中国の日系部品メーカー (3): 華南地域-広東省の動向

曙ブレーキ/ジヤトコ/小糸製作所/旭テック/アーレスティ/デンソー/ユニプレス/アイシン精機/東プレ/アイシン高丘の動向

2012/07/20

要 約

 

 トヨタ/日産/ホンダの中国での生産台数本レポートは、中国の地域別に分けて、日系部品メーカーの動向をまとめたシリーズ調査レポートの3本目。2012年6月までの約2年間の、華南地域に属す広東省合計8市 (広州、東莞、佛山、深圳、雲浮、中山、韶関、清遠市) での部品メーカーの動向を、MarkLinesの独自調査を踏まえてまとめた。

  日系部品メーカーの主な納入先である日系自動車トップ3社は広東省の広州市で、既存工場の拡張や新工場 (新生産ライン) 建設を急速に進めている。

  トヨタの広州市工場の年産能力は、2011年時点で36万台。2015年までに60万台に引き上げていく。

  日産は、2011年12月に広州市の花都区第2工場を稼働して年産能力を27万台に拡張した。今後、花都区第1工場と合わせた、広州市工場の年産能力を、2011年末の60万台から、2013年までに最大80万台へ引き上げていく。

  ホンダは、2012年末に広州市の増城工場で第3ライン建設に着工し、広州での年産能力を現行の48万台から、2015年には72万台へと増強していく。


  これらの動きに対応するため、日系部品メーカーは、広州市およびその周辺の東莞/佛山市を中心とした広東省において、既存工場の増強や新工場の建設を活発化している。

  タチエス/ニッパツ/ユニプレスなどは広州市で中国事業を統括する現地管理会社を設立。日立オートモティブ/エフテック/カルソニックカンセイは開発センター、ファルテックは開発部門を新たに設置した。

関連レポート:日系部品メーカー動向レポート

中国(華東地区)編 (2012年6月)、 (東北/華北地区)編 (2012年5月)、

米国編 (2012年7月)、ASEAN (インドネシア、ベトナム、マレーシア他) 編 (2012年6月)、
タイ編 その一 (2012年6月)/ その二(2012年7月)、
インド編 (2011年12月)、 メキシコ/ブラジル編 (2011年12月)、欧州編 (2011年11月)

広東省の地図

トヨタ/日産/ホンダの広州工場を含む中国生産拠点の生産能力

*表記ありは商用車を含む。*表記無しは乗用車のみ (含むSUV/MPV、微型バン)
メーカー 中国乗用車工場 年産能力 (1,000台)
2011年末 2012年7月 稼働・拡張後
(計画年)


東風日産
乗用車
大連工場 (2012年6月着工) 150 (2014年)
→ 300
広州市花都区第1工場 330 670 800 (2013年)
広州市花都区第2工場 270
湖北省襄陽工場 100 200 (~8月) 250 (~2012年末)
鄭州分工場 (注) 140 180~200 200
鄭州日産
汽車
河南省中牟 (第1) 工場 40
(*90)
40
(*90)
n.a. (*180)
(~2012年末)
河南省新工場 (検討中の報道もある) 200 (2015年頃)


広汽豊田
汽車
広州市南沙区第1ライン 200 200 600 (2015年)
広州市南沙区第2ライン 160 160 → 200 (2013年以降)
広州新工場 (検討中の報道もある)
天津一汽
豊田
天津新工場 (建設許可申請中) n.a.
天津西青工場 120 120 120
天津泰達工場 300 300 350
四川一汽
豊田
成都(新)工場 *30 *30 *50
長春旧工場 10 10 10
長春新工場 100 100以上 200 → 300


広汽本田
汽車
広州黄浦工場 (第1ライン) 240 240 240
広州増城工場 (第2ライン) 240 240 240
広州増城新工場 (第3ライン) (2012年末着工、エンジン工場も併設) 120 (2014年)
→ 240 (2015年)
本田汽車
(中国)
広州輸出工場 50 50 50 (~2014年)
東風本田
汽車
武漢第1工場 240 240 240 (2015年)
武漢第2工場 - 100 120 (2013年)
→ 240 (~2015年)

注: 鄭州分工場は、現時点で東風日産乗用車と鄭州日産汽車との共同工場となっている。



広州市:曙ブレーキ/ジヤトコ/小糸製作所は生産増強、旭テック/アーレスティ/デンソー/ユニプレスは新工場建設

(配列は企業名50音順、以下同)

