ブラジル:経済低迷により2015年販売見通しは21%減の278万台

各社は減産で対応する一方、市場の将来性を見込んで生産拠点は増強

2015/08/31

要 約

ブラジルの自動車販売台数

ブラジルの自動車生産・輸出台数

 ブラジルでは、国内経済の低迷により需要が減少し、自動車市場の縮小が続いている。主要輸出先のアルゼンチンとの自動車貿易は相互依存の関係にあり、景気低迷の影響も相互に受けている。また、政府の保護主義的な政策が、自動車産業に影響を及ぼしている。


 世界第4位のブラジルの自動車市場は、2012年に過去最高の380万台を記録した後に低迷。2014年は前年比7.1%減の350万台にとどまった。同年の生産台数は前年比15.3%減の315万台、うち輸出は41.1%減の33万台。国内需要低迷と主要輸出先であるアルゼンチン向け輸出の減少により、生産も減少した。

 2015年に入ってからも低迷が続き、ブラジル自動車工業会 (ANFAVEA) は、2015年初頭に発表した2015年通年見込みを4月と6月の2度にわたって下方修正。最新の予測では、販売を前年比20.6%減の278万台、生産を17.8%減の259万台と予測。輸出見込みは1.0%増の34万台を維持している(中大型商用車を含む)。

 ブラジル政府は国内生産を保護するため、2017年末まで輸入車に対する工業製品税 (IPI) を30%ポイント引き上げている。また2013~17年の新自動車政策では、研究開発への投資や製造工程の現地化を条件に、上記のIPI税率引き上げを減免するとして、国内生産の振興を図っている。

 現地生産を行うOEM各社は、需要低迷に対応して相次いで生産調整を行っている。その一方、ブラジル市場の将来性を見込んだ競争力強化のための中長期的投資計画や、IPI税率引き上げを免れるための現地生産化も進めている。


 LMC Automotiveが2015年第2四半期に発表した予測によると、2015年のブラジルでのライトビークル販売は前年比21%減の260万台となる見込み。状況の悪化により、250万台に下振れする可能性も高い。高い失業率と物価の高騰により、消費者は慎重な姿勢を強めている。深刻な経済低迷により、販売が300万台に戻るのは2019年以降となる見通し。

 
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