最新の電動関連技術:ボッシュ、シェフラー、ZF、NSK、NTN、ジヤトコ

48Vマイルドハイブリッドシステム、モーター駆動システム、ハイブリッドモジュールなど

2015/11/27

要 約

 本レポートは、有力サプライヤーの最新の電動関連技術を、東京モーターショー2015での出展内容から紹介する。

 ボッシュは48V 電源を用いたマイルドハイブリッドシステムを展示し、2016年頃には市場に投入予定。シェフラーは、既存のモデルにも適用可能なハイブリッドモジュールや、リアモーター電動システム、48V対応の電動スタビライザーなどを出展した。 ZFはEVコンセプトカーを展示し、操舵角が75度ある前輪や自動運転技術を訴求していた。

 NSKは歯車を使わないトラクション減速機とモーターを組み合わせた駆動システムを、NTNは左右輪をそれぞれ駆動しトルクベクタリング機能を備えた2モーター駆動システムを展示。ジヤトコはガソリン車だけでなくEV等にも将来的には変速機が必要になると考え、サイズ/重量/フリクションをそれぞれ40%低減したCVTを開発中。

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48V電源ハイブリッド:欧州各メーカー2016年以降一斉に製品化 (2015年2月)



ボッシュ:48Vハイブリッドシステムを2016年頃投入予定

 ボッシュが"Boost Recuperation System"と呼ぶ、48V マイルドハイブリッドシステムを展示。電装品の電圧を通常の12Vから48Vに引き上げることで、車内の消費電力を最大4kW程度から15kW程度まで上げることが出来る。マイルドハイブリッドシステム向けのモーター/ジェネレーターであれば、48V対応とすることで、駆動アシスト能力の向上と回生能力の向上を図ることが可能。12V対応電装品向けにはDC-DCコンバーターで降圧して電源を供給する。

 同社のBRSは48V対応モーター/ジェネレーター、リチウムイオン電池、DC-DCコンバーター等からなる。エンジンには最大10kWのアシストを行い、既存のアイドルストップシステム搭載モデルと比べて最大15%の燃費改善を図ることができるとのこと。

第一世代:既存のオルタネーターの搭載位置に、48V対応のモーター/ジェネレーターを搭載する。モーターの力はベルトを通してクランクシャフトに伝わり、エンジンをアシストする。車両の大幅な設計変更が必要ないメリットがある。 2016年頃から欧州メーカーで採用される見込みで、2017年からは本格的に市場投入される予定。

第二世代: モーター単独で駆動できるシステム。モーターのトルクはギアを通じて伝達され、 モーターの搭載位置はトランスミッションの前後で選ぶことが可能で、メーカーの要望に応じる。

ボッシュ社の48Vハイブリッド戦略についてはこちらのレポートもご覧下さい。

48V対応モータージェネレーター 48V対応モータージェネレーター 48V リチウムイオン電池。奥にあるのが、12Vへ電圧を変換するDC-DCコンバーター。 48V リチウムイオン電池。奥にあるのが、12Vへ電圧を変換するDC-DCコンバーター。
48Vハイブリッドシステムの全体像 48Vハイブリッドシステムの全体像

左写真の部品名。

1)クラッチアクチュエーターモジュール、2)エンジンコントロールユニット、3)12Vバッテリー、4)DC/DCコンバーター、5)48Vバッテリー、6)アクティブペダルモジュール、7)クラッチペダルモジュール、8)モーター/ジェネレーター

 



シェフラー:リアモーター駆動システム、ハイブリッドモジュール

リアモーター駆動システム

 後輪駆動用のEV駆動システム。2速のトランスミッションとトルクベクタリング機能付き。量産は2-3年後が目安とのこと。モジュール化されており、モーターだけ、トランスミッション付き 、減速機能だけなどいろいろなパターンで提供可能。FFの内燃機関モデルに搭載して、PHVとすることも想定。

 FF2モーターハイブリッドトランスミッションの構成

写真右にあるのが駆動用モーターで、その左にはトランスミッションが連結されている。 左上のモーターはトルクベクタリング用モーターで、駆動には用いられない。

 

ハイブリッドモジュール

 エンジンとトランスミッションの間に納めることが可能なハイブリッドモジュール。エンジンとトランスミッションを繋ぐクラッチとモーターを一体化した。AT, MT, CVT, DCTの各種トランスミッションと組み合わせることが出来る。モーター、クラッチ、ダンパーなどを一体で提供できるのが強みで、トルク容量/モーター出力は要望に応じる。2017年からの量産が決まっている。

ハイブリッドモジュールハイブリッドモジュール ハイブリッドモジュール

 

電動スタビライザー

 コーナーリング時に車両のロールを抑える可変スタビライザーを電動化した。油圧の可変スタビライザーより効率性と応答性に優れる。BMWの新型 7 Seriesに供給。定格トルクは1200Nm、捻り角±30度、重量約12kg(アクチュエーター及びECUを含む)。