曙ブレーキ: 生産ライン2本増設で、ブレーキ/キャリパー年産能力を170万台に増強へ

 曙ブレーキは、日産の中国生産増加に対応するため、合計約10億円を投じ、広州子会社「広州曙光制動器有限公司」(Akebono Corp. (Guangzhou) Co., Ltd.)の生産体制を増強中。2012年秋までには、ブレーキキャリパーの生産ラインをこれまでの2本から4本に増設。ディスク/ドラムブレーキおよびブレーキキャリパーの年産能力を、これまでの85万台分から170万台分に引き上げる予定。
 なお、曙ブレーキは2011年、中国での営業力に優れる伊藤忠商事との提携強化のために、広州曙光制動器の持ち株の一部 (10%) を同社へ譲渡し、持ち株比率を伊藤忠商事30%、曙ブレーキ70%とした。

注:曙ブレーキは2011年、70%出資する蘇州摩擦材工場「曙光制動器(蘇州)有限公司」(Akebono Corp. (Suzhou) Co., Ltd.)に開発部門を新設した。2012年7月時点の開発人員は中国人開発者を含めて5名ほど。

旭テック: 新工場建設で、アルミホイールの年産能力を300万本に拡大へ

 旭テックは2011年夏、広州市で、自動車用アルミホイール生産の子会社「広州馭風旭鋁鋳件有限公司」(Guangzhou Wheelhorse Asahi Aluminium) の分工場建設に着工した。2013年に完工し、年産能力を既存工場と合わせて、300万本に拡大する。2012年7月時点で新工場の一部が既に稼働しており、同年産能力をこれまでの150万本から200万本に引き上げた。同工場の製品は、現地の日系自動車メーカーに納入するほか、日本にも輸出している。
 同新工場建設のため、旭テックは、広州馭風旭鋁鋳件有限公司」(Guangzhou Wheelhorse Asahi Aluminium)の第三者割当増資を実施し、2012年7月時点の資本金は6億円から約9億円 (旭テックの出資比率は30%から49%) に拡大した。

アルファ: 広州子会社で金型工場増設へ

 アルファは2011年3月、広州子会社「阿尓発広州汽車配件有限公司」 (Alpha (Guangzhou) Automotive Parts Co., Ltd.)工場棟の増設に着工した。新たに金型工場を設けて、キーセット/ドアハンドル等の製造に用いる金型内製化を実現させ、中国製部品の製造原価30%減を目指す。
 投資総額は数億円で、日本 (群馬県館林) 工場から工作機械 (MC)/放電加工機の一部も移管する。2012年内に、新工場で金型の生産を開始するほか、工場全体の生産能力を2011年3月比30%増と引き上げる予定。
 アルファは中長期的に、広州工場製金型を日本にも輸出し、群馬工場は今後、自動車メーカーからの設計変更への対応のみを行う方向に移行していく方針。

アーレスティ: 広州第1工場の隣接地でダイカスト新工場建設

 アーレスティは2012年5月、広州子会社「広州阿雷斯提汽車配件有限公司」(Ahresty Precision Die Mold (Guangzhou) Co., Ltd.) の第1工場の隣接地に、新たにダイカスト工場の建設を着工した。2013年3月に竣工し、自動車向けにエンジンや変速機系/足回り系のダイカスト部品の生産を開始する。
 アーレスティはこれに伴い、第1工場の改良を含めて、2011年に33億円、2012年に30億円の合計63億円の投資を行う。広州工場のダイカスト鋳造能力は、2011年6月時点の2,500トンに比べ30%増の約3,250トンに拡大される見込み。

今仙電機: 広州工場増強、日産/ホンダ湖北省工場への供給を武漢工場に切り替えへ

 今仙電機は、約3億円を投じてプレスや溶接など設備を増設。2010年末に広州工場「広州今仙電機有限公司(Guangzhou Imasen Electric Industrial Co., Ltd.)」における電動式/手動式シートアジャスター等の年産能力を、自動車約85万台分と約30%増に拡大した (2012年6月時点も同規模)。
 2012年6月時点、同広州工場製品は主に広汽ホンダの広州工場、東風日産乗用車の広州と襄陽工場、東風ホンダの武漢工場に納入している。今後、東風日産乗用車の襄陽工場、東風ホンダ向けの同部品の供給は、2012年5月に稼働した広州今仙電機の武漢分工場に順次に切り替えていく。

エフテック: 広州に地場自動車メーカー向けの開発センター開設

 エフテックは2012年4月、広州市に、開発センター「偉福(広州)汽車技術開発有限公司」(F.Tech (Guangzhou) Technical Center) を設立。投資総額は2億円。中国地場自動車メーカー向けに、市場調査から始め、フレーム部品を主に、サスペンションモジュール/ペダル等の足回り部品の開発を行う。なお、エフテックは今後、北京や上海にも同様な開発センターを開設していく予定。

