PSA, Renault, Fiat, 欧州GM, 欧州Ford, Volvoの新型車装備

衝突被害軽減ブレーキや速度制限標識認識システムの搭載拡大

2014/01/14

要 約

Volvo XC60
多くの先進装備を搭載するVolvo XC60
フランクフルトモーターショー2013より

 以下は、PSA, Renault, Fiat, 欧州GM, 欧州Ford, Volvo が、2012年秋以降に欧州市場で発売した新型乗用車の主要装備の設定概要である。取り上げた新型車は合計11車種で、ブランド別ではPeugeot、Renault、Fiat、Opel/Vauxhallが各2車種、Citroen、Ford、Volvoが各1車種である。 対象とした新型車は小型車が多いが、衝突被害軽減ブレーキや速度制限標識認識システムなど、車載カメラやレーダーを使用した高度な運転支援装備の設定が拡大している。

 走行安定性装備では、コーナリング時に前輪左右の独立ブレーキを利用して各輪へのトルク配分を調整し、アンダーステアを抑えるTorque vectoring controlを小型SUVのFord Kugaが搭載。燃費向上装備では、エネルギー回生機構とアイドリングストップ機構 (Start/stop system) の設定が拡大した。

 視認性確保では、Peugeot 308がCセグメントでは世界初となるフルLEDヘッドランプを採用した。また、ヘッドランプのハイ/ロービームを自動切替するAuto high beam assistの設定が拡大。Volvo XC60は常時ハイビームで走行しながら、ヘッドライト内部のシェードを制御して周囲の車のドライバーを眩しくさせないActive high beam controlを設定した。

 運転支援装備では、速度制限標識を認識してディスプレイに表示するTraffic sign recognitionや衝突被害軽減ブレーキの設定が拡大。Volvo XC60は、自転車との衝突を回避する自転車検知機能付きオートブレーキシステムを設定した。なお、Euro NCAPの安全アセスメントでは、衝突被害軽減ブレーキと車線維持支援システムの搭載有無が、2014年から評価項目に追加される。

 利便性では、好みに応じて表示デザインが変更できる計器盤用の液晶ディスプレイをCitroen C4 PicassoとVolvo XC60が採用。PeugeotとFordの新型車は、エアバッグの作動を検知すると自動的に緊急通報するEmergency call systemを設定。欧州では2015年10月から、同システムの搭載が義務化される。

PSA, Renault, Fiat, 欧州GM, 欧州Ford, Volvo が新型車に設定した主な先進装備

(2012年秋以降に欧州発売した新型車)
走行安定性
(燃費向上を含む)
Torque Vectoring Control Ford Kuga
エネルギー回生機構 Renault Captur, Ford Kuga
Start/stop system Peugeot 2008/308, Citroen C4 Picasso, Opel Adam, Ford Kuga
視認性確保 LED headlights Peugeot 308
Auto high beam assist Citroen C4 Picasso, Opel Cascada, Volvo XC60
運転・駐車支援 Traffic sign recognition Opel Cascada, Ford Kuga, Volvo XC60
衝突被害軽減ブレーキ Peugeot 308, Fiat 500L Trekking, Opel Cascada,
Ford Kuga, Volvo XC60
自転車検知機能付き
フルオートブレーキシステム
Volvo XC60
快適性・利便性 Adaptive display Citroen C4 Picasso, Volvo XC60
Emergency call system Peugeot 2008/308, Ford Kuga

 
関連レポート:
新型車装備レポート:
 ・ドイツ3社の新型車装備 (2013年11月掲載)
 ・米国の新型車装備 (2013年8月掲載)
 ・日本の新型車装備 (2013年7月掲載) 
フランクフルトモーターショー:
 ・PSA、ルノー、Fiat、Volvoの展示取材 (2013年9月掲載)
 ・Opel、Fordの展示取材 (2013年10月掲載)
 ・BMW、VW、Daimlerの展示取材 (2013年9月掲載)