 48V向けも用意しており、さらに効率性、応答性に優れる。2016年にドイツメーカーに供給する計画。

電動スタビライザー 電動スタビライザー(48V対応品)
捻り制御部分:遊星歯車減速ギアと48V対応ブラシレスDCモーターからなる。 捻り制御部分:遊星歯車減速ギアと48V対応ブラシレスDCモーターからなる。

車高調整アクチュエーター

 サスペンションに取付けて、車高をモーターとボールスクリューねじで調整する機構。高速道路などでは車高を下げて空気抵抗を抑える。エアサスより効率性・応答性に優れる。左右で高さを変えることでスタビライザーのように使うことも可能。開発中。

車高調整アクチュエーター 車高調整アクチュエーター

 



ZF:操舵角75度を持つコンセプトカー Advanced Urban Vehicle

 ZFが自社製造したコンセプトカーで、後輪にエレクトリック・ツイストビームと呼ぶ、半独立式のリアサスペンションと車輪近くに取付けた2つのモーター(出力40kW×2)を組み合わせたモジュールを採用。 ・前輪の操舵角は75度となっており、後輪が左右独立に駆動することもあり、回転直径は6.5m以下。 ・自動駐車システムを搭載。ドライバーは、運転席もしくは外部のスマートウォッチなどから自動駐車機能を起動することが出来る。システムは自動で周辺にある適切なスペースを選んで駐車する。コンセプトカーには12個の超音波センサーと2個の赤外線センサーを備えている。 ・PreVisionクラウドアシストは、走行に関する速度、緯度経度など様々な情報を記録。例えば、同じカーブを通ったときにシステムが最適な進入速度を計算。カーブでブレーキを踏まなくてすむように、事前にトルクを落とすことも出来る。 ・多機能ステアリングは、リム部分に有機ELディスプレイが取付けられ、PreVisonクラウドアシストの状態を表示する。また、ステアリングホイール全体にタッチセンサーがあり、運転手がハンドルを握っているかどうか感知する。

Advanced Urban Vechicle Advanced Urban Vehicle
エレクトリック・ツイストビーム エレクトリック・ツイストビーム

操舵角75度の前輪 操舵角75度の前輪

多機能ステアリング 多機能ステアリング

 



NSK:2つのモーター駆動システムを披露

ニューEVドライブシステム:高速モーターとトラクション減速機との組み合わせ

 小型高速(30000rpm)のモーターとトラクション減速機とを組み合わせて、車を駆動可能な動力機構とするシステム。高速モーターとトラクション減速機を合わせても、現行のEVモーターより軽量となる。 トラクション減速機は、歯車を使わずに、ローラーの間で圧縮された瞬間に堅くなる性質のオイルを介してトルクを伝える。ローラー同士が接しないため、摩擦損失が少なく、静粛性に優れている。

ニューEVドライブシステム ニューEVドライブシステム:左から、減速機、トラクション減速機、モーター。

ニューEVドライブシステム トラクション減速機の拡大写真

ホイールハブモーター:トランスミッション機能を備えるインホイールモーター

 2つのモーターを備えるインホイールモーター。モーターを2つ備えることで、トランスミッションの役割も果たす。ハイギアの時は2つのモーターは同方向に回転する。変速時は、車輪側のモーターが回転の向きを変えると、モーターに挟まれたワンウェイクラッチがキャリアを規制してローギアに変速する。

ホイールハブモーターホイールハブモーター ホイールハブモーター

 



NTN:2モーターオンボート駆動システム

 NTNは左右輪をそれぞれ駆動するモーター駆動システムを開発。このシステムには2組のモーターと減速機が備えられ、トルクベクタリング機能を有する。そのことで、旋回性能・スリップ路での走破性が高められる。 ハブベアリング/ドライブシャフトとも組み合わせてモジュール化して、カーメーカーへ一括で提案し、性能とコストを両立させたシステムとして訴求していく。販売目標は2025年度に15億円。

2モータオンボート駆動システム 2モーターオンボート駆動システム

 



ジヤトコ:サイズ/重量/フリクションが40%減のCVTを開発中

 ジヤトコの将来のCVT開発の方向性を、模型を使って展示。2020年をめどに、サイズ/重量/フリクションの3つの項目で40%減を目指す。そして、現状で80%台後半の伝達効率を93%程度まで引き上げることを狙う。現在、同社の試験車両でテスト中。課題は、コスト、品質、納期にあるとのこと。

 一つのCVTで、EV、FCV、HVを含む全てのパワートレインに対応できるようにしていく。現在、EVでは変速機はほとんど用いられていない。今後EVでも大型化、高速走行を求められるようになると、モーターを大型化していくより、小型のモーターと変速機を組み合わせて使っていく方がモーターの効率の良いところを使えるため、効率的になるとしている。その為には、CVTの効率を向上し、軽量化・小型化していくことが必要。

2モータオンボート駆動システム CVT Future Concept:ガソリン車、ハイブリッド車、EVでCVTを利用していく未来を示している。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>