ITS世界会議2014:さらに進化した自動運転技術と支援システム

カメラ、V2Xシステム、ドライバー監視システム、HMIなど

2014/10/10

要 約

アイシングループの自動駐車システムのデモンストレーション

 第21回ITS世界会議デトロイト2014は、2014年9月7日から11日まで米国ミシガン州デトロイトで開催された。昨年、東京で開催された世界会議と同様、展示会での出展と技術デモンストレーションは「自動運転」が中心となっていた。ホンダとトヨタは高速道路での自動運転システムを披露し、他の企業はBelle Isle公園で自動運転のデモンストレーションを実施した。

 今年のITS世界会議では、ドライバーや自動運転車に情報を提供するカメラやセンサー等のシステムにも焦点が当てられた。GM、ホンダ、トヨタは、ドライバーに警告を発する様々なV2X(車車間、路車間通信)システムを出展した。パナソニックは、車の周囲の状況を明瞭に映し出す多様なカメラを展示した。

 本レポートは、ITS世界会議2014のレポートの2本目で、同会議に出展された展示品やデモンストレーションについて報告する。1本目のレポートは、主要自動車メーカーと部品メーカーの技術責任者によるセッションの概要を報告したものである。

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協調型安全運転支援システムとプローブデータ利用の最新動向



ドライバーの道路状況の認識を向上させる新技術

パナソニックのカメラシステム

 カメラとセンサー・システムは、ITS世界会議2014に出展された技術の中で最も広く普及しているものである。自動運転技術には、車の周囲の状況に関する情報を収集する手段が必要であるため、カメラやセンサーはITSの進展に必要不可欠なものととなっている。

 パナソニックは、この世界会議に様々なカメラと画像システムを出展した。同社のサイドビューカメラはサイドミラーに装着され、車のすぐ横の死角部分を高品質な画像にして映し出す。サイドビューカメラの量産は2012年に開始し、現在では10以上のモデルで採用されている。

 パナソニックが出展したもう1つのシステムは、センシング機能を有するサラウンドビューカメラである。このシステムは、複数のカメラとソナー・センサー、ECUを統合したもので、車の周囲の物体と歩行者を検知する。このシステムの主な用途の一つは、車を駐車させている間、車の周囲の良好な視界を提供することである。

 

サイドビューカメラ サラウンドビューカメラ
サイドビューカメラ (パナソニック) サラウンドビューカメラのサンプルシステム (パナソニック)


 パナソニックのカメラシステムのうち、最も高性能なものはペリカンイメージングアレイである。同システムの注目すべき特徴は、複数のカメラを使用して少し異なるアングルから画像を取得することと、従来のカメラより低コストのアーキテクチャを採用していることである。システムを構成する複数のカメラによって奥行きが認知でき、距離や物体の検出機能が向上する。

 最後に、パナソニックが出展したインテリジェントミラーを紹介する。インテリジェントミラーは、リアビューミラーと車の後部に装着した後方確認カメラを組み合わせたもので、クリアな後方視界を提供する。明るさの不足、悪天候、後席に置いたスーツケース等の荷物などでリアビューミラーがよく見えない場合は、カメラが明瞭な画像を提供する。

 

ペリカンイメージングアレイ インテリジェントミラー
ペリカンイメージングアレイ (パナソニック) インテリジェントミラー (パナソニック)

 

アイシン:シースルーミラーモニター

 アイシングループは、パナソニックのインテリジェントミラーによく似たシステム、シースルーミラーモニターを出展した。ただしアイシンのシステムは、リアビューミラーに装着したカメラと、車の後部に装着した後方確認カメラを使用し、2つのカメラの画像を合成して1つの画像を生成する。その画像には、ピラーなど車体のフレームワークが表示されるが、ドライバーは車の後方の状況を明確に見るために、車体の透明度を調整することができる。このシステムは2つのカメラを使用しているため、ドライバーは車の後方の物体までの距離をより正確に把握することができる。

 

