ロシア:原油安・欧米の制裁により市場低迷、回復は2017年以降か

GMは工場閉鎖・Opel撤退、多数のメーカーは減産で対応

2015/04/30

要 約

ロシアの自動車生産・販売台数 ロシアの2014年の自動車販売は前年比10.3%減の249万台 (大型商用車を除く)。2012年には過去最高の294万台を販売し、ドイツに続く欧州第2の市場となったが、2013年は景気減速により販売は減少。2014年にはウクライナ危機に伴う欧米の対ロシア制裁や原油価格の低下を背景とする経済低迷により、さらに市場が冷え込んだ。

 政府は支援策を実施して自動車市場を下支えしているが、2015年に入っても販売は引き続き低迷している。Association of European Businessesの2015年の販売見通しは前年比24.1%減の189万台(1月発表)。原油安と制裁は長期化すると予想され、自動車市場の見通しは不透明である。LMC Automotive社によれば、市場の回復は2017年以降となる見込み。

 ロシアの2014年の生産台数は189万台で、前年より13.3%減少した。GMはロシア市場の回復には時間がかかると見て、2015年内に自社工場を閉鎖し、Opel車と大半のChevrolet車の販売を中止すると表明した。一方、多数のメーカーは大幅減産で対応している。

 これまで多くのメーカーは、ロシア市場の長期的な成長に期待して、現地生産・現地調達率を拡大してきた。日産は2014年にSt. Petersburg工場の年産能力を10万台に引き上げ、FordはSollersとの合弁工場に最新設備を導入して刷新した。2015年初めにはRenault-日産-AvtoVAZがロシアでの共同購買を一本化した。トヨタは2015年末までにSt. Petersburg工場の年産能力を10万台に倍増する計画。中国の力帆汽車と長城汽車も新工場の建設計画を進めている。今後、各社はロシア市場の動向を注視しながら、ロシア事業を進めて行くと見られる。

 
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