PSA:Peugeot 308はLEDヘッドランプ、Citroen C4 Picassoは多数の運転支援装備を採用

Peugeot 308
Peugeot 308
フランクフルトモーターショー2013より

 PSA は3車種の新型車すべてに、燃費を向上させるアイドリングストップ装置を搭載。小型クロスオーバー車のPeugeot 2008には路面の状況に応じて5種のトラクション・コントロール・システムから適切なモードを選択できるGrip controlを設定。小型ハッチバックのPeugeot 308は、Cセグメント初のLEDヘッドランプを採用したほか、衝突被害軽減ブレーキも搭載した。小型MPVのCitroen C4 Picassoには、鏡を利用して立体的に見えるLEDランプをテールランプに初めて採用。車両の周囲360度の状況がディスプレイに表示される360-degree camera systemや、車線逸脱を警告するLane departure warning systemも設定した。

 

PSA:2013年1~9月に欧州発売したPeugeot/Citroen ブランド乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
Peugeot
2008
Peugeot
308
Citroen
C4
Picasso
Small
crossover
Small
hatchback
Small
MPV
13年1月 13年9月 13年6月
走行安定性
(燃費向上を含む)
Gear shift indicator/Gear efficiency indicator
Grip control (下表1)
Stop & start
Rear Sports Spoiler
視認性確保 Auto headlights ○△
Intelligent beam headlights
Full LED headlamps (下表2)
Cornering assist fog lights
LED daytime running lights
LED 3D effect rear lights (下表3) ○△
Electrochrome/auto-dimming rear view mirror ○△ ○△
Auto wipers ○△
衝突安全性 Driver and front passenger front airbags, side airbags,
front and rear curtain airbags
Automatic hazard light activation
運転支援
駐車支援
Rear parking aid/sensors ○△
Front parking aid/sensors ○△
Reversing camera ○△
360-degree camera system (下表4)
Park assist ○△
Automatic electric parking brake
Hill assist
Lane departure warning system ○△
Blind spot monitoring system ○△
Speed limiter
Dynamic cruise control/Active radar guided cruise control ○△ ○△
Emergency collision alert & braking system (下表5) ○△
快適性
利便性
Automatic dual-zone air conditioning
Heated front seats
Multifunction colour touch screen (7" touch screen)
12" Panoramic HD central display with 3 selectable themes (下表6)
Satellite navigation ○△
Motorized rear tailgate ○△
Peugeot Connect SOS and Assistance (テレマティクスシステム)
eMyWay (インフォテインメントシステム) ○△

資料:2014年 1月上旬の Peugeot/Citroen OnLine Catalog (英国)

 

PSA:主な先進装備
(1)
Grip control
 一歩進んだトラクション・コントロール・システム。走行状況 (standard, snow, all terrain, sand, ESP) に合わせたモードを選択することにより、両前輪のトラクションを最適なものにする。
(2)
Full LED headlamps
 Peugeot 308 は、同クラス(Cセグメント)で世界初となるフルLEDランプを採用。
(3)
LED 3D effect rear lights
 テールランプに、鏡を利用して立体的に見えるランプを初めて採用した (Hella製)。テールランプのブレーキライトは、15個のLEDからなるコの字型を2つ並べた形。LEDの手前と後部に半透明の鏡を置くと、LEDから発した光の一部は手前の鏡を通過するが、残りの光は反射して後部の鏡に達する。すると光はまたすぐに反射する。この繰り返しにより、立体的なトンネルのように見える。方向指示灯には従来のランプを使用。
(4)
360-degree camera system
 車両の前部、バックドア、両側サイドミラーに取り付けられた4つの広角カメラにより、車両の周囲360度の状況がディスプレイに映し出される。この映像は、Park Assistの作動時にも見ることができる。
(5)
Emergency collision alert & braking system
 このシステムは、自車が先行車に近づきすぎると、音と表示でドライバーに警報を発し、ブレーキ操作を促す。ドライバーがブレーキ操作を行わないか、ブレーキ操作が不十分で、衝突が避けられないと判断すると、システムは自動的にブレーキをかける。
(6)
12" Panoramic HD central display
 HDは High-definition の略で、幅12インチの鮮明な計器盤用液晶ディスプレイ。必要に応じて、3種の表示内容のうち最適なものを選択できる。ナビゲーションを表示することも可能。個人の写真をUSBで取り込み、背景として使用することもできる。

