フランクフルトモーターショー2013(2):欧州・アジアメーカーの展示取材

PSAが新プラットフォームEMP2採用モデルを、Fiatが500ファミリーを披露

2013/09/30

要 約

Peugeotのブースの様子
Peugeotのブースの様子:
真ん中に写っているのはPeugeot 308 R

 IAA 65 フランクフルトモーターショー2013がMesse Frankfurtで2013年9月10日から22日にかけて開催された(プレスデーを含む)。本レポートは、3回に分けて報告する展示取材の2本目。今回は、欧州メーカーのPSA、Renault、Fiat、Jaguar/Land Rover、Volvo Cars、アジアメーカーの現代グループ、長安汽車を取り上げる。3本目のレポートでは日米メーカーの予定。

 PSAは、新しいモジュラープラットフォーム(EMP2)を採用したPeugeot 308とCitroen Grand C4 Picassoを展示し、空気圧を使ったハイブリッドシステムHybrid Airのコンセプトカーの展示も行っていた。
Renaultは、MPVのデザインコンセプトInitiale Parisを初披露。同社はInitiale Parisの名称を上級モデルのバージョン名として活用していく計画。上級モデルにサブネームを与えて差別化を図っていく動きは、CitroenのDSラインが成功を収めており、FordもVignaleバージョンとして欧州市場で導入していく(3本目のレポートで取り上げる予定)。

 Fiatは500ファミリーを展示し、5人乗りの500Lに加えて、7人乗りの500L Living、SUV 500L Trekkingを展示。

 現代グループは現代ブランドのAセグメント車 i10の新型モデルを初披露したほか、起亜ブランドでは、B-セグメントのクロスオーバーのHVコンセプトモデルNiroを初披露。中国メーカーでは長安汽車が唯一出展した。

関連レポート
フランクフルトモーターショー 2013 (1):BMW、VW、Daimlerの展示取材
フランクフルトモーターショー 2013 (3):米日メーカーの展示取材
 



PSA:モジュラープラットフォームEMP2を採用したPeugeot 308、Citroen Grand C4 Picassoを展示

 PSAは、Efficient Modular Platform 2(EMP2)を2013年より導入して、コンポーネントを共通化し、コスト削減を狙っている。そのEMP2を採用した、新型Peugeot 308とCitroen Grand C4 Picassoを初披露。また、空気圧を使って駆動するモーターとエンジンを組み合わせた次世代のハイブリッドシステムHybrid Airも展示。Citroenが初披露したコンセプトカーCACTUSのパワートレインにはHybrid Airを搭載している。

 

新型Peugeot 308
新型Peugeot 308:モデルチェンジをしても
名前を変えなかった初めてのケース
Peugeot 208 Hybrid FE
Peugeot 208 Hybrid FE

 

Peugeot:量販モデルのCセグメント車308を初披露

308  モデルチェンジを行ったCセグメント車308を初披露。現行モデルと比較して、全長は65mm短くなり、全高は55mm低くなって小型化。EMP2プラットフォームを使った効果で70kg、他にドア軽量化で15kg、シートフレームの軽量化で14kgなどで、合計140kgを軽量化した。CO2排出量は最も低いモデル(1.6L Hdiディーゼルエンジン搭載)で82g/km、燃費は3.1L/100km。2014年発売予定。
208 Hybrid FE  Peugeotとフランス大手石油エネルギー企業TOTALが共同で、208をベースに開発したコンセプトカー。ハイブリッドシステムは、1.2L3気筒ガソリンエンジン(最大出力50kW) とモーター(最大出力30kW) 、容量0.56kWhのリチウムイオン電池で構成される。TOTALが開発した複合素材やカーボン樹脂などを多用することで20%の軽量化を図り、例えば、ホワイトボディはベース車の295kgから227kgへ軽量化した。
Onyx  新たな素材をふんだんに使ったハイブリッド・スーパーカーのコンセプト(初披露は2012年のパリモーターショー)。ウィングとドアは一枚板の純銅からなり、その他の車体部品とシャシーは炭素繊維強化樹脂が使われている。PSAのハイブリッドシステム HYbrid4のシステムを採用し、前輪をモーター、後輪を3.7L V8ディーゼルターボエンジンが駆動する。システム最高出力は680hp。

