第3回国際二次電池展2012取材報告

車載用リチウムイオン電池、鉛蓄電池、キャパシタの出展概要

2012/03/23

要 約

 以下は、2012年2月29日~3月2日に東京ビッグサイトで開催された第3回国際二次電池展における、車載用途を中心としたリチウムイオン電池、鉛蓄電池、電気二重層キャパシタ(EDLC)、およびリチウムイオンキャパシタの出展概要である。

 日本のリチウムイオン電池メーカーでは、リチウムエナジー ジャパン、パナソニック、東芝、三菱重工などが出展した。

 中国と台湾のリチウムイオン電池メーカーも出展した。中国のリチウムイオン電池メーカーは、車載用ではバスとタクシーに供給している。

 鉛蓄電池については、従来弱点とされていた充電受入性を高めた電池が開発されており、パナソニックがEV用電池、古河電池と韓国のATLASBXが、それぞれアイドリングストップ用電池と、充電制御システム対応の鉛蓄電池を出展した。

 電気二重層キャパシタ(EDLC)では、日本ケミコンと米国のMaxwell Technologiesが、自動車メーカーに納入する電気二重層キャパシタを出展した。

 EDLCの性能をさらに高めたリチウムイオンキャパシタについては、車載の実績や発表された計画はないが、新神戸電機、旭化成FDKエナジーデバイスなどが、自動車メーカーへの納入を目指している。

関連レポート: 

第2回 国際二次電池展(1) 電池編(2011年4月掲載)、(2) 部材編(2011年4月掲載)
第1回 国際二次電池展 (2010年3月掲載)



日本のリチウムイオン電池メーカーの出展

 日本のリチウムイオン電池メーカーでは、リチウムエナジー ジャパン、パナソニック、東芝、三菱重工などが出展した。リチウムエナジージャパンは、PHV用電池を開発中、また東芝は、HV用電池と、現行品よりさらにエネルギー密度を高めたPHV/EV用電池を開発中と発表した。

 エナックスは、台湾のPSI社製リチウムイオン電池を調達し、定置用途を中心に日本市場で展開すると発表。IHIは、提携する米国A123 Systemsのモジュラー設計思想に基づく電池システムを紹介した。

パナソニックが出展した、18650サイズのリチウムイオン電池140個を収納するモジュール パナソニックが出展した、18650サイズのリチウムイオン電池セル140個を収納するモジュール(モックアップ)

東芝製リチウムイオン電池SCiBを搭載する三菱i-MiEV M 東芝製リチウムイオン電池SCiBを搭載する三菱i-MiEV M

三菱重工が出展したリチウムイオン電池50型、40型および20型 三菱重工が出展したリチウムイオン電池MLiX 50型、40型および20型 (電池表面の50、40、20の数字が各型を示す)

三菱重工のMLIXを搭載する急速充電器RAPIDAS 三菱重工のMLiXを搭載する急速充電器RAPIDAS (JFEエンジニアリングの製品)

エナックスが提携する台湾のPSI社の、リチウムイオン電池セルとパック エナックスが提携する台湾のPSI社の、リチウムイオン電池セルとパック

 

日本のリチウムイオン電池メーカーの出展

リチウムエナジー ジャパン LEV50  三菱自動車の i-MiEV G(標準車)に供給するリチウムイオン電池。容量50Ah、電圧3.7V、重量 1.7kg。
LEV21F (開発中)  PHV用途に向け開発中のLEV21Fを参考出品した。EV用電池は長寿命、安全性を重視するが、PHV用は、さらに小型・高性能を目指すとのこと。容量21Ah、電圧3.3V、重量 640g。2012年に生産を開始する。
 正極材料として、LEV50はマンガン酸リチウムを使用しているが、LEV21Fはリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使用する。GSユアサ資料によると、リン酸鉄リチウムは、高温条件においても、従来の材質とは異なり、可燃物を燃焼させる酸素ガスを発生しないので、安全性の向上が見込めるとのこと。
パナソニック 18650サイズ リチウムイオン 電池システム  18650サイズ(注)のリチウムイオン電池を140個収納したモジュール(モックアップ)を展示した。米国のTesla Mototrsへは、18650サイズ電池セルを納入し、パックはTesla Motorsが行っている。なお、同じ18650サイズ民生用電池でも、パソコン用と動力用(電動工具向けなど)では内容・性能が異なり、Tesla Motorsに納めているのは動力用の18650サイズセルであるとのこと。
 動力用標準電池システム(EBV-101)を展示した。18650サイズ電池84個で構成し、ヤマハの電動二輪車EC-03や電動軽車両向けに供給している。旧三洋電機の製品。