オーハシテクニカ:広州に自動車用プレス部品製造の新子会社設立

 オーハシテクニカは2011年7月、広州市に、エンジン用プレス部品等生産の、70%出資子会社「広州大中精密件有限公司」(Ohashi Nakahyo Precision Parts (Guangzhou) Co., Ltd.) を設立。2012年末までに稼動する。資本金は600万米ドル、従業員は稼働当初12名の予定。

カルソニックカンセイ: 広州工場拡張、中国開発体制も開発者増員などで強化

 カルソニックカンセイは2011年、東風日産乗用車など自動車メーカーの増産に対応するため、建屋増築や専用ライン新設などを通じ、広州工場「康奈可(広州)汽車電子有限公司」(Calsonic Kansei (Guangzhou) Components Corp.) における熱交換器/空調機器などの生産体制を拡張した。
 また、同社は、中国で開発体制を強化しており、康奈可(広州)汽車模具製造有限公司(CK KS Engineering (Guangzhou) Tooling Center Corp.)の開発センターと上海の2カ所の中国開発拠点の開発者数を、2010年末の合計253名から、2011年末320名に増員した。2012年末までにさらに409名に増やす予定。

小糸製作所: 第2工場建設で、広州100%子会社拡張へ

 小糸製作所は2013年春、広州100%子会社「広州小糸車灯有限公司」(Guangzhou Koito Automotive Lamp Co., Ltd.) の敷地内に、建設中の第2工場を稼働し、ヘッドランプや標識灯等を生産する予定。広州子会社の年産能力を、第1工場と合わせて、現行の倍に当たる自動車100万台分に増強する。
 第2工場建設へ投資総額は30億円。稼働当初の年産能力は自動車30万台分で、最終的に50万台分 (既存工場を含めて120万台分) に拡大する。納入先も、これまでのトヨタ/日産/ホンダ等日系自動車メーカー向けから、欧米メーカーなどに広げていく計画。

ジヤトコ: 広州CVT工場の年産能力を2013年春に90万基に拡大へ

 ジヤトコは、2013年春をめどに、広州CVT工場 「加特可 (広州) 自動変速器有限公司」(JATCO (Guangzhou) Automotive Transmission Ltd.) の年産能力を90万基に拡大する(2012年3月発表)。投資総額は約200億円 (約15億元)。急成長している日産の中国生産に対応する。
 これに先立ち、同工場は2011年4月、東風日産乗用車の新型 Sunny等向けに副変速機付CVT 7 (軽・小型FF車用) の生産を開始し、年産能力を38万基に拡大。さらに200億円を投じて、機械加工工程の強化や熱処理工程を増設し、2012年春に年産能力を73万基に引き上げていた。
 生産コストを削減するため、2012年春から、これまで日本から輸出していたCVTの中核部品の広州工場での生産を進める。また、日系サプライヤーの中国工場からの現地調達率を、75%超(2011年11月時点)から2012年末までに90%以上へ拡大していく。

タチエス: 中国事業管理子会社を設置

 タチエスは2011年11月、広州市で、中国事業管理子会社「泰極愛思(広州)企業管理有限公司」(Tachi-S China Co., Ltd.) を設立し業務を開始した(資本金300万米ドル)。主に、中国におけるグループ会社の管理・統括を行い、各施策の迅速な対応・実施を図る。従業員は2013年に当初の10名から20名に増やす計画。

デンソー: 2013年に広州カーエアコン工場を移転へ

 デンソーは、2013年の3月から12月にかけて、広州子会社「広州電装有限公司」(Guangzhou DENSO Co., Ltd.)を、現工場から北東に約8km離れた広州増城市にある増城経済技術開発区 (自動車部品産業園) に移転する(2011年11月発表)。現工場では、カーエアコン/コンデンサー/ラジエーターを生産している。政府からインフラ施設 (交通センター/鉄道駅) を建設する要望を受け入れるため。
 広州子会社はこれを契機に、2013年までに合計約63億円を投資して、移転先でより大きな生産体制を構築する。新工場建設は2012年3月に着工した。新工場敷地は約13.38万㎡ (現工場7.46万㎡)、建物床面積は約5.7万㎡ (現工場3.98万㎡)。2013年1月までに完工する予定。

南部化成: 広州自動車用樹脂部品工場を増強

 南部化成は、広州工場「広州南部工程塑料有限公司」 (Guangzhou Nanbu Plastics Co., Ltd.) における車載樹脂部品の生産能力を増強する。東莞工場の増強などと合わせて、中国事業を増強し、中国での2013年12月期売上を前年比17.3%増の163億円との目標を掲げる。
 2012年3月末時点、広州工場の射出成形機の保有台数を70台に増やしており、2011年上半期には自動車ミラーの蒸着設備1ラインを増設した。同工場の製品は主に広汽ホンダと東風日産乗用車に向ける。

