAは、新車投入、価格政策、固定費削減の効果が出たとしている。純利益は、前年の5.6億ユーロの赤字から12.0億ユーロの黒字に転じた。また、従来の目標として、2015-2017年で累積フリーキャッシュフローを20億ユーロ創出、自動車部門の営業利益率を2018年に2%、2019-2023年に5%とすると掲げていたが、いずれも2015年に達成した。

 新経営戦略 "Push to Pass" では、自動車部門の営業利益率を2018年までは平均4%、2021年までに6%とすることを目指す。また、グループの売上高を2015年比で2018年には10%増、2021年には15%増とする計画。



PSAの地域別世界販売台数

(1,000台)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 1-3月
2015年 2016年
欧州 2,063 1,758 1,629 1,761 1,864 439 465
欧州外 1,486 1,207 1,189 1,178 1,109 273 235
中国/東南アジア 2014年発表値より
地域区分を変更
564 742 736 186 153
南米 303 200 157 36 42
ユーラシア 74 44 12 2 2
インド/太平洋 21 22 24 7 5
中東/アフリカ 227 169 180 43 33
合計 3,549 2,965 2,818 2,938 2,973 712 700
資料:PSA presentation material 各年版, PSA monthly sales (March 2016)
(注) 2012年まではCKD車を含む。

PSA の連結業績

(100万Euro)

  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
売上高 48,417 56,061 59,912 55,446 53,079 51,592 54,676
(内自動車部門) 38,265 41,405 42,710 38,299 36,415 36,085 37,514
営業利益(Recurring operating income) (689) 1,796 1,315 (560) (364) 797 2,733
(内自動車部門) (1,257) 621 (92) (1,496) (1,039) 63 1,871
純利益 (1,161) 1,134 588 (5,008) (2,327) (555) 1,202
資料:PSA Full Year Results 各年版

PSAの2016年市場見通し

  • PSAによる各市場の見通しとしては、欧州では2%増、中国では5%増と市場拡大を見込んでいるが、南米では10%減、ロシアでは15%減と市場縮小を予測している。

新経営戦略 "Push to Pass" (2016年4月5日発表)

概要 2016年から2021年までの新経営戦略(2016年4月発表)。2015年で財務の再建が完了し、今後はグローバルに新商品と新技術で攻勢に出る計画。車の使用パターンの変化を予想して顧客のニーズを満たすことで、利益ある成長を図る。
中期目標 ・自動車部門の営業利益率:2016-2018年に平均 4%、2021年までに6%とする。
・グループの売上高:2015年比で2018年には10%増、2021年には15%増とする(為替レートは変わらないとの前提で)。
主な戦略 製品ラインアップの強化:乗用車26車種、小型商用車8車種(1トンピックアップを含む)を投入する。毎年、ブランドごと、地域ごとに1車種を投入し、ラインナップの若返りを図る(2018年には平均モデルライフは3.5年となる見込み)。
コア技術の強化:プラグインハイブリッド車(PHV)7車種、電気自動車(EV)4車種を投入、コネクテッドカー、自動運転車を展開


Renault:欧州での販売増・コスト削減で大幅増益が続き、2016年も業績拡大を狙う

Renaultの地域別販売台数

 Renaultの2015年の世界販売台数は、前年比3.3%増の280.2万台。市場別に見ると、欧州市場ではスペイン・英国・イタリアでの販売増が貢献し、前年比10.1%増の161.3万台と5年ぶりに160万台を超えた。しかし、欧州外市場の販売台数は118.9万台となり、4.7%減と2年連続の減少。アルジェリア・モロッコ・インドでの販売が伸びたアフリカ‐中近東‐インド市場を除いて、軒並み減少。同社にとって国別で第2位市場であるブラジル、そしてロシアでの販売減が響いた。