 

Onxy
Peugeotのディーゼルハイブリッド・スーパーカー Onyx

 

Citroen:次期Cラインを示すコンセプトカーCACTUSを展示

CACTUS  世界初披露のSUVのスタイルを持った、次世代のCラインを示すコンセプトカー。Bピラーと後部窓が付けられてない。パワートレインにはHybrid Airを採用。全長は4,210mmとなっており、現行のC3とC4の中間で、最低地上高は210mmと高く取られている。PSAは、頭文字にCのついたC3, C4などのモデル群をCラインと名付け、「Human, Simple, Smart」をテーマとしたブランドとして、DSライン、Peugeotと区別していく。
Grand C4 Picasso  2013年4月に発売された小型MPV C4 Picassoのロングボディー版(全長で160mm長い)。3列シートで7人乗り。C4 Picasso、Grand C4 Picassoともモジュラープラットフォーム「EMP2」を採用することで、同一ライン上での作り分けが容易になった。

 

Citroen CACTUS
Citroen CACTUS:次期Cラインを示すコンセプトカー
Citroen Grand C4 Picasso
7人乗りMPV Citroen Grand C4 Picasso
BLUEHDI 150 ディーゼルエンジン
Grand C4 Picassoに搭載されている
BLUEHDI 150 ディーゼルエンジン(EURO6適合)

 

PSAの新技術:モジュラープラットフォームEMP2とHybrid Air

Efficient Modular Platform 2
(EMP2)
 PSAはモジュラープラットフォームEMP2を新型Peugeot 308とCitroen C4 Picassoから採用。このプラットフォームはC、Dセグメント向けで、様々なボディータイプ、パワートレインに対応可能。フロントエンドの部分は固定要素であるが、ホイールベース、リアエンド、サスペンション方式・高さなどは変更可能。
 燃費向上のため70から80kgの軽量化を果たした。新型Peugeot 308では、ハイテン材やアルミニウム等の素材の軽量化で27kg、レーザー溶接/ホットスタンプ/ハイドロフォーミング工法など製造工程の改善で10kg、部品の設計の見直しなどで33kg、合計70kgを軽量化。
Hybrid Air  PSAが開発した油圧モーターと圧縮空気を用いたハイブリッドシステム。都市走行中の燃料消費量を最大45%削減し、航続距離を最大90%伸ばすことが可能。Citroen C3、Peugeot 2008に搭載したコンセプトカーでは、燃費性能は2.9L/100km(欧州複合モード)。

 

EMP2
PSAのモジュラープラットフォームEMP2
Citroen C3 HYBRID AIR
Citroen C3 HYBRID AIR
Peugeot 2008 HYbrid Air
Peugeot 2008 HYbrid Airのエンジンルーム

 

 



Renault:MPVのコンセプトカー Initiale Parisを初披露

 Renaultは、次世代MPVのデザインコンセプトであるInitiale Parisを初披露。その他にもコンセプトカーを、過去に披露したものを含めて5台展示。傘下のDaciaブランドでは 最量販車種であるSUV Dusterの大幅改良車の展示を行っていた。

Renault:MPVコンセプトInitiale Parisを初披露

Initiale Paris  2003年からモデルチェンジを行っていないMPV Espaceの次世代モデルを表すデザインコンセプト。全長4.85mの車体は、セダン、SUV、ミニバンを合わせたスタイルを持つとする。Initiale Paris の名前はRenaultの上級モデルを示すバージョン名とする計画。

 

MPVコンセプトInitiale Paris
MPVコンセプトInitiale Paris
Initiale Parisの車室内
Initiale Parisの車室内

 

Renault:展示したその他のコンセプトカー

DEZIR
DEZIR(2010年):電池交換式のEVシステムを持つ
Twin'Run
Twin'Run(2013年):V6エンジンをミッドシップに積むレースカー
R-SPACE
R-SPACE(2011年):0.9L3気筒ガソリンエンジン
(2013年発売のCapturに設定)を搭載するMPVコンセプト
FRENDZY
FRENDZY(2011年):小型商用EVコンセプト
CAPTUR
CAPTUR(2011年):2013年発売の同名のSUVのコンセプトカー