シースルーミラーモニター 車体の透明度を調整できる
シースルーミラーモニター (アイシン) 車体の透明度を調整できる

 

タカタとContinental

 タカタが出展した一連の技術の中で、特に重要なものはステレオビジョンシステムである。このシステムは2つのカメラで構成され、車線逸脱警告、前方衝突警告、アダプティブクルーズコントロール、自動緊急ブレーキなど、様々な運転支援装備に利用することができる。

 Continentalは、自動運転支援システムに使用される一連のセンサーとカメラを出展した。その中には、短距離/長距離レーダー、多機能前方監視カメラ、死角を減らすために水平視野角185度のカメラを使用するSurroundView camera等がある。これらのシステムはすべてContinentalのData Fusion ECUによって制御される。

 

トヨタ:イメージングレーザーレーダー

イメージングレーザーレーダー
イメージングレーザーレーダー (トヨタ)

 トヨタは、自動運転に必要な多様なセンサーの一例として、作動中のイメージングレーザーレーダーを出展した。イメージングレーザーレーダーは、奥行きと高さを明確に表示することができる。デモンストレーション中の画像の右側部分に見られる通り、地面に近い所にある物(脚や足)は赤やオレンジ色で示され、地面から離れた高い所にある物(頭など)は青や緑色で示される。

イメージングレーザーレーダー レーザーレーダーの画像
作動中のイメージングレーザーレーダー (トヨタ) レーザーレーダーの画像

 

V2Xシステム:トヨタとホンダ

 V2Xシステムは、ITS世界会議2014で重要な位置を占めていた。自動車メーカーと部品メーカーの双方が示したのは、V2Xシステムによって安全性と運転の利便性を向上させることの可能性である。複数の会社が、V2X技術を紹介するデモンストレーションやシミュレーションを実施した。

 トヨタのドライブシミュレータは、高速道路で利用されるV2V技術と都市部で利用されるV2I技術を取り上げた。同社のシミュレータでは、車線に合流しようとして、やはり合流しようとした別の車両と衝突しそうになった場合や、先行車が突然減速した場合、または前方に交通渋滞が発生している場合に、V2V技術を利用してドライバーに警告を与える。3つのケースではすべて、ドライバーの車は周囲の他の車と通信し、その状況を認識する。V2Iシステムのシミュレータでは、主に車と信号が通信を行い、信号がいつ変わるかを判断するのに利用される。このシステムにより、ドライバーは準備する余裕ができ、減速するか速度を維持するかなど、状況に応じて適切な行動をとることができる。

 

トヨタのV2Xシステム V2Vシステム
トヨタのV2Xシステム ホンダのシミュレータに使用されたV2Vシステム

 

 ホンダは、V2V技術を使用したドライブシミュレータと、複数のV2X技術を使用したデモンストレーションを実施した。シミュレータはトヨタのものと類似しており、死角に車両が存在する場合や、先行車が急ブレーキをかけた場合、前方衝突が起きそうな場合に警告を与える。また、高速でカーブに進入した場合や交差点を横切る車がある場合にも、警告を発する。ホンダのデモ車は、車と歩行者、車と自転車、車と二輪車の通信システムを搭載し、スマートフォンまたは専用近距離無線通信技術(DSRC) 車載器を使用して通信していた。これらのシステムはドライバーに、障害物の存在を通知し、車と障害物との距離によりどのような警告を発するかを判断する。

 

VisteonのV2V技術

 Visteonは、V2V技術を使用した運転走行のデモンストレーションを行った。それには3つのシナリオがあり、最初の2つは、停車した車または緊急停車をする必要があった車が、2台後ろの車に情報を送信するというものである。通常、2台後ろの車は、真ん中の車に視界を遮られているため、情報を送信する車の動きに対して反応する時間がほとんどない。しかし、V2V技術を利用すると、2台後ろの車は情報を送信する車の状況を通知されるため、十分な情報に基づいて、ブレーキを踏むか車線を変更するかを判断することができる。3つ目のシナリオでは、ところどころ滑りやすい道路を走行している車が、危険な道路の状況について2台後ろの車に通知するというものである。この場合も、2台後ろの車のドライバーは、状況に対応する十分な時間が与えられる。