(注)18650は、直径18mm、高さ65mmの円筒型電池のサイズを表す。

東芝 i-MiEV Mが 搭載するSCiB  SCiB(公称容量20Ah、エネルギー密度176Wh/L)を搭載する三菱 i-MiEV M(車両)と、SCiB車載電池パックを展示した(三菱 i-MiEV Mは、総電力量をi-MiEV Gの16.0kWhから10.5kWhに下げ、価格も380万円から260万円に下げた普及バージョン)。
開発中の「HV用」と 「PHV/EV用」SCiB  現行のPHV/EV用SCiBセルに加え、東芝はHV用に出力密度(W/L)を高め、加速/回生性能を向上させた「高出力タイプ」を開発中。またPHV/EV用で、現行品よりエネルギー密度をさらに高め、走行距離を延ばした「高エネルギータイプ」を開発中。
三菱重工 MLiX  リチウムイオン電池MLiXを出展した。標準型(現行品)の50型(最大電流は300A)は定置用で、新たに高出力の移動体用40型(50型と同サイズで最大電流500A)と小型の20型(最大電流300A)を開発している。
MLiX搭載急速充電器 (JFEエンジニア リング製)  JFEエンジニアリングが開発したEV用急速充電気RAPIDASは、MLiX電池を搭載する。従来型の急速充電器の設置には、電力会社との高圧受電契約(6.6kV, 50kW以上)が必要。一方RAPIDASは、電力会社から受電する電力と蓄電池出力を足し合わせてEVへ充電する方式とし、一般店舗で利用されている低圧受電(20kW)のまま50kW出力の急速充電器の設置が可能で、初期工事費とランニングコストを低減する。
 RAPIDASは、米国カリフォルニア州サンディエゴ市と、オレゴン州ポートランドの2箇所に設置された。米国では、1カ月のピーク電力使用量に対して追加課金されるデマンドチャージがあり、それを抑制できることが選定の決め手となった。
エナックス/ 台湾のPSI エナックスと 台湾のPSIが提携  エナックスは、2012年2月、台湾のPSIと提携。PSIが生産する、正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使うリチウムイオン電池を、定置用途を中心に日本市場で展開すると発表した(電動建設機械装置など移動体用途も想定)。
 リン酸鉄リチウムについては、様々な特許問題があるが、エナックスは、全世界でリン酸鉄リチウムを製造・販売するライセンスを持つ住友大阪セメント製の材料をPSI に供与して、レベルアップし、かつ特許に抵触しない製品として提供する。
(注) 1. PSIの正式名称は、Phoenix Silicon International Corp. (昇陽国際半導體股份有限公司)で、今回の展示会で独自のブースに出展し、EV用電池も展示していた。
2. エナックスと中国の中国汽車技術研究センターが共同で2010年5月に設立したShanghai CENAT New Energyは、2011年秋からEVタクシー用のリチウムイオン電池の生産を開始した。
IHI/ A123 Systems 自動車用リチウム イオン電池モジュール  A123 Systemsは、自動車用リチウムイオン電池開発・生産にモジュラー設計思想を取り入れ、標準型となる"Power Core Pack (110kW)"を開発中。モジュール構造のため、容量の増加やシステムの変更に迅速に対応でき、顧客は短時間・エンジニアリング費用なしで、自社製品に合ったリチウムイオン電池システムを完成することができる。
F-550 PHV用電池  A123 Systemsは、米国Eaton車が製作するFord F-550作業車(電力会社などの作業車で、Repair truckと呼ぶ)ベースのPHVにリチウムイオン電池を供給している。特に作業時の電力供給(最大 6時間分)を考慮し開発した。その概要をパネル展示した。