 

Dacia:最量販車種Dusterを大幅改良

Duster  Renault傘下で唯一成長を続けるDaciaブランドの最量販車種Dusterが大幅改良を受け、初披露された。内外装のデザインに変更を加えられた上、ESCが標準装備になるなど装備も強化された。新開発の1.2L 4気筒 直噴ターボガソリンエンジンが搭載され、燃費は最高で6.0L/100kmと10%近く改善。価格は据え置きの10,490ユーロから(ドイツ)。

 

Duster
大幅改良を受けたDuster

 

 



Fiat:500ファミリーを積極展示

 Fiatは、小型車500のブランド力を生かして、500を一つのブランドと位置づけ、派生車の展開を図っている。今回のショーでも、4ドア5人乗りの500L、7人乗りの500L Living、SUVタイプの500L Trekking、EV 500eなどの500ファミリーを積極的に展示していた。Alfa Romeoは軽量スポーツカー4Cのシャシーを披露。

 

Fiat:500ファミリー

500L Living  500シリーズのMPVで全長は4,352mm。3列シートをオプションで選択可能。エンジンは0.9L2気筒ガソリンエンジン、1.3L/1.6Lターボディーゼルエンジンから選択可能。2013年7月より発売されている。
500L Trekking  500L にSUVらしい外観を与え、最低地上高を約10%引き上げ145mmまで高めたモデル。ECUに特別な制御プログラムを与えて悪路走破性を高めている。
500L  2012年に発売された、500シリーズの4ドア車。5人乗り。全長は4,147mmと500より約600mm長い。
500e  米国カリフォルニア州で2013年4月より発売されている500のEV版。最大出力83 kWのモーターを搭載し、燃料換算の燃費性能は108MPGe(EPA)。航続距離は140 km。

 

Fiat 500L Living
Fiat 500L Living:500Lに比べて後部が伸ばされている。
Fiat 500L Trekking
Fiat 500L Trekking:500Lに比べて最低地上高が高められた
Fiat 500L
Fiat 500Lの後部
Fiat 500e
Fiat 500e

 

Alfa Romeo

4C  2人乗りのコンパクトスポーツカー。カーボンファイバー・アルミニウムなど軽量素材をプラットフォームに採用して、車体重量は895kg。パワートレインは1.75L4気筒ターボエンジン(最高出力175kW)に6速DCTを組み合わせる。年間3,500台を限定生産する。欧州では2013年10月に発売され、北米では2014年第2四半期に発売される予定。

 

Alfa Romeo 4C
Alfa Romeo 4C
Fiat 500e
4Cのプラットフォーム

 

 



Jaguar/Land Rover:JaguarのSUVコンセプト、Range RoverのHVを展示

Jaguar

C-X17  Jaguar初のクロスオーバー車のコンセプトを発表。アルミニウムを用いた次世代モジュールアーキテクチャーを採用したデザインスタディモデル。全長は4,718mmあり、最低地上高は213mmある四輪駆動車。
 この新しいアーキテクチャーを用いた最初のモデルとして、C/Dセグメントのセダンが2015年に発売され、新開発の4気筒ガソリンエンジン/ディーゼルエンジンを搭載。CO2排出量は100g/km以下となる計画。価格帯は従来モデルより受け入れやすいものになるとしている。

 

Land Rover

Range Rover Hybrid  Land Rover初のディーゼルハイブリッドモデルを初披露。3.0LのV6ディーゼルエンジンと独ZF製の8速ATと1つのモーター(35kW)が組み合わされる。燃費は6.4L/100km(欧州複合モード)。システム最高出力は250kW、最大トルクは700Nm。1.76kWhのリチウムイオン電池は床下に収められる。欧州では2014年第2四半期より販売する。

 

C-X17
Jaguarのクロスオーバーコンセプト C-X17
Range Rover Hybrid
Range Rover Hybrid
Range Rover Hybrid
Range Rover Hybridのカットモデル。

 

 



Volvo Cars:2ドアクーペのPHVコンセプトカーを初公開

 

