北米の中型/大型商用車市場と商用車メーカーの動向

Paccarは欧米で市場シェア拡大、NavistarはSCRで規制をクリアして業績立て直しへ

2013/01/21

要 約

北米の大型トラック (Class 8) 市場のメーカー別シェア 北米 (米国とカナダ) の中型/大型トラック市場は、経済危機の影響で2009年に前年比3割減の22.3万台に縮小したが、2010年に24.6万台となり、2011年には34.4万台、2012年1-11月は35.5万台と大幅に回復した。

 大型トラック (Class 8) については、2012年1-11月の販売が前年同期比17.9%増の20.4万台に拡大。Paccarの予測では、北米の大型トラック市場は2012年通年で21万-22万台、2013年には主に買い替え需要で21万-24万台となる見込み。

 北米の大型トラック市場シェア (2012年1-11月) は、4大メーカーのDaimler (34.3%)、Paccar (28.8%)、Volvo (19.3%)、Navistar (17.6%) が分け合う格好となっている。同期間、Navistarを除く3メーカーは販売台数・市場シェアとも増加したが、2010年のディーゼル重量車に対する排出ガス基準を満たしていないNavistarは販売を減らし、市場シェアも3.4ポイント縮小した。

 Paccarは欧米の大型トラック市場で過去最高のシェアを獲得。新興国市場での事業も拡大しており、ブラジルではDAFトラックの工場を建設中、ロシアではDAFトラックを投入したほか、部品流通センターを設立、中国とインドでは部品調達を行っている。

 Navistarは、SCRを使用しないで米国の2010年排出ガス規制に対応しようとしていたが、2012年半ばになっても規制を達成できず、販売が減少。2012年8月に方針を転換し、SCRの採用を決定した。CumminsからエンジンとSCRシステムの供給を受け、2013年初頭から規制に適合するトラックを販売し、業績を立て直す計画。
 なお、DaimlerとVolvoについては、近く掲載予定の "Daimlerの商用車事業""欧州の商用車メーカー"で取り上げる。


関連レポート:北米の商用車メーカー (2012年1月掲載)



北米の中型/大型トラック市場:2012年1-11月は17.7%増の35.5万台

 米国とカナダ のClass 4~7の中型トラック市場は、2012年1-11月の販売が12.1%増の15.0万台。米国ではClass 4 とClass 6 が減少したが、Class 5 とClass 7が増加した。Class 8 の大型トラック市場は17.9%増の20.4万台。米国では17.4%増、カナダでは20.9%増で、両市場とも同様に拡大した。

 Paccarは、米国とカナダでの大型トラック (Class 8) 市場について、2013年は主に買い替え需要により21万-24万台に増加すると予測 (2012年10月時点)。Navistar は2013年10月期 (2012年11月~2013年10月) の同市場について、2012年10月時点の予測で約21.5万台と見込んでいる。

米国の Medium/Heavy Duty トラック販売台数

(台)
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-11月
2012年
1-11月
Class 4
Class 5
Class 6
Class 7
50,286
49,466
70,029
90,792
50,991
44,922
53,789
70,426
36,374
40,300
39,397
48,880
19,858
23,942
22,001
39,087
12,081
30,976
29,143
38,350
10,459
42,483
40,677
41,212
9,588
37,631
37,652
37,589
8,504
49,098
36,812
42,956
Medium Total 260,573 220,128 164,951 104,888 110,550 134,831 122,460 137,370
Heavy(Class 8) 284,008 150,965 133,473 94,798 107,152 171,358 150,419 176,585
Medium+Heavy 544,581 371,093 298,424 199,686 217,702 306,189 272,879 313,955
カナダの Medium/Heavy Duty トラック販売台数
(台)
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-11月
2012年
1-11月
Medium Duty 15,090 14,948 15,730 10,072 9,772 12,722 11,664 12,971
Heavy (Class 8) 38,458 24,835 23,971 13,460 18,916 25,512 23,056 27,880
Medium+Heavy 53,548 39,783 39,701 23,532 28,688 38,234 34,720 40,851

