現代グループ:2012年販売計画は40万台増の700万台、質的向上を優先
海外工場強化と並行して、国内生産能力を増強し輸出を拡大
2012/04/12
要 約
現代自動車グループは、ここ数年急速な量の拡大と質的レベルアップを実現してきた。2011年は、グループで660万台販売し(前年比14.9%増)、2010年に到達した世界販売第5位自動車メーカーの座を維持した。現代自動車(起亜自動車を含まない)の売上高は77兆7,980億ウォン(約5兆6,800億円)で16.1%増加し、純利益は8兆1,050億ウォン(約5,900億円)で35.1%増加した。
品質については、現代Genesisが2009年の、Elantraが2012年の North American Car of the Yearに選ばれるなど、日米欧自動車メーカーと並ぶレベルに達したとされている。
コスト削減と商品開発期間の短縮を目指して、2009年にPlatformの集約に着手し、2011年に統合した6 Platformベースで世界生産の62.1%を生産した。
生産体制については、2005年に現代米国工場を稼働させ、その後相次いで起亜米国工場、中国、欧州に完成車工場を建設し、2011年末のグループ世界生産能力は654万台。2012年後半に、現代中国第3工場とブラジル工場が稼働し、2012年末に715万台に拡大する。
2012年のグループ世界販売目標は700万台。ここ2年間の急拡大に比べ控えめな目標だが、2011年に現代自動車の世界工場稼働率は107.4%で、生産能力の制約から現代グループが2012年の販売を大幅拡大することは困難になっている。また品質の維持・向上やサプライヤーの生産能力を考慮し、2012年には、過度に量の拡大を追わず、質的なレベルアップを目指すとしている。
生産能力増の対応として、海外工場とともに韓国国内工場の生産も拡大する。現代自動車グループは、起亜自動車の光州工場に年産16万台のラインを新設する。ウォン安と、韓国がEU・米国と締結したFTAを活用し、上級モデルを含め幅広い車種の輸出増を計画している。
関連レポート: | デトロイトモーターショー 2012: 韓国と欧州の自動車メーカーの展示取材(2012年2月) 韓国:現代グループは中国/ブラジル等で生産拡大、2012年海外生産体制は414万台 (2011年9月) Hyundai/Kia の新型車装備:省燃費エンジンとアイドルストップ機構で燃費改善 (2011年5月) |
現代グループで2011年に660万台販売、2012年計画は700万台
現代自動車グループは、2011年に世界で660万台販売した。
2007年の397.7万台から4年間で262.0万台増加したが、特に2010年に110.2万台増、2011年に85.5万台増と、2年間で195.7万台増加した。この2年間に海外生産を124.6万台増加させ、韓国国内生産も71.1万台増加させて供給した。
現代自動車(起亜自を除く)の世界の工場稼働率は2008年の89.9%から2011年107.4%に上昇し、世界での在庫は2010年1月の約3カ月から2012年1月は2カ月弱に減少した。現代自動車は、高い工場稼働率と低い在庫水準により、Value Pricing Strategy(適正な価格を維持する戦略)が可能になったとしている。
現代自動車グループは、2012年世界販売台数計画を2011年比40万台増の700万台にすると発表した。生産能力の制約から、これ以上の急速な拡大が困難な状況とされている。また現代自動車は、2012年は世界自動車市場の伸び率低下が見込まれることや、EU市場を取巻く不透明な環境に柔軟に対応し、過度に量的拡大を目指すのではなく、コアとなる基本的性能や環境対応技術をさらに強化するなど、質的な向上を目指すとしている。
現代自動車グループの出荷台数 |
(1,000台) |
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 計画 | ||
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現代自動車 | 韓国生産車 (内)国内販売 (内)輸出 海外生産車 | 1,700 624 1,076 917 | 1,669 570 1,099 1,128 | 1,612 701 911 1,494 | 1,731 658 1,073 1,881 | 1,884 682 1,202 2,175 | 1,945 684 1,261 2,345 |
合計 | 2,617 | 2,797 | 3,106 | 3,612 | 4,059 | 4,290 | |
世界での工場稼働率 | 94.4% | 89.9% | 91.5% | 100.6% | 107.4% | 103.2% | |
起亜自動車 | 韓国生産車 (内)国内販売 (内)輸出 海外生産車 | 1,114 272 843 246 | 1,056 315 741 343 | 1,142 411 731 392 | 1,400 483 917 730 | 1,581 492 1,089 957 | |
合計 | 1,360 | 1,399 | 1,534 | 2,130 | 2,538 | 2,710 | |
