タイ: 2014年の生産台数は前年比11%減の220万台の見通し

購入支援策終了の反動減と政治混乱で内需は縮小、輸出は小幅増の見込み

2014/10/03

要 約

タイの自動車生産・輸出・国内販売台数
クーデター後、政治混乱は収拾

 タイでは、2014年5月22日のクーデターにより、暫定的な軍事政権が誕生。一連の改革プロセスを経て、2015年秋に総選挙・民政移管を行うという行程が発表され、ひとまず政治混乱が収まった。国内経済の大幅な景気後退入りも回避されたと見られる。

2014年は生産・国内販売が減少、輸出は増加の見込み

 タイ工業連盟 (FTI) によると、2014年の生産台数見通しは前年比10.5%減の220万台。Toyota Motor Thailand (TMT) の予測では、タイ政府の購入支援策終了による反動減と政情不安による需要減で、国内販売は前年比30.9%減の92万台となるが、輸出は6.4%増加する見通し。

 2014年第2四半期に発表されたLMC Automotiveの予測によると、2014年のタイのlight vehicle販売台数 (中大型商用車を除く) は前年比27.0%減の94万台。その後、販売は徐々に回復し、2017年には124万台に達する見込み。

第2期エコカー計画に10社が応募

 タイ政府が低燃費小型車の生産誘致のために実施しているエコカー計画の第2期の申請が、2014年3月末で締め切られた。第1期に参加した日系5社に新規5社が加わり、計10社が応募した。投資計画が認可されれば、2019年末までに生産を開始する予定。タイ政府は「2017年に自動車生産300万台」とする目標の達成につなげたいとしている。

生産能力・開発機能を拡充する一方、新工場の稼働延期も

 中長期的には生産・輸出拠点としてタイは重要であるとして、引き続き生産能力拡充の動きが見られる。日産は2014年7月に年産能力15万台の第2工場を稼働。中国の上海汽車とタイのCP Groupの合弁会社は6月に同5万台の新工場を稼働した。VWはエコカー用に2019年までに工場を新設する計画と報じられている。また、三菱といすゞはタイにおける研究開発機能を強化した。一方、ホンダは新工場を2015年に稼働する予定だったが、需要低迷により稼働開始を半年から1年延期する見通し。


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2014年1-7月は小型乗用車の生産が大幅減

 2014年1-7月のタイの自動車生産台数は前年同期比24.9%減の110万台。国内販売は初回購入支援策終了の反動減で39.2%減の51万台となったが、輸出は4.3%増の65万台で比較的堅調だった。生産台数に占める輸出比率は59.1%に拡大した。2015年には政情が安定し、国内販売が回復すると期待されるが、支援策で需要が先取りされた影響で大幅回復は難しい見込み。

 車種別生産台数では、2013年はエコカーが前年比46.4%増と大幅に増加。購入支援策の納車がまだ続いていたため、支援策の対象であったエコカーの生産を押し上げた。2014年1-7月は全車種が減少したが、エコカーや1500cc以下の乗用車は前年同期比35~38%減と、小型車の減少が目立った。1トンピックアップトラックは前年同期より22.0%減少したが、生産全体に占める比率は53.3%を占めた (前年同期は48.9%)。

 タイからの自動車輸出は、中東、アジア (日本含む)、オセアニアが主な仕向け先である。2014年1-7月では、この3地域で輸出の72%を占めた。購入支援策の納車が2013年半ばに終わり、輸出に振り向ける供給力は増加した。各社は国内販売の低迷をカバーするため、輸出の拡大を図っている。また、欧州への輸出など輸出先の多角化もすすめている。

 

タイの車種別自動車生産台数 タイの自動車輸出先

 

タイの自動車生産・輸出・新車販売台数

(台)
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
(見通し)
2013年
1-7月
2014年
1-7月
生産台数 1,645,304 1,457,795 2,453,717 2,457,057 2,200,000 1,542,411 1,103,444
輸出台数 895,855 735,627 1,026,671 1,128,152 1,200,000 624,873 651,832
国内販売 800,357 794,081 1,436,335 1,330,678 920,000 839,051 510,438
(輸出/生産) 54.4% 50.5% 41.8% 45.9% 40.5% 59.1%
資料:生産と輸出はタイ工業連盟 (The Federation of Thai Industries: FTI)、国内販売は小売販売台数で Toyota Motor Thailand (TMT)
(注) 1. 国内販売には輸入車も含む。
2. 2014年の見通しの欄は、生産台数と輸出台数はFTIが2014年8月に発表、販売台数は TMT が同年 7月に発表した予測。