資料:Ward's Automotive Reports

(参考) 米国・カナダの Medium/Heavy Duty トラックのクラス分類

Medium Duty Heavy Duty
Class 4 Class 5 Class 6 Class 7 Class 8
GVW (pounds) 14,000超
16,000以下
16,000超
19,500以下
19,500超
26,000以下
26,000超
33,000以下
33,000超
GVW (tons) 6.4~7.3 ~8.8 ~11.8 ~15.0 15.0~

(注) 下段は GVW (pounds) のトン換算値で、参考値。GVW 7.3t 以下の Class 4 は、日本の積載量区分で概ね 3~4t車、GVW 15t 以上の Class 8 は、概ね 8~9t 以上に相当する。

 



北米の大型トラック市場シェア:Daimlerが34.3%、Paccarが28.8%に拡大

 米国とカナダのClass 8 の大型トラック市場では、Daimler, Paccar, Volvo, Navistarの4大メーカーがシェア拡大をめぐって激しく競争している。2012年1-11月では、Daimlerが引き続き約3割の市場シェアを維持。Paccarは、KenworthとPeterbiltの両ブランドとも過去最高のシェアを獲得し、グループ全体のシェアを28.8%に拡大した。排出ガス規制を達成していないNavistarは、市場シェアが21.0%から17.6%に減少した。

 Class 4~7の中型トラック市場では、Ford, Navistar, Daimlerが3大メーカーで、2012年1-11月に全体の約75%を占めた。FordとDaimlerはシェアを拡大したが、Navistarは販売台数を減らし、シェアも4.6ポイント減少させた。

米国+カナダ:Medium Duty トラック (Class 4~7) のメーカー別販売台数と市場シェア

販売台数 (台) 市場シェア
2011年1-11月 2012年1-11月 2011年1-11月 2012年1-11月
Ford 37,214 42,940 27.7% 28.6%
Navistar 37,600 35,243 28.0% 23.4%
Freightliner
Mitsubishi Fuso
Sterling
28,296
2,045
5
32,268
2,505
0
21.1%
1.5%
0.0%
21.5%
1.7%
0.0%
Daimler計 30,346 34,773 22.6% 23.1%
Chrysler 8,049 10,761 6.0% 7.2%
Isuzu 7,843 9,341 5.8% 6.2%
Kenworth
Peterbilt
3,488
3,181
4,585
4,378
2.6%
2.4%
3.0%
2.9%
Paccar計 6,669 8,963 5.0% 6.0%
Hino 5,688 7,360 4.2% 4.9%
UD Trucks 677 960 0.5% 0.6%
GM 38 0 0.0% 0.0%
Total Medium Duty 134,124 150,341 100.0% 100.0%

(注) GMは2009年7月末に中型トラック事業から撤退した。

米国+カナダ:Heavy Duty トラック (Class 8) のメーカー別販売台数と市場シェア

販売台数 (台) 市場シェア
2011年1-11月 2012年1-11月 2011年1-11月 2012年1-11月
Freightliner
Westin Star
Sterling
52,760
3,332
1
65,586
4,537
0
30.4%
1.9%
0.0%
32.1%
2.2%
0.0%
Daimler計 56,093 70,123 32.3% 34.3%
Kenworth
Peterbilt
24,199
23,866
30,508
28,409
13.9%
13.8%
14.9%
13.9%
Paccar計 48,065 58,917 27.7% 28.8%
Volvo
Mack
20,141
12,723
21,881
17,628
11.6%
7.3%
10.7%
8.6%
Volvo計 32,864 39,509 18.9% 19.3%
Navistar 36,434 35,905 21.0% 17.6%
Others 19 11 0.0% 0.0%
Total Heavy Duty 173,475 204,465 100.0% 100.0%

資料:Ward's Automotive Reports
(注) Daimler, Paccar, Volvo の青色表示はブランド内訳。

 



Paccar:2012年1-11月の北米販売は24.0%増の6.8万台

 Paccar は、北米では Kenworth と Peterbilt ブランド、欧州では DAF ブランド、豪州/南米等その他の地域では主にKenworthとDAFブランドで、中型/大型商用車事業を展開している。