(注)IHIは2009年11月にA123 Systemsと事業提携した。2011年11月にIHIがA123 Systemsに25百万ドル出資し、同時に技術ライセンス契約を締結。IHIは、2012年から産業用途向けに開発した標準電池パックを量産する(セルはA123 Systemsが供給)。また自動車メーカーを含む輸送機器メーカーに対する供給能力を増強して、同分野での事業拡大を目指す。 (資料)第3回国際二次電池展展示と配布資料(以下同様)

 



中国のリチウムイオン電池メーカーの出展

 中国から、二次電池メーカー10社程度が出展した。うちHeter Electronics Groupなど下記の5社が、車載用途の納入に言及していた。現在はEVバスとEVタクシー中心に供給している。

 5社は全てリン酸鉄リチウム(LiFePO4)の正極を持つ電池を生産している。

Heter Electronics Groupが出展したリチウムイオン電池セルとパック Heter Electronics Groupが出展したリチウムイオン電池セルとパック

Sinopoly Batteryが出展した、1000Ahの大型リチウムイオン電池パック Sinopoly Batteryが出展した、1000Ahの大型リチウムイオン電池パック

 

中国のリチウムイオン電池メーカーの出展

Heter Electronics Group (海特電子集団) 円筒型 リチウムイオン電池  Heter Electronics Groupは、主に18650および26650サイズの円筒型リチウムイオン電池を生産する。正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)(注2)または三元系(Ni-Co-Mn)を採用している。
 用途は、主にランプ類、電動工具、パソコン、医療機器など。移動体用では、EV、EVバス、電動自転車、電動バイク、軍用ヘリコプターなどに納入する。
Sinopoly Battery (中聚電池) リチウムイオン電池  Sinopoly Batteryは、香港証券取引所に上場する、中国の大手リチウムイオン電池メーカーの 1社。吉林省燎原市(Liaoyuan)と天津市(Tianjin)に生産工場を持ち、EV用やエネルギー貯蔵システム用などに、正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使用するリチウムイオン電池システムを供給している.
 車載用途では、FAW(第一汽車グループ)と提携し、吉林省自社工場の従業員送迎バスでテスト走行した後、燎原市(Liaoyuan)市内の市街走行バスとしての運行を開始した。
 またThe State Grid Corporation of Chinaが推進するスマートグリッド計画の一環として、EVに改造した政府機関の車とタクシーにリチウムイオン電池システムを供給している。
YINTONG ENERGY (銀通新能源) リチウムイオン電池  Yintong Energyは、正極にLiFePO4または三元系LiMPO4(MはFe、Mn、Coなどの金属)を使用する円筒型リチウムイオン電池を生産している。
大型バスに供給  車載用途では、LiFePO4型リチウムイオン電池システム(600Ah、容量200kWh)を、FAW製大型EVバスに供給している。バスは全長10.5m、車両重量12,000kg、90人乗り。航続距離は250km、最高時速120km。
Godsend Power (谷神能源) リチウムイオン電池  3種類のリチウムイオン電池を展示した。1)リン酸鉄リチウム(LiFePO4)シリーズ(角形蓄エネ型、及びEV向けを含む円筒形動力型)、(2)マンガン酸(LiMn2O4)シリーズ(円筒形かつ動力型)、(3)三元系材料シリーズ(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)(円筒形でかつ動力型)。
Qinhuangdao Xinchi Photoelectricity Technology (秦皇島蕊馳 光電科技) 各種の リチウムイオン 電池システム  同社は2006年に設立され、主に18650サイズのリチウムイオン電池セルとパックを生産し、電気バス、EV、HV、電動バイクなどに供給している。
 パネル展示した製品は、(1)電気バス用電池システム(143kWh、396V、360Ah)、(2)ハイブリッドバス用電池システム(5.9kWh、346V、17Ah)、(3)EV用電池システム(30kWh、334V、90Ah)、(4)HV用電池システム(3.9kWh、346V、8.5Ah)、など。
(注) 1. 今回の展示会に中国のBYDも出展したが、車載用電池は出品していない。
2. Heter ElectronicsやSinopolyによると、正極にLiFePO4を使用するリチウムイオン電池は、オーバーチャージや高温による爆発や燃焼の心配のない、100%安全と言える唯一のリチウムイオン電池だとしている。350~500℃にも耐えられ、サイクルライフは、最大3,000回に達する。

 



