燃料電池車:トヨタはミライを発売、2020年代に年数万台の販売を目指す

2015年のミライ生産計画は700台、国内販売は400台

2014/12/25

要 約

トヨタ・ミライ
トヨタ・ミライの外観
(写真はトヨタのメディア向け資料、以下同様)

 トヨタは、約20年間の開発期間を経て、2014年12月15日に量販型燃料電池車(FCV)「ミライ(MIRAI)」を日本国内で発売した。価格は税込み723万6,000円だが、国からの補助金最大202万円を差し引くと、実質負担額は521万6,000円、さらに地方自治体の補助金も計画されている(東京都は約100万円など)。

 ほとんどのトヨタ販売店にミライが展示されない静かな発売だが、発売日時点で既に約1,000台を受注しているため、現在注文しても納車は1~2年後になる見込み。トヨタは、全く新しい技術なので、慎重に1台1台を丁寧に生産し販売するとしている。2015年末までに、現在の年産700台を2,000台へ増強する。

 販売計画は、国内で2015年末までに400台。欧米では2015年夏に発売し、欧州では2016年に50~100台、カリフォルニア州でZEV規制が強化される米国を最大の市場と位置づけ、2017年末までに米国で累計3,000台程度の販売を目指す。

 水素の価格については、岩谷産業は1,100円/kgにすると発表した。ガソリン価格が160円/Lの場合、ミライの燃料代はトヨタのハリアー・ハイブリッド車(JC08モード走行燃費21.4km/L)の燃料代にほぼ並ぶ。

 水素ステーションは、現在経済産業省の補助金を得て建設が決定しているのは45カ所だが、セブン-イレブンに併設するステーションが決定し、またホンダと岩谷産業は独自開発した小型のステーション「スマート水素ステーション」の設置を進める計画。

 当面ミライの販売台数は限定され、ホンダの量販型FCVの発売予定は2016年1~3月で、FCVと水素ステーションの普及はゆっくりとしたペースで進む見込み。トヨタは、2020年代に年間数万台規模の販売を目指すとしている。


関連レポート: 水素・燃料電池展2014と普及型FCV発売計画 (2014年3月掲載)



トヨタ:FCV「ミライ」を2014年12月に発売

 トヨタは、量販型燃料電池車(FCV)「ミライ」を12月15日に、水素インフラ整備が先行する東京、名古屋、大阪、北九州地域で発売した。

 FCスタックや高圧水素タンクなどを車両中央部の床下に配置して低重心化し、操縦安定性を高めた。5人乗りも技術的には可能だが、高級車ということで、あえて4人乗りにしたとしている。1回の水素充填でJC08モード650kmの走行が可能。

 FCスタックは、世界初の3Dファインメッシュ流路(3次元的な微細格子構造の流路で、空気(酸素)の拡散性を向上させセル面内の均一な発電を実現する)などにより発電効率を高め、また加湿器なしで湿度を調整できる技術を開発し、高性能・小型化した。

 高圧水素タンクは、東レ製炭素繊維強化樹脂を採用し、タンク貯蔵性能を約20%向上させ、タンク本数を従来の4本から2本に減らした。

 

トヨタ・ミライのリア&サイドビュー 燃料電池自動車イメージ図
トヨタ・ミライのリア&サイドビュー トヨタの燃料電池自動車イメージ図
(実際の配置とは異なる)
上から見たTFCS 横から見たTFCS
上から見たトヨタフューエルセルシステム(TFCS) 横から見たTFCS、FCスタックや高圧水素タンクを
車両中央部の床下に配置し、低重心化を図った。

 

トヨタ・ミライの主要諸元

全長 4,890mm
全幅 1,815mm
全高 1,535mm
ホイールベース 2,780mm
トレッド フロント/リア 1,535/1,545mm
最低地上高 130mm
 
室内長 2,040mm
室内幅 1,465mm
室内高 1,185mm
車両重量 1,850kg
乗車定員 4名

資料:トヨタ広報資料 2014.11.18

 

トヨタフューエルセルシステム(TFCS)主要諸元

FCスタック 名称 トヨタFCスタック
種類 固体高分子形
体積出力密度 3.1kW/L
最高出力 114kW (155PS)
加湿方式 内部循環方式(加湿器レス)
高圧水素タンク 本数 2本
公称使用圧力 70MPa(約700気圧)
貯蔵性能(注) 5.7wt%
タンク内容積 122.4L(前方60.0L/後方62.4L)
モーター 種類 交流同期電動機
最高出力 113kW(154PS)
最大トルク 335Nm (34.2kgf・m)
駆動用バッテリー 種類 ニッケル水素電池

