デリーモーターショー 2014 (1):マルチ・スズキ、タタなど日印メーカーの展示

小型SUVなど、グローバルモデルの出展が相次ぐ

2014/03/05

要 約

会場の様子
完成車の展示が行われたIndia Expo Mart

 第12回デリー・モーターショー「12th AUTO EXPO 2014」が2014年2月7日から11日にかけて開催された。今回からは、自動車メーカーの展示は、ニューデリー中心部から南西におおよそ40kmほど行った新興の工業団地内にあるIndia Expo Martで開かれた。前回までは部品展と併催されていて、ニューデリー中心部のPragati Maidanで開催されていた。

 India Expo Martは、Mart Areaと呼ぶ企業の事務所が入る棟の1階に4ホール、3階に4ホール。その他、敷地内に仮設ホールが6ホール設置されていた。

 一般公開日には、全てのホールがまんべんなく混雑している状態で、入場口を1カ所に規制したBMWやMercedes-Benzのブースは混み過ぎ、展示車やプレゼンテーション等を鑑賞できるような状況ではなかった。

 中央の広場状の場所を中心として、正面のHall 7にマルチ・スズキが、対面にTata Motorsが巨大なブースを構えており、この2社は単独で1ホールを占有し、存在感を見せていた。

 今回のモーターショーの展示車は、各社ともコンパクトカーやSUVをメインに出展(インドでは、SUVに課される物品税が2014年4月から減税される予算案が、2014年2月28日に発表された)。インド国内向けだけでなく、グローバル市場をターゲットにしていた。

 マルチ・スズキは、5ドアハッチバックの新型コンパクトカーCelerioを初公開し、搭載される新型AMTも注目された。また、グローバルモデルのコンセプトカー SX4 S-CrossとCIAZを発表した。
 Tata Motorsは新型コンパクトカーの4ドアセダンZestと5ドアハッチバック Boltを発表。コンパクトSUVのデザインコンセプトNexonも披露し、今後の乗用車の開発テーマも発表した。

欧米メーカー、部品サプライヤーの展示概要は別レポートとして別途掲載します。

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マルチ・スズキの展示:新型コンパクトカーCelerioとCセグメントセダンコンセプト CIAZを初披露

 インド最大手マルチ・スズキのブースは、会場中心の広場に面した巨大なホールを占有しており、その注目度も高かった。初披露となる、5ドアハッチバックの新型コンパクトカー Celerio は、ホール中央に新型AMTとともに展示されていた。また、ダンスや歌のパフォーマンスが繰り返されるステージ上でも左右に一台ずつ展示されていた。

 ホール左右には、既存モデルのSwiftやAlto 800の特別仕様車やオプション装着車が3~4台ずつ並んでいた。ブース中央に展示された新型AMT オートギアシフトは、スズキ内製の5速MTに自社で制御機構、アクチュエーターを搭載したもの。車主体の展示の中では、異彩を放つ新技術の展示となっていた。インドにおいては、経済性の理由からMTに対する信仰は強い。これに対しスズキはAMTを投入し、MTよりも運転が簡単で、AT・CVTよりも経済性に優れるAMTの普及、市場の拡大を狙う。

新型コンパクトカー Celerio マルチ・スズキ、新開発のAMTオートギアシフト(下記)を搭載した新型コンパクトカーCelerioを公開。 インドのほか新興国市場を中心としたグローバルカーとして投入する。この5ドアハッチバック車は、1.0Lエンジン「K10」各部の改良、車体の軽量化などで23.1km/Lの低燃費を実現。全長3,600×全幅1,600×全高1,560mmで、販売価格は39万ルピー(約65万円)から 。欧州市場でも2014年後半から発売される。
Concept CIAZ CIAZは、インドや中国などの市場で需要が高まっているCセグメントセダンのコンセプトモデル。2013年上海モーターショーでAuthenticsとして初披露されたモデルのインド公開版となる。
SX4 S-Cross SX4 S-Crossは、クロスオーバーSX4の後継モデル。ボディサイズは全長4,300×全幅1,765×全高1,575mmで、SX4よりも一回り大きい。荷室容量は270Lから430Lへ拡大。1.6Lのガソリンエンジンとディーゼルエンジンを用意する。
新型AMT オートギヤシフト スズキは、新開発のAMT (Automated Manual Transmission) オートギヤシフトを開発して公開。このオートギヤシフトは、新型5速MTに、クラッチおよびシフト操作を自動で行う電動油圧方式アクチュエーターを搭載。また、クラッチおよびシフトとエンジン協調の制御を工夫することでシフトの円滑化を実現した。
新型コンパクトカー Celerio Concept CIAZ
新型コンパクトカー Celerio Concept CIAZ
SX4 S-Cross 新型AMT オートギヤシフト
SX4 S-Cross 新型AMT オートギヤシフト