 Paccar の2012年1-11月の米国販売は前年同期比23.4%増と拡大。カナダ販売も27.6%増加し、北米販売は24.0%増の6.8万台に達した。2012年1-11月の北米でのClass 8 の市場シェアは、KenworthとPeterbilt両ブランドともシェアを拡大し、合計28.8%となった。

 2012年1-9月の売上高は前年同期比13.5%増の130.5億ドル、純利益は20.1%増の8.6億ドル、売上高純利益率は6.6% (前年同期は6.2%)。市場規模、市場シェア、利幅の大きい商品の販売等の拡大により、利益が増大した。

 2012年1-9月には良好なバランスシートとキャッシュフローに支えられ、設備投資に3.5億ドル、研究開発に2.1億ドルを支出。同期間に傘下の3ブランドから大型トラックの新モデルを発表した。2013年には、引き続きブラジルでのDAF工場建設と商品開発への投資を行うため、設備投資に4-5億ドル、研究開発に2.75-3.25億ドルを支出する見込み。

 新興国市場での事業も拡大しており、ブラジルで工場を建設するほか、ロシアではDAFトラックを投入し、部品流通センターを設立、中国とインドでは部品調達を行っている。

Paccar グループの地域別販売台数

(台)
2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-11月
2012年
1-11月
米国 38,200 28,300 29,100 59,400 46,575 57,467
カナダ 6,700 4,400 6,100 10,500 8,159 10,413
北米合計 44,900 32,700 35,200 69,900 54,734 67,880
欧州 63,700 22,200 31,200 51,100 n.a. n.a.
メキシコ・オーストラリア, 他 17,300 6,100 12,400 17,000
世界合計 125,900 61,000 78,800 138,000
資料:Paccar Annual Report 2011 (2011/2012年1-11月はWard's Automotive Reports)
(注) 1. 欧州 GVW 16t 超クラスでの DAF の 2012年1-9月シェアは過去最高の 16.0% (2011年1-9月は 15.2%)。
2. Paccar が2012年 10月に発表した予測によると、米国とカナダの2013年Class 8 市場は主に買い替え需要により21万~24万台の見込み。欧州の同年の16t以上のトラック市場については、2014年のEuro 6 導入を前にしてEuro 5 適合車の駆け込み需要があると見込み、21万~25万台と予測している。

 

Paccar グループの業績

(100万ドル)
2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-9月
2012年
1-9月
Truck and other Net Sales 13,709.6 7,076.7 9,325.1 15,325.9 10,738.3 12,252.5
Financial Services Revenues 1,262.9 1,009.8 967.8 1,029.3 763.1 801.0
Total Revenues 14,972.5 8,086.5 10,292.9 16,355.2 11,501.4 13,053.5
Net Income
Net Income ratio
1,017.9
6.8%
111.9
1.4%
457.6
4.4%
1,042.3
6.4%
714.6
6.2%
858.1
6.6%
Long-term Debt
Financial Services Debt
19.3
7,465.5
172.3
5,900.5
150.0
5,102.5
150.0
6,505.4
150.0
7,811.6
150.0
8,748.7
Stockholders' Equity 4,846.7 5,103.7 5,357.8 5,364.4 5,364.4 5,862.1
資料:Paccar Annual Report 2011, Q3 2012 Earnings Statement
(注) 1. Paccarは商用車の他に、工業用巻上げ機 (Winch) も生産している。
2. Net income ratio は Net income/Total Revenues。

 