資料:トヨタ広報資料 2014.11.18
(注)タンクの重量に対する水素貯蔵量(重量)の割合。

 

ミライは、環境性能と利便性を両立

 ミライは、燃料電池技術とハイブリッド技術が融合したトヨタフューエルセルシステムを採用。内燃機関に比べてエネルギー効率が高く、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能に加え、3分程度の水素の充填で走行距離650kmを達成するなど、ガソリンエンジン車と同等の利便性を実現した。

 

ミライが採用した新技術

トヨタフューエル
セルシステム
(TFCS)を
自社開発
トヨタFCスタック  新型トヨタFCスタックは、最高出力114kWを達成。セル面内での発電を均一化する3Dファインメッシュ流路の採用(世界初)などにより、発電効率を高めて高性能・小型化を実現し、2008年に発表した「トヨタFCHV-adv」に比べて2.2倍の出力密度となる3.1kW/L(世界トップレベル)を達成。
 発電効率に大きな影響を与えるセルの電解質膜の水分(湿度)コントロールは、発電によって生じる水をセルの内部で循環させる内部循環方式とし、これまでFCVには必要不可欠であった加湿器を不用とする加湿器レスを実現(世界初)。
FC昇圧
コンバーター
 トヨタFCスタックで発電した電気を650Vへ昇圧する小型・高効率の大容量コンバーターを新開発。高電圧化により、モーターの小型化とトヨタFCスタックのセル数削減を可能とし、TFCSの小型・高性能化とシステムコストの低減に寄与した。
高圧水素タンク  燃料となる水素を70MPa(70メガパスカル・約700気圧)の高圧で貯蔵するために、3層の構造とし、炭素繊維強化樹脂などを素材として活用。「トヨタFCHV-adv」に搭載の高圧水素タンクに比べてタンク貯蔵性能を約20%向上させ、5.7wt%(世界トップレベル)を達成するとともに、軽量・小型化を実現。
安心・安全装備 FCVとしての
安全対策
 水素透過抑制性能、強度、耐久性に優れた高圧水素タンクを開発。
 衝突エネルギーを多くの部材に効率よく分散吸収させる構造の採用などにより、前面、側面、後面の衝突に対し、トヨタFCスタックや高圧水素タンクを保護する高い衝突安全性を実現。
先進安全装備を
標準装備
 プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)、レーンディパーチャーアラート、シフト操作時における急発進、急加速を抑制するドライブスタートコントロール、ブラインドスポットモニターなどを標準装備。
走りの楽しさを
追求した優れた
操縦安定性と
静粛性
走りの楽しさ  高出力なトヨタFCスタックと電池のパワーの最適制御によりモーターを駆動し、全車速域で俊敏な応答性を実現。アクセルを踏み込んだ瞬間から一気にトルクが立ち上がり、その後もパワフルでスムーズな加速が得られる走りを実現。
操縦安定性  トヨタFCスタックや高圧水素タンクなどを車両中央部の床下に配置し、低重心と優れた前後バランスを実現するとともに、リヤサスペンションまわりの剛性強化を始めとした高剛性ボディの採用などにより、操縦安定性と快適な乗り心地を高い次元で両立。
大容量外部電源供給システム  災害などの停電時に、約60kWhの大容量、かつ最大9kWの電力供給量を持ち、給電器(別売)に接続することにより、トランク内に設定されたコンセントからの電力をDCからACに変換し、住宅や家電の電源としての利用が可能。

資料:トヨタ広報資料 2014.11.18

 

 



FCVミライの価格:実質負担額は521万円、東京都はさらに100万円を補助

 ミライの消費税込み価格は723万6,000円、国の補助金は最大202万円で、これを利用すると521万円程度となる。さらに東京都などは独自に補助する計画(東京都は約100万円)で、購入者の負担は421万円程度となる予定。