 

GMのV2Xシステムのデモンストレーション

GMのV2Xシステムのデモンストレーション

 GMのデモンストレーションは、V2P技術を利用した3つのシナリオで構成されていた。
 1つ目のシナリオでは、テスト車が交差点を曲がろうとするのと同時に、スケートボードに乗った人が道路を横断しようとする。テスト車が曲がろうとすると、システムは音と表示で、ドライバーに衝突の危険を敏速に通知する。
 2つ目のシナリオでは、ドライバーが乗った車と歩行者が、異なる車線で同じ方向に進んでいる。この場合、車は、近くに歩行者がいることをドライバーに知らせる表示を出すだけで、ドライバーの注意を引くような警報音は鳴らさない。
 最後に、3つ目のシナリオでは、車は歩行者と同じ車線におり、かなり早い速度で走行している。システムは、車が歩行者に近づくにつれ、センターディスプレイの警告表示、警報音、インストルメントクラスタ近くでのライト点滅など、警報のレベルを徐々に引き上げる。


デンソーのインターフェースシステム

 車が周辺の地域や状況について情報を収集する能力は重要だが、その情報を利用しやすい形でドライバーに提供することも重要である。ITS世界会議2014では、多くの企業が情報をドライバーに伝達するためのシステムを出展した。

 デンソーは、ヘッドアップディスプレイとコミュニケーションデバイスを備えたインタラクティブ・コミュニケーション・コックピットを展示した。この2つの装置により、運転に必要な情報はフロントガラスに直接映し出されるか、音声で伝えられるため、ドライバーは道路から視線を外さずに情報を入手することができる。

 

デンソーのインタラクティブ・コミュニケーション・コックピット コックピットに使用されたシステムと技術
デンソーのインタラクティブ・コミュニケーション・コックピット コックピットに使用されたシステムと技術


 また、デンソーは高度運転支援システム (ADAS) ロケータ (車両位置情報・前方走路情報提供装置) のプロトタイプも出展した。ADASロケータは、センサーおよび予め取得した地図データを使用して、ドライバーの視界外の道路に関する情報を提供する。また、一部の道路では死角情報の提供にも利用できる。

 

ADASロケータのプロトタイプ ADASロケータが提供した情報のサンプル展示
ADASロケータのプロトタイプ (デンソー) ADASロケータが提供した情報のサンプル展示

 

トヨタのHMI

Sample display of Toyota HMI
トヨタのHMIのサンプル展示

 トヨタは、インフラとの通信に使用される車載器やアンテナと共に作動するヒューマン・マシン・インターフェース (HMI) のイメージを出展した。HMIは基本的に、機能を高めたインストルメントクラスタの役割を果たす。どちらも、速度、燃料残量、ギア段数など同じ情報を提供する。ただし、トヨタのHMIは、V2X情報に基づいて、減速やブレーキのタイミングなど運転に関する助言も提供する。また、HMIは、標準的なインストルメントクラスタと比較すると、その容積はずっと小さい。


アイシングループの拡張現実 (AR) 車線案内 システム

 アイシンは、拡張現実 (AR) 車線案内 システムのプロトタイプを出展した。同システムはまず、カメラを使用して道路の画像を取得する。それを、ナビゲーションシステムの情報と組み合わせ、ディスプレイ上の道路の画像に矢印を挿入して、ドライバーに進むべき車線を教える。このシステムは直感的に使用できるため、ドライバーが道路から目を離す時間を減らすことができる。

 

AR車線案内のプロトタイプ AR表示画面の拡大画像
AR車線案内のプロトタイプ (アイシン) AR表示画面の拡大画像

「子どもの安全を支える、人にやさしいモビリティ」
「子どもの安全を支える、人にやさしいモビリティ」
(アイシンのパネル)