西川ゴム: 広州工場の自動車用ゴムシール年産能力を50%拡張へ

 西川ゴムは2012年7月、広州の既存花都区工場「広州西川密封件有限公司」(Guangzhou Nishikawa Sealing Systems Co., Ltd.) で新工場棟を建設すると明らかにした。2013年末頃に、自動車ドア/窓枠のシーリングなどに用いる、ゴムシールの年産能力を現行より 50%引き上げていく。
 同時に拡張する上海既存工場と合わせて、投資総額は2013年末までに合計10億円以上としており、年間売上は90億円を目指す。

ニッパツ: 広州で、シート構成部品/コイルバネ新工場建設、中国事業統括会社も設立

 ニッパツは2010年12月、広州市で、100%子会社「広州日発汽車零部件有限公司」(NHK Seating (Guangzhou) Co., Ltd.) を設立。2016年をめどに、従業員約77名体制で自動車用シートの構成部品の生産を開始する予定。資本金は1.74億元 (投資総額2.776億元)。2016年度の売上目標は5.95億元。ニッパツは同社構内に、開発センターも設立する予定。
 また、同社は、懸架用コイルバネ/スタビライザなどを生産する、広州子会社「広州日正弾簧有限公司」(NHK-Uni Spring (Guangzhou) Co., Ltd.) の第1工場の構内に、第2工場を建設。2012年内に従業員109名体制で生産を開始する。投資総額は2.1億元。新工場の懸架用コイルバネの月産能力は25万本で、第1工場と合わせて75万本に拡大する。 なお、第1工場の年産能力は2012年1月、懸架用コイルバネ 500万個、スタビライザ 300万個。
 なお、ニッパツは2012年春に広州市で、中国事業統括会社「日発(中国)投資有限公司」(NHK (China) Co., Ltd.) を設立した。

日立オートモティブ: 増城市に自動車機器システム製品の設計・開発・生産拠点新設

 日立オートモティブは2012年2月、自社 90%と日立製作所 10%出資で、広州市郊外の増城市に、開発・設計・生産の子会社「日立汽車系統 (広州) 有限公司」 (Hitachi Automotive System (Guangzhou) Co., Ltd.) を設立した。2013年4月に稼働を開始する予定。自動車機器システム製品に関する設計と研究開発 (含む製造技術開発)、環境・安全対応製品 (含む直噴エンジン制御システム/ABS/横滑り防止装置 (VDC) など電子走行制御製品) に関する開発、設計、生産および販売を行う。
 資本金は4.2億元、敷地は約23万㎡。2014年は従業員数約 350名に増員予定。

ユニプレス: 広州で中国事業統括子会社を設立、精密プレス工場を稼働

 ユニプレスの生産子会社「広州優尼精密有限公司」(Unipres Precision (Guangzhou) Corp.) は2011年3月、広州市の花都区工場の1期建設を竣工。ジヤトコ広州工場向けに、CVT用のクラッチパック/ドラム、キャリアパック、ピストンプランジャー、オイルパン、サンギアアッシーの生産を開始した。うち、2011年5月からは2~2.5Lの中型車向けCVT用、2011年夏からは1.2~1.8Lの小型車向けと2.5L超の大型車向けCVT用のプレス部品生産を開始した。今後、従業員約160名体制に増員し、稼働当初の約5倍に生産能力を引き上げる (2013年売上目標 1.5億元)。
 同社は2012年2月、広州市(花都区)に、中国事業の統括完全子会社「優尼冲圧(中国)投資有限公司」(Unipres (China) Corp.) を設立し、営業を開始した。資本金3,000万米ドルで、従業員数50名程度の予定。

ヨロズ: 広州工場での華中地域向けの生産を武漢工場に移管へ

 ヨロズは、広州工場「広州萬宝井汽車部件有限公司」 (Guangzhou Yorozu Bao Mit Automotive Co., Ltd.、)からの、華中地域 (日産の鄭州/襄陽工場、ホンダの武漢工場など) 向けの自動車用サスペンション部品およびその関連部品の供給を、順次、武漢工場に移管している。武漢工場が2011年10月から生産開始したことに伴うもの。これによる広州工場の余力を、日産/ホンダ/トヨタ/スズキの華南地域工場の増産分に充てる。

 

 



