GM:2013年も引き続き業績改善の見込み

需要拡大に対応して生産能力を増強

2013/05/02

要 約

 GMの2012年世界販売台数は929万台で、前年比2.9%の伸びを示したが、世界市場シェアは0.4ポイント縮小して11.5%。世界販売台数ではトヨタの975万台には及ばなかったが、VWの907万台を上回って第2位の座を占めた。米国での市場シェアは2011年の19.6%から17.9%に縮小し、1920年代以降で最低レベルとなった。

 GMの発表によると、2012年の純利益は49億ドル、希薄化後1株当たり利益は2.92ドルで、2011年の純利益76億ドル、希薄化後1株当たり利益4.58ドルより減少した。減益の理由は、営業権減損費用 (現金支出は伴わない) など主に特別項目による損失である。売上高は、2011年の1,503億ドルから1%増加して1,523億ドル。EBIT (利払税引前利益) は、欧州を除くすべての地域で増加した。

 北米・南米では増収が続いて利益を確保し、中国では売上高が過去最高を記録したが、欧州では不振が続いている。GMの欧州部門は2012年に18億ドルの損失を計上、1990年代後半から現在までの累積損失は180億ドル以上にのぼる。GMの会長兼CEOのダン・アカーソン氏は、2013年にこの損失を30~50%削減し、2015年までに赤字解消という目標を達成するための最初の1歩にしたいと考えている。

 2012年12月、GMは "Government Motors" というイメージを払拭するため、米国政府が保有していたGM株2億株を1株27.50ドル、計55億ドルで買い戻した。政府はGM株を12~15カ月以内に全て放出する計画で、今回のGMの買い戻しは、この計画に沿ったものである。

GMの世界生産台数の予測 GMは、これまでで最大級の新型車投入計画を開始した。米国市場向け製品の更新は2012年に始まったが、2013年末までにラインアップの70%を更新する予定。今後12~18カ月間に、ピックアップのChevrolet Silveradoと GMC Sierraや4車種の大型SUVなど、GM最大の収益源であるモデルの新型車を発売する。この新型車投入計画と生産能力拡充計画から、LMC Automotive社はGMの2013年世界販売台数が前年比6.1%増加し、世界生産台数は2016 年まで着実に増加すると予測している。

 GMのアカーソンCEOは、2012年の業績を踏まえ、GMが2013年に優先すべきことは「新型車のスムーズな投入、コスト削減、優れた価値を持つ車両をお客様に届けること」であると述べている。

 LMC Automotive社は、GMの世界販売台数は2012年に前年比1.0%増加した後、2013年には6.1%増の790万台に達すると予測している (上汽GM五菱の販売台数を除く)。GMが世界で展開するプラットフォーム削減計画により、集約されたプラットフォームをベースに、より多様な車種が開発され、スケールメリットが増大する。

 北米では、大型ピックアップが販売台数の相当な部分を占めているため、近い将来、GMが成功を収めるためには、トラックが重要である。2013年のGMの北米販売は280万台超と予測されるが、市場シェアは2012年の18.8%から18.4%に低下する見込み。

 アジア・太平洋地域では、2013年の販売台数は初めて200万台を超える見通し。これは主に中国、インド、インドネシアでの販売拡大による。同地域での販売は、今後も引き続き中国市場に大きく依存する見込み。


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