 

 



Renault: Capturにエネルギー回生機構を採用

Captur
Captur
フランクフルトモーターショー2013より

 Renault は、小型クロスオーバー車のCapturに、燃費向上に寄与するエネルギー回生機構のEnergy smart managementを標準装備。Renault ブランド初の電気自動車 (EV) のZOEには、接近する車に歩行者が気付くように走行音を発生させるZ.E. Voiceを搭載。また、ZOEに設定したマルチメディアシステムのRenault R-Linkは、電力消費量のグラフの表示などEV専用機能を含む。

Renault:2012年12月~2013年3月に欧州発売したRenault ブランド乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
Renault
ZOE
Renault
Captur
Small
hatchback
EV
Small
crossover
12年 12月 13年 3月
走行安定性
(燃費向上を含む)
ECO mode
Energy smart management (エネルギー回生機構)
視認性確保 LED daytime running lights
Automatic lights
Fog lights with cornering function
Automatic windscreen wipers
衝突安全性 Driver & Passenger front airbags
Driver & Passenger side and thorax airbags
Front, rear and lateral airbags
運転支援駐車支援 Rear parking sensors
Rear parking camera system ○△
Cruise control
快適性利便性 Z.E. Voice (下表1)
Heated front seats
Renault R-Link (下表2)
European mapping upgrade

資料:2014年 1月上旬のRenault Online Catalog (英国)

 

Renault:主な先進装備
(1)
Z.E. Voice
 EV の ZOE は走行音が静かなため、歩行者が近付く車に気付くように音を発生させるシステム。発生させる音は、盲人や視覚に障害がある人々の団体と協力して開発した。
(2)
Renault R-Link
 Renaultのマルチメディアシステム。サテライトナビゲーション、ラジオ、USB、Bluetooth、ハンズフリー通話、エコドライブのガイド等の機能を提供。EV の ZOE 搭載の R-Link は、電力消費を示すグラフ、充電サイクルの設定、充電ステーションの所在など、EV専用機能を含む。ZOEでは停車中、7インチのフルカラーディスプレイで写真・ビデオの視聴も可能。

 

 



Fiat:500L Trekkingは衝突被害軽減ブレーキを標準装備

500L Trekking
500L Trekking
フランクフルトモーターショー2013より

 Fiat は500ファミリーの500Lをオフロード向けにした500L Trekkingに、片輪の空転を感知するとブレーキをかけ、もう一方の車輪にトルクを配分するTraction + を採用。滑りやすい路面や悪路での走行性能を向上させた。また、市街地での走行安全に寄与する低速走行時の衝突被害軽減ブレーキ、City brake controlをFiat車として初めて標準装備した。

Fiat:2013年6月に欧州発売した Fiatブランド乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
500L
Trekking
500L
Living
Small
SUV
Small
MPV
13年 6月 13年 6月
走行安定性 Traction + (下表1)
視認性確保 Automatic lights with rain sensor
Fog lights with cornering function
Electrochromatic dipping rearview mirror
Heated rear window
Heated front windscreen
衝突安全性 6 Airbags
運転支援
駐車支援
Cruise control
Hill holder
City brake control (下表2)
Rear parking sensors
Parkview rear parking camera
快適性
利便性
Automatic dual zone climate control
Heated front seats
Uconnect (インフォテインメントシステム)

資料:2014年1月上旬の Fiat Online Catalog (英国)
(注) Fiat 500L Living は、英国では Fiat 500L MPW (Multi Purpose Wagon) と呼称される。

 

