ホンダ アコードハイブリッド 分解調査 (下)

SPORT HYBRID i-MMDのドライブユニット

2014/02/28

要 約

ドライブユニットのカットモデル
2013年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2013」で展示されたアコードハイブリッド/プラグインハイブリッドのドライブユニットのカットモデル。
*写真はクリックすると拡大されます。

 公益財団法人 ひろしま産業振興機構 カーテクノロジー革新センターの主催で、2014年1月にホンダ アコードハイブリッドのベンチマーキング活動が行われた。パワーコントロールユニット(PCU)とシャシ関連部品については「ホンダ アコードハイブリッド 分解調査 (上)」、リチウムイオン電池パックを中心に構成されているインテリジェントパワーユニット(IPU)と電動サーボブレーキシステムについては「ホンダ アコードハイブリッド 分解調査 (中)」にて報告した。

 本レポートは「ホンダ アコードハイブリッド 分解調査 (下)」としてSPORT HYBRID i-MMD (Intelligent Multi-Mode Drive)のドライブユニットについて報告する。


関連レポート:
ホンダ フィットハイブリッド 分解調査 その1その2 (2013年12月掲載)
トヨタ アクア 分解調査 その1その2 (2012年11月掲載)
日産リーフ 分解調査 その1 (2012年2月掲載)、その2 (2012年9月掲載)、その3 (2012年11月掲載)
トヨタ プリウスの分解実験 (2010年3月掲載)




ドライブユニットの構成

エンジン :2.0L(1,993cc) 直列4気筒アトキンソンサイクルガソリンエンジン(最高出力:105kW/143ps、最大トルク:165Nm/ 16.8kgf-m)、型式:LFA
駆動モーター :交流同期モーター(最高出力:124kW/169ps、最大トルク:307Nm/31.3kgf-m)、型式:MF8

 

構成図 EV走行モード
構成図 EV走行モード
電気CVTは発電用および駆動用モーター、クラッチを中心に構成されている。 リチウムイオン電池の電力によって駆動モーターのみで走行する。

 

ハイブリッドドライブモード エンジンドライブモード
ハイブリッドドライブモード エンジンドライブモード
エンジンがジェネレーターを駆動し発電。その電力によって駆動モーターのみで走行する。状況に応じてリチウムイオン電池の充電も行う。 クラッチでエンジンの出力軸と車輪を直結し、エンジンで走行する。状況に応じてリチウムイオン電池の充電、駆動用モーターによるエンジン走行のアシストを行う。

ホンダ広報資料より作成

 

 



分解作業前

 

車両前方から床下を見た写真 車両後方から床下を見た写真
車両前方から床下を見た写真。車両中央にエキゾーストパイプがあり、赤矢印が触媒コンバーター、青矢印がプリサイレンサーを指している。その横にあるオレンジ色のパイプはアルミ製で、中には住友電気工業製の高電圧ケーブルが通っている。 車両後方から床下を見た写真。写真中央にはダブルウイッシュボーン式のリアサスペンション、その奥には八千代工業製の燃料タンク(矢印)がある。

 

エンジンルームを上から見た写真 アンダーカバーが取り外されたエンジンルームを下から見た写真
エンジンルームを上から見た写真。白矢印が指しているのはPCUで、その下にはモーターと減速ギヤ等で構成されている電気CVTがある。 アンダーカバーが取り外されたエンジンルームを下から見た写真。サブフレームの上にはドライブユニットがあり、右側が電気CVT、左側がエンジン。

 

 



ドライブユニット

 

ドライブユニット
ドライブユニット ドライブユニット
車両前方側から見たドライブユニット。 車両右側から見たドライブユニット。
ドライブユニット ドライブユニット
前方座席側から見たドライブユニット。 車両左側から見たドライブユニット。
エンジンルームから取り外されたドライブユニット。ドライブユニットの下にはオールアルミフロントサブフレームがある。左上写真の白矢印が指す銀色のカバーの内側には触媒コンバーター、赤矢印が指す部分にはクールドEGR (排出ガス再循環)システムがある。
左上および右上写真にある青矢印はアイシン製の電動ウォーターポンプ、緑色の矢印はデンソー製の電動コンプレッサー。右上写真の黄色の矢印の内部には吸気側のカムスプロケットを電動化した電動VTC(Variable Timing Control、連続可変バルブタイミングコントロール機構)のモーターがある。
左下写真の紫色の矢印はメッツ製のインテークマニホールドとケーヒン製のスロットルボディ、オレンジ色の矢印はショーワ製の電動パワーステアリング(EPS)、ピンク色の矢印はディファレンシャル機構付きファイナルドライブギヤを指している。

 

 



エンジンおよび関連部品

 

エンジン
エンジン エンジン
左写真はドライブユニットからモーターやクラッチ等で構成されている電気CVTを取り外した後のエンジンを車両左側から、右写真は助手席側から見た写真 (インテークマニホールドやエアクリーナー等は既に取り外されている)。写真の中央下にあるホイールはクラッチダンパー内蔵のフライホイールで、直径は295mm、重量は5.8kg。
ガソリン車および1モーターのハイブリッド車(フィットおよびヴェゼルハイブリッド)はシリンダーブロックにスターターモーターを搭載しているが、2モーターのアコードハイブリッドには搭載されていない。

 

インテークマニホールド スロットルボディ
インテークマニホールド スロットルボディ
取り外されたメッツ製のインテークマニホールドとケーヒン製のスロットルボディ。左写真の向きでエンジンに搭載されている。インテークマニホールドのサイズは横360 X 高さ200 X 奥行280 mm。
右写真はインテークマニホールドの裏側で、写真中央下にある黒いホースは山下ゴム製の燃料ホース。白矢印はデンソー製の空燃比センサーを指している。

