Tata Motors Group:JLRによる利益拡大に期待

Jaguar Land Roverは中国・ブラジルで、Tataはインドネシアで生産を計画

2013/12/26

要 約

Tata Light Vehicle Production Forecast by Brand
Source: LMC Automotive, Global Automotive Production Forecast, October 2013

 Tata Motorsの2013年の業績は、ブランドにより大きく異なっている。傘下のJaguar Land Rover (JLR) による2013年の生産台数は42.7万台に達する見込みで、前年を5.8万台上回ると予測される。2つの高級ブランドに対する需要は拡大を続けており、特に販売が好調な中国で、JLRは2014年に自社工場を開設すると発表した。年産能力10万台を持つこの工場は、JLRにとって、英国以外に位置する初めての工場となる。JLRは、ブラジルにも工場を建設する計画を発表している。


 一方、Tataブランド車の2013年の生産台数は、インド国内の需要が低迷し、30万台近く減少する見通し。毎年、車の販売が拡大するインドの祭事シーズンにも、販売台数は前年を下回ると予想される。LMC Automotive社のインド担当上級市場アナリスト Ammar Masterは、「各メーカーは休日を増やし、シフトを削減して、需要に見合うように生産を減らすだろう」と語っている。Tataブランド車の生産が大きく落ち込んだため、3ブランドを合わせた2013年の合計生産台数は前年より22.2%減少する見込み。


 LMC Automotive社は、2013年から2016年までに3ブランドの合計生産台数は53.1%増加する、と予測している。Jaguarの生産は2016年までに倍増し、Land Roverは着実に増加、Tataの生産は急速に回復する見込み。LMC Automotive社は、「インド市場が回復し、高成長の軌道に乗れば、Tataブランドも中期的には生産が拡大するだろう」とコメントしている。


関連レポート:
インド:長期的成長を展望し、日本各社は設備能力を増強 (2013年10月)
フランクフルトモーターショー2013(2):JaguarのSUVコンセプト、Range RoverのHVを展示 (2013年9月)
インドの日系部品メーカー:日系自動車メーカーの生産増強・新興国モデル投入に対応 (2013年8月)



Jaguar Land Roverは中国市場の急成長に期待、他の市場でも着実に販売拡大

Jaguar Land Rover - Retail Sales by Market
Source: Tata JLR Group

 JLRは、2008年にFordからTata Groupに売却されて以来、比較的良い業績を残している。近年は、不振が続くTataブランドに対して、JaguarとLand Roverは高収益をあげており、Tata Motors全体の利益のほとんどを両ブランドが生み出すという状態が続いている。特に、高級ブランドが全般に好調な中国では、両ブランドの販売が急拡大している。この需要増加に対応するため、2014年にJLRは中国に工場を開設する。LMC Automotive社は次のようにコメントしている。「中国や米国など輸出が好調な市場で、成長が期待できるセグメントに『高級モデル』の新型車を投入して成功すれば、JLRの中期的成長にはずみがつくだろう。」


 

 



Tataの販売は短期的には減少、インド市場の安定化に伴い回復へ

Tata - Light Vehicle Sales by Type
Source: MarkLines and Industry Sources (UV=Utility Vehicles, MPV=Multi-Purpose Vehicles)

 Tataブランドの販売は、2009~2012年に60.4%増と急拡大した。ここ数年、インド市場では小型トラックとSUVに対する需要が増加している。Tataは2012年10月にSUVのSafari Storme を発売するなど、これらのセグメントに新型車を投入して、需要拡大に対応した。乗用車セグメントでは、この2年間、競合メーカーから多数の新型車が投入されたため、Tataの販売は微減している。


 しかし、大半の車をインドで販売するTataブランドは、最近のインド経済の低迷の影響を強く受けている。多くのエコノミストがインドの自動車販売減少の主な要因としてあげているのは、高金利、燃料価格の上昇、全面的インフレである。さらに、ルピー安により、自動車生産に使用される輸入原料のコストが増加し、インドの消費者にとって車の価格が高くなっている。その結果、LMC Automotive社のAmmar Masterは、「厳しい市場環境のもとで、2013年末までの期間および2014年上期の我々の予測は控えめなものとなった」と語っている。


 LMC Automotive社は、インドの長期的な見通しについては楽観的である。ただし、「2014年の4月または5月に行われる総選挙によって政治不安が払拭されるまでは、企業や消費者の心理が大幅に改善されることはないだろう」とも考えている。