現代グループ合計 | 韓国生産車 (内)国内販売 (内)輸出 海外生産車 | 2,814 896 1,919 1,163 | 2,725 885 1,840 1,471 | 2,754 1,112 1,642 1,886 | 3,131 1,141 1,990 2,611 | 3,465 1,174 2,291 3,132 | |
合計 | 3,977 | 4,196 | 4,640 | 5,742 | 6,597 | 7,000 |
資料:現代自動車・起亜自動車の2011年決算発表、Hyundai Motor Investor Presentation February 2012 (注)起亜自動車の2012年出荷計画台数"2,710千台"は、「グループ合計計画700万台 - 現代自動車の計画429万台」の計算値。 起亜自動車が発表した2012年世界小売販売計画は271.2万台。
2012年末のグループ海外生産能力は364万台
現代自動車グループは、米国、中国、インド、欧州で現地生産している。2012年後半に現代自動車の中国第3工場、ブラジル工場が稼動し、2012年末の海外生産能力は、現代自255万台、起亜自109万台、グループ合計364万台に達する。
2013年以降については、現代自動車は2013年から中国で商用車を年16万台合弁生産する。起亜自動車は、中国で2014年後半から年産30万台の第3工場を稼動させる計画を発表している。
現代自動車グループの、地域別世界生産能力実績と計画 |
(1,000台) |
実績 | 計画 | |||||
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2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | ||
現代自動車 | 韓国 | 1,820 | 1,820 | 1,870 | ||
海外合計 | 1,800 | 2,050 | 2,550 | |||
米国 中国(注1) インド トルコ チェコ ロシア ブラジル | 300 600 600 100 200 | 300 600 600 100 300 150 | 300 900 600 100 300 200 150 | (プラス)160 | ||
世界合計 | 3,620 | 3,870 | 4,420 | |||
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | ||
起亜自動車 (注2-1) | 韓国 | 1,620 | 1,640 | 1,640 | (プラス)160 | |
海外合計 | 830 | 1,030 | 1,090 | |||
米国(注2-2) 中国(注2-3) スロバキア | 200 330 300 | 300 430 300 | 360 430 300 | (プラス)300 | ||
世界合計 | 2,450 | 2,670 | 2,730 | |||
現代自動車グループ合計 | 6,070 | 6,540 | 7,150 |
資料:Hyundai Motor Investor Presentation February 2012 | |
(注)1-1. | 現代自動車は、2010年11月に、年産40万台の中国第3工場を建設し、中国の生産能力は100万台に達すると発表した。2012年2月の発表では、2012年は90万台としている。 |
1-2. | 現代自動車は2011年4月、中国の商用車メーカーSichuan Nanjun Automobile Groupと、合弁会社"Sichuan Hyundai Motor"設立の契約を締結した。設備のレベルアップと増強を進め、2013年から16万台の商用車(トラック15万台、バス1万台)を生産する。 |
2-1. | 現代自動車の国内・海外生産能力は現代自の発表。起亜自動車の生産能力は、Kia Motors 2011 Business Results、Korean Investment & Securitiesの資料などから作成した。 |
2-2. | 起亜自動車は、米国ジョージア工場でKia Sorento、Kia OptimaとHyundai Santa Feを生産してきた。プレス、塗装などの主要設備を拡張し、生産能力を30万台から2012年初めに36万台に拡張した。拡張した分で、販売好調なOptimaを増産する。 |
2-3. | 起亜自動車は、2011年11月、中国の合弁相手の東風汽車・悦達集団と、東風悦達起亜汽車の第3工場を建設することで合意した。2014年後半から年産30万台で生産開始し、中国での生産能力は73万台に拡大する。 |
韓国の生産能力を増強、ウォン安とFTAを活用し輸出を拡大
現代自動車グループは、海外工場の増強と並行して、ウォン安とFTAを活用し輸出を拡大する方針。現代自動車グループは、既に韓国からの輸出台数を、2009年164.2万台から2011年229.1万台に64.9万台増加させている。さらに、起亜自動車が光州工場に年産16万台の新ラインを設置する計画。海外工場では生産車種を絞って効率を高めながら、韓国で上級モデルを含め幅広い車種を生産し輸出する方針とされる。
なお、韓国国内販売(全需)は2011年10月からほぼ前年割れが続いているが、その一方輸入車販売が拡大している。現代自動車グループは、これまで国内で得た利益を海外に投資して拡大してきただけに、この状況が続くと影響が大きいとされている。
起亜自動車光州工場の生産能力を増強