 ブランド別にみるとRenaultブランドが前年比2.4%増の217.1万台。SUVのCaptureやKadjarの販売が好調。DaciaブランドはLoganなどが牽引し、7.7%増の55.1万台となった。Renault-Samsungは2.6%減の8.0万台と低迷が続いている。

 2015年の売上高は前年比10.4%増の453.3億ユーロ。販売台数の増加や、韓国のSamsung工場での日産向け生産による収入が増えたため。営業利益は44.2%増の23.2億ユーロ。コスト削減と販売台数の増加で、大幅増益。純利益も48.1%増の29.6億ユーロとなった。

 2016年は、(為替レートに大きな変更がないという前提で)グループの売上高の増加と営業利益率の向上、自動車部門で引き続きプラスのフリーキャッシュフローの創出を目指している。



Renault のブランド別/地域別世界販売台数

(1,000台)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 1-3月
2015年 2016年
Renault 2,261 2,123 2,131 2,119 2,171 491 544
Dacia 343 360 430 511 551 137 132
Renault-Samsung 118 66 67 82 80 17 17
Worldwide 2,723 2,549 2,628 2,712 2,802 645 692
欧州 1,550 1,271 1,302 1,465 1,613 398 434
欧州外 1,173 1,278 1,326 1,247 1,189 247 259
内訳 ユーラシア 2014年発表値より
地域区分を変更
412 390 356 69 67
アフリカ-
中近東-インド
339 308 360 70 95
米州 467 417 355 80 72
アジア-太平洋 108 133 117 28 25
資料:Renault earnings report 各年版, Renault Group Sales (March 2016)
(注)
1. Lada ブランドは含まない。
2. Renaultは2014年発表より地域分類を大幅に変更した。Europe は西欧+中欧。新しいEurasiaの分類は(旧)Eurasia のロシアと CIS諸国に東欧 (ルーマニア, ブルガリア等)、トルコを加えた。Asia-Pacific には従来、中近東とインドが含まれていたが、新分類では Africa-Middle East-India に振り分けられた。

Renault の連結業績

(100万Euro)

  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
売上高 33,712 38,971 42,628 40,720 40,932 41,055 45,327
営業利益 (396) 1,099 1,091 782 1,242 1,609 2,320
純利益 (3,068) 3,490 2,139 1,712 695 1,998 2,960
資料:Renault earnings report 各年版
注:「( )」内の数値はマイナス値を表す。

Renaultの2016年市場見通し

  • Renaultによる市場の見通しとしては、世界全体では1-2%の成長を見込む。欧州市場は2%増の見通し。新興国では、ブラジルが6%減、ロシアが12%減と販売減少が続くが、中国(4-5%増)とインド(8%増)は増勢を維持するとしている。

Renault の2016年目標

  • Renaultの目標としては、グループの売上高の増加(為替レートに大きな変更がないことが前提)、グループの営業利益率の向上、自動車部門のフリーキャッシュフローを引き続きプラスとすることを目指す。
  • 2016年は、中国で現地生産を開始する(同年2月に東風Renaultの武漢市の工場が生産開始)ほか、世界で10のモデルを投入する計画。


FCA:Ferrariを上場・分離、2016年は北米/欧州で引き続き利益拡大の見込み

FCAの地域別販売台数

 FCAは高級車部門のFerrariを2016年1月初めに分離・独立させた。Ferrariの株式上場等により、事業再建のための必要資金を調達する計画。2015年の決算は、Ferrariを除いた業績を発表した。

 2015年の世界販売台数は、前年とほぼ同水準の461.0万台となった。地域別では、北米が前年比9.3%増の272.6万台、欧州が11.5%増の114.2万台と拡大。一方、南米は33.1%減の55.3万台、アジア太平洋地域は32.3%減の14.9万台と大幅に縮小した。ブランド別では、Jeepが過去最高の130万台を記録。小型SUVのRenegade、中型SUV のCherokeeが貢献した。