 また、アイシンは、「子どもたちの安全を支える、人にやさしいモビリティ」と題したシステムの実演を行った。このデモンストレーションでは、多くの歩行者がいるコースを車が走行する。たとえば、複数の子供がいる区域に車が近づくと、車載ディスプレイは前方確認カメラによって取得した画像を映し出すと共に、子どもの画像の上に警告サインを挿入し、子どもを赤色の枠で囲む。


Visteonのコクピットデザイン

 Visteonは多数の乗用車用コックピットのデザインを出展していた。Fusion CockpitとOasis Cockpit コンセプトもその中に含まれる。Fusion Cockpitは、インフォテインメント、クラウド情報、ドライバー情報など多くのシステムを1つのプラットフォームに統合する。ドライバーは、車載ディスプレイで情報をどのように表示するかを、自分で決めることができる。また、Fusion Cockpitは複数のハードウェアコアを使用し、各システムが同時に作動できるようにしている。

 VisteonのOasis Cockpit コンセプトは、車が常時インターネットに接続されるようになる未来のコックピットである。このコンセプトの特徴は、ドライバーが様々なユーザーインターフェースや車の設定を自分で選択し、車を個人仕様にカスタマイズできるシステムを採用していることである。また、Oasis Cockpitは、権限のない人がコックピットに不正な変更を加えることを防ぐセキュリティ対策も組み込んでいる。

 

ドライバーモニタリングシステム:タカタ、パナソニック、アイシン

 ドライバーが車を制御している限り、ドライバーが注意深く運転することは重要である。不注意な運転は米国の多くの地域で犯罪であり、交通事故の主な原因でもある。このような不注意運転を防止するために、部品メーカーはドライバーの集中力や注意力を監視するシステムを開発している。

 タカタは、ドライバーの注意力を維持させるために開発した2つのシステムを出展した。Driver Monitoring SystemとHands On Wheel systemである。Driver Monitoring Systemは、カメラをドライバーの顔に向け、ドライバーがどこを見ているかをモニターする。一方、Hands On Wheel systemは、ステアリングの特定の個所にグリップセンサーを埋め込み、ステアリングの握り方をモニターする。もしドライバーの目が一定の時間道路から離れたら、またはドライバーの手がステアリングから離れたら、様々なシステムがその変化を検知し、ドライバーに警告を発する。この警告には、ステアリング上の棒状のライトを点灯する、警報音を鳴らす、ドライバーのシートベルトを締める、等がある。

 他の部品メーカーも、タカタの製品と類似のシステムを出展した。パナソニックが展示したのは、ステアリングに加えられた圧力を計測することができるグリップセンサーである。このセンサーは、2018年に商品化される見込みとのこと。アイシンのMulti-Function Driver Monitor Systemは認識性能が高く、ドライバーがサングラスをかけていてもモニターすることができる。

 

グリップセンサー Aisin Multi-Function Driver Monitor System
グリップセンサー (パナソニック) Multi-Function Driver Monitor System (アイシン)

 

DSRC(専用近距離無線通信)ユニット

 パナソニックと三菱電機は、車が近距離にあるインフラ装置と通信することを可能にする様々な専用近距離無線通信 (DSRC: Dedicated Short-Range Communication) ユニットを出展した。これらのシステムにより、車はITSスポットから前方の道路状況に関する情報を受信したり、他の車から情報を受信したりすることができる。

 

DSRC車載器 DSRC車載器
DSRC車載器 (三菱電機) DSRC車載器 (パナソニック)

 

 



制御された状況での自動運転技術

オートメイテッド・ハイウェイ・ドライビング・アシスト (AHDA):ホンダとトヨタ

 ITS世界会議2014の会期中、トヨタとホンダはデトロイトの高速道路で自動運転システムを搭載した車のデモンストレーション走行を実施した。両社が紹介したのは、ドライバー情報システムと完全自動運転との間を埋める技術である。トヨタとホンダの車は、高速道路での合流・車線維持・車線変更・退出など同じような運転操作のデモンストレーションを行ったが、各社のデモ車はそれぞれ異なる特徴を持っていた。