現代自動車グループは、傘下の起亜自動車の光州工場に約110億円を投資して、年産16万台の新ラインを設置し2013年に稼動させる計画。光州工場の年産能力は62万台(起亜自動車の韓国生産能力は180万台に増強される)。小型車Kia SoulやCUVのSportageを増産し、主に米国に輸出する計画。 |
韓国とEU、米国とのFTAが発効
対EU | 2011年7月に、韓国とEUのFTAが発効した。韓国からEUへの乗用車輸出については、10%の関税を段階的に引き下げ、1500cc以上の中大型車については2014年7月に撤廃、1500cc未満の小型車は2016年7月に撤廃する。 |
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EUから韓国への輸出についても、8%の関税を、上記と同じ日程で低減・撤廃する。既にここ数年欧州車が韓国輸入市場を牽引しており、また輸入車のうち2000cc以下の中小型車の比率が、2009年に30%を超え拡大している。 | |
現代自動車は、EU向け戦略車"i40"(VW Passatのクラス)の生産地を当初予定していたインドから韓国に変更し、2011年秋にEU向け輸出を開始した。 また起亜自動車のスロバキア工場では、総材料費の30~40%相当分を韓国から調達する方針。 | |
対米国 | 韓国と米国とのFTAが、2012年3月15日に発効した。乗用車の輸入関税は、米国側が2.5%の輸入関税を2016年に撤廃、韓国側は発効と同時に8%を4%に引き下げ、5年後に撤廃する。 |
既に、米国、日本、欧州の自動車メーカーは、米国製韓国輸入車の販売価格を引き下げている。現代自動車も対抗して、高級車Grandeur(海外ではAzera)、Genesisの上級仕様車の価格を引き下げた。 |
資料:日本経済新聞 2011.10.13/2012.3.26/2012.3.31/2012.4.4、JETRO資料 | |
(注)1-1. | 2011年の韓国国内販売(輸入車を含まない)は147.5万台で、前年比0.6%増。2012年1~3月の実績は9.2%減。一方2011年輸入車販売は11.8万台で12.0%増、2012年1~3月は13.9%増。 |
1-2. | これまで現代自動車グループは、韓国国内での高シェア(2011年で79.8%、輸入車を除く)から得た高収益を海外に積極投資してきた。国内販売の不振が続くと、現代自動車グループの世界戦略にも影響があるとされている。 |
2. | 輸出を促進するもう一つの要因であるウォンレートは、2007年に100ウォンが13円前後のウォン高になった後、2008年に100ウォン=6円強にまで低下し、現在までほぼこの傾向が続いている。2012年3月~4月上旬時点で100ウォン=7.3円前後。 |
新型車を相次いで投入し、3~4年間に商品内容を一新
現代自動車グループは、ここ3~4年の間に、品質を向上させ商品価値を高めた新型車を相次いで投入し、商品内容を一新している。
新車開発の効率を高め、コストを低減するため、2009年に18あったPlatform数を、2013年に6 に統合する方針。2011年を中心に発売された新型Elantraなど主要モデルを一斉にモデルチェンジしたことから、統合した新Platformベースの生産比率は、2009年の13.0%、2010年の23.3%から2011年には一気に62.1%に上昇した。工場稼働率の上昇とともに利益率向上に貢献している。
2011年米国販売台数のうち、2008年以降に投入した新世代のモデルの台数が、現代自動車で87%、起亜自動車では95%を占めている。
Platformの数を、2013年に 6 Platformに統合
2002年 | 2009年 | 2011年 | 2013年計画 | |
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統合したPlatform | 0 | 6 | 6 | 6 |
Platform総数 | 22 | 18 | 11 | 6 |
総モデル数 | 28 | 32 | 36 | 40 |
関連する諸指標
2002年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2013年計画 | ||
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新車開発に要する月数 | 40 | 33 | 24 | |||
Platform別 台数比率 | 新Platform | 13.0% | 23.3% | 62.1% | ||
旧Platform | 87.0% | 76.7% | 37.9% | |||
粗利益率(Gross Profit Margin) | 22.3% | 23.5% | 24.3% |
資料:Hyundai Motor Investor Presentation February 2012
米国市場に2008~2011年に投入したモデルが、2011年販売に占める比率 |
(Hyundai Equus、Veloster、Kia Borrego、Kia Soul、Kia Forteは新規に投入したモデル、他はフルモデルチェンジ車。) |
現代ブランド | 起亜ブランド | |||||
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モデル名 | セグメント | 2011年米国 販売台数 | モデル名 | セグメント | 2011年米国 販売台数 | |