 2015年の売上高は前年比18.1%増の1,106.0億ユーロとなったが、EBITは7.4%減の26.3億ユーロ、純利益は74.1%減の0.9億ユーロ(Ferrariを含む純利益は40.3%減の3.77億ユーロ)となった。2015年の一時費用には、北米での生産能力調整費用8.3億ユーロ、リコール追加費用7.6億ユーロ、NHTSAの罰金1.4億ユーロなど、合計21.7億ユーロが計上されている。

 2016年は、グループ全体の売上高は1,100億ユーロ、特別損益を除いた調整後EBITは50億ユーロ、調整後純利益は19億ユーロを目標としている。また、2016年1月に、2014年5月に発表した「2014-2018年 5カ年計画」の改訂版を発表。計画が予定より早く進展しているとして、2018年の業績目標を上方修正した。



FCAの地域別世界販売台数

(1,000台)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 1-3月
2015年 2016年
北米 1,783 2,115 2,238 2,493 2,726 587 634
欧州/その他 1,180 1,012 979 1,024 1,142 319 352
南米 929 979 950 827 553 153 109
アジア/太平洋 74 103 163 220 149 59 54
高級車部門 13 14 22 36 32 6 7
合計 3,979 4,223 4,352 4,600 4,610 1,125 1,155
資料:Fiat Group Annual Report/FCA Full Year Results 各年版. FCA Monthly Sales Report (March 2016)

(注)
1.Chryslerの販売台数は2011年1月から含まれる。
2. 高級車部門は2013年まで Ferrari と Maserati、2014年以降は Maserati のみを含む。(Ferraiは2016年1月初めにFCAから分離した。)

FCAの連結業績

(100万ユーロ)

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
売上高 59,559 83,957 86,624 93,640 110,595
EBIT 3,467 3,541 3,002 2,834 2,625
純利益 (Ferrari を含む) 1,651 896 1,951 632 377
純利益       359 93
資料:Fiat Group Annual Report 各年版

(注)
1. Chryslerの業績は2011年6月分から含まれる。
2. 2014年以降の業績は、別途記載のない限り、 Ferrari を含まない。

FCAの2016年目標

グループ全体の売上高1,100億ユーロ (2015年は1,106億ユーロ)、一時費用調整後EBIT50億ユーロ(同48億ユーロ)、同純利益19億ユーロ(同17億ユーロ)を目標としている。北米と欧州では引き続き利益が拡大、南米では2016年下期にブラジルのPernambuco工場がフル稼働になれば、小幅ながら黒字になる見込み。アジアは下期に中国でのJeepの生産が本格化すれば、利益は拡大する。

FCAの中期計画(2014-2018年:2016年1月改訂)

2018年業績目標を
上方修正
(Ferrari除く)
  2015年実績 2018年の当初目標
(2014年5月時)
2018年の修正後目標
(2016年1月時)
売上高 1,106億ユーロ 1,290億ユーロ 1,360億ユーロ
調整後EBIT 48億ユーロ 83億~94億ユーロ 87億~98億ユーロ
調整後純利益 17億ユーロ 45億~53億ユーロ 47億~55億ユーロ
(純負債)現金 (50億ユーロ) 19億~24億ユーロ 40億~50億ユーロ
Jeepブランド
販売拡大
グローバル販売拡大・北米での増産・ブラジルと中国での本格生産開始により、Jeepブランド車の2018年の販売目標は200万台(2015年実績は130万台)。
Alfa Romeoブランド
新型車は先送り
中国市場の不確実な状況、研究・製品開発投資の削減等により、Giulia (2016年投入)と中型SUV (2017年投入)以外の新型車投入計画は先送り。ラインナップの完成は、当初計画から2年遅れの2020年半ばとなる予定。
北米での生産 北米での需要に対応するため、2017年末までにピックアップトラックとJeepのSUV車の生産能力を拡大する。新工場は建設せず、既存工場で調整する。小型車と中型セダンの生産は、委託生産も検討する。