Paccar グループ:国別中型/大型トラック生産

(台)
ブランド 生産国 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
Kenworth USA 37,160 21,624 18,729 12,679 14,916 30,625
Mexico 12,946 14,224 13,611 6,037 10,325 15,870
Canada 7,457 4,661 3,968 3,044 5,622 9,880
Peterbilt USA 41,707 20,974 17,794 12,814 13,853 28,124
Canada 6,936 5,413 3,805 2,774 (注3)
DAF Netherlands 56,200 42,586 42,515 13,369 22,168 n.a.
(Leyland Trucks) UK 16,954 17,478 24,662 8,201 9,290 14,400
Foden UK 264
合計 179,624 126,960 125,084 58,918 76,174 121,235
資料:OICA (2010/11年は Ward's Automotive Yearbook, INOVEV)
(注) 1. 集計対象は GVW 6t 以上のトラック。バス生産は2001年に終了した。
2. Leyland Trucks はブランドではなく生産会社。DAF ブランド車を生産し、その開発も担当している。
3. 2010/11年のPeterbiltブランドのCanadaでの生産台数は、Kenworthブランドの生産台数に含む。

 

Paccar:新モデル Kenworth T680、Peterbilt Model 579、DAF XF Euro 6 を投入

Kenworth/Peterbilt  Paccarは2012年3月、キャブの基本構造を同じくするClass-8の新モデル、Kenworth T680とPeterbilt Model 579 をMid-America Truck Showに出展した。4億ドルを投じ、4年かけて開発した空力特性に優れたトラックで、キャブの幅は2.1m (従来は1.9mと2.3m)。搭載エンジンは低燃費のPACCAR MX-13 ディーゼルエンジンで、馬力は380-485hp、最大トルクは1,750lb・ft。これら新モデル投入により、北米市場におけるシェア拡大を見込む。
DAF  Paccarは2012年9月、低燃費のPACCAR MX-13 Euro 6 適合エンジンを搭載した大型トラックの新モデル、DAF XF Euro 6 をドイツ・ハノーバーで開催されたIAA truck showに出展した。新開発のシャシーを採用し、空力特性に優れた外観デザイン、広くてモダンな車室を有する。2013年春から生産を開始する。

Paccar:新興国事業を拡大

ブラジル  Paccarは2012年1月、2億ドルを投資し、ブラジル Parana州 Ponta Grossa市でDAFトラックの組立工場の建設を開始。2013年後半から、DAFブランドの高級トラック XF, CF, LFとPACCAR MXエンジンを生産し、中南米諸国で販売する。
 Paccarの2012年10月の予測によると、ブラジルの2012年の6トン超のトラック市場は13万台。DAFトラックは高品質で維持費が安く、低燃費のPACCAR MXエンジンを搭載する。現地生産により南米でのPaccar車の販売拡大を目指す。
アンデス地域
(チリ・ペルー・
エクアドル等)
 Paccarは過去40年間、南米アンデス地域でKenworthブランドのトラックを販売していたが、2011年からDAFブランド車も投入。まず、チリ、エクアドル、ペルーでDAFブランドのトラック CFおよびLFの販売を開始した。2012年1-9月のアンデス地域のPaccarの販売は前年同期比38%増で、過去最高の5,500台となった。
ロシア  Paccarは、ロシアで30年以上前からKenworthブランドを販売しているが、2011年5月からDAFブランド車も投入。DAF Trucks Russiaをモスクワに設立し、販売・サービス店を13カ所開設した。Paccarグループのロシアでの2012年販売見込みは2,700台 (2011年は1,500台)。
 Paccarは2011年末に、モスクワに床面積4万平方フィートの部品流通センターを設立。これにより、ロシア西部において Kenworth と DAFトラックの部品の翌日配達を可能にした。
中国  Paccarは中国において、上海と北京の事業所で従業員40人を雇用し (2012年10月時点)、部品調達を行っている。2011年の部品調達額は3億ドル超。また、中国メーカーとの合弁生産を検討している。
インド  Paccarは米国の技術ソリューション会社 KPIT Cummins Infosystems と共同で、インド・Pune市に Paccar Technical Center を2011年10月に開設。2012年末までに200人を雇用し、世界の生産・補修事業のために、IT、部品調達、エンジニアリング等のサービスを提供する。インドではまだ自社のトラックを販売していないが、まず部品調達・開発支援業務を展開する。

 

 