 ホンダのデモ車は、道路情報を収集するための一連のセンサーやカメラを紹介するために使用された。同社の車に搭載されたセンサー類は、統合GPS、ジャイロセンサーシステム、長距離レーダー、中距離レーダー、ステレオカメラ、2-Dスキャナー等である。これらのシステムは協働して、車の周囲の状況に関する情報や、車が適切な速度と車間距離で、車線を逸脱しないで走行するために必要な情報を、車に提供する。

 

高速道路自動運転システムのデモンストレーション AHDA のデモンストレーション
ホンダの高速道路自動運転システムのデモンストレーション トヨタのオートメイテッド・ハイウェイ・ドライビング・アシスト (AHDA) のデモンストレーション

 

 トヨタのデモ車は、車に情報を提供するシステムではなく、ドライバーを支援するシステムに重点を置いていた。同社の車に搭載されたダイナミック・レーダー・クルーズ・コントロールとレーン・トレース・コントロールは、車が高速道路で安全に車線・車間を維持しながら走行できるよう、センサーから情報を取得する。さらにデモ車には、ドライバーが道路から目を離したり、ステアリングから手を離したりすると、警告を発するドライバーモニターHMIが搭載されていた。また、デモ車に搭載されたプレビューHMIアドバンスアラートというシステムは、前方にオートメイテッド・ハイウェイ・ドライビング・アシスト (AHDA) システムの利用が制限されうる道路状況が存在する場合、ドライバーに事前に警告する。

 

渋滞時運転支援システム:MagnaとBosch

 渋滞時運転支援システムの利用は、混雑した道路でのノロノロ運転でドライバーが味わう緊張を緩和する。渋滞時運転支援システムを作動させても、ドライバーは運転に注意を払う必要があるが、システムはドライバーの責任の一端を担ってくれる。ドライバーが車の制御の全責任を取り戻す必要が生じた場合、システムはその状況をドライバーに通知する。

 Magna のeyeris 渋滞時運転支援シミュレータは、車速が44mph以下で作動する。シミュレーション車は、一定の車間距離をおいて先行車に追従するよう、自車の速度を自動的に調節する。Magnaのシステムで興味深いのは、システムが作動中もドライバーは車を制御することができるが、システムが手動で停止されない限り、ドライバーの制御に対してシステムが若干の抵抗を示すことである。

 Boschの渋滞時運転支援システムのデモンストレーションは、Magnaのものと類似していたが、いくつか大きな違いもあった。Magnaのシステムと同様、Boschのシステムも、センサーによって車線の白線(区分線)を読み取り、また、先行車までの距離を検知する。しかしBoschのシステムは、センサーが走行車線の両側に白線を検知している場合にのみ、作動する。また、走行車線のどちらの側にも白線を検知できなくなると、システムは自動的に作動を停止する。片側にのみ白線を検知すると、システムはドライバーにその状況を通知した上で、1本の白線に基づいて走行する。同社のシステムが持つもう1つの機能は、渋滞時運転支援システムが超えてはならない最高速度を設定できることである。

 

Boschの渋滞時運転支援システムのデモンストレーション 渋滞時運転支援システム
Boschの渋滞時運転支援システムのデモンストレーション。
「ドライバー」はステアリングに手を置いていない。
ディスプレイでは、システムが車線右側の白線を
検知していないことをドライバーに通知している。
渋滞時運転支援システムは作動を停止し、
ドライバーに車の制御を代わるよう通知している。

 

V2V技術を利用した運転:ホンダとデンソー

ホンダの医療緊急時支援システム
ホンダの医療緊急時支援システム(作動中)のビデオ画像

 ITS世界会議2014の会期中、ホンダとデンソーはV2V技術を利用したシステムのデモンストレーションを実施した。本レポートで既に述べたV2X技術と違い、ホンダとデンソーが紹介したV2Vシステムは、自動運転を支援するシステムである。デモ車は先行車と通信し、先行車はルートに沿ってデモ車を案内する。