 

 



タイ政府:第2期エコカー計画の審査開始、2016年に物品税制改定

 タイ投資委員会 (BOI) は2014年3月末に、第2期エコカー計画への申請を締め切った。第1期より燃費・排出ガス規制の条件が厳しく、最低投資額も引き上げられたが、エコカーに対する物品税率は14%に引き下げられる見込み (通常、小型車は30%)。

 第2期エコカー計画には、第1期に参加した日系5社に加え、マツダ、GM、Ford、VW、SAIC Motor-CPの計10社が申請したと報じられている。BOI によると、10社の総投資額は1,389億バーツ、生産台数は年間158万台となる。しかし、生産能力が余剰気味で、市場低迷が続く状況では、10社がすべて実際に生産にこぎつけるかはまだ不透明である。

 また、タイ政府は2016年1月から自動車に対する物品税を、エンジンの排気量ベースからCO2排出量ベースに改定する計画。新制度では、エコカーやハイブリッド、E85対応車に対する税率が低く設定される。

エコカー計画 第1期と第2期の比較

第1期 第2期
認可要件 申請・生産時期  2007年11月末までに申請。現在、生産中。  2014年3月末までに申請。
2019年末までに生産を開始する。
投資額  50億バーツ以上  65億バーツ以上 (既存5社は50億バーツ以上)
生産規模  5年以内に年産10万台  4年目以降に年産10万台
エコカー規格 エンジン排気量  ガソリン車1300cc以下、
ディーゼル車1400cc以下
 ガソリン車 1300cc以下、
ディーゼル車 1500cc以下
排出ガス基準  欧州 Euro4 適合  欧州 Euro5 適合
CO2排出量・燃費  120g/km以下 (燃費は20km/L 以上)  100g/km以下 (燃費は23.3km/L 以上)
優遇措置 メーカーに対する
優遇措置
8年間の法人税免除   6年間の法人税免除
設備・機械の輸入関税免除
Eco-Car物品税  17% (通常小型車は30%)  14% (見込み)
第1期エコカーの生産状況
 第1期エコカー計画には日系5社が参加し、2014年5月までに9車種を投入した。日産が March (2010年3月発売) と Almera (2011年10月)、ホンダが Brio (2011年4月) と Brio Amaze (2012年11月)、スズキが Swift (2012年3月) と Celerio (2014年5月)、三菱自がMirage (2012年3月) とAttrage (2013年7月)、トヨタが Yaris (2013年10月) を投入し、2014年7月までに計89万台を生産した。

 

タイ政府:2016年よりCO2排出量に基づく物品税制度に改定

 タイ政府は2016年1月から、自動車に対する物品税をCO2排出量に基づく制度に切り替える。現行制度はエンジンの排気量に基づいている。新制度では、エコカーやハイブリッド、E85対応車等に対する税率が低くなる。2015年には、この改定により物品税が上がる車種について、駆け込み需要があるとの予測も出ている。

 

 



タイの生産拠点:日産、上海汽車-CP が新工場稼働、VWは工場新設を検討

 生産拠点構築の動きでは、日産が2014年7月に年産能力15万台の第2工場の稼働を開始。上海汽車とタイのCP Groupの合弁会社は、6月に年産能力5万台の工場を稼働させた。また、VWはエコカー用に新工場を建設する計画と報じられた。