 インド市場に依存することから生じるリスクを低減するため、Tataは国外に目を向け始めている。インドネシア、豪州、マレーシア、ネパールについては、現地企業と提携し、自動車輸出を開始すると発表した。

 

 



JLRは新型車を投入、Tataは一部改良車を発売

JLRは新型またはモデルチェンジ車を投入

JLR - Total Retail Sales
Source: Tata JLR Group

 Jaguar Land Roverは、一部または全面改良車を8車種投入するという意欲的な販売拡大計画を2013年から実施している。過去数年間、JLRの販売台数の大半はLand Rover車で、2012年の小売販売の85%、2013年1-10月の82%を占めている。これは、Jaguarのモデルラインアップが少ないことが大きな要因であった。


 この商品構成は、Jaguarブランドが新型車を数車種投入することにより、変化すると予想される。まもなく発売される新モデルは、2013年のロサンゼルスモーターショーと東京モーターショーに出展されたF-Type Coupeである。同モデルは、2011年のフランクフルトモーターショーで披露されたC-X16コンセプト車をベースとしており、2014年春に発売される予定。これに先んじて、2013年5月にはF-Type Convertibleの販売を開始している。


 また、Tataは24億ドルを投じてオールアルミ製のプラットフォームを開発し、C-X17コンセプト車に採用して、2013年フランクフルトモーターショーに出展した。この新型プラットフォームは軽量かつ堅牢で、多様なモデルに適合する。今後、Jaguarが発売する新モデルと既存モデルのほか、Land Roverが将来投入する小型モデルにも採用されるのではないかと推測されている。

 

TataはHORIZONEXT戦略を発表

 JLRのモデル投入計画ほど意欲的ではないが、Tataも2013年6月に乗用車のラインアップを刷新するHORIZONEXT戦略を発表。装備やカラーの追加、スタイルの変更等を施して、新たに投入する8バージョンを発表した。改良されたモデルは、小型セダンのIndigo eCS、ハッチバックのIndica、超小型車のNano、SUVのSumo Gold、SUVのSafari StormeのExplorer Editionである。さらに、Indica、Indigo、NanoのCNGモデルも発売される予定。この中で特に大きく変更されたのはIndigo eCSで、新しいパワートレインとサスペンションを採用した。Tataブランドは、2010年以降、乗用車の新モデルを投入していない。Tataは、JLRの新モデル開発に投資する一方、Tata車については、コストを抑えるため、もっぱら既存モデルへの装備追加や外装変更に取り組んでいる。

TataとJLRの主な新型車投入計画

発売年 モデル 概要
2013 Jaguar F-Type Convertible  この2シーター・コンバーチブルは、2011年のフランクフルトモーターショーに出展されたC-X16コンセプト車をベースとする最初のモデル。エントリーモデルは69,000ドルからで、最高出力380hpを発生するスーパーチャージャー付き3.0L V6エンジンを搭載。「V8 S」バージョンには、最高出力495hpのスーパーチャージャー付き5.0L V8エンジンを搭載する。F-Typeの販売は2013年5月に開始した。
Range Rover Sport  Range RoverとEvoqueの間に位置するRange Rover Sportの新型車は、2013年9月に投入された。アルミ製の新プラットフォームを採用する新型車は、先代モデルより最大420kg軽量化。需要は、中国を中心に非常に多く、受注残を解消するため、英国のSolihull工場では24時間操業を余儀なくされている。Range Rover Sportと大型のRange Roverから得られる利益は、JLR全体の販売拡大計画の財源としてほぼ十分な額にのぼっている。
2014 Jaguar F-Type Coupe  F-Type Coupeは、2013年のロサンゼルスおよび東京モーターショーに出展された。エントリーモデルの価格は約65,000ドルからで、 最高出力340hpを発生するスーパーチャージャー付き3.0L V6 エンジンを搭載。最高級の「R」バージョンは約99,000ドルから。最高出力550hpのスーパーチャージャー付き5.0L V8エンジンを搭載し、0-60 mph加速がわずか4秒。欧州および米国での販売は2014年春から開始される予定。
Range Rover and Range Rover Sport Diesel Hybrids  Range RoverとRange Rover Sportのディーゼルハイブリッド車は、2014年初頭に発売される予定。最大トルク170Nmのモーターを搭載し、EVモードで走行可能。ディーゼルエンジンとモーターの合計出力は340ps、合計トルクは700Nm。当初、投入される市場は欧州、中国、豪州、韓国、台湾。
2015 New Jaguar Crossover SUV  生産が決定されれば、このモデルはクロスオーバーセグメントに参入するJaguar初のモデルとなる。2013年9月にフランクフルト、11月にロサンゼルスのモーターショーで披露されたC-X17クロスオーバーコンセプト車をベースとする。対抗車は、BMWおよびAudiが販売する同クラスのクロスオーバー車。2015年下期に発売する予定。
New Jaguar Compact sedan  CまたはDセグメントのこの高級セダンは、C-X17コンセプト車に採用された新開発のアルミニウム・モノコック・プラットフォームをベースとする。同モデルは、Wolverhampton工場で組み立てられたV6エンジンを使用して、Solihull工場で生産される予定。欧州では2015年末に、米国では2016年初頭に発売される。対抗車はBMW 3 SeriesとMercedes-Benz C-Class。将来はワゴンモデルも投入される見込み。
Land Rover Freelander  中型SUVのLand Rover Freelanderの次期モデルは、現行モデルより一回り大きくなる。また、7人乗りバージョンも設定される見込み。次期モデルは2015年に発売される予定。引き続き英国Halewood工場で生産される。
Tata X0  2013年5月の報道によると、TataはNanoに代わる新コンパクト車の生産を検討しているとされる。同社は最近、Indicaのプラットフォームを使用した「X0」の生産についてフィージビリティ調査を実施した。決定されれば、新モデルは2015年までにSanand工場で生産される見通し。
N/A Range Rover SUV  JLRは、新開発のオールアルミ製プラットフォーム (C-X17コンセプト車に採用) を使用してRange Rover SUVを生産する可能性を検討している。このモデルはRange Rover EvoqueとRange Rover Sportの間に位置する見込み。Range Roverモデルにも採用することにより、同プラットフォームの収益性が高まると考えられる。