東莞市:小倉クラッチ/パイオラックス/日立化成は生産増強、クラリオンは日本からカーナビ生産の一部を移管

朝日ラバー:東莞で自動車向けゴム部品生産を開始

 朝日ラバーは、東莞市に、「東莞朝日精密橡胶制品有限公司」(Dongguan Asahi Rubber Precision Co., Ltd.) を、2010年7月に設立し、2011年1月から稼動した。カーオーディオ用ローラーやオーリング(パッキン)など、自動車向けゴム部品の生産を開始している。投資総額は250万米ドル。2013年度の売上目標は5億円。製品の一部は東南アジア向けに輸出する。同社はこれまで、中国の委託生産制度 (中国語"来料加工制度”) を活用して、同市で同製品の委託生産 (売上約1億円規模)を行ってきた。

小倉クラッチ:東莞工場増強で、電磁コイル年産能力を300万個に拡大

 小倉クラッチは2011年8月ごろ、東莞生産子会社「小倉離合器(東莞)有限公司」(Ogura Clutch (Dongguan) Co., Ltd.)の工場拡張建設を竣工。電磁クラッチの他、電磁コイル/プリー/アーマチュアなどの構成部品生産も開始した。工場拡張への投資額は約1.4億~1.5億円。従業員も既存320名から400名程度に増員した。2012年6月時点の年産能力は電磁コイル 300万個、プーリ 170万個。

注: 2010年8月時点の同工場拡張計画の発表では、カーエアコン用電磁クラッチの年産能力を当初の150万台から2011年4月までに250万台に拡大するとしていた。MarkLines調査によると、電磁クラッチの年産能力は250万台に達していない。

クラリオン: 東莞2工場に、日本工場のカーナビ生産業務の一部を移管

 クラリオンは2011年秋、日本郡山工場(福島県)のカーナビ生産の一部を、東莞市の2工場に移管した。移管先は、カーオーディオ構成部品を生産する香港子会社 Clarion (H.K.) Industries Co., Ltd. の東莞工場と、その構成部品/組立てを行う東莞歌楽東方電子有限公司 (Dongguan Clarion Orient Electronics Co., Ltd.)。
 東莞工場には生産ライン2本などの生産設備を追加導入し、カーナビの月産能力を、2012年4月時点の1万台から、2014年3月までに3万台に拡大する。更に、次期新型カーナビも本格的に追加投入していく。製品は当初主に海外輸出中心だが、中国地場自動車メーカー向けを増やしていく計画。
 なお、クラリオンは2012年をめどに、福建省工場を加えた中国3工場における現地メーカーからの部品の調達率を、これまでの約20%から50%に引き上げる方針も表明している。

砂永樹脂: 佛山工場閉鎖により、ブロー成形事業を東莞工場に集約・強化

 砂永樹脂は2010年、佛山工場を閉鎖し、広東省における樹脂成形部品事業を東莞工場「砂永精工電子(東莞)有限公司」(Sunaga (Dongguan) Co., Ltd.)に集約した。一方、東莞工場では、ブロー成形機1台を増設するなど、ブロー成形事業を強化し、2011年夏に生産能力を、2011年3月比50%増に拡大した。
 2012年7月時点の、東莞工場の従業員数は約450名。射出成形機は、100t~350t 計24台、30t~80t 計23台の、合計47台。

南部化成: 東莞の自動車用樹脂部品工場を増強

 南部化成は、東莞工場「南部香港有限公司」(Nanbu (Hong Kong) Co., Ltd.) における車載樹脂部品の生産能力を増強する。2012年3月末時点で、射出成形機の保有台数を80台に増やした他、2011年上半期には自動車ミラーの蒸着設備1ラインを増設した。同工場の製品は主に広汽ホンダと東風日産乗用車向けで、金型も生産している。

パイオラックス: 東莞で金属ファスナー生産を増強

 パイオラックスは、2011年から2012年末にかけて、日産/ホンダなどの中国工場向けクリップ/ファスナーなどの樹脂成形品の生産を、東莞子会社「東莞百楽仕汽車精密配件有限公司」(Dongguan PIOLAX Co., Ltd.)に日本から移管する。投資総額は約7億円。生産ラインを増設する他、一部の設備は日本工場から移設。加えて、主に日産系サプライヤーなど向けに、自動車の内外装部品や配管類などを車体に固定する金属ファスナーの生産を増強する。

日立化成:東莞工場増設、焼結軸受けも追加生産へ

 日立化成は2012年5月、粉末冶金部品の東莞工場「日立粉末冶金(東莞)有限公司」の構内に新工場を増設すると発表。新工場は2012年秋に、焼結軸受けの生産も開始する予定。2015年度の粉末冶金製品の売上を2011年度比倍増を目指す。