 ホンダの医療緊急時支援システムは、運転が困難になったドライバーを支援し、車を移動させる手段を提供する。ドライバーが運転できなくなった場合、車は自動的にDSRC車載器と携帯電話ネットワークを通して、緊急医療支援を求める。その後、車は安全な場所に自動的に停止し、別のドライバーが来て支援を提供してくれるのを待つ。支援を行う車は、動けない車と無線でつながり、医療支援が得られる場所まで車を「バーチャル牽引」する。


 

デンソーのV2V技術を利用した自動運転のデモンストレーション

 デンソーのV2V技術を利用した車のデモンストレーションは、DSRCユニットとGPSデータを使用して先行車と通信することに重点を置いている。デモ車はこの装置 (見通し外に回り込む性質を持つ電波を使用) により、「見通し線(送信・受信アンテナを結ぶ直線)」の外にある物を検出することができる。この能力は、見通しの悪いカーブで先行車が突然停止した時に、デモ車が適切に対応できたことにより証明された。また、デモ車は車線の白線がないところでも先行車に追従することができる。それは、デモ車がセンサーではなく、先行車との通信によって走行しているからである。


駐車支援システム:Valeoとアイシン

ValeoのConnected Automated Valet Parkingのデモンストレーション

 駐車支援システムは、ドライバーに高い利便性を提供するものである。同システムは多様なセンサーやカメラを使用して、空いている駐車スペースの所在を検出する。駐車支援システムの最終目標は、車が自動的に駐車している間、ドライバーは車の外で別の活動ができるようになることである。

 ValeoのAutomated Valet Parkingシステム (valetは駐車係の意) は、従来の駐車支援システムと、ドライバーがスマートフォンでアクセスできるV2Iシステムを組み合わせたものである。目的地に到着すると、ドライバーはスマートフォンのアプリケーションを使ってAutomated Valet Parkingプロセスを開始することができる。車は駐車場と通信し、空いている駐車スペースを見つける。次に、カメラ、超音波センサー、レーザースキャナー等を使用して、駐車場の中を自動走行し、指定された駐車スペースに駐車する。この間、ドライバーは車の中にいる必要はない。ドライバーはスマートフォンを通して、ドライバーが指定した時刻に、予め設定した場所まで、自動走行で戻って来るよう自分の車に求めることもできる。

 アイシンの自動駐車システムでは、システムを作動させる前に、ドライバーが車を空いている駐車スペースの側まで運転する必要がある。しかし、その後はValeoのシステムとほぼ同じように作動する。アイシンのシステムも、センサーとカメラを使用して空いている駐車スペースの位置を認識し、そのスペースに自動的に駐車する。

 

 



運転以外にITSが影響を及ぼす分野

スマートフォン・コントロール・アプリケーション

Delphi Connectシステムのプラグとプレイモジュール
Delphi Connectシステムのプラグとプレイモジュール

 車に搭載する様々な技術が進歩すると、運転操作以外の車の他の面も改善される。DelphiとValeoは、スマートフォンを使って車の特定の機能を遠隔操作する技術を出展した。これにより、ドライバーは車の準備のために車の近くにいる必要がなくなり、利便性が一段と高まる。

 ValeoのInBlue Virtual Key Systemは、スマートフォンを使って、車の一部の機能の遠隔操作を可能にする。これには、エンジンの始動、シートヒーター、窓の曇り取り、車内温度調節等が含まれる。車の開錠・施錠も可能である。InBlue Virtual Key Systemに特徴的な機能は、車のキーを誰かに貸すのと同じように、一時的なバーチャルキーを別のスマートフォンに送れることである。この機能により、一定の時間、別の人が一時的に車を使用することができる。

