フランクフルト モーターショー 2015 (3) :トヨタ、日産、マツダ、現代自などの展示取材

4代目プリウスがモーターショー初公開、マツダのコンセプトカー「越 KOERU」が人気

2015/10/16

要 約

トヨタプリウス
マツダ越(KOERU)

 フランクフルト モーターショー2015取材レポートの最後となる3本目は日韓メーカーを取り上げる。

 トヨタは、今回がモーターショーでの世界初披露となる、4代目プリウスを出展。技術詳細は会場では公表されていなかったが、10月に入ってから発表があり、その内容も織り込みレポートする。
 また、同社はコンパクトクロスオーバーSUVであるC-HR Conceptの5ドアバージョンも初披露。2016年のジュネーブショーで市販モデルを公開予定。

 日産は、新たなクロスオーバーコンセプトGRIPZを初披露。パワートレインは、シリーズハイブリッド方式を採用。また、Daimlerとの提携に関係した、1トンピックアップNP300と、Infinitiブランド初のコンパクトモデルQ30も出展。

 マツダは、新たなセグメントの確立を目指すクロスオーバーコンセプト「越 KOERU」を初披露。そのスタイルは、欧州のプレス陣からも人気を得ていた。
 ホンダは二輪車と四輪車をイメージしたコンセプトカーHonda Project 2&4 powered by RC213Vを、スズキは新型コンパクトカーBalenoを初披露した。

 韓国ブランドでは、現代、起亜、双竜の3ブランドが出展。現代ブランドは高性能車サブブランド「N」を発表し、高級クーペのコンセプトVision G Coupe Conceptも披露。

フランクフルトモーターショー2015 取材レポート
(1):Daimler、BMW、VWの展示取材
(2):欧州・米国メーカーの展示取材



トヨタ:4代目プリウスと、コンパクトクロスオーバーSUV コンセプトを初公開

  トヨタは、フランクフルトショーで、4代目プリウスをモーターショーでは世界初披露。合わせて来年2016年のジュネーブショーで市販モデルを公開予定のコンパクトクロスオーバーSUV C-HR Conceptの5ドアバージョンも初披露した。

  4代目プリウスは車体が公開されていたものの、燃費性能をはじめ詳細は会場では公表されておらず、多くの業界関係者は車体の内装・外装の写真を撮り、ベンチマークしている様子が伺えた。一部技術詳細は10月に入ってから発表があり、その内容も織り込んで報告する。

 

4代目プリウス4代目プリウス 4代目プリウス:フランクフルトモーターショーにて

4代目プリウス:新しいHVシステムとTNGAを採用した世界最量販HVの新型

 4代目プリウスは、6年半ぶりにフルモデルチェンジされる世界最量販HV。燃費性能は20%以上改善し、一部グレードでは40.0km/L (JC08モード)を目標としている。プリウスでは初めて、電気式四輪駆動モデルも用意。2015年12月から日本で販売を始め、世界各国・各地域でも順次投入していく予定。

TNGAを初採用

・トヨタが開発している新たなモジュラー型プラットフォームTNGA(Toyota New Global Architecture)が初めて採用されるモデル。全長は従来型より60mm長い4,540mm、全幅は15mm広い1,760mm、全高は20mm低い1,470mmとし、ホイールベースは従来同様2,700mmとした。ノーズの先端を70mm、フード後端を62mm低くし、従来型より低重心を実現して、ドライビングパフォーマンスを高めた。Cd値は0.24を達成。 ・ボディのねじり剛性は従来型から60%向上:環状構造の採用、レーザースクリューウェルディング、構造用ボディ接着剤を採用したことによる。 ・ホットスタンプ材を利用するなどで、980Mpa以上の超高張力鋼板の採用率を従来の3%から19%に拡大。

 

TNGAプラットフォーム TNGAプラットフォーム(トヨタ提供)
日の字環状構造 日の字環状構造(トヨタ提供)

 