不二越: 東莞工場で軸受月産能力を120万個に拡大、2013年150万個強に引き上げへ

 不二越は、10億円規模投資して、東莞工場「東莞建越精密軸承有限公司」(Dongguan Nachi C.Y. Corp.) で生産ラインを増設し、等速ジョイント用ころ軸受の月産能力を拡張する。2012年6月時点、すでに120万個に拡張しており、2013年までには、さらに150万個強に引き上げていく。また、今後、現地調達を中国の地場メーカーにも広げていく計画。

福寿工業: 東莞のパワートレイン自社工場を2012年に稼働へ

 福寿工業 (Fukuju Industry) は2010年12月、東莞市に、生産子会社「福寿汽車零部件(東莞)有限公司」(Fukuju Auto Parts (Dongguan) Co., Ltd.) を設立した。投資総額は約7億円。自社工場は2012年夏以降に稼働する予定。
 自社工場稼働に先立ち、2011年には借り工場で稼働しており、精密切削加工からはじめ、エンジンおよび変速機の構成部品の生産を開始した。自社工場稼働後は、鍛造やプレスなども手掛ける。製品は日系自動車メーカーの他、地場自動車メーカーにも供給。2015年度売上は20億円の見込み。

マブチモーター: 東莞周辺の委託生産 2工場を吸収、東莞で開発体制も構築へ

 マブチモーターは2010年10月、東莞市にある委託生産 (中国語:来料加工) 工場を買収し、「東莞道滘万宝至馬達有限公司」(Dongguan Daojiao Mabuchi Motor Co., Ltd.) を設立した。資本金は14,937.1万元、投資総額は3,000万米ドル。車載用等の小型モーターを生産する。2010年10月時点の年産能力は約2.8万個。
 また、同社は2010年11月、東莞市内の別の委託生産工場を買収し、東莞市の既存の孫会社(万宝至馬達(東莞)有限公司)の分工場「万宝至馬達(東莞)有限公司莞城分公司」(Mabuchi Motor (Dongguan) Co., Ltd. Guancheng Branch) とした。年産能力は車載用等の小型モーター2.6万個。
 これに加え、マブチモーターは2012年内に東莞の孫会社「万宝至馬達(東莞)」の (東莞市莞龍路段) 本工場 に併設した開発センターで、中国での開発・生産・販売の一貫体制を構築。日本本社と共同で EPB (エレクトリックパーキングブレーキ) を開発し、高品質製品を強化する。

 

 



佛山市:アイシン精機/ユタカ技研は生産増強、東海理化/ファルテック/東プレ/フジオーゼックスは新工場建設

アイシン精機: 佛山新工場で、2012年末に ECU/各種センサー生産開始へ

 アイシン精機は2011年11月、佛山市で、車載電子部品の生産子会社「愛信精機(佛山)電子有限公司」(Aisin Seiki Foshan Electronics Co., Ltd.) の建設に着工。2012年12月に稼働し、グループの中国工場向けに、ABS用/サンルーフ用ECU、車高検知用ハイトセンサー/ABS用車輪速センサー等の各種センサーを生産する。新会社の資本金は1,440万米ドル (投資総額34億円)。2015年の売上は約50億円を計画。

神戸製鋼: 佛山で、自動車エンジンバルブ用等の高級バネ用鋼線工場設立

 神戸製鋼は、佛山市で、自動車エンジンバルブ用等の高級ばね用鋼線を生産する新会社「神鋼新弾簧鋼線(佛山)有限公司」 (Kobelco Spring Wire (Foshan) Co., Ltd.)を、2012年1月に設立し、2013年上期中に稼働する。月間生産能力は600トンの計画。新会社は、グループの冷間圧造(CHQ: Cold Heading Quality) 用ワイヤ・磨棒鋼を生産している現地工場「神鋼線材加工(佛山)有限公司(Kobe Wire Products (Foshan) Co., Ltd.)」の敷地内に立地。資本金は6.5億円で、神戸製鋼の中国事業統括子会社「神鋼投資有限公司」が100%出資。

東海理化: 佛山工場の生産能力を1.5倍に引き上げ

 東海理化は2011年春、佛山市の生産子会社「佛山東海理化汽車部件有限公司」の拡張を完了し、キーロック類 (含むシフトレバー)、スイッチ類 (含むレバーコンビネーションスイッチ) 等の生産能力をこれまでの約1.5倍に拡大した。工場拡張への投資総額は5億~6億円。製品はトヨタの現地工場を中心に供給する。

東洋ゴム工業: 佛山で自動車等用ウレタンシートクッション合弁工場建設

 東洋ゴム工業は2012年3月、ボディーシーラーメーカー「広東時利和汽車実業集団」 (TGPM、本社は佛山市) との合弁会社「佛山東洋時利和汽車零件有限公司」 (Toyo TGPM Automotive Parts Foshan Co., Ltd.)を佛山市に設立した。2013年4月に稼働して、自動車等輸送機器向けウレタンシートクッションの生産・販売を開始する。資本金は 5,000万元 (約6.0億円)で、東洋ゴム工業が 60%、広東時利和汽車が 40%出資。2017年度に従業員 50名体制で、売上は 13億円になる見込み。