 



Tata Motors:新型コンパクトカーの2モデルを発表

 Tata Motorsは、巨大な単独の仮設ホールの中で、新型車やコンセプトカーを合計18台出展した。新型車では、コンパクトカーのBoltとZestが中央のステージに展示され、注目されていた。また、ホールの奥には大型商用車のボディがそびえていた。

 また、同社の製品戦略「Horizonext」を発展させる新たな開発テーマを提示し、乗用車は「DesigNext」「DriveNext」 「ConnectNext」、商用車は「DesigNext」「PerformanceNext」「FuelNext」を柱に、各セグメントの方向性を示すモデルを発表している。ホール四方のLEDディスプレイにアニメーションを流し、「ConnectNext」の文字が繰り返し流されていた。

 一番の注目を浴びていたのは、長いメインステージに展示されたコンセプトモデルの2台。「CONNECTNEXT CONCEPT」、「Nexon」の2台は、デザインスタディモデルでありながら大きな注目を集めており、人の流れが絶えることなく、来場者が一緒に写真に納まっていた。インドのモーターショーでは、来場者は車メーカーに対し現実的なモデルよりも、夢を見せてくれるモデルを多く求めているようであった。

新型コンパクトカー
4ドアセダンZest &
5ドアハッチバック Bolt

グローバルカーとして投入する新型コンパクトカーの4ドアセダンZestと5ドアハッチバックBoltは、インド、英国、韓国の各チームが設計を担当。タタのプネ(Pune)工場で生産され、2014年下半期に発売する見通し。
両モデルともハッチバックVistaと同じ「X1」プラットフォームを使用し、1.2LガソリンターボエンジンREVOTRON (最大出力90ps、最大トルク20.4kgm)を搭載、5速MTまたはAMT F-Tronicを組み合わせる。Zestにはディーゼルエンジンも設定する。
Nexon デザインコンセプトNexonは、モダンで若々しいデザインのコンパクトSUVで、今後のタタのデザインの方向性を示唆するもの。前輪を1.2L ターボガソリンエンジン、後輪をモーターで駆動するハイブリッド車。燃費性能は17.6km/L(ECE R101)。
CONNECTNEXT CONCEPT 人とくるまとがつながる未来をイメージしたコンセプトカー。全長4mで5人乗りのEVもしくはシリーズ式PHV。タタの車載コネクティビティの将来像を示す。
Magic IRIS Electric ルーフにソーラーパネルを装備する、全長2.96mの小型商用EV Magic IRIS Electricを出展。車両重量は730kgで、三相交流誘導モーター(最高出力 9kW、最大トルク 42Nm)とリチウムイオン電池(容量 110Ah)を搭載。航続距離は100km。
Nano Twist タタは2014年1月、超低価格車Nanoの新モデルNano Twistを発売。Nanoは2009年に発売され世界最安車として話題となったが、販売が低迷し、タタの業績不振の一因となっている。同社はNanoのイメージを刷新するNano Twistの発売で巻き返しを図る。
旧型Nanoの最上位モデルであるLXグレードが、Nano TwistのXTグレードに置き換えられる。デリーでの販売価格は23万6,000ルピー(約40万円)。Nano Twistは電動パワーステアリングやキーレスエントリーシステム搭載され、メータークラスターには燃料残量での走行可能距離や、平均燃費が表示される。
新型コンパクトカー 4ドアセダンZest 5ドアハッチバック Bolt
新型コンパクトカー 4ドアセダンZest 5ドアハッチバック Bolt
デザインコンセプトNexon CONNECTIONEXT CONCEPT