 

VTEC油圧制御バルブ(スプールバルブ) エンジンマネージメントシステム(EMS)
VTEC油圧制御バルブ エンジンマネージメントシステム
ケーヒン製のVTEC油圧制御バルブ (スプールバルブ)。インテークマニホールドの右側に搭載されている。 ケーヒン製のエンジンマネージメントシステム(EMS)。エンジンルーム内の助手席側の中央に搭載されている。サイズは縦150 X 横210 X 高さ45 mm。重量は0.64kg。

 

クールドEGRシステム 分解後のエンジン
クールドEGRシステム 分解後のエンジン
取り外されたクールドEGRシステム。白矢印はMAHLE製のEGRバルブ、赤矢印はマルヤス工業製のEGRクーラー。
EGRバルブのサイズは縦80 X 横70mm。EGRクーラーのサイズは長さ180 X 幅55 X 奥行55 mm。
燃焼済みの排ガスはクールドEGRシステムによって100℃程度にまで冷却される。
分解後のエンジン。
白矢印はアイシン製の電動ウォーターポンプ(重量は1.8kg)。
赤矢印はデンソー製の電動コンプレッサー(重量は6.22kg)。
青矢印はMAHLE製のシリンダーヘッドカバー。

 

 



モーターおよび関連部品(電気CVT)

 

電気CVT
電気CVT 電気CVT
エンジンから取り外された電気CVT。写真の手前がエンジン側。電気CVTは駆動モーター、ジェネレーター、湿式多板クラッチ、減速ギヤで構成されている。
白矢印が指している部分の内部にディファレンシャル機構付きファイナルドライブギヤがあり、中央の黒い部分(青矢印)がドライブシャフトと繋がり、前輪を駆動する。
電気CVTを上から見た写真。写真の左側がエンジン側で、左から減速ギヤ、駆動モーター、ジェネレーターの順に並んでいる。
赤矢印が指すコネクターはジェネレーターに、青矢印は駆動モーターに繋がる。

 

ジェネレーター
ジェネレーター ジェネレーター
左写真はサイドカバーが取り外されたジェネレーター。ジェネレーターの直径は175mm。ステーターのコイルの幅は35mm。右写真はサイドカバーの内部で、写真下側が電気CVTの上部。
左写真の右上にある赤矢印が指しているのは高電圧ケーブルのコネクター。ステーターの上に4つある細いパイプ(青矢印)はモーターを冷却するオイルが流れるオイルパイプ。オイルパイプにはコイルの上に穴があり、その穴からオイルを滴下してジェネレーターと駆動モーターを冷却する。
右写真の白矢印が指しているのは角度センサーで、直径は130mm、センサー(黒いリング状の部分)の幅は15mm。左上にある細長いパイプ(黄色の矢印)はオイルポンプに繋がるオイルパイプ。

 

減速ギヤ
減速ギヤ 減速ギヤ
左写真はフライホイールケース(電気CVTの減速ギヤ側のカバー)が取り外された電気CVT内の減速ギヤ。右写真はフライホイールケースの内部。
左写真の赤矢印が指しているはディファレンシャル機構付きファイナルドライブギヤで、ファイナルドライブギヤの直径は210mm、日本精工製のボールベアリングの直径は95mm、ドライブシャフトが通る部分の直径は35mm。青矢印はカウンターシャフト。黄色の矢印はジェネレーターシャフトで、ギヤの直径は75mm。白矢印はインプットシャフトで、ギヤの直径は140mm、サンギヤの直径は20mm。緑色の矢印はパーキングブレーキポールを指している。
インプットシャフト(白矢印)の奥には湿式多板クラッチ、オーバードライブギヤがある。トランスミッションがないため、エンジン走行の際はクラッチがオーバードライブギヤに直結し、エンジンの動力をドライブシャフトに伝える。インプットシャフトとジェネレーターシャフトのギヤは繋がっており、エンジンの動力をジェネレーターに伝え、発電する。
右写真のオレンジ色の部分はモーター冷却用オイルのポンプで、その横にある黒い部分(紫色の矢印)はストレーナー。

 

電気CVT冷却用オイルポンプ ATFクーラー
電気CVT冷却用オイルポンプ ATFクーラー
フライホイールケース(電気CVTの減速ギヤ側のカバー)の内側にあるオイルポンプの内部。矢印が指している2つのオイルポンプドライブギアで電気CVTを冷却するオイルを循環させている。 電気CVTを冷却するオイルを冷却するATF (Automatic Transmission Fluid)クーラー。左前輪の前に搭載されている。ティラド製のラジエーターを採用。

 

電気CVTのカットモデル
2013年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2013」にて展示されたアコードハイブリッド/プラグインハイブリッドのドライブユニットのカットモデル。両写真は電気CVTの部分を拡大している。
赤矢印が指しているのはクラッチ、青矢印はインプットシャフト、黄色の矢印はジェネレーターシャフト、緑色の矢印(左写真のみ)はオーバードライブギヤ、紫色の矢印(右写真のみ)はクラッチダンパー内蔵のフライホイール、白矢印は駆動モーター、黒矢印はジェネレーター。

 

 



作業後のアコードハイブリッド

 

作業後のアコードハイブリッド
作業後のアコードハイブリッド 作業後のアコードハイブリッド
作業後のアコードハイブリッド 作業後のアコードハイブリッド
分解作業後のアコードハイブリッド。右上写真はルーフパネル、左下写真は運転席と助手席のフロア、右下写真は後部座席のフロア。

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