 トヨタのFCVのコストは、10年前に比べ1/20になったとされる。高価な白金の使用量を2008年比で1/3に減らしたことの効果もあるが、量産化のめどがついたことが大きく、市販に耐えうる信頼性、運転条件、耐久性を確立し量産する準備が整ったことがコスト削減の9割を占めるとのこと。これまでのFCVは、1台ずつ製造しており、約1億円のコストがかかると言われてきた。

ミライの購入実質負担額

メーカー小売希望価格(消費税込み) 7,236,000円
CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金 最大2,020,000円
差引負担額 約5,216,000円
その他減税の優遇
エコカー減税 自動車重量税 約30,000円
自動車取得税 約180,900円
自動車グリーン税制 翌年度の自動車税 約22,000円
減税額合計 約232,900円
資料:トヨタ広報資料 2014.11.18
(注) 1. 実質負担額521万円は、ほぼクラウンアスリート(2WD)の3,672,000円(2.5L車)~5,914,285(3.5L車)に相当する。
2. 地域によっては、国の補助金に加えて、地方自治体の補助金が支給される。東京都の場合は約100万円の予定。他に愛知県、福岡県、大阪府などが計画している。

 

 



2015年末までに700台を生産、さらに200億円を投資し3倍増の計画

 トヨタのミライ販売計画は、国内で2015年末までに400台。欧米では2015年夏に発売し、欧州では2016年に50~100台、カリフォルニア州でZEV規制が強化される米国を最大の市場と位置づけ、2017年末までに米国で累計3,000台程度の販売を目指す。

 国内では、12月15日の発売時点で、官公庁・自治体を中心に1,000台を受注している。2014年12月~2015年末の生産計画700台では供給が不足するとして、FCスタックを生産する本社工場と車両を生産する元町工場に約200億円を投資して、2015年末までに生産台数を約3倍の年2,000台程度に増やす。

 トヨタは、2020年代には年間数万台を生産し、2025年頃には、同クラスのガソリン車との価格差を、現在のハイブリッド車とガソリン車の価格差程度とすることを目指すとしている。

 

 



岩谷産業の水素価格:FCVの燃料代は中型ハイブリッド車並

 2014年11月、岩谷産業は、同社のステーションで販売する水素の価格を1,100円/kgにすると発表した。ガソリン代を160円/Lとすると、トヨタ・ミライの燃料代はトヨタHarrier HVとほぼ同額となる。

 この水素価格は、岩谷産業にとって将来の大きな需要を見込んだもので、現在は全く採算割れの価格とされる。

 2014年12月18日に、練馬区に水素ステーションをオープンした東京ガスは、水素価格を同クラスのガソリン車並に設定するとしている。

岩谷産業の水素燃料価格は1,100円/kg、燃料代は中型ハイブリッド車並

 資源エネルギー庁が2014年6月に発表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、水素ステーションで販売する水素の価格は、2015年に同クラスのガソリン車の燃料代と同等以下、2020年にはハイブリッド車の燃料代と同等以下、を目指すとしている。
 岩谷産業は、上記レベルの価格実現を目指して準備を進め、2014年11月、同社の水素ステーションで販売する水素の価格を、100円/Nm3(注)、重量表示にして1,100円/kgにすると発表した(都心部の水素ステーションにおける価格、消費税は含まず、「液化水素」を原料として供給する水素ステーションにおける価格)。これまで、ステーションでの小売価格は、150円/Nm3程度であろうとされていた。岩谷産業は、上記の資源エネルギー庁の2020年の「同クラスHVと同等にする」との目標を、5年前倒しで達成するとしている。

資料:岩谷産業広報資料 2014.11.14
(注)Nm3は、標準状態(0℃、1気圧)に換算した1立方メートルのガス量。

 

 



2015年度中に、大手のJXと岩谷産業が合計60カ所の水素ステーションを計画

 2014年12月15日のミライ発売日に営業していた商用水素ステーションは、岩谷産業が運営する2カ所(尼崎市と北九州市)のみで、12月後半に東京ガスが東京都練馬区に、JX日鉱日石エネルギーが神奈川県海老名市にオープンする。他に経済産業省の補助金を得て41カ所での水素ステーション開設が決定している。2015年度末までには、大手のJX日鉱日石エネルギーと岩谷産業を合わせると60カ所の水素ステーションが稼動する計画。

 新たに、セブン-イレブンに併設するステーションの計画が発表され、またホンダが開発した小型ステーションの実証実験も開始された。政府は、水素ステーションに関する建築基準や保安基準の緩和を進めコストを低減し、2015年度中に100カ所の開設を目指している。