新世代ハイブリッドシステム

エンジン エンジンは最大熱効率40%を実現した、排気量1.8Lの改良型2ZR-FXEエンジンを採用。吸気ポートやピストン形状の改良によって燃焼室の気流の改善、大容量EGRの導入、低フリクション化などを進めた。
トランスアクスル トランスアクスルは、モーターの複軸配置、リダクションギアの構造をプラネタリギヤから平行軸歯車へ変更して、従来型より小型化し(全長を47mm短縮)、機械損失を20%低減した。 モーターも新しい巻線方式(セグメントコイル分布巻)を採用して、20%以上の損失低減を図り、20%以上の軽量化も実現。トランスアスクルとモーター合わせて約6%の軽量化を行った。
パワーコントロールユニット パワーコントロールユニットは、20%の損失低減を図りつつ、33%の小型化と11%の軽量化を図ることで、トランスアスクル上部に搭載を可能とした。余裕が出来たエンジンルームのスペースには補機バッテリーを、ラゲージスペースより移動した。
駆動用バッテリー 駆動用バッテリーは、リチウムイオン電池とニッケル水素電池を共に新開発。ニッケル水素電池は、先代モデルと比べて2%の軽量化と10%の小型化を実現。リチウムイオン電池は、プリウスαに採用されているものと比べて31%の軽量化と6%の小型化を図った。小型化したことで、搭載箇所をラゲージスペースからリアシート下に移動し、ラゲージ容量を446Lから502Lへ拡大することが出来た。
次世代ハイブリッドシステム 次世代ハイブリッドシステム(トヨタ提供)
1.8L 2ZR-FXEエンジン
カットモデル 1.8L 2ZR-FXEエンジン カットモデル(トヨタ提供)
トランスアクスル トランスアクスル(トヨタ提供)
パワーコントロールユニット パワーコントロールユニット(トヨタ提供)

 

C-HR Concept:2016年のジュネーブショーで市販モデルが公開予定のコンパクトクロスオーバーコンセプト

 今回展示されたC-HR Conceptは、 コンパクトクロスオーバーのコンセプトカーの2代目。初代は2014年のパリモーターショーで初披露された3ドアモデル。今回のフランクフルトショーでは、より市販化を意識したデザインとなり、5ドアモデルとなった。市販モデルは2016年3月のジュネーブモーターショーで披露される予定。

 新型プリウスと同様に、新しいHVシステム、TNGAが採用される。サイズはBセグメントとCセグメントの間に位置するSUVになるとしている。

 

C-HR ConceptC-HR Concept C-HR Concept

 

 



日産はクロスオーバーコンセプトGRIPZを初披露し、Daimlerとの協業モデルInfiniti Q30とNP300を出展

 日産は、今回のフランクフルトショーでは、新たなクロスオーバーコンセプトGRIPZ Conceptを初披露。ラリーカーやレース用自転車から着想を受けたデザインはガルウィングドアが大きな特徴で、パワートレインは同社のEV Leafの技術を使ったシリーズハイブリッド方式を採用。

 また、Renault-日産はDaimlerとの提携関係を強化しており、今回のショーでも関係するモデルを展示。日産ブランドでは1トンピックアップNP300の新型を欧州初披露。Mercedes-Benzブランドのピックアップトラックのベースモデルとなる予定。 別のホールで出展した、InfinitiブランドではコンパクトモデルQ30を世界初披露。Mercedes-Benzブランドの小型車用のプラットフォームを共有している。

 

GRIPZ Concept:スポーツクロスオーバーコンセプトにシリーズハイブリッドシステムを搭載

 日産は、スポーツ クロスオーバーコンセプトGRIPZ Conceptを初披露。ラリーカーやレース用自転車から着想を得てデザインされた。フロントドアにはガルウィングドア、リヤドアには後ろ開きのハーフドアを採用し、Bピラーはない。サイズは全長4,100×全幅1,890×全高1,500mm、ホイールベースは2,580mm。

 パワートレインには、シリーズ・ハイブリッドシステム「Pure Drive e-Power」を搭載、モーターにはEV Leafと同じものを採用、最高出力は80kW、最大トルク254Nm。発電はガソリンエンジンが行う。

 

GRIPZ ConceptGRIPZ ConceptGRIPZ Concept GRIPZ Concept:スポーツクロスオーバーコンセプト

 

NP300:新型1トンピックアップトラック、Mercedes-Benzブランドのピックアップトラックのベースモデルへ

 日産は1トンピックアップの新型NP300 をフランクフルトショーで欧州初披露。Daimlerはこの車両をベースにMercedes-Benzブランドのピックアップを開発し、スペインの日産工場、アルゼンチンのルノー工場で2020年までに生産を開始する予定。

 NP300の欧州仕様モデルは、2.3L ディーゼルエンジンを搭載し、6速MTを標準搭載するほか7速ATも用意。牽引能力は最大3,500kgで、荷台の長さは先代より67mm長く1,578mm(ダブルキャブモデル)となっている。