日本ブレーキ工業: 摩擦材生産の佛山工場増強完了

 日本ブレーキ工業は2011年7月、自動車用摩擦材生産の100%子会社「佛山捷貝汽車配件有限公司」(Foshan J.B. Automotive Products Co., Ltd.) の生産能力増強工事を完了した。詳細は明らかにされていないが、中国/メキシコ/タイにある海外工場の生産体制を増強し、日本国内の工場と合わせたグループの自動車用摩擦材の生産能力を2011年3月より1.5倍に増強していく

東プレ: 佛山新工場は2012年5月本格的生産開始

 佛山市にある東プレの生産子会社「東普雷 (佛山) 汽車部件有限公司」(Topre (Foshan) Automotive Parts Co., Ltd.)は、2012年5月に開所式を行い、翌月(6月)に正式に稼働した。センター/フロント/リアピラー、ホイールハウス等のプレス部品の本格的な生産・納入を開始した。
 工場建設への投資総額は約60億円。2012年6月時点、同工場 は3,000トン級2台、1,000トン級1台、400トン級1台、300トン級2台のプレス機を導入済み。従業員は約200名。2014年3月期の製品受注は約70億円の見込み。同工場は早ければ2013年2月から、中国鉄鋼大手宝鋼集団製のハイテン材 (高張力鋼板) を用いる、車体骨格部品 (フロントピラー/センターピラー等) の生産を開始する予定。

ファルテック: 佛山新子会社でライン装着部品生産開始、開発部門も設置

 ファルテックは2011年12月、佛山市の生産子会社「佛山発尓特克汽車零部件有限公司」(Foshan Faltec Auto Parts Co., Ltd.) を稼働し、ライン装着部品の生産を開始した。年産規模は同部品507万個。2期工場建設も進めている(2012年3月現在)。
 また、同社は2011年10月、同生産子会社に開発部門を新たに設置した。2012年4月時点開発技術者は合計3名で、今後、現地技術者採用を含めて開発の現地化を推進していく計画。

フジオ-ゼックス:佛山合弁工場でエンジンバルブの生産開始

 フジオ-ゼックスは2010年8月、TRW Asia Pacific及び新韓バルブ工業と、佛山市で、合弁会社「富士气門(広東)有限公司」(Fuji Valve (Guangdong) Corp.) を設立。新工場は2011年12月に稼働し、エンジンバルブの一貫生産とその技術サービスを開始した。新会社の資本金は6,450万元。資本構成はフジオーゼックス67%、TRW Asia Pacific 25%、新韓バルブ工業8%。年産規模は2,000万本

ユタカ技研: 2013年、佛山でトルクコンバータの年産能力を74万台に拡張へ

 ユタカ技研は、佛山市の生産子会社「佛山優達佳汽配有限公司」(Foshan Yutaka Auto Parts Co., Ltd.)で、広汽ホンダなどホンダ向けのトルクコンバータ等の生産を増強中。2013年には年産能力を2010年比約2倍の74万台に拡大する予定。2012年7月時点のトルクコンバータの年産能力は2直54万台/稼働日増で最大63万台。

 

 



深圳市:大日精化は高性能樹脂生産増強、パナソニックはEV/HV向け車載リレー生産へ

サイトウティーエム: 深圳で中国提携先と共同で自動車部品用プレス事業強化へ

 深圳に自社工場 (齊藤利来精密五金) を保有する、サイトウティーエムは、2014年4月以降、中国提携先の新永旭五金模具有限公司と共同で、自動車部品向けプレス事業を2011年4月比10倍となる月1億円に拡大する計画が報じられている。新永旭五金模具有限公司 (2011年4月時点の従業員数約450名) は、プレス加工/金型生産などを行っており、八千代工業とNSKステアリングシステムの中国工場に、それぞれサンルーフ組立用部品とハンドルブラケット用部品を納入している。

大日精化: 深圳工場の高性能樹脂の年産能力を2,000トン増の3.2万トンに拡大

 大日精化は深圳工場「大日精化(深圳)有限公司」(Dainichiseika Chemicals (Shenzhen) Factory, Ltd.) の生産設備を増強し、自動車や二輪車の内外装に用いられる高機能樹脂 (樹脂コンパウンド) の年産能力を2011年春に3万トンから3.2万トンに拡大したと報じられている。