Navistar: SCRシステム搭載トラックを2013年から販売

 Navistarは、持株会社 Navistar International Corporation の子会社で、Internationalブランドのトラックと軍用車、IC Bus ブランドのバス、MaxxForce ブランドのディーゼルエンジン、Navistar RV ブランドのrecreational vehicleを生産・販売している。北米のほか、豪州、ブラジル、南アフリカ等で事業を展開する。

 Navistarの2012年10月期 (2011年11月~2012年10月) の世界販売は、北米・北米外市場とも減少し、前年比3.0%減の10.5万台。売上高は7.2%減の129.5億ドル、純損益は30.1億ドルの赤字 (2011年10月期は17.2億ドルの黒字)。赤字となった主な要因は軍用車の販売減少、収益率の低い商品構成、南米でのエンジン販売減少、材料費の高騰、保証関連費用の増加である。

 Navistarは、SCR (選択触媒還元) を使用せず、EGR (排気再循環装置)だけで米国のディーゼル重量車 (Class 4-8) に対する2010年排出ガス規制に対応しようとしていたが (他社はSCRとEGRを併用)、2012年半ばになっても規制を達成できず、罰金の支払いを余儀なくされるとともに、販売減少が続いていた。2012年8月に方針を転換し、SCRの採用を含む業績立て直し計画 "Drive to Deliver" を発表。同計画に従い、経費削減策としてテキサス工場の閉鎖、インド合弁会社の持株売却を実施する。新製品投入では、CumminsからエンジンとSCRシステムの供給を受け、2013年初頭から規制に適合するトラックを販売する計画。

Navistar のトラック/バス、エンジンの販売台数

(台)
2010年
10月期
2011年
10月期
2012年
10月期
トラック/バス
(台)
米国・カナダ バス 12,400 9,200 9,700
中型トラック 18,500 27,100 21,900
大型トラック 21,600 25,700 27,100
産業用トラック (注1) 14,000 13,300 13,600
北米合計 66,500 75,300 72,300
その他の地域 軍用車 1,400 1,400 1,600
軍用車以外 19,100 31,700 31,200
合計 87,000 108,400 105,100
ディーゼル
エンジン
(基)
他のOEM向け販売 - 南米 132,800 138,600 106,700
Ford向け販売 - 米国・カナダ (注2) 24,900 - -
他のOEM向け販売 14,200 16,200 10,100
グループ内販売 68,500 88,800 83,100
合計 240,400 243,600 199,900
資料:Navistar Q4 2012 Earnings Presentation
(注) 1. 米国・カナダの軍に販売した軍用車は、産業用トラックに含む。
2. Ford へのディーゼルエンジンの供給は、供給をめぐる両社の対立から2009年末に終了した。

 

Navistar の業績

(100万ドル)
2006年
10月期
2007年
10月期
2008年
10月期
2009年
10月期
2010年
10月期
2011年
10月期
2012年
10月期
Net sales and revenues 14,200 12,295 14,724 11,569 12,145 13,958 12,948
Net income (loss) 301 (120) 134 320 223 1,723 (3,010)
Manufacturing segment profit
(loss) (unaudited)
838 462 693 836 741 707 (642)

資料:Navistar Q4 2012 Earnings Presentation

 

Navistar:国別中型/大型トラック・バス生産

(台)
Medium-/heavy-duty Trucks Buses
2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年
USA 40,087 30,483 32,479 42,998 13,962 13,820 n.a. 9,487
Canada 15,986 3,892 8 1
Mexico 20,114 17,169 26,128 36,363
Russia 115
Total 76,302 51,544 58,615 79,362 13,962 13,820 n.a. 9,487

資料:2008/09年はOICA、2010/11年は Ward's Automotive Yearbook
(注) 集計対象は、トラック・バスとも GVW 5t 以上。

 