デザインコンセプトNexon

CONNECTNEXT CONCEPT
小型商用EV Magic IRIS Electric Nano Twist
小型商用EV Magic IRIS Electric Nano Twist

 



Mahindra Reva Electric Vehicles:2台のEVを展示

 Mahindra & Mahindraは、EVとHEVのコンセプトモデルを正面に据え、ブース内にはSUV、商用車、バス、SsangYongのSUV、二輪車など、グループ企業総出の展示。中でもMahindra傘下のEVメーカーであるMahindra Reva Electric Vehiclesは、EVスポーツカーのコンセプトモデルを展示し注目を集めていた。

e2o 2009年のフランクフルトモーターショーで発表した全長3.28mの小型EV。前回2012年のデリーモーターショーでは市販モデルを出展。2013年1月には車名をNXRからe2oに変更すると発表していた。2016年までの目標販売台数は3万台 。ベース価格は59.6万ルピー。三相交流誘導モーター(最高出力19kW)、リン酸塩リチウムイオン電池(容量 14kWh)を搭載。航続距離は100km(62マイル)。
Halo Electric Concept 2人乗りスポーツクーペのEVコンセプト。最高速度は160km/h。0 - 100km/h(62mph)加速は8秒。電動モーター(最高出力:140hp)とリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は200km。
e2o Halo Electric Concept
e2o Halo Electric Concept

 



Bajaj Auto:2台の超小型車を出展

 インドの大手二輪車・三輪車メーカーBajaj Autoは2012年から、全長2.75mの超小型四輪車RE60を発売している。今回はこのRE60にさまざまなデザインを施し色とりどり数台を並べた他、ブース中央にはガルウイングドアを備えた近未来的な超小型コンセプトを発表していた。

U CAR Bajaj Autoは、2人乗りの超小型四輪車のコンセプト U CARを初披露。後輪のトレッドが狭いデザインをしている。ガソリンエンジンで前輪を駆動し、ATを搭載する。また、エアコンも装備するとしている。
RE60 2012年1月に発売した、超小型四輪車RE60。216ccのエンジンで後輪を駆動し、5速MTを搭載。燃料はガソリン、CNG、LPGに対応。燃費性能は37km/Lだとしている。
U CAR U CARのリアビュー
U CAR U CARのリアビュー
RE60 RE60
RE60 RE60

 



日産:ダットサンブランドの3モデルの展示

 日産は、新興国向けのダットサンブランドの第1号モデルであるGO(2014年2月から生産開始)、同年後半から生産予定のGO+、クロスオーバーコンセプト redi-GOを出展。

redi-GO
コンセプト
日産はダットサンブランドのredi-GOコンセプトを初公開。同車は、ダットサンブランドのインド市場向けの小型クロスオーバーを示唆している。「D-カットグリル」と名付けられたダットサンエンブレムを囲むフロントグリルは、特徴的なサイドウィンドウ形状とともに、今後全てのダットサンモデルに採用するとしている。ホイールベースは2,350mmで、インテリアは広々としたスペースを実現。
GO 2013年7月に初公開されたダットサンブランド初のモデル、新型コンパクトカーGOを展示。同車は5人乗り5ドアハッチバックで全長は3,785mm。1.2リッター3気筒エンジンを搭載し、燃費性能は20.6km/L。2014年2月から、Oragadam工場で生産を開始し、納車は2014年3月からの予定。
GO+ GO+はインド向けダットサンモデルの第2弾。7人乗りで、1.2リッターエンジンと5速マニュアルトランスミッションを搭載。Oragadam工場で生産される予定で、生産、販売ともに2014年後半から始められる計画。
redi-GO コンセプト GO
redi-GO コンセプト GO
GO+
GO+

 



トヨタ:インド向けEtiosのSUVバージョン Etios Crossを展示

  トヨタはEtios CrossやCorolla Altisを初披露。その他にもPriusやHiace、Land Cruiser、86のレーシングモデルなど、ブランド力を訴求する内容となっていた。