資料:MarkLines, Tata およびJLR ウェブサイト、INOVEV、Automotive News、各種報道

 

Land Rover Defenderは生産終了へ

 JLRは、Land RoverがSUVのDefenderの生産を法規制上の理由で2015年頃までに終了する、という2013年10月の報道を正式に認めた。後継車がいつ発売されるかは、まだ明らかにされていない。Defenderの最初のモデルは1948年に生産が始まった。累積販売台数は約200万台、2012年の世界販売台数は約1万台である。

 

Jaguar F-Type Coupe
Jaguar F-Type Coupe
Jaguar C-X17 Concept
Jaguar C-X17 Concept
Land Rover Range Rover Sport
Land Rover Range Rover Sport
Land Rover Range Rover Evoque
Land Rover Range Rover Evoque

 

 



JLRは英国外に新工場を建設、TataはASEAN市場を注視

 JLRは、2014年3月期に27.5億ポンドを投資すると発表した。これは、新型車および一部改良車8車種の投入を支えるため、施設拡充や製品開発に充当される。JLRの最高経営責任者Ralf Spethは、2012年9月に、同社は「市場のある場所に出向く」必要があり、近い将来、英国の外で生産を開始する、と語っていた。


 一方、Tataは、アジアの他の市場に事業を拡大しようとしている。最近では、タイのトラック工場を拡張したほか、インドネシアに新たに生産拠点を構築し、同国とASEAN地域向けに車両を供給することを検討している。