Fiat:主な先進装備
(1)
Traction +
 駆動輪である前輪の片方の空転を感知すると自動的にブレーキをかけ、他方の車輪にトルクを配分し、滑りやすい路面やラフな場面において走行性を高める。より本格的なLSD機構であるセルフロッキングディファレンシャルと似た働きをする。ボタンでON/OFFが設定でき、時速30kmまでが動作範囲となる。
(2)
City brake control
 低速走行時の衝突被害軽減ブレーキ。3~18mphで作動。フロントガラス上方に装着されたレーザーセンサーにより、先行車および前方の障害物を検知し、衝突の危険がある場合はブレーキアシストおよびプレフィルにより、ドライバーの緊急ブレーキ操作をアシストする。衝突が不可避で、ドライバーが回避行動をとらない場合は、自動ブレーキをかける。

 

 



欧州GM:Opel CascadaにActive rollover protection systemを標準装備

 GM は、小型ハッチバックのOpel/Vauxhall Adamにアイドリングストップ機構を設定。中型コンバーチブルのOpel/Vauxhall Cascadaには、横転時に起爆装置とバネによりロールオーバーバーが飛び出すActive rollover protection systemを標準装備。運転支援装備としては、第2世代のOpel Eye (車載フロントカメラ) を活用し、先行車との距離を常に表示するFollowing distance indicatorや、悪天候時など一時的な速度制限標識も認識するTraffic sign recognitionを設定した。

欧州 GM:2013年初頭に欧州発売したOpel/Vauxhall ブランド乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
Opel/
Vauxhall
Adam
Opel/
Vauxhall
Cascada
Small
hatchback
Midsize
convertible
13年初頭 13年初頭
走行安定性
(燃費向上を含む)
Cornering brake control
Shift-up indication light
Start/stop
視認性確保 Intelligent Adaptive Forward Lighting
Automatic lighting control ○△
Digital high beam assist ○△
LED daytime running lights ○△
Electro-chromatic anti-dazzle rear view mirror ○△
Rain sensitive windscreen wipers ○△
衝突安全性 Driver's and front passenger's airbags, Front seat side-impact airbags
Full-size curtain airbags
Anti-submarining ramps in front seats
Active rollover protection system (下表1)
Adaptive brake lights
運転支援
駐車支援
Front parking distance sensors
Rear parking distance sensors
Rear view camera
Advanced park assist
Side blind spot alert
Hill start assist
Cruise control
Following distance indicator/Forward collision alert/
Automatic brake intervention (下表2)
Traffic sign recognition (下表3)
Lane departure warning
快適性
利便性
Dual-zone electronic climate control ○△
Flex-Fix bike carrier system
Heated steering wheel ○△
Heated front seats ○△
Driver's and front passenger's seat ventilation system
Electrically operated easy entry front seats (下表4)
Electronic front seatbelt presenters (下表5)
7-inch colour monitor
Bluetooth
Satellite navigation system
IntelliLink (インフォテインメントシステム)

資料:2014年 1月上旬の Opel/Vauxhall の Online Catalog (英国)

 

欧州GM:主な先進装備
(1)
Active rollover protection system
 高強度のロールオーバーバーは、通常は後席の背後に収納されている。横転時には、起爆装置とバネにより自動的に上に飛び出し、乗員を保護する。また、エアバッグが作動するような激しい衝突の場合も作動し、二次衝突や衝突に伴う横転に備える。
(2)
Following distance indicator/ Forward collision alert/ Automatic brake intervention
 第2世代の Opel Eye (リヤビューミラーに装着されたフロントカメラ) により機能が拡張した。新機能の Following Distance Indication は、同車線の先行車との距離を常にディスプレイに表示する。Forward Collision Alert は従来からある機能で、25mph 以上で自動的に作動し、自車より遅い速度で走行している先行車に近づきすぎると、音と表示でドライバーに警告する。ドライバーが減速しないと、Automatic Brake Intervention が自動的にブレーキをかけ、必要に応じて10mph にまで減速する。
(3)
Traffic sign recognition
 従来のシステムは、EU諸国で通常使用されている丸形の速度制限標識を認識したが、第2世代のOpel Eyeは、悪天候等による一時的な速度制限標識 (方形や電光掲示板も含む) も認識してディスプレイに表示。自車の速度がオーバーすると警報を発する。
(4)
Electrically operated easy entry front seats
 後席乗員の乗降を容易にするシステム。前席のシートバックを前方に動かすだけで作動し、前席が通常のシート位置調整時の2倍の速度で前に動く。シートバックを後方に動かすと、前席は元の位置に戻る。
(5)
Electronic front seatbelt presenters
 この電動のSeatbelt presenterはドアの内側の肩の高さに設置され、ドライバーまたは前席乗員がシートに座ると、自動的にシートベルトのバックルを、手に届きやすい位置まで押し出す。シートベルト装着後は、自動的にドアの内側のケースの中に戻る。