 Delphi Connect システムは、プラグとプレイモジュールで構成され、車のOBD-IIコネクタポートに接続する。作動後は、ユーザーがスマートフォンにアプリケーションをインストールし、様々な車両診断を行うことができる。このアプリケーションは、車の所在の追跡、燃料・バッテリー残量の最新情報の提供、車の最近の走行状況の提示、ジオフェンス (仮想的な地理的境界線) の設定と車が境界線を出た場合のアラート受信等を可能にする。また、Delphi Connectを利用することにより、一部の車両では、スマートフォンをキーフォブとして使用することが可能になる。つまり、ドライバーはキーがなくても車の施錠、開錠、始動等を行うことができる。

 Continentalも、OBD-IIモジュールを利用した類似のシステムを出展した。ただDelphi Connectとは違い、Continentalのシステムは遠隔車両診断に重点を置いている。ドライバーはスマートフォンを使用して、車の障害コードの情報を受信することができる。また、このシステムは、最も近い修理サービスセンターの情報やメンテナンスの予定もスマートフォンに送信する。

 

安全・利便性機能

 ITS世界会議2014の主要テーマではなかったが、インテリジェントシステムを利用する安全技術を出展した部品メーカーがいくつかあった。デンソーの歩行者衝突検知センサーは、車のバンパーへの圧力変化を測定し、歩行者が衝突したかどうかを判断する。歩行者が衝突した場合、システムは歩行者の被害を軽減するために、ポップアップフードや歩行者用エアバッグなど様々な安全装備を作動させる。

 

歩行者衝突検知センサー ESCユニット (アイシン)
歩行者衝突検知センサー 現行品とプロトタイプ (デンソー) ESCユニット (アイシン)

 

 アイシンは、高性能の横滑り防止装置 (ESC) を出展した。ESCはトラクションのロスを検知すると、自動的にブレーキをかけロスを低減する。アイシンのESCは、ギアポンプ技術を利用する唯一の製品で、従来のESCと比較するとノイズが大幅に抑えられる。

 タカタは、シミュレータでアクティブステアリングホイールのデモンストレーションを実施した。アクティブステアリングホイールは、ドライバーがタイヤの操舵角を変えるために必要なステアリングの回転量を調整する。低速走行時には、システムがステアリングの感度を上げ、ドライバーがステアリングを大きく回さずにすむようにする。高速走行時には、ステアリングの感度を下げ、ステアリングを少し回しただけで車が急旋回するような事態を防ぐ。同システムは、Fordが出展していた新型Ford Edgeに搭載される予定。2015年型Ford Edgeは、同システムの部品をすべてステアリングの内部に組み込む最初のモデルとなる。

 

アクティブステアリングホイール Ford Edge
Ford Edgeに搭載されるアクティブステアリングホイール Ford Edge


 Continentalは、「つながる車」 のコンセプトモデルのイメージを展示した。同コンセプトは、車載装置同士がつながるだけではなく、車と周囲のインフラとがつながる機能も提供する。このコンセプトの特徴の一つは、車の接続速度を引き上げるため、一般に使用されているWi-Fiネットワークから、使用されていない帯域幅を活用できることである。

 

ナビゲーション用アプリケーション

 スマートフォンの普及により、車のユーザーは、車と相互作用するための新しい方法を与えられている。アイシンとデンソーは、スマートフォンが車載ナビゲーションシステムと相互作用できるナビゲーション用アプリケーションを出展した。アイシンのNAVIeliteとデンソーのNaviBridgeは、どちらもユーザーがスマートフォンを通して車載ナビゲーションシステムと接続し、操作することを可能にするアプリケーションである。 デンソーのNaviBridgeシステムがユニークな点は、他のアプリケーションを統合する機能で、他のアプリケーションから提供されたナビゲーションデータを車載システムに送信することができる。また、同システムは、QRコード (マトリックス型二次元コード) で示したナビゲーションデータの送信も可能である。

 

NAVIeliteアプリケーション NaviBridgeアプリケーション
NAVIeliteアプリケーション (アイシン) NaviBridgeアプリケーション (デンソー)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>