Navistar:2012年8月に業績立て直し計画 "Drive to Deliver" を発表

計画の概要  Navistarは2012年8月、業績を立て直すために "Drive to Deliver" 計画を発表。すべての事業計画の投下資本利益率 (ROIC) を調査・分析し、資金を投じる分野の優先順位を決定した。
コスト/ROIC関連  1.5億-1.75億ドルのコスト削減を目標として、人員削減/再編計画を実施する。テキサス州Garland工場の閉鎖と、インドの合弁会社の持株売却を計画。(下に詳述)
製品関連  Navistarは、2010年の米国排出ガス規制対応に、新たな機器/尿素噴射装置等が必要となる尿素SCR (選択触媒還元) システムを使用せず、EGR (排出ガス再循環装置) やターボを活用してきたが、2012年半ばになっても規制に適合せず、多額の罰金を支払って来た。2012年7月、Navistarは従来の方法を止め、SCRの採用を決定。2013年からSCRシステムを搭載したトラックを販売する計画。(下に詳述)

資料:Navistar Press Release 2012.10.30/2012.12.18
(注) 2012年8月、EPAはNavistarの大型ディーゼルエンジンについて最終決定を発表。Navistarは、罰金の支払いを条件に、今後も 2010年規制に適合しないエンジンを生産・販売できるが、罰金額が引き上げられた。NOxが0.50 g/bhp-hr のエンジン1基に対する罰金は、従来の1,919ドルから3,775ドルとされた (規制上限は0.20 g/bhp-hr)。中型エンジンに関する最終決定は後日発表される。

"Drive to Deliver"に基づく経費削減策:テキサス工場閉鎖、インド合弁会社の持株売却
テキサス工場を閉鎖  Navistar は2013年上期にテキサス州 Garland工場を閉鎖する (2012年10月発表)。現在、同工場では派遣労働者を含めて900人が働いている。同工場での車両生産は、2013年1月からオハイオ州 Springfield工場とメキシコの Escobedo工場に移管する。2012年第4四半期に人員削減費用 1,000万ドル、2013年度に工場閉鎖に伴う費用 3,000万-5,000万ドルを計上する見込み。閉鎖完了後は、営業経費が年間2,500万-3,500万ドル削減できるとしている。
インド合弁会社の
持株売却
 Navistarは2012年12月、インドにあるMahindra & Mahindraとの合弁会社2社のNavistarの持ち分 (49%) を Mahindraに売却すると発表した。1社は商用車、もう1社はエンジンの生産・販売会社で、Mahindraは約17.5億ルピー (3,300万ドル) でNavistarの持株を買い取り、両社とも100%子会社とする。Navistarはインドでの部品調達とMahindraとのライセンス契約を、MahindraはNavistarに対するエンジニアリングサービスを継続する。
"Drive to Deliver"に基づく新モデル:SCRを初採用したClass 8 トラックを出荷
Prostar+ (Cummins ISX15エンジン搭載)  Navistarは2012年12月、初めてSCRを採用したClass 8 トラック、International Prostar+ をメキシコのExcobedo工場から300台出荷した。Cummins製のISX15エンジンと、同じくCummins製のSCRをベースとする排出ガス後処理装置を搭載する。2012年11月時点での同モデルの受注台数は1,000台。
Prostar+ (MaxxForce 13エンジン搭載)  自社製のMaxxForce 13 エンジンを搭載し、Cummins製のSCRをベースとする排出ガス後処理装置を搭載するInternational Prostar+ は、2013年3月に試験生産を開始し、4月から通常生産を開始する予定。
 その他の大型トラックモデルも、2013年中に順次SCRベースの排出ガス処理装置に変更する予定。変更が完了するまでは、付与される排出クレジットの利用と罰金支払いを併用しながら、すべてのクラスの商品を生産・販売する。

Navistar:中国に江淮汽車とエンジン合弁会社を設立

 Navistar は2012年8月、中国・安徽省の自動車メーカー、江淮汽車と合弁でディーゼルエンジンを生産する Anhui JAC Navistar Diesel Engine Co., Ltd. の設立式を開催した。合弁会社では、Navistarの MaxxForceブランドの3.2L、4.8L、7.2Lエンジンや江淮汽車の2.8Lエンジンを生産する。生産工場は合肥経済技術開発区で既に建設を開始しており、2013年9月にテスト生産、同年末に量産を開始するとしている。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>