Etios Cross SUV Etios Crossは、1.5Lと1.2Lガソリンエンジンおよび1.4L ディーゼルエンジンを設定し5速MTと組み合わせた。若年層をターゲットにしたデザインとなっている。2014年5月に発売予定。
Corolla Altis 11代目となる新型Corolla Altisは、7速パドルシフトを装備するCVTモデルと6速MTモデルを用意する。同車はインドで高級車として販売されており、2003年の発売から累計8.8万台以上を販売している。こちらも、2014年5月に発売予定。
セダンEtios & ハッチバックEtios Liva インド向けに開発し、2010年12月に発売した小型セダンEtiosと、2011年6月発売したハッチバックモデルEtios Livaも展示。
Corolla Altis Corolla Altis
Etios Cross Corolla Altis
インド向けセダン Etios Etiosのハッチバック版 Etios Liva
インド向けセダン Etios Etiosのハッチバック版 Etios Liva

 



ホンダ:クリエイティブ・スタディモデル クロスオーバーVision XS-1を初披露

  ホンダは、メインステージ上にAccord Hybrid、コンセプトNSX、7人乗りのクリエイティブ・スタディモデルVision XS-1を展示。多くの来場者を集めていた。このメインステージを囲むように、小さめのステージにMOBILIO、Brio、Jazzなどインド市場に合ったモデルを展示し、個々のステージを中継でつないだようなプレゼンテーションでアピールした。

Vision XS-1 ホンダはクリエイティブ・スタディモデルVision XS-1を初公開。スポーティーな外観と広々とした室内空間を特徴とするクロスオーバー。7人乗りの3列シートと大きな間口のスライドドアが装備される。現段階で量産計画はない。
MOBILIO アジア市場向け7人乗りMPV MOBILIOを展示。インドでは、ホンダのインド第2工場(Tapukara工場)で、2014年4月に生産を開始し、6月末までに発売する予定。
スタディモデルVision XS-1 アジア市場向け7人乗りMPV MOBILIO

スタディモデルVision XS-1

アジア市場向け7人乗りMPV MOBILIO
新興国専用の小型車 BRIO
新興国専用の小型車 BRIO

 



いすゞ:D-MAX Space Cab & SUV MU-7

  いすゞのブースでは、大音響の和太鼓演奏で場を盛り上げていた。「D-MAX」と「MU-7」が走破性や積載性能をアピールした展示を行う中、ブース入口には2016年に稼働を開始するインド国内の工場で製造される予定のディーゼルエンジンを展示。技術力とともに、国内生産における優位性や雇用の創出などを訴求しいすゞブランドイメージの向上を狙う。

D-MAX
Space Cab
いすゞはピックアップトラック D-MAX Space Cabをインド初公開した。発売済みのシングルキャブのD-MAXより室内空間が広いモデルで、近くインド国内で発売する。 2.5L ターボディーゼルエンジンを搭載。2016年稼動予定のSri City工場が完成するまでは、タイの拠点から組み立て部品を輸入し、インド自動車メーカーHindustan MotorsのThiruvallur工場で委託生産する。
インドではピックアップトラック部門の販売が急激に伸びており、ピックアップトラックの利用が想定される小規模事業者をターゲット層に位置付けている。
SUV MU-7 2013年12月に発売したSUV MU-7を展示。同じく、Hindustan MotorsのThiruvallur工場で組立生産されている。
D-MAX Space Cab アジア市場向け7人乗りMPV MOBILIO

D-MAX Space Cab

SUV MU-7

 



テラモーターズの電動三輪車 T4

  展示会メインホールの3階には、4ホール (2、4、6、8ホール) が設置されており、二輪車メーカー大手がこの3階の会場で展示を行っていた。横浜ゴムなど一部のタイヤメーカー等もこちらに展示。日本からは、ホンダ、ヤマハ発動機、スズキ等各社の2輪部門とともにテラモーターズが出展。電動二輪車および三輪車を展示していた。

 日本の電動二輪/三輪車メーカー テラモーターズは電動三輪車 T4を展示。運転手と3から5人の同乗者が乗ることができる。鉛電池またはオプションでリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は80km。
電動三輪車 T4
電動三輪車 T4

 

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>