主要な投資計画

工場 投資額 内容
Castle Bromwich, England GBP 200 million
(USD 324 million)
 2012年5月に発表されたこの投資計画により、新型F-Type ConvertibleおよびCoupeを生産するため、生産能力を50%引き上げた。新たに約1,100人を雇用。
Wolverhampton, England GBP 500 million
(USD 754 million)
 2013年3月、JLRは同工場に対する投資の拡大を発表。以前発表した3.5億ポンドから5億ポンドに引き上げる。同工場は軽量・低排出の次世代4気筒ディーゼル/ガソリンエンジンを生産する。生産開始は2015年になる見込み。JLRはこれらのエンジンをFordから調達しており、自社設計のエンジンを生産するのは1990年代以来初めてのことである。
Coventry, England 合計GBP 100 million (USD 160 million);
JLR 投資額 GBP 50 million/
Tata Motors 投資額 GBP 30 million
 JLR, Tata Motors, 英国政府は、次世代の自動車技術を研究するため、2016年にWarwick大学内にR&Dセンターを開設する計画。施設の建設は2014年9月に開始する。研究テーマは、電動化、スマート&コネクテッドカー、ヒューマン・マシン・インターフェースなど。このNational Automotive Innovation Campus (NAIC) では約1,000人の研究者・エンジニアが働く予定。JLRからは既に200人の研究者・エンジニアが、同大学を拠点として研究を進めている。
Changshu, Jiangsu Province, China 合計GBP 1.1 billion
(CNY 10.9 billion)
 2012年11月、JLRと中国の合弁パートナーの奇瑞汽車は、上海近郊で折半出資の合弁工場の建設を開始した。新たにR&Dセンターとエンジン工場も建設する計画。合弁会社の名称はChery Jaguar Land Rover Automotive Company Ltd. 新工場では、Land RoverとJaguarの既存車種のほか、中国市場向けに開発した国内ブランド車も生産する。工場は2014年後半に生産を開始する予定。
Itatiaia, State of Rio de Janeiro, Brazil GBP 240 million
(BRL 750 million)
 JLRは2013年12月、ブラジルに工場を新設する計画を発表した。2014年半ばに起工し、2016年から生産を開始する。年産能力は24,000台で、従業員は400人の見込み。ブラジルおよび周辺諸国向けの車両を生産する。
Thonburi, Thailand THB 100 million  Tataは2013年9月、小型トラックのSuper Aceなど複数の車種を組み立てる生産ラインを同工場に追加すると発表した。新生産ラインは2014年4月に稼働開始する計画。現行の年産能力は約1万台だが、将来は15,000台に拡大する見込み。
Portland, Oregon, USA N/A  JLRは2013年11月、将来の車載インフォテインメント技術を開発するため、Intel社とR&Dセンターを開設すると発表した。新設する「Open Software Technology Center」は2014年にオープンし、英国Gaydonに拠点を置くインフォテインメント・チームを補完する。また、2016年 にWarwick大学にNational Automotive Innovation Campus (NAIC) が開設されると、そこで実施される他の長期研究プロジェクトも支援する計画。
Dubai, UAE N/A  JLRは2013年5月、12年間車両試験を実施しているドバイで、試験施設を建て替え、11,120平方フィートに拡張すると発表した。新しい施設では、耐久性、計器校正、高温高湿試験など様々な試験を実施する。
Indonesia N/A  2012年9月に設立されたPT Tata Motors Indonesiaは、Tata Motorsが長期にわたってインドネシアで事業を展開しようとしている意図を表している。Tataはインドネシアで同国と他のASEAN市場向けに車両を生産する計画で、現在、工場の立地を選定中。Tataはインドネシア市場に、大きな成長の可能性を見ている。工場の詳細はまだ明らかにされていない。

資料:各社Press Release, Automotive News, 各種報道

 

 



インド市場は不振だが、売上高とEBITDAは増加

 Tata Motorsの売上高は大幅増加を続けている。2013年3月期の売上高 は前年比6.8%増の347.86億ドルに達した。伸び率が過去数年間の実績を下回ったのは、Tataのインド国内販売が低迷しているためである。2013年のインド市場は、貨物輸送量が減り、インフラ整備の活動も低調で、ディーゼル燃料は頻繁に値上げされ、金利は高く、経済活動全体が低迷していた。さらに、一部のセグメントでは値引き競争が激化し、営業利益率が低下した。このようなインド市場における事業環境の悪化の影響を、JLRの販売台数と利益の増加がカバーした。


 2013年3月期の税引前・特別項目計上前利益は、ドル換算値で前年より7.1%減少した。しかし、この数値は変動する為替レートの影響を受けており、現地のインドルピーでは0.9%の減少にとどまっている。ドル換算値のEBITDA (利払前・税引前・減価償却前利益) は前年より5.1%増加した。税引後利益は、法人税費用の増加により、31.4%減の18.23億ドル。JLRは2012年3月期に、過去の欠損金に対して多額の控除を行ったが、それが2013年3月期に税引後利益が減少する主な要因となった。

Tata Motors Group (連結):主要財務データ(100万USD)