 

NP300NP300 NP300:新型1トンピックアップトラック

 

Infinitiブランド初のコンパクトモデルQ30:Mercedes-Benzのプラットフォームを採用

 日産の高級車部門Infinitiブランドは、フランクフルトショーで、同ブランド初のコンパクトカーQ30を初披露。2013年のフランクフルトショーで公開されたコンセプトカーQ30 conceptのデザインがほぼ踏襲されている。生産は、日産の英国Sunderland工場で行われ、2015年末から販売予定。

 このモデルはDaimlerとRenault-日産の協業モデルの一つで、Mercedes-Benzブランドの小型車向けのプラットフォームを採用し、エンジンも一部Mercedes-Benzから供給される。  サイズは全長4,425×全幅2,083×全高1,495mm(「Sport」は1,475mm)、ホイールベースは2,700mm。エンジンは、ガソリンが1.6Lと2.0L、ディーゼルは1.5Lと2.2Lが設定され、トランスミッションは7速DCTと6速MTが設定される。

 

Q30:Infinitiブランド初のコンパクトモデルQ30:Infinitiブランド初のコンパクトモデル Q30:Infinitiブランド初のコンパクトモデル

 

 



マツダ、ホンダ、スズキの展示:マツダのコンセプト「越 KOERU」が人気

 

マツダ:クロスオーバーSUVのコンセプト「越 KOERU」を初披露

 「越 KOERU」は、「既存の概念や枠組みを越える」ことを目指した、新たなセグメントの確立を目指すクロスオーバーコンセプト。中型ワゴン、クーペ、SUVを融合したスタイル。将来のマツダのライナップの一端を示すものだとしている。欧州のプレス陣からも人気を得ており、プレスデー2日目になっても取材に訪れている取材陣が多かった。

 全長×全幅×全高は、4,600 × 1,900 × 1,500(mm)。マツダの既存車種と比べると、全長と全幅はコンパクトSUV CX-5に比べ60mmずつ大きく、全高はサブコンパクトSUV CX-3よりも50mm低い。また、コンパクトハッチバックAxela (Mazda3)と比べると全長が140mm大きく、全高が80mm高い。また、「越 KOERU」のホイールベースは2,700mmで、これはCX-5とAxelaと同じとなっている。

 

マツダ「越(KOERU)」マツダ「越(KOERU)」マツダ「越(KOERU)」 マツダ「越 KOERU」:クロスオーバーSUVのコンセプト、ヘッドランプにはLED導光リングを採用

 

ホンダ:Honda Project 2&4 powered by RC213Vを展示、二輪車と四輪車をイメージしたコンセプトカー

 Honda Project 2&4は1960年代のF1に参戦していたマシンをモチーフにしたコンセプトカー。ミッドシップにエンジンを搭載する四輪車であり、ボディ構造などは二輪車のようにデザインされている。全長×全幅×全高は3,040 × 1,820 × 995(mm)。重量は405 kg。

 エンジンは、競技用二輪車の公道仕様モデル「RC213V-S」に搭載されている999ccV型4気筒エンジンを採用。最高出力は215ps/13,000rpmで、専用に開発した6速DCTと組み合わせた。計器板はヘッドアップディスプレイのように、パネルの後ろから照射して、パネルに映し出すものになっている。

 なお、Honda Project 2&4はホンダのデザイナーによる社内コンペティション「グローバルデザインプロジェクト」で選ばれたコンセプトモデル。

 

Honda Project 2&4 powered by RC213VHonda Project 2&4 powered by RC213VHonda Project 2&4 powered by RC213V Honda Project 2&4 powered by RC213V

 

スズキ:新型コンパクトカーBalenoを初披露

 スズキは新型コンパクトカー、5ドアハッチバックBalenoを初公開。2015年3月のジュネーブショーで披露された、コンセプトカー「iK-2」をベースとした量産モデル。新たに設計されたBセグメント向けのプラットフォームを採用。欧州では、2016年春に販売を予定。

 1.0L直噴ターボエンジン、1.2L エンジン、ISG(Integrated Starter Generator)と1.2L エンジンと組み合わせたマイルドハイブリッドシステム(SHVS: 注)搭載モデルが設定されている。マイルドハイブリッドモデルのCO2 排出量は93g/kmで、1.2L エンジンモデルは101g/km。  