2008~ 2009年 | 新型 Genesis 新型 Genesis Coupe | Lower luxury | 32,998 | Borrego Soul Forte | Middle SUV Upper small Upper small | 429 102,267 76,295 |
2010年 | 新型 Sonata 新型 Tucson Equus | Lower middle Small CUV Middle luxury | 225,961 47,232 3,193 | 新型 Sorento 新型 Optima 新型 Sportage | Middle CUV Lower middle Small CUV | 130,235 84,590 47,463 |
2011年 | 新型 Elantra 新型 Accent Veloster | Upper small Lower small Small specialty | 186,361 55,601 9,284 | 新型 Rio | Lower small | 20,111 |
上記モデル販売台数合計 構成比 現代ブランド車販売台数合計 | 560,630 86.8% 645,691 | 上記モデル販売台数合計 構成比 起亜ブランド車販売台数合計 | 461,390 95.0% 485,492 |
2012~ 2013年 | 新型 Azera 新型 Santa Fe 新型 Veracruz | Upper middle Middle CUV Middle CUV | Cadenza 新型 Forte 新型 Soul 新型 Sorento 新型 Sedona | Large Upper small Upper small Middle CUV Small van |
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資料:現代・起亜自動車広報資料、セグメント分類は、Ward's Automotive Yearbookによる。
現代自動車はデザインを一新、現代/起亜ブランドで上級モデルを積極投入
現代自動車は2009年に発売した新型 Sonata以降、"Fluidic(流れるような)sculpture(彫刻)design language"と称する、全高を低くし、側面に長い切れ込みを入れる大胆なデザインを多くのモデルに採用した。フルモデルチェンジ時には、前モデルの面影をとどめることに拘らず、デザインを一新した。
また現代自動車は、2008~2010年に後輪駆動のGenesisセダン、Genesisクーペ、Equusを投入。Genesisは2009 North American Car of the Yearに選ばれた。
これまで小型車中心であった起亜自動車も、2010年に発売した中型セダンOptima(韓国での車名はK5)が2011年に米国市場で84,590台販売するなど好調。さらに起亜自動車初の後輪駆動車K9を2012年前半に韓国で発売する。現代自動車に続いてフルラインの品揃えをして、ブランド価値を増大させる方針。
現代のブランド価値:米国市場で質・量両面の改善を示す
現代自動車は、米国市場を代表的な例として挙げ、現代ブランド車の事業で、「強化されたブランド価値」→「販売の拡大」→「インセンティブの抑制」→「平均販売価格の上昇」という好循環を生み、さらにそれらが「ブランド価値の強化」に貢献するというサイクルで、質・量両面の改善が続いているとしている。
米国での最量販モデルである中型乗用車Hyundai Sonataは、2011年に初めて20万台を超え22.6万台を販売した。実売価格は、2009年まではトヨタCamry、ホンダAccordに比べ2割ほど低かったが、2011年はわずかながら上回った。2011年の小型車Elantraの実売価格は19,600ドルで、CorollaとCivicを上回った。
2011年に、現代自動車の米国での台当たりインセンティブは1,005ドルに低下している。
J.D. Powerによる2011年Retention rate(あるブランド購入者が、次も同じブランドを購入する比率)調査で、現代ブランドが64%で米国で販売する33ブランド中第 1位となった。起亜ブランドも59%で第5位にランクされている(業界平均は49%)。
現代のブランド価値:米国市場で質・量両面の向上を示す
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | ||
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販売台数(台) 市場シェア(注1) 台当たりインセンティブ(ドル) | 401,742 3.0% 2,194 | 435,064 4.2% 2,506 | 538,228 4.6% 1,649 | 645,691 5.1% 1,005 | |
中型セダン 現代Sonata | 販売台数(台) 中型セダンでのシェア 実売価格(ドル) | 117,537 5.7% 18,266 | 120,028 7.3% 18,019 | 196,623 11.4% 21,821 | 225,961 11.9% 23,148 |
Retention rate(注3) | Rate(率) 順位 | 47% 13 | 47% 11 | 60% 3 | 64% 1 |