 エネルギーメーカーは、FCVの普及に先立って水素ステーション設置を計画しているが、当面は、FCVの台数と水素ステーション設置数はゆっくりと拡大していくと見られる。トヨタは、「FCVの普及は長い道のりであり、本格普及するまでには10年、20年かかる」としている。

国内水素ステーション開設計画

2014年度内 2015年度まで(累計) それ以降
JX日鉱日石エネルギー 海老名市など11カ所 合計40カ所 2018年度までに合計100カ所、
2020年度までに合計2,000カ所
岩谷産業 尼崎市など3カ所 4大都市圏に合計20カ所
豊田通商 固定式2カ所、移動式3台
東京ガス 12月18日練馬区に開所
資料:岩谷産業広報資料 2014.10.22、JX日鉱日石エネルギー広報資料 2014.11.12
(注) 1. 移動式ステーション(大型トレーラーに必要な装備を搭載する方式)を含む。セブンーイレブンに併設するステーションやホンダが開発した小型ステーション(下記参照ください)は含まない。
2. 上記の他に、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスなどが計画している。
3. 東京都は、東京オリンピックが開催される2020年に、6,000台のFCVの普及と、水素ステーション35カ所の整備を目指す。また第3世代のFCVの発売が見込まれる2025年に、約10万台のFCV普及と80カ所のステーション設置を目標としている。
4. 燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)が2010年に作成したFCVおよび水素ステーション普及シナリオでは、2025年にFCVが200万台普及し、水素ステーションが全国の1,000カ所に設置され、1ステーション当たり2,000台のFCVの顧客がありステーションビジネスが成立する、との状況を想定している。

 

JX日鉱日石エネルギー:SS一体型に加え、単独型/移動式水素ステーションも設置

SS一体型を中心に
整備
 JX日鉱日石エネルギーは、SS(ENEOSサービスステーション)一体型を中心に水素ステーションの整備を進めている。2014年12月下旬に海老名市に第1号店を出展し、2014年度内に第1号店を含め11店、2015年度に合計40店まで拡大する。さらに2018年度までに100店に拡大する計画とされる。
 低コストの水素製造技術を開発し、2020年をめどに水素を自社製造、販売面は水素の貯蔵や充填機などが設置可能な約2,000店を対象にして、順次水素スタンドの併設を進める計画と報道されている。
単独型および移動式
ステーション
 JXエネルギーが2014年度に開設する11カ所のうち8カ所はSS一体型だが、3カ所は単独型の計画。JXエネルギーは、空地の少ない都心部における水素供給を行う手段の一つとして、単独型および移動式ステーションの設置を進める計画で、10月にそれらを担当する100%出資の新会社「(株)ENEOS水素サプライ&サービス」を設立した。

資料:JX日鉱日石エネルギー広報資料 2014.7.16、日本経済新聞 2014.11.16/2014.12.22

 

岩谷産業:2015年度中に20カ所のステーションを整備

オフサイト型供給(注)  岩谷産業は、産業用水素ガスの国内最大手で、液体水素についてはほぼ全量を供給している。同社の水素供給網を活用して、ステーション整備を進めている。2015年度中に20カ所まで拡大する。
 同社の水素製造拠点から輸送する水素をFCVに供給する、「オフサイト方式」を採用する。既に2014年7月に尼崎市、10月に北九州市に水素ステーションをオープンした。
セブン-イレブン
店舗に設置
 2014年12月、岩谷産業とセブン-イレブン・ジャパンは、セブン-イレブン店舗に水素ステーションを設置することで合意した。2015年度に、まず東京都と愛知県に水素ステーション併設店舗をオープンし、2017年度に全国20店舗に増やす計画。燃料電池を活用して、セブン-イレブンの店舗に電気を供給するシステムの実証実験も行う。
スマート水素
ステーション
 岩谷産業、ホンダとさいたま市は、2014年9月、水から水素を製造してFCVに充填できる小型水素ステーションを同市内に設置し、実証実験を開始した。「スマート水素ステーション」は、ホンダ独自のコンプレッサーが不用な高圧水電解システムを採用し、高圧水素タンクから充填ノズルまでの主要構成部位を世界で初めてパッケージ型に収納した。システムのサイズは、W3200mm×D2438mm×H2438mm、面積は7.8平方メートル。価格は、現在の水素ステーションに比べ約1/10の5,000万円程度で建設でき、設置工事は1日で完了する。
 2014年12月、岩谷産業、ホンダ、北九州市は、同市にスマート水素ステーションを設置し、実証実験を開始した。同市が所有するFCXクラリティでの利用を通じて、実用化に向けた課題などを探る。