アイドリングストップ用など、性能を向上させた鉛蓄電池の出展

 鉛蓄電池は、安価、安全で使いやすく、リサイクルが容易などの強みと、充電受入性が劣り、また性能を保つために高い充電状態(State of charge)での使用が必要などの問題があった。近年これらの問題を克服した製品が開発されている。パナソニックがEV用鉛蓄電池、古河電池と韓国のATLASBX両社が、それぞれアイドリングストップ用と充電制御システム搭載車用鉛蓄電池を展示した。

パナソニックが出展したEV鉛蓄電池 パナソニックが出展したEV鉛蓄電池 (写真正面が12V38Ahタイプ、後方が12V60Ahタイプ)

古河電池の、アイドリングストップ用Ultra Battery 古河電池の、アイドリングストップ用UltraBattery (キャパシタの負極を組み込んだハイブリッド型鉛蓄電池)

ATLASBXの、アイドリングストップ用鉛蓄電池ISS形 ATLASBXの、アイドリングストップ用鉛蓄電池ISS形

Exide Technologies/岡田商事が出展したアイドリングストップ用鉛蓄電池 Exide Technologies/岡田商事が出展したアイドリングストップ用鉛蓄電池

 

車載用鉛蓄電池の出展

パナソニック 長寿命サイクル用 EV鉛電池  正極・負極を多数枚構造にすることで反応面積を増大させ、活物質添加剤を最適化し、内部抵抗を70%低減して充電効率を約7%向上させた。電解液の全てが正極板、負極板と吸液性のガラスマットセパレータに含有されているため、電池液の補充が不要で、横置き、縦置きも可能。
 急速充電が可能で、1時間以内に20%から95%まで急回復させることができる。小型EV、フォークリフトなど産業車両や、ソーラー街灯、独立電源システムなどに最適。GMの一人乗り小型EV向けに供給した実績がある。
古河電池 アイドリングストップ用 UltraBattery  現在自動車メーカーで実証テスト中のアイドリングストップ用UltraBatteryを出展した。電極にキャパシタの電極を組み込んだ、ハイブリッド型鉛蓄電池で、正極は両者に共通の二酸化鉛、負極は鉛蓄電池の負極に使用する海綿状鉛とキャパシタの負極に使用する多孔質カーボンを並列に接続した。通常の鉛蓄電池と比較して、広いPSOC(partial state of charge:部分充電状態)条件におけるサイクル寿命を大幅に改善する。
 UltraBatteryは、従来電池の約10倍の耐久性(EUCAR:不十分な充電状態での走行が必要な、欧州の市街地走行を想定した評価)を持ち、アイドリングストップ車に最適。
充電制御システム 対応 鉛蓄電池 FB9000/7000  充電制御システム搭載車は、加速時やアイドリング時には、エンジンの負担を軽減して燃費を改善するためオルタネータの発電電圧を下げて、電圧が下がった分を電池から供給する。逆に、減速時やアクセルオフの燃料消費が少ないときに発電電圧を上げて電池に充電することにより、燃費を向上させる。
 古河電池のFB9000/7000は、充電受入性を従来品比15%アップさせ、頻繁な充放電に対する耐久性を高めた。充電制御システム対応車でこれらの電池を使用すると、JC08燃費が平均2.4%改善するとの第三者機関のテスト結果もある。
ATLASBX (韓国) アイドリング ストップ用電池  アイドリングストップ用鉛蓄電池を展示。サイクルライフを高め、炭素添加剤の採用により充電受入性を向上させた。最上級の"ABXAGM ISS"はサイクルライフが約12万回、充電受入性は同社通常品比1.8倍に高めた。韓国で輸入販売するBMWやMercedes-Benz車に供給している。
発電(充電) 制御システム 搭載車用電池 "ECOシリーズ"  充電制御システムは、加速時やアイドリング時、または電池が一定の充電量に達した場合はオルタネータの発電を止めて、エンジン負荷を軽減し燃費を2~3%向上させるシステム。頻繁な充電と放電を繰り返すので、高い充電受入性と耐久性が必要になる。
 この電池は、正極板に高密度活物質を採用、負極板のカーボン量を最適化するなどで、一般始動用電池比で耐久性を25%、充電受入性を50%向上させた。
岡田商事/Exide Technologies (米国) AGMアイドリング ストップ用電池  Exide Technologies社のAGM電池は、アイドリングストップ搭載車、回生ブレーキシステム搭載車に対応した高性能電池で、欧州車に幅広く供給している。内部抵抗を低くして充電受入特性を向上させ、耐振動性の向上により、従来品の3倍の耐久性を実現した。