LMC Automotive 生産予測:フランスのライトビークル生産は2019年に214万台へ

(LMC Automotive社、2016年3月)
フランスのライトビークル生産予測(LMC Automotive)

 フランスの2015年のライトビークル生産は、欧州市場の予想以上の回復が後押しし、前年比9.1%増の196万台となった。LMC Automotive社の2016年3月の予測によれば、フランスでの生産台数は、2017年に入るまでは210万台未満の見込み。2017年には、主要モデルの更新により生産が着実に拡大し、生産台数は218万台、2018年は224万台に増加する見通し。しかし、2019年には214万台に減少すると予測している。

 2015年のフランスでの生産台数は10年前の半分以下である。このような生産の落ち込みにより、近年の設備稼働率は低下している。2016年にはPSAのPoissy工場やMulhouse工場、RenaultのSandouville工場の生産能力が削減され、稼働率が69%に上昇した。しかしこれは、自動車業界で採算が取れるのに必要な稼働率(75-80%)より、まだはるかに低いため、長期的には工場のさらなる再編が実施されるだろう。

 PSAの生産台数は、2016年に2.4%増加し、99万5,000台となる見込み。しかし、2017年以降、同社の生産は徐々に減り、2019年には93万7,000台にまで縮小する。PSAは、フランスという高コストの生産拠点では利益率の高い製品を生産するという戦略を取っており、生産台数は減少する。フランスでのDSブランド車の生産は2016年から2019年までの間に2倍以上となる見込みだが、これだけでは同国内の他の拠点における生産減少を相殺するには足りない。フランスからは、利益率の低いCitroenとPeugeotの小型車の生産が、欧州の他の低コスト工場に移管されると予測される。

 Renaultの2016年のフランスにおける生産は、前年比5.6%増の67万6,000台となる見込み。この生産拡大は、欧州でのClioとEspaceに対する堅調な需要に支えられる見通し。さらに、Renault-日産連合は、フランスでの生産台数と設備稼働率を引き上げるために様々な対策を準備している。その一例として、同連合は2016年から次期Micraの生産をインドからフランスの工場に移管する。2017年以降、Renaultの生産は増え続け、2018年には76万2,000台に達するが、2019年には73万3,000台に減少する見込み。



フランスのライトビークル生産予測(LMC Automotive, March 2016)

(台)

  GLOBAL MAKE 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
Total 1,721,645 1,793,308 1,955,971 2,041,633 2,184,201 2,241,405 2,143,179
PSA Group Peugeot 523,125 598,105 645,645 697,584 783,418 762,950 700,322
DS 116,738 89,243 80,965 79,295 101,144 129,558 197,306
Citroen 274,988 260,782 245,293 218,214 86,250 70,469 39,273
PSA Group sub-total 914,851 948,130 971,903 995,093 970,812 962,977 936,901
Renault-Nissan Group Renault 485,249 510,922 640,253 673,795 686,921 681,478 659,914
Nissan 0 0 0 2,408 68,553 80,534 72,603
Renault-Nissan Group sub-total 485,249 510,922 640,253 676,203 755,474 762,012 732,517
Toyota Group Toyota 192,135 207,283 218,985 225,276 220,094 248,072 222,756
Daimler Group Smart 98,239 87,195 86,457 105,870 119,076 123,773 109,466
Mercedes-Benz 17,736 23,879 22,670 21,600 25,325 30,629 29,983
Daimler Group sub-total 115,975 111,074 109,127 127,470 144,401 154,402 139,449
General Motors Group Opel 0 0 0 168 62,762 83,001 82,904
Fiat Chrysler Automobiles Fiat 13,416 15,880 15,222 15,267 28,260 28,539 26,334
Other Bollore 0 0 462 2,135 2,377 2,381 2,297
Sovam 19 19 19 21 21 21 21
Other sub-total 19 19 481 2,156 2,398 2,402 2,318
Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (March 2016)"

(注)
1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
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