資料:ホンダ広報資料 2014.9.18、岩谷産業広報資料 2014.12.15、岩谷産業セブンーイレブン共同広報資料 2014.12.10
(注)他の場所で製造した水素を液体水素などのかたちで輸送し供給する方式をオフサイトと呼び、ステーションに水素製造装置も備える方式をオンサイトと呼ぶ。

 

豊田通商:固定式および移動式水素ステーション事業に参入

固定式ステーション  豊田通商は、日本エア・リキードと共同で、2013年10月に豊通エア・リキードハイドロジェンエナジー株式会社を設立した。商用水素ステーションの建設と運営を行う。2015年1月に、愛知県名古屋市と豊田市に水素ステーションをオープンする。
移動式ステーション  豊田通商は、岩谷産業、太陽日酸、三井住友ファイナンス&リースと共同で、移動式水素ステーションを運営する新会社を年内にも設立する。2014年度内に3台程度を稼働させる計画。移動式ステーションは、1台で2~3億円かかるが、固定式の半分で済む。

資料:豊田通商広報資料 2014.9.1

 

東京ガス:東京都練馬区とさいたま市に水素ステーションを開設

練馬水素ステーション  東京ガスは、2014年12月に、東京都練馬区に、練馬水素ステーションを開所した。東京ガスが設置している天然ガススタンド「練馬エコ・ステーション」に併設した。また、関東で初めての水素ステーションとなる。他箇所で製造した水素を受け入れるオフサイト方式を採用した。
浦和水素ステーション
(仮称)
 東京ガスは、さいたま市浦和にも天然ガススタンドと併設する水素ステーションを建設中。水素製造装置も備えるオンサイト方式を採用し、稼働後は練馬ステーションにも水素を供給する計画。近く営業を開始する予定。

資料:東京ガス広報資料 2013.6.21/2014.12.18


 なお、トヨタとホンダは、最大市場と期待する米国のカリフォルニア州で、水素ステーション設置を進めるFirstElement Fuel社に資金援助して、米国での水素ステーション建設を支援している。

 

トヨタとホンダ:米国カリフォルニア州の水素ステーション業者に資金援助

カリフォルニア州政府  カルフォルニア州では、2014年春時点に稼働している水素ステーションは9カ所のみだが、今後数年間に2億ドル(約240億円)の補助金を支給して、カリフォルニア州内に100カ所の水素ステーションを開設する方針。
トヨタ  トヨタは2014年春、FirstElement Fuel社に720万ドル(約8.6億円)の資金支援を行った。トヨタは、カルフォルニア州でFCVを普及させるために、最初の数年の期間が特に重要だとして、FirstElement Fuel社の水素ステーション開設を支援する方針。FirstlElement Fuel社は、同州の補助金とトヨタの支援を得て、19カ所の水素ステーションを建設している。
ホンダ  ホンダも、2014年11月のロサンゼルスオートショーで、FirstElement Fuel社に1,380万ドル(約16.5億円)を支援すると発表した。FirstElement Fuel社は、カリフォルニア州とホンダの支援により、水素ステーションの計画を12件増やし、合計31カ所のステーションを建設できる見込みとなった。

資料:ホンダ広報資料 2014.11.19、Bloomberg ニュース 2014.5.2

 

 



東京都は、2020年までにFCVバス50台導入を計画、高速バス(BRT)も計画

 東京都は、2014年5月に「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」を設置し、11月に中間のまとめを行った。そのなかで、2020年までに燃料電池バス50台の普及を目指している。また2020年東京オリンピックを目指し、バス高速システム(BRT:Bus Rapid Transit)の導入を計画している。ダイムラーは、BRTに長年の実績を有しており、この分野での日本進出を計画している。