 一方、ホンダはタイで3つ目の工場を建設中だが、市場環境の悪化により、2015年に予定していた稼働開始を半年~1年延期する見通し。

タイの主要自動車メーカーの自動車生産拠点

組立工場 年産能力
(1,000台)
生産実績
(1,000台)
(2013年)
生産車種
Toyota Motor Thailand (TMT) Samrong 230 860 Toyota Hilux Vigo
Ban Pho 220 Toyota Hilux Vigo, Fortuner
Gateway 1 220 Toyota Camry, Camry HV, Prius, Vios, Corolla, Wish, エコカー (Yaris)
Gateway 2 80
Toyota Auto Works Samutprakarn 20 Toyota Hiace
Hino Motors Mfg. (Thailand) Bang Pakong 10 (1直/定時) 22 Hino trucks & buses
Nissan Motor (Thailand) Samutprakarn 1 220 240 Nissan Navara, Teana, Sylphy, Pulsar, エコカー (March, Almera/Latio)
Samutprakarn 2 150 (2014年7月に稼働開始) NP300 Navara
Honda Automobile (Thailand) Ayutthaya 1 150 273 Honda City, Jazz (Fit), Jazz HV, エコカー (Brio, Brio Amaze)
Ayutthaya 2 150 Civic, Civic HV, Accord, Accord HV, CR-V
Prachinburi 0→120 (2015) - (2015年稼働予定→半年~1年延期の見通し)
Mitsubishi Motors (Thailand) Laemchabang 1 90 204 Mitsubishi Triton, Lancer EX, Pajero Sport, Nissan Navara (受託生産)
Laemchabang 2 220 Triton, Pajero Sport
Laemchabang 3 200 154 エコカー (Mirage, Attrage)
Isuzu Motors Company (Thailand) Samrong 260 288 Isuzu D-Max, mu-X, 小・中型トラック
Gateway 1 140 商用車
Gateway 2 Isuzu D-Max
Suzuki Motor (Thailand) Rayong 100 53 エコカー (Swift, Celerio (2014年5月-))
AutoAlliance (Thailand) Rayong ピックアップ:140
(CKD:55)
85 Ford Ranger, Everest, Mazda BT-50
乗用車:100 71 Mazda2, Mazda3, Ford Fiesta
Ford Thailand Manufacturing Rayong 150 32 Ford Focus, EcoSport (2014年1月-)
General Motors (Thailand) Rayong 180 95 Chevrolet Aveo, Cruze, Captiva, Sonic, Colorado, Trailblazer
BMW Mfg. (Thailand) Rayong 10 8 BMW 3 Series, 5 Series, 7 Series, X3, MINI Countryman (計画中:1 Series, 3 Series GT, X5)
VW (報道) 0→100 (2019) (2019年稼働予定)
Thai-Swedish Assembly Samutprakarn Volvo: NA Volvo: 1 Volvo トラック、バス
UD: 20 - UD Quester (大型トラック)
Tan Chong International Bangkok 20 2 Fuso トラック, 北汽福田汽車 Aumanトラック
Thonburi Automotive Assembly Plant Samutprakarn 16→18-19 (予定) 5 M-Benz C-Class, E-Class, S-Class, M-Class (計画中:CLK)
12.5→15 (2015) 1 Tata Xenon, Super Ace (2014年10月-)
Y.M.C. Assembly Bangkok 24 N.A. Mitsuoka 車, VW車
SAIC Motor - CP Rayong 50→200 (予定) - (2014年6月に稼働開始) MG6, (計画中: MG3, MG5)

 

 



日本メーカー:トヨタ、ホンダ、日産、三菱、マツダ、スズキ、いすゞの動向

トヨタ:新型Yaris、新型Corolla Altis、Lexus NX300h を発売

新型 Yaris  2013年10月発売のハッチバック。トヨタ車としては初のエコカー認定車。1.2L エンジンとCVTを搭載。Gateway 工場で生産。月販目標は4,000台。販売価格は46.9万~59.9万バーツ。
新型 Corolla Altis  2014年1月発売の11代目セダン。1.8L/1.6Lガソリンエンジンと1.6L CNGエンジンを設定。変速機はSuper CVT-iのほか、MTも設定。Gateway 工場で生産。ASEAN地域のほか、これまで日本から輸出していた中近東やオセアニア地域にも、タイから輸出する。月販目標は4,000台。販売価格は76.9万~106.9万バーツ。
Lexus NX300h  2014年7月に日本で発売したLexus初の小型SUV NX300hを、タイに投入する (2014年8月発表)。トヨタ自動車九州の宮田工場から完成車を輸入する。当初の月販目標は20台。販売価格は279万-399万バーツ。
ピックアップ生産計画  タイ投資委員会 (BOI) が2014年6月に認可した計画の中に、トヨタの投資計画が含まれていると報じられた。同計画では、515億バーツを投じて Samutprakarn および Chachoengsao の工場でピックアップトラックを年57万台生産する。