Fiscal Year
ended March 31
2009(1) 2010(2) 2011(3) 2012(4) 2013(5) 2012-13
変化率
H1
2013(6)
H1
2014(6)
H1
2013-14
変化率
Net Revenue* 15,253 19,376 27,016 32,564 34,786 6.8% 13,850 16,556 19.5%
(Of which JLR) - - - 21,912 23,988 9.5% 11,209 14,094 25.7%
EBITDA* 473 1,804 3,901 4,659 4,895 5.1% 1,932 2,559 32.5%
EBITDA Margin 3.1% 9.3% 14.4% 14.3% 14.1% (0.2)
pts
.
13.9% 15.5% 1.6 pts.
Profit before tax and
exceptional items
(458) 738 2,290 2,824 2,623 (7.1%) 1,074 1,299 21.0%
Net Profit(PAT)** (539) 527 2,035 2,657 1,823 (31.4%) 690 841 22.0%
(Of which JLR) - - - 2,402 1,847 (23.1%) 876 1,312 49.9%
資料:Tata Motors Business Reviews
(注): 1)  通貨レート: USD 1= (1)INR 46.47; (2)INR 47.75; (3)INR 45.5773; (4)INR 50.87; (5)INR 54.28; (6)INR 62.6175
2)   * その他の収益を除く
3)  ** PAT は関連会社の分配損益、少数株主持分損益を除く。
4)  「(  )」内の数値はマイナス値を表す。

 

Tata Motorsの2013年4-9月期の業績

 2013年4-9月期の連結売上高 は165.56億ドルで、前年同期の138.5億ドルから19.5%増加した。連結税引前・特別項目計上前利益は12.99億ドルで、前年同期の10.74億ドルから21.0%増加。連結純利益 (少数株主利益および関連会社の損益計上後) は8.41億ドルで、前年同期の6.9億ドルから22.0%増加した。この増加は、好調なJaguarブランドとLand Roverブランドによるもので、JLRの大幅増益と需要拡大が、Tataブランドの販売減少を補ったことになる。

 

 



LMC Automotive 生産予測:LMC Automotive社はインド・英国外に生産拡大するTata/JLRの成長を予測

(LMC Automotive社、2013年10月)

 Tataブランドの業績は2013年に落ち込んだが、今後は改善すると予想される。インド経済はまもなく回復すると期待されるため、LMC Automotive社は、同国内でのTataブランドの生産が2016年までに70万台を超えると予測する。これは2012年の生産台数とほぼ同じである。Tata Motorsは、インドネシアに生産拠点を構築し、タイの既存工場の生産能力を拡充することにより、TataブランドをASEAN諸国に拡大しようとしている。いずれの施設も2014年に稼働を開始し、2016年までにASEAN地域での生産を大幅に増加させる見込み。


 一方、新型車の投入と高級ブランドの今後の成長に対応するため、Tataは英国にあるJLRの施設に対して投資計画を発表した。従来、JLRの高級車は英国から世界の市場に出荷されている。中国は既にJLRブランド車の最大市場であり、多くのアナリストによると、高級車市場としても2020年までに米国を抜いて世界最大となると予測されている。中国の需要に対応するため、JLRは英国外で初の本格的な工場を中国に建設中である。同工場は2014年後半に稼働を開始する。LMC Automotive社は、2016年までに同工場が年間8万台以上を生産すると予測している。最近、JLRはブラジルにも新工場を建設する計画があることを発表し、さらにグローバルな事業拡大を図っている。

Tata Groupの国別・ブランド別生産予測 (LMC Automotive)

Country Make/Brand 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
Grand Total 804,031 963,644 1,087,480 846,003 936,208 1,111,789 1,295,546
India Jaguar 0 0 0 232 192 216 274
India Land Rover 0 378 950 836 712 790 1,464
India Tata 556,327 666,017 712,208 415,762 498,602 599,027 703,407
India Total 556,327 666,395 713,158 416,830 499,506 600,033 705,145
UK Jaguar 56,356 49,932 55,916 76,796 72,793 94,794 127,170
UK Land Rover 185,096 241,099 311,748 348,811 333,528 312,965 308,371
UK Total 241,452 291,031 367,664 425,607 406,321 407,759 435,541
China Jaguar 0 0 0 0 0 2,894 15,934
China Land Rover 0 0 0 0 9,196 58,182 68,330
China Total 0 0 0 0 9,196 61,076 84,264
Malaysia Land Rover 35 73 156 119 190 189 189
Turkey Land Rover 582 675 369 315 0 0 0
Indonesia Tata 0 0 0 0 11,408 31,624 58,212
South Africa Tata 0 0 1,306 1,343 1,733 1,614 1,308
Thailand Tata 5,635 5,470 4,827 1,789 7,854 9,494 10,887
Other Total 6,252 6,218 6,658 3,566 21,185 42,921 70,596
資料: LMC Automotive, Global Automotive Production Forecast, October 2013
(注) 1. データは、小型車 (乗用車+車両総重量6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載にはLMC Automotive社の許諾が必要となります。
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