資料:Hyundai Motor Investor Presentation February 2012 | |
(注) 1. | 市場シェアは、米国Light Vehicle市場でのシェア。 |
2. | Elantraは2012年1月、2012 North American Car of the Yearに選ばれた。EPA燃費 (29 mpg city/40 mpg highway/33 mpg combined)、大胆なFluidic Sculpture Design、コンパクトなボディーに中型車並の室内空間を実現したこと、そして米国アラバマ工場で生産していることが評価された。 |
3-1. | Retention rateは、あるブランドの新車購入者が、次も同じブランドの新車を購入する比率。 |
3-2. | 調査を担当したJ.D. Powerによると、現代ブランドの躍進は、(1)モデルラインアップを拡大し、次々に新モデルを提供している(特に新型Sonataと新型Elantraが貢献した)、(2)ブランドイメージが継続的に向上している、ことが大きい要因としている。 |
現代グループの決算:販売台数より売上高、売上高より利益がハイペースで拡大
韓国の上場企業は、2011年から、これまでのK-GAAPに替わってK-IFRS(韓国版IFRS、the International Financial Reporting Standards)基準で決算を発表することが義務付けられた。新しい基準では、起亜自動車は現代自動車の連結対象から外れ、別途連結決算を発表した。
現代自動車の2011年売上高は77兆7,980億ウォン(5兆6,790億円、100ウォン=7.3円で換算)、純利益は8兆1,050億ウォン(5,920億円)。
出荷台数の伸び率(14.9%増)より売上高の伸び率(16.1%)が高く、純利益の伸び率(35.1%)はさらに高い。中上級モデルの販売が増加し、またPlatformの統合や工場稼働率の向上により効率アップしたことを反映している。
起亜自動車の売上高は43兆1,910億ウォン(3兆1,530億円、20.6%増)、純利益は3兆5,190億ウォン(2,570億円、30.4%増)。
現代自動車グループの業績 |
(10億KRW) |
(K-GAAP基準)単独決算 | (K-IFRS基準)連結決算 | ||||||
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2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2010年 | 2011年 | ||
現代自動車 | 売上高 営業利益 経常利益 持分利益 純利益 | 30,620 1,946 2,222 445 1,682 | 32,190 1,877 1,795 21 1,448 | 31,859 2,235 3,781 1,337 2,962 | 36,769 3,227 6,308 2,801 5,267 | 66,985 5,918 7,492 1,682 6,001 | 77,798 8,075 10,447 2,404 8,105 |
起亜自動車 | 売上高 営業利益 税引前利益 持分利益 純利益 | 15,949 (55) 25 325 14 | 16,382 309 68 548 114 | 18,416 1,144 1,700 814 1,450 | 23,261 1,680 2,776 1,106 2,254 | 35,827 2,490 3,323 982 2,698 | 43,191 3,525 4,722 1,161 3,519 |
資料:両社の2011年決算発表資料 | |
(注)1-1. | K-GAAPでは、30%超を出資し、かつ筆頭株主である子会社を連結対象としたが、K-IFRSでは50%超出資する子会社が連結対象となる。現代自の起亜自への出資比率は、2011年12月31日現在で33.99%。 |
1-2. | このため、K-IFRS基準では、起亜自動車やHyundai Hyscoなどの子会社は、フル連結対象から外れた。これら子会社には持分法が適用され、それぞれの持分利益が現代自動車の連結純利益に反映されている。起亜自動車も、K-IFRSベースの連結決算を発表した。 |
2. | 2007~2010年の単独決算では、現代自動車の「経常利益」の項目は「税引前利益」、起亜自動車の「税引前利益」の項目は「経常利益」。 |
現代自動車の、K-GAAP基準での連結業績 |
(10億KRW) |
(K-GAAP基準)連結決算 | |||||
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2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | ||
現代自動車 | 売上高 営業利益 税前利益 純利益 | 69,602 2,848 2,609 1,600 | 79,736 3,072 1,497 1,093 | 91,463 5,620 5,558 4,043 | 112,590 9,118 10,452 7,983 |
(注)K-GAAP基準で、連結対象に起亜自動車、Hyundai Hyscoなどを含む。
<自動車産業ポータル、マークラインズ>