(注) トヨタは2014年7月、2014年通年の販売台数見通しを従来の40万台から前年比25.9%減の33万台に下方修正した。2014年1-7月の販売台数は前年同期比30.4%減の18.9万台。

 

ホンダ:内需低迷で新工場の稼働延期

 ホンダはタイで建設中の Prachinburi の工場について、稼働を半年~1年延期することを決定した (2014年4月報道)。2015年の稼働を計画していたが、初回購入支援策終了に伴う反動減や政情不安により、市場環境が厳しくなると判断。同工場への総投資額は171.5億バーツ。年産能力は12万台で、小型車を生産する計画だった。

ホンダ:タイへ広範な乗用車モデルを投入

新型City  2014年1月に発表した小型セダン City の4代目。1.5L i-VTEC エンジンを搭載し、CVTを組み合わせる。エタノール混合燃料E85に対応。室内空間を広げたほか、安全・快適装備を充実させた。Ayutthaya工場で生産。販売価格は55.0万~74.9万バーツ。
新型Jazz  2014年5月に発売した5ドアハッチバックの新型Jazz (日本名:Fit)。1.5L i-VTEC エンジンとCVTを搭載。エタノール混合燃料 E85 に対応。Ayutthaya工場で生産。年販目標は2万台。販売価格は55.5万~75.4万バーツ。
Accord Hybrid  日本、米国、カナダに続き、2014年7月にタイで発売。2.0L 直列4気筒アトキンソンサイクルガソリンエンジン、2つのモーター、e-CVT, 1.3kWh のリチウムイオン電池を搭載。Ayutthaya工場で生産。年販目標は6,000台。販売価格は165.9万~189.9万バーツ。
City CNG  2014年8月にタイで発表したガソリンと圧縮天然ガス (CNG)を併用できる City CNG。新型Cityの新バージョンで、1.5L i-VTECガソリンエンジン、65LのCNGタンクを装備するCNGシステムを搭載。エタノール混合燃料 E20 にも対応。変速機は5速MTまたはCVTを設定。販売価格は61.2万~71.1万バーツ。
Mobilio  2014年9月に発売したエントリーレベルの小型ミニバン。アジア市場向けにタイで開発。販売はインドネシア、インドに次ぐ3カ国目。タイには2列シートモデルも投入。年販目標は1万台。Ayutthaya工場で生産。販売価格は59.7万~73.9万バーツ。

(注) ホンダは2014年通年の販売台数見通しを、年初の18万台から5月には16万台、7月初めには13.5万台、さらに7月末には11万台に下方修正した。2014年1-7月の販売台数は前年比62.2%減の5.6万台。

 

日産:第2工場の稼働開始、タイでの年産能力は37万台へ

 日産は2014年7月、37億バーツを投資し、第1工場が建つ Samutprakarn にタイで2番目となる工場を開設した。新たに 2,000名の雇用を創出する。まず新型 pickup truck の NP300 Navara を生産する。現地調達率は85%超。フル稼働時の年産能力は15万台。同工場開設により、日産のタイにおける年産能力は37万台に拡大した。