東京都:2020年に燃料電池バス50台導入を計画

 日野自動車は、2016年度にも燃料電池バスを発売する。路線バスに適した乗客数80人程度の仕様とし、1回の充填により200~300kmの航続距離を確保する。日野自動車は、インフラが未整備の普及初期には、都市内から郊外まで使われ稼働台数も多い大型路線バスが燃料電池バス導入に向くとしている。東京都は、路線バスのルートを考慮した水素ステーションの設置も検討する。
 東京都は、日野自動車が開発中の燃料電池バスについて、2015年度に実証実験を行い、2016年度から都バスとして運行を開始する。都バスから先導的に導入し、2020年までに民間バス会社の運用を含め、燃料電池バス50台以上を普及させる方針。
ダイムラー:日本で高速バス事業を展開する計画
 東京都は、2020年オリンピック開催を目指しBRT導入を検討している。ダイムラーは、BRTに長年の経験の蓄積があり、交通渋滞の分析、都市計画、資金調達までコンサルティングする専門チームを持っている。ダイムラーは、2020年をめどに燃料電池バスを使用するBRTシステムで日本市場に本格参入する計画。販売や保守は、傘下の三菱ふそうトラック・バスが担当する。
 BRTは、鉄道と同等の運送力をバスを使用して確保しようとするもので、例えばブラジルのクリチバ市では、幹線道路に専用レーンを設け、バス2~3両を連結、1~2分の間隔で運行している。ダイムラーは、世界30以上の都市に、180を超えるBRTのラインを導入している。既に整備された道路などのインフラを活用するため、鉄道網を整備する場合に比べ、投資額が1/10程度に抑えることができる。

資料:日野自動車広報資料 2014.3.26、Daimler広報資料 2014.10.30、日経産業新聞 2014.11.19/2014.11.26/2014.12.8
(注)FCVセダン、バスの他に、豊田自動織機は、2018年をめどにFCフォークリフトを開発する。バッテリーフォークでは、1日に6~8時間の充電が必要だが、FCVフォークは1回の充填が3分程度で済み、ほぼ1日中稼働させることが可能。市販FCVフォークリフトの価格は、数百万円のレベルを目指すとされる。

 

 



ホンダは:2016年1~3月にFCVセダンを発売、小型水素ステーションを開発

 ホンダは、2014年11月、5人が乗車できる燃料電池車FCVの最新の試作車を公開した。価格はトヨタ・ミライに近い700~800万円とされる。FCスタック・モーターなどパワートレインをボンネット内に搭載することで、トヨタ・ミライと比べ室内空間が広いのが強みとしている。ホンダは2015年度(2016年1~3月と見られる)にまず日本で発売し、その後米国や欧州にも展開する。

 ホンダは岩谷産業と共同で、設置面積7.8平方メートルの「スマート水素ステーション」を開発し、2014年9月にさいたま市で、12月に北九州市で実証実験を開始した。FCVの普及初期には大型商用ステーションは少ないので、補完する小型ステーションが有効としている(前出の水素ステーションの岩谷産業の項を参照ください)。

 

Honda FCV CONCEPT 燃料電池スタック
2015年度中に発売を予定するHonda FCV CONCEPT
(写真は、ホンダ本社ビル1階のショールーム「Honda
ウエルカムプラザ青山」にて撮影、右の写真も同じ)
現行FCX Clarityが搭載する燃料電池スタック(写真右側)と、
33%小型化した新型燃料電池スタック(左)

 

ホンダFCV Concept、外部充電器コンセプトを初披露

Honda FCV Concept  新開発の燃料電池スタックは、現行のFCXクラリティ搭載スタックより33%小型化しながら出力を100kW以上とし、出力密度は3.1kW/Lと現行型比約60%の向上を実現。小型化した燃料電池スタックを含めたパワートレインをV6ガソリンエンジン並みに小型化したことで、市販車として世界で初めてセダンタイプのボンネット内に集約して搭載した。これにより大人5人が快適に乗れるフルキャビンパッケージを実現するとともに、将来のFCVの普及拡大期において、複数の車種に展開することを可能にした。
 Honda FCV Conceptは、70MPaの高圧水素貯蔵タンクを搭載し、1回の充填により700km以上の航続距離を実現した。
外部給電器
コンセプト
 最大出力9kWのAC出力を可能にした外部充電器コンセプトを発表した。FCVと外部充電器(Honda Power Exporter)を組み合わせることで、「走る電源」として、災害時などに電力をコミュニティに提供する。

資料:ホンダ広報資料 2014.9.18/2014.11.17

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>