パナソニック: 深圳でEV/HV向け車載リレー生産のため既存工場増設へ

 パナソニックは、深圳市の生産子会社「松下電工泰康電子 (深圳) 有限公司」(Panasonic Electric Works Taiko Device (Shenzhen) Co., Ltd.) の工場を増設した。2012年5月には建屋増設工事を完成しており、EV/HV向け車載リレーの組立生産設備を導入するなど、工事を進めている。
 増設工事への投資総額は約数十億円。増設完成後は、既存ガソリン車向けと合わせた車載リレーの年産能力は従来比50%増になる見通し。今後、現地自動車メーカーの需要にも応えるべく、更なる生産能力増強を視野に入れている。

 

 



雲浮/中山/韶関/清遠市: アイシン高丘、アドヴィックス、日本プラストが新工場建設

アイシン高丘: 雲浮市で自動車用鋳造・塑性加工部品工場を設立

 アイシン高丘は2011年5月、雲浮市に、自動車用鋳造・塑性加工部品を生産する子会社「高丘六和(雲浮)工業有限公司」 (Takaoka Lioho (Yunfu) Industries Co., Ltd.) を設立した。資本金は1.2億元 (投資総額45億円)。2013年1月に稼働し、広汽トヨタ向けにブレーキ部品のディスクローター (年産能力3万トン) を生産。将来はエンジン部品生産や機械加工も行う予定。稼働当初は従業員200名体制で、2013年度の売上は20億円規模になる見込み。

アドヴィックス: 雲浮市で、自動車ブレーキの構成部品の生産工場を建設

 アドヴィックスは2012年4月、雲浮市に、生産子会社「愛徳克斯(雲浮)汽車零部件有限公司」(ADVICS Yunfu Automobile Parts Co., Ltd.) を設立した。2012年12月に稼働し、ブレーキブースタ/ディスクブレーキキャリパ生産を開始する予定。資本金は1億元で、アドヴィックスが80%、六和機械投資(中国)が20%出資。2016年度までに従業員約350名を採用。2016年度の売上は約4億元になる見込み

日本プラスト:中山市で新工場建設、2013年の中国年産規模は自動車430万台分へ

 日本プラストは、中山市で、自動車用エアバッグの生産子会社「中山富拉司特工業有限公司」(Zhongshan Plast Industry Co., Ltd.) の第2工場を建設する計画。2012年3月末時点、工場建設に関する政府承認を申請中で、2013年夏以降に稼働する予定とされる。新工場は中山市の第1工場と離れたところに立地。投資総額は約10億円で、研究・開発機能も併設。工場設備の一部は既存の第1工場から移管する。新工場の年産能力計画は自動車200万台分。
 2013年に、日本プラストの中国におけるエアバッグの生産規模は、中山第2工場稼働により、武漢既存工場(武漢富拉司特汽車零部件)の自動車120万台分と、中山第1工場の110万台分と合わせて、自動車430万台分に拡大される。

プライムポリマー: 中山市で自動車用PPコンパウンド年産能力を7万トンへ

 プライムポリマー (Prime Polymer) は2013年第4四半期までに、生産設備増設で、中山市の生産合弁会社「三井化学複合材料(中山)有限公司」 (Mitsui Advanced Composites (Zhongshan) Co., Ltd.)の自動車用PPコンパウンド (バンパー等向け) の年産能力を7万トンに拡大する計画。
 同工場の2012年5月時点のPPコンパウンド年産能力は、2010年12月時点の4.6万トンから6万トンに引き上げられた。

古河スカイ: 韶関工場の自動車用アルミ板生産増強へ

 古河スカイは2012年末までに、25%出資する乳源東陽光精箔有限公司の韶関2工場における、自動車用などアルミ圧延品の月産能力を1万トンに増強する。うち、設備増設などで自動車用の熱交換器材料であるアルミ板は200~300トンから1,000トンに拡大する。 また、韶関工場は一連の生産性向上策により、熱間圧延工程での生産能力が20~30%向上する見込み。

柳沼プレス工業: 清遠市で、カチオン電着塗装/電気亜鉛メッキを開始

 柳沼プレス工業は2011年8月、清遠市に生産子会社「柳沼五金零配件(清遠)有限公司」(Yaginuma (Qingyuan) Co., Ltd.) を設立した。2012年4月からはカチオン電着塗装、2012年5月からは電気亜鉛メッキを行っている。資本金は520万米ドル。年間売上は7億円の見込み。主に日産/ホンダ系などの日系部品メーカーの中国工場向けに円筒形部品塗装を行っている。今後、円筒形部品のプレス加工機を追加導入し、業務を拡大していく計画。

(参考資料:各社広報資料、各紙報道、ヒアリング調査)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>