日産:タイへ多様な新型車を投入

新型 Teana  2013年10月に発売した中型セダン。新型 Teana は既に米国 (姉妹車のAltimaとして) と中国で生産を開始。タイではSamutprakarn工場で生産し、ASEAN地域等へも輸出する計画。初年度の販売目標は1万台。2.0L と 2.5L モデルがあり、販売価格は127万~162万バーツ。
Juke  2013年11月に発売した5人乗りSUV。インドネシアからの完成車輸入。年販目標は1万台。販売価格は 81.9万~85.8万バーツ。
新型Almera  2014年1月にタイで世界初公開。旧モデルは2011年にタイ市場で初のエコカーセダンとして投入された。新型車は1.2L エンジンを搭載し、5速MTまたはCVTを組み合わせる。室内空間を広げるとともに、快適性や安全装備を充実させた。販売価格は43.3万-60.8万バーツ。
NP300 Navara  2014年7月に発売した12代目となる新型ピックアップトラック。新設の第2工場で生産する。生産車両の半数以上は、世界45カ国に輸出する計画。2.5L ガソリンまたはディーゼルエンジンに7速ATまたは6速MTを組み合わせる。販売価格は、57.5万-99.6万バーツ。
Livina  2014年3月に発売した小型SUV。アクティブなライフスタイルを好むタイ人ユーザーの新たなニーズに対応するモデル。広い室内空間と高い機能性が特徴。1.6L エンジンに5速MTまたはCVTを組み合わせる。インドネシアからの完成車輸入。販売価格は67.2万~74.2万バーツ。

 

三菱自動車:タイで開発機能を増強、Attrage と次期型 Triton を OEM供給

テストコース新設  三菱自動車は 2014年 3月、Laemchabang工場近くにテストコースを開設すると発表した。2015年 3月の完成を目指す。タイにおける研究開発機能増強の一環。テストコースでは、耐久性や市場性・デザイン性を評価するほか、既存モデルの品質チェック等も行う。同社が海外にテストコースを開設するのはこれが初めて。
AttrageをOEM供給  三菱自動車はChrysler de Mexico (CdM) に、グローバルコンパクトセダン Attrage を、2014年11月から 5年間 OEM 供給する。タイの Laemchabang 工場で生産する Attrage を、年1万台以上供給する見込み。CdMはDodgeブランドでメキシコ国内でのみ販売する計画。
次期型TritonをOEM供給  三菱自動車は2014年9月、タイで生産しているピックアップトラック Triton の次期型モデルをFiat Group Automobiles (FGA) に OEM供給すると発表した。三菱自広報部によると、次期型 Triton は2014年10~12月期に投入し、FGA への OEM供給は2016年1~3 月期に開始する計画。OEM供給車両の投入地域はFGA が決めるとしている。

 

マツダ:第2期エコカー計画に参加、CX-5を輸入、Mazda3とMazda2を生産開始

第2期エコカー計画の認可取得  タイ投資委員会 (BOI) は2014年7月18日付で、マツダの第2期エコカー計画の投資案件を認可した。同社は、Fordとの合弁会社 Auto Alliance (Thailand) (AAT) の Rayong工場に97億2,750万バーツを投資し、小型車を年15.8万台生産するとしている。第2期エコカー計画には10社が申請しているが、認可を得たのはこれが初めて。
CX-5をマレーシアから輸入  マツダは2013年11月、タイでSUVのCX-5を発売した。次世代環境技術 SKYACTIV搭載車をタイに投入するのは初めて。2.0Lまたは2.5Lのガソリンエンジンか、2.2Lのディーゼルエンジンを搭載。マレーシアにあるInokomの工場で生産し、タイに輸入する。マツダがマレーシア製の車両を海外へ輸出するのは初めて。年販目標は1万台。販売価格は120万~167万バーツ。
新型 Mazda3 の生産開始  マツダは2014年3月、Fordとの合弁生産拠点である AutoAlliance (Thailand) (AAT) で新型Mazda3 (日本名:Axela) の生産を開始した。次世代環境技術スカイアクティブを搭載した車種の生産はタイで初めて。Mazda3の海外生産はメキシコに続き2カ所目。AATで生産する新型Mazda3はタイ市場向けで、3月に販売を開始した。販売価格は83.3万~109.4万バーツ。
新型 Mazda2 の生産開始  マツダは2014年9月、AutoAlliance (Thailand) で新型 Mazda2 (日本名:Demio) の生産を開始した。まず、豪州向けを生産し、他のオセアニア諸国やASEAN市場向けにも順次生産を開始する。新型 Mazda2 は2014年7月に日本の防府工場で生産を開始。2014年内にメキシコでも生産を開始する計画。(第2期エコカー計画との関連は未発表)

 