(注)このマイルドハイブリッドシステムはSmart Hybrid Vehicle by Suzuki(SHVS)と呼ばれ、日本ではソリオに搭載されており、軽自動車向けにはS-エネチャージと呼ばれるシステム。

 

スズキ:新型コンパクトカーBalenoスズキ:新型コンパクトカーBalenoマイルドハイブリッドシステム スズキの新型コンパクトカーBaleno:1.2Lエンジンと組み合わせた、マイルドハイブリッドシステムも設定される

 



現代、起亜、双竜の展示:現代は高性能車サブブランド「N」を発表

現代ブランド:サブブランド「N」を発表、高級クーペのコンセプトも出展

 現代自動車は、今回のフランクフルトショーで高性能車サブブランド「N」を発表。Daimlerの「AMG」、BMWの「M」などを意識したサブブランド。韓国の南陽(Namyang)研究所内に高性能車両専用の開発チームを新設し、ニュルブルクリンク(Nurburgring)において検証を実施している。Nは両拠点の頭文字から取った。Nブランドを冠したモデルは2017年に発売される予定。今回のショーではNブランドの方向性を示す3台のモデルを展示。

RM15(Racing Midship 2015):Nブランドの将来の技術の方向性を示すコンセプトモデル。2.0L 直噴ターボエンジンと6速MTとを組み合わされ、最高出力300ps/6,000rpmを発揮。エンジンとトランスミッションはシートとリアアクスルの間に搭載されるミッドシップレイアウトとなっている。車体はアルミフレームとCFRPを車体パネルを用いて軽量化を図り、鉄を使う場合と比べて195kgの軽量化を図っている。

N 2015 Vision Gran Turismo: レーシングゲーム「Gran Turismo」に登場するモデルとして設計された。パワートレインは燃料電池とスーパーキャパシタの組み合わせを想定し、システム最大出力は650kW (884ps)。

新型 i20 WRC: 2016年のWRC(World Rally Championship)に出場する競技車のプレビューモデル。

 

RM15(Racing Midship 2015) RM15(Racing Midship 2015)
RM15の車体 RM15の車体:アルミニウムとCFRPを組み合わせた
N 2015 Vision Gran Turismo N 2015 Vision Gran Turismo
新型 i20 WRC 新型 i20 WRC

 

現代ブランドの高級クーペのコンセプト Vision G Coupe Concept

 モーターショーでは初披露となった、現代ブランド初の高級クーペのコンセプトモデル。キーワードは「Chivalry(騎士道)」。5.0LのV8(最高出力420hp)を搭載。計器板には幅広のディスプレイを設置し、センターコンソールには「Remote Wheel」と名付けた、機器を操作する円形タッチパネルを設置した。

 

Vision G Coupe ConceptVision G Coupe ConceptVision G Coupe Concept 現代ブランドの高級クーペのコンセプト Vision G Coupe Concept

 

起亜ブランド:小型SUV 新型Sportageを初公開

 現代自グループ傘下の起亜ブランドは、小型SUV 新型Sportageを初公開。先代より全長で(4,480mmへ)40mm、ホイールベースで(2,670mmへ)30mm大きくなり、居住性を高めた。衝突安全性能を向上させるため、車体での超高張力鋼板の使用量を先代の18%から51%へ高め、車体のねじり剛性を39%向上させた。また、ホットスタンプ材もA/B/Cピラー、サイドシル、ルーフの構造材に採用。  SportageはスロバキアのZilina工場で生産され、2014年には欧州で9.7万台を販売。起亜ブランドにとって、欧州販売の4分の1以上を占める欧州最量販モデル。

 

起亜ブランドの小型SUV 新型Sportage起亜ブランドの小型SUV 新型Sportage 起亜ブランドの小型SUV 新型Sportage

 

双竜(Ssangyong):2台のコンセプトSUVを初披露

 インド マヒンドラ傘下の韓国メーカー双竜はSUVを主なモデルとするメーカー。同社はコンパクトSUV Tivoliを2015年に欧州で発売した。 今回のフランクフルトショーでは、2台のコンセプトカーを披露。XLV-AirはTivoliのロングホイールバージョンの生産準備モデル。2016年初に発売を予定。  もう一台のXLV-Adventureは後輪に2つのモーターを搭載したハイブリッドSUVのコンセプト。次世代の小型SUV Korando(Tivoliより大型)を示唆するモデル。

 

XLV-Air XLV-Air

XLV-Adventure XLV-Adventure

 

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>