 

 



欧州Ford:KugaにIntelligent AWD システムや多数の運転支援装備を搭載

 Ford は小型SUVのKugaに、前後のトルク配分を100:0~0:100まで変化させるIntelligent All-Wheel Driveと、左右前輪に伝達するトルクを調整して旋回をしやすくするTorque Vectoring Controlを搭載。運転支援装備では、衝突被害軽減ブレーキのActive City Stop、速度制限標識認識システム、車線逸脱警報/車線維持支援システム等を設定した。

欧州 Ford:2013年初頭に欧州発売したFord ブランド乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
Kuga
Small SUV
13年初頭
走行安定性
(燃費向上を含む)
Intelligent All-Wheel Drive (下表1)
Torque Vectoring Control (下表2)
Roll Stability Control
Smart Regenerative Charging
Auto Start-Stop System
Dynamic Cornering Control
Gear shift indicator
Active Grille Shutter system
Ford Eco Mode driver information system
視認性確保 Automatic headlights ○△
LED day running lights
Automatic wipers with rain sensor ○△
Heated Front Windscreen
Auto-dimming rear-view mirror ○△
衝突安全性 Driver's and front passenger's airbags, Front side impact airbags
Front and rear curtain airbags
Driver's knee airbag
Anti-submarining seat bases
Emergency brake warning
運転支援
駐車支援
Rear parking distance sensors ○△
Reversing camera ○△
Traffic Sign Recognition
Adaptive Cruise Control
Blind Spot Information System
Lane Keeping Alert/Lane Keeping Aid
Driver Alert
Hill start assist
Active City Stop ○△
快適性
利便性
Air conditioning -dual-zone electronic automatic temperature control
Front seats with heated seat cushion and seatback
Hands-free power tailgate (下表3)
Ford SYNC including Emergency Assistance (下表4), Bluetooth and voice control

資料:2014年 1月上旬の 欧州 Ford Online Catalog (英国)

 

欧州Ford:主な先進装備
(1)
Intelligent All-Wheel Drive
 欧州のFord車では初採用。25種類のセンサーから速度、スロットル開度、ステアリング舵角、路面状況などを読み取り、リアルタイムで最適なトルクを前後間で100:0~0:100で自動的に配分。オフロードの走破性だけでなく、オンロードでのアンダーステアやオーバーステアを迅速に補正して、ハンドリングとトラクションが最適になるように作動する。ディスプレイには常にトルクの配分量をグラフで表示する。
(2)
Torque Vectoring Control
 カーブ走行しながら加速する場合に、内側の駆動輪にわずかなブレーキをかけ、その結果外側の駆動輪により多くのトルクを配分する。コーナリング時のグリップとステアリング安定性を向上させ、アンダーステアを軽減する。
(3)
Hands-free tailgate
 小型SUVセグメントでは初搭載。キーを所持している人がバンパーの下で脚を動かすと、リフトゲートを開閉できる機能。両手がふさがっていても、容易に車の後部に荷物を入れることができる。
(4)
Emergency Assistance
 インフォテインメントシステムの Ford SYNC に含まれる Emergency Assistance は、欧州30余カ国で利用可能。作動するには、Ford SYNC に適合するモバイルフォンを接続している必要がある。システムがエアバッグの作動を検知すると、モバイルフォンを利用して自動的にその国の言語で緊急通報する。車両の位置も伝達する。

 

 