スズキ:エコカー2車種目のCelerioを投入

 スズキは2014年5月、エコカー認定車の2車種目 Celerio を発売した。2013年11月のタイモーターエキスポに出展したコンセプト車 A:Wind を市販化したハッチバック。1L 3気筒エンジンに5速MTまたは副変速機付CVTを組み合わせる。エタノール混合燃料E20に対応。Rayong工場で生産し、10月を目途に輸出も開始する計画。2014年後半に発売の欧州向けモデルもタイで生産する。月販目標は1,000台。販売価格は35.9万~48.8万バーツ。

 

いすゞ:7人乗りSUVの mu-X を発売

 いすゞ自動車は2013年11月、Passenger Pickup Vehicle (PPV) の mu-X をタイで発売した。1トンピックアップトラック D-MAX をベースに開発した7人乗りの中型SUV。mu-7の後継モデルで、GM の Chevrolet Trailblazer の姉妹車。Samrong工場で生産し、オセアニアや東南アジア地域にも輸出する計画。タイでの年販目標は2万台。販売価格は101.4万~140.1万バーツ。

 

いすゞ:GMと次世代ピックアップトラックを共同開発

 2014年9月、いすゞとGMは次世代ピックアップトラックを共同開発することで合意したと発表した。両社は過去2世代のピックアップトラックも共同開発している (いすゞのD-MAX、GMのChevrolet Colorado等)。両社の技術を融合して顧客のニーズに応える最適なモデルを開発、部品の共通化やスケールメリットによりコストを低減する。次世代ピックアップトラックは、世界の主要市場(米国とカナダを除く)で販売する計画。報道では、いすゞは次期モデルもタイで生産する予定。時期は未定。

 



欧米中メーカー:Ford, BMW, VW, 上海汽車-CPの動向

Ford:新型SUVのEcoSportの生産・販売開始

 Ford は 2014年 1月、Rayong工場で新型 SUV の EcoSport の生産を開始した。タイ国内で販売するほか、ASEAN諸国に輸出する。小型車 Fiesta と同じ Ford のグローバル Bプラットフォームを採用。1.5L Ti-VCTエンジンを搭載し、6速 PowerShift AT または5速MTを組み合わせる。販売価格は 66.9万バーツ。

 

BMW:900万Euroを投じて生産拡大へ

 BMWは2014年7月、タイのRayong工場に900万Euro投資することを明らかにした(報道)。タイでの需要増加に対応するため、工場の生産拡大および配送システムの改善を図る。新たに BMW 1 Series, 3 Series GT, X5 の生産も追加する。2015年には、乗用車の生産台数を10,000台に 引き上げる計画 (2014年は8,880台の見込み)。

 

VW:新工場の建設計画

 VWは10億Euroを投資して、タイに新工場を建設する計画 (2014年9月報道)。エコカー等を生産する計画で、年産能力は10万台~最大30万台。2019年までに稼働を開始する見通し。現在、タイ政府の認可待ちとされる。

 

上海汽車:タイの CP Group と合弁で新工場を建設、商用車の輸入も開始

新工場を稼働  上海汽車とタイのコングロマリット CP Group の合弁会社 SAIC Motor-CP は、90億バーツを投じてRayong県に組立工場を建設し、2014年6月に稼働開始した。当初の年産能力は5万台。上海汽車が2007年に傘下に入れた英国MGブランドのモデルをKD生産し、タイのほか、右ハンドル車を使用する東南アジア諸国等に供給する。
MG6の生産・販売開始  SAIC Motor-CPは、2014年6月、Rayong新工場で MG6 の生産を開始した。セダンとハッチバックの2タイプがあり、1.8L ターボエンジンと6速DCTを搭載。2014年の販売目標は2,000台。販売価格は84.8万~112.8万バーツ。
中国製商用バンを輸入販売  SAIC Motor-CP は2014年8月、中国製の商用バン Maxus V80 Grand Euro をタイで販売すると発表した。上海汽車は2009年に英国のMaxusブランドを買収。同モデルは2.5L ディーゼルエンジンを搭載。救急車、観光用バン、スクール用バン、移動式ATM等に使用可能。2014年の販売目標は500~600台。販売価格は16人乗りが139万バーツ、12人乗りが159万バーツ。

 

 