Volvo Concept Coupe  2ドアクーペのPHVコンセプトカーVolvo Concept Coupeを初公開。Volvoの新しい戦略「Scalable Product Architecture」に基づいたデザインコンセプトを、今後、3つ公開する予定でその第1弾。2014年に発売されるXC90のデザインを示している。より上級感を出していくことが、年間80万台の販売を目指すVolvoの戦略にとって重要なことだとしている。
 搭載するエンジンはDrive-Eと呼ぶ2L 4気筒ガソリンエンジンで、ターボ・チャージャーとスーパー・チャージャーを装備している。リアアクスルにはモーターが搭載され、システム全体では最高出力約400hp、最大トルク600Nm以上を発生するという。

 

Volvo Concept Coupe
Volvo Concept Coupe:背景上段に写っているのは、
デザインのモチーフとしたP1800(1960年から1974年まで生産したスポーツカー)。

 

 



現代グループ:現代ブランド新型 i10と起亜ブランド クロスオーバーコンセプトを初披露

 現代グループは現代ブランド、起亜ブランドで出展。現代ブランドでは、Aセグメント車のi10の新型モデルを初披露したほか、燃料電池車ix35 Fuel Cellも展示。起亜ブランドでは、B-セグメントのクロスオーバーのHVコンセプトモデルNiroと、BセグメントSUV Soulの欧州モデルを初披露。

現代ブランドi10の新モデル
現代ブランドi10の新モデル
ix35 Fuel Cell
ix35 Fuel Cell

 

現代自動車

i10  Aセグメント車i10の新型車を初披露。欧州の開発拠点で欧州向けに開発したとしている。先代モデルに比べて全長で80mm、全幅で65mm大型化し、全高は40mm低められた。エンジンは1.0L3気筒エンジン。欧州向けの生産はインドからトルコに移される(2013年9月26日生産開始)。2014年には欧州で年間7.4万台の販売を目指し、欧州のAセグメントで6.3%の市場シェアを目指す(2012年は約6.5万台を販売)。
ix35 Fuel Cell  現代自が2013年2月から少量生産を開始した、同社の3代目の燃料電池車。2015年までの間に約1千台生産をして、フリートユーザー向けにリースする。
 最高出力100kWのモーター、2個の水素タンク(容量合計5.64kg)を搭載。航続距離は594km

 

起亜自動車

Niro  B-セグメントのクロスオーバーのHVコンセプトモデル。欧州のデザイン部門が設計し、跳ね上げタイプの2枚のドアを持つ。全長4,185mm、全幅1,850mm、全高1,558mm。1.6Lターボガソリンエンジン(最高出力160ps)が7速DCTを通じて前輪を、後輪をモーター(最高出力45ps)が駆動する。
Soul  欧州向けのB-セグメントのSUV新型Soulを初披露。プラットフォームは、5ドアハッチバックcee'dのものをベースとして新たに開発。ボディ剛性を高め、運動性能と乗り心地を高めた。2014年に発売予定。
 先代よりやや大型化し、全長は20mm、全幅は15mm拡大した。エンジンは、1.6L直列4気筒のガソリンエンジンとターボディーゼルエンジン。

 

HVコンセプトモデル
B-セグメントのクロスオーバーのHVコンセプトモデル Niro
SUV新型Soul
B-セグメントのSUV新型Soul

 

 



長安汽車:新型SUV CS75 を初披露

 長安汽車は唯一の中国メーカーとして2011年に引き続き出展。前回より広いブースを設置して、新型SUVを中心に展示を行った。

CS75  長安汽車のSUVとして2モデル目の中型SUV。世界初披露。2014年第1四半期に中国で発売される予定。1.8L ターボガソリンエンジン(最高出力130kW)と6速ATを搭載。
CS95  2013年の上海モーターショーで初披露した、大型SUVのHVコンセプトカー。
CS35  2012年に発売された、長安汽車初のコンパクトSUV。2011年のフランクフルトショーで披露されたコンセプトカーS101の量産モデル。
RAETON  2013年4月に発売した大型セダン。全長は4,900mm。2.0L自然吸気または1.8Lのターボ付ガソリンエンジンに6速AT を組み合わせる。EURO5に適合している。

 

中型SUV CS75
中型SUV CS75
CS95
大型SUVのHVコンセプトカー CS95
CS35
コンパクトSUV CS35
REATON
大型セダンRAETON

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>