Volvo: XC60に新開発の自転車検知機能付きオートブレーキを搭載

 Volvoは、一部改良した最量販車の小型高級SUV XC60に、新開発の歩行者・自転車検知機能付きオートブレーキを設定。自車の進路に入ってきた歩行者だけでなく、自転車も検知し、衝突の危険がある場合は警告およびブレーキを作動させる。このほか、車線逸脱警報、死角検知システム、ドライバー疲労警告など数多くの運転支援装備を設定している。

Volvo Cars:2013年11月に欧州発売したVolvo ブランド乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
Volvo
XC60
Small
luxury
SUV
13年11月
走行安定性
(燃費向上を含む)
Electronic All Wheel Drive System with Instant Traction
Roll Stability Control
視認性確保 Active Bending Xenon Lights with Corner Light Function & Headlight Cleaning System
Headlight Levelling System
Active High Beam Control (下表1)
LED Day Running Lights
Autodimming Rear View Mirror ○△
Autodimming Exterior Mirrors
Heated Front Windscreen
Rain Sensor with Automatic Windscreen Wiper Activation
衝突安全性 Dual Stage Driver and Passenger Airbags
Dual Chamber Side Impact Protection Airbags, Inflatable Curtains
Rollover Protection System
Adaptive Brake Lights including High Level LED Brake Lights
運転支援
駐車支援
Rear Park Assist ○△
Front Park Assist, Park Assist Camera
Front Blind View Camera (下表2)
Hill Descent Control
Cruise Control
Adaptive Cruise Control, Distance Alert, Queue Assist
Pedestrian and Cyclist Detection with Full Auto Brake (下表3)
City Safety
Blind Spot Information System with Cross Traffic Alert
Lane Keeping Aid, Lane Departure Warning
Driver Alert Control, Road Sign Information Display
快適性
利便性
Heated Front Seats, Heated Rear Seats, Heated Steering Wheel
Adaptive Digital Display (下表4)
Sensus Connect (インフォテインメントシステム)(下表5) ○△

資料:2014年 1月上旬の Volvo Online Catalog (英国)
(注) Volvo XC60は一部改良車だが、新装備をいくつか搭載しているので取り上げた。

 

Volvo Cars:主な先進装備
(1)
Active High Beam Control
 カメラセンサーで対向車のヘッドライトや先行車のテールライトを検知し、ヘッドライト内部のシェードを制御することで、その対向車と先行車に向けられる光の部分だけを遮光する。ハイ/ロービームを切り替える必要がなく、対向車や先行車のドライバーに眩しい思いをさせずに、常にフルビームの状態で走行が可能。
(2)
Front Blind View Camera
 フロントグリルに設置されたパノラマ式カメラで前方をモニターし、画像をディスプレイに表示する。これにより前方180度の視界が得られ、たとえば交差点の角で、運転席から見えない場所や対象物も見ることができる。
(3)
Pedestrian and Cyclist Detection with Full Auto Brake
 「歩行者検知機能付追突回避・軽減フルオートブレーキ・システム」に、新たに自転車の検知機能を追加した。赤外線レーザーと高解像度カメラおよびミリ波レーダーで構成されるセンサーシステムが、車両の前方をモニターし、車両と同じ方向に走っている自転車が突然自車の進路内に入り、自転車との衝突が避けられないと判断した場合に、光と音による警告と同時に自動でフルブレーキを作動させ、追突を回避または軽減する。
(4)
Adaptive Digital Display
 薄膜トランジスタを使用した計器盤用の液晶ディスプレイ。ドライバーの好みに応じて表示デザインを3種から選択できる。初期設定の Elegance は速度計を表示するクラシックなデザインとレイアウト、Eco は緑色を基調とし、低燃費運転を奨励するデザイン、Performance は赤色を基調としてエンジン回転計 (タコメータ) を表示し、速度はデジタルで表示する。
(5)
Sensus Connect
 Volvoのインフォテインメントシステム。利用可能な機能には、3Dマップのナビゲーション、3G回線によるテレマティクス (Volvo On Call)、インターネット接続用の WiFi ホットスポットの提供、Bluetooth 接続による音楽ストリーミングサービスの利用、オーディオやナビゲーションの音声操作等がある。停車中は車載ディスプレイでインターネットの閲覧もできる。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>