商用車メーカー:いすゞ、北汽福田汽車の動向

いすゞ:新興国向けトラック開発統括会社を設立、タイから中東へ輸出

タイに開発拠点を構築  いすゞ自動車は2014年4月に、バンコクで新興国向けトラック開発統括会社 Isuzu Global CV Engineering Center Co., Ltd. (IGCE) の運営を開始した。資本金は1億バーツ。開発業務を日本からタイに移管することにより、商品力の高い商用車を迅速に開発する。報道によると、新会社で開発したモデルは2016年頃、ASEAN、中近東、中南米、アフリカ等に投入する計画。
小型トラックを中近東へ輸出  いすゞ自動車は2014年10月にも、タイ製の小型トラックを中近東に輸出する計画 (2014年 9月報道)。藤沢工場からタイ工場に小型トラック ELF のノックダウン生産用部品を輸出。タイ工場で組み立て、サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦等に輸出する。日本では人手不足等により増産対応ができないため、タイの余剰生産能力を活用する。

 

北汽福田汽車:Tang Chong工場でトラックの委託生産開始

 中国の商用車メーカー、北汽福田汽車 (Foton) は2014年7月、タイのTan Chongグループの工場で、中大型トラックの委託生産を開始 (報道)。欧曼 (Auman) ブランドの Warrior を生産し、Tan Chong 傘下の販売代理店 Foton Truck (Thailand) を通してタイで販売する。2014年の販売目標は100台、2015年は300-500台を目指す。

 

 



LMC Automotive 生産予測:タイの生産は2017年に279万台となる見込み

(LMC Automotive社、2014年8月)

タイのグループ別 light vehicle 生産予測 LMC Automotiveが2014年8月に発表した予測によると、2014年のタイのlight vehicle生産台数は、前年比19.9%減の194万台となる見通し。生産急減の主な理由は、2013年上期まで初回購入支援策の納車が続いており、同年通年の生産台数が高水準となったためである。国内販売は引き続き大幅に減少しているが、輸出は安定している。

 LMCAは、生産台数は2015年以降増加に転じ、2017年には279万台に達すると予測している。同期間に各社が増産する中で、Fordは特に大幅な増産が見込まれる。同社は2016年にFiestaの生産をメキシコから移管するとされる。


タイのブランド別ライトビークル生産予測

(台)
SALES GROUP GLOBAL MAKE 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
Total 1,439,421 2,381,666 2,415,065 1,935,449 2,326,139 2,602,164 2,792,118
Toyota Group Toyota 515,813 888,500 863,912 803,450 772,656 759,483 805,440
Hino 152 320 264 253 263 274 297
Toyota Group Sub-total 515,965 888,820 864,176 803,703 772,919 759,757 805,737
Mitsubishi Motors Mitsubishi 207,660 399,696 351,160 323,755 329,631 321,306 336,885
Isuzu Motors Isuzu 169,921 266,579 261,841 224,206 237,986 247,607 260,981
Renault-Nissan Group Nissan 185,204 250,910 237,889 145,672 205,846 210,325 229,523
Ford Group Ford 117,488 136,417 156,240 142,551 265,937 377,657 401,092
Honda Group Honda 112,961 218,345 269,418 124,923 200,494 243,297 253,982
Mazda Motors Mazda 75,624 60,357 95,111 64,593 90,011 158,360 171,638
General Motors Group Chevrolet 40,007 125,410 108,696 63,315 90,159 108,460 121,306
Suzuki Group Suzuki 0 16,978 52,876 24,268 82,791 123,323 155,476
BMW Group BMW 4,342 6,152 8,281 8,060 7,899 8,282 8,759
MINI 0 0 128 377 360 395 450
BMW Group Sub-total 4,342 6,152 8,409 8,437 8,259 8,677 9,209
Daimler Group Mercedes-Benz 4,779 5,155 5,276 4,824 5,275 6,222 7,499
Fuso 0 0 12 143 158 183 209
Daimler Group Sub-total 4,779 5,155 5,288 4,967 5,433 6,405 7,708
Dongfeng Motor Dongfeng 0 2,503 2,115 1,872 2,590 2,660 2,829
SAIC Group MG 0 0 0 1,724 25,793 25,041 25,935
Tata Group Tata 5,470 4,344 1,846 1,463 8,290 9,289 9,817
Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (August 2014)
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要となります。
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