(注)Exide Technologiesは、世界最大規模の鉛蓄電池メーカーで、欧米自動車メーカーに純正バッテリーを供給している。日本輸入代理店の岡田商事と共同出展した。

 



電気二重層キャパシタ(EDLC)の出展

 電気二重層キャパシタ(EDLC, Electric Double Layer Capacitor)は二次電池のような化学反応ではなく、電解液中のイオンの吸脱着による蓄電であるため、急速・大電流の充放電ができる。また劣化が少なく、数百万サイクルの充放電が可能。しかし蓄電容量は小さいので、鉛蓄電池またはリチウムイオン電池との併用が見込まれている。

 日本ケミコンはマツダが新開発した減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」に供給するEDLCモジュールを展示した。海外メーカーでは、米国のMaxwell Technologiesが、PSAのStop-Startシステム"e-HDi"に供給しているEDLCを出展した。

日本ケミコンがマツダに供給する電気二重層キャパシタモジュール 日本ケミコンがマツダに供給する電気二重層キャパシタモジュール

米国のMaxwell TechnologiesがPSAのStop-Startシステムに供給する電気二重層キャパシタ 米国のMaxwell TechnologiesがPSAのStop-Startシステムに供給する電気二重層キャパシタ (Stop-StartシステムはContinental AG製)

 

電気二重層キャパシタの出展

日本ケミコン 第3世代電気 二重層キャパシタ "DXE"  日本ケミコンは、電気二重層キャパシタ(商品名はDLCAP)の第3世代製品"DXEシリーズ"を開発した。マツダが乗用車用として世界で初めて開発した、蓄電器にキャパシタを採用した減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」に供給する。
 DXEシリーズは、キャパシタセルの内部抵抗値を同社従来品比50%以上軽減し、また70℃の高温に対応可能にした。これにより、充放電時の発熱を軽減。またモジュール化した場合の並列本数を減らすことができた。
(注) 1. マツダが開発した「i-ELOOP」は、12-25V可変電圧オルタネータ、DC/DCコンバータと日本ケミコン製の電気二重層キャパシタを搭載する。減速時に最大25Vの電圧でオルタネータによって発電し、キャパシタに蓄える。蓄えた電力はDC/DCコンバータで12Vに降圧し、電装品に電力を供給したり鉛蓄電池に充電したりする。
2. このプロセスを繰り返して、従来エンジンによる発電で消費していた燃料を減らすことにより、頻繁に加減速がある走行時には約10%の燃費改善効果が見込めるとしている。
Advanced Capacitor Technologies 自動車関連向け製品 (参考出品)  同社は、主に省エネ関連やUPS(Uninterruptible Power Supply)など電力・産業関連のキャパシタを供給している。自動車関連応用として、電装系、電子制御系(By-wireなど)および駆動系(HV、アイドリングストップ)向け製品を開発中。電圧は17.6~30.4V、蓄電容量は32Whとしている。
Maxwell Technologies (米国) Super Capacitor (e-Booster System)  米国のMwaxwell Technologiesは、PSAのStop-Startシステム "e-HDi"に供給しているスーパーキャパシタを展示した(Stop-Startシステム自体はドイツのContinental AGが開発、納入)。
 "e-HDi"は、PSAが2010年に導入した、ディーゼルエンジン車用 Stop-Startシステムで、最大15%の燃費改善効果があるとしている。2013年にPSAのディーゼルエンジン車の30%に搭載し、2011~2013年に世界で搭載車を100万台販売する計画。
大型トラック 始動用Capacitor  北米輸送業が使用する大型トラックの、寒冷地エンジン始動用に供給しているキャパシタ。通常鉛蓄電池を複数個搭載しているが、キャパシタ導入により、鉛蓄電池の小型化または搭載数削減が図れる。

(注)Maxwell Technologiesは、極東貿易が中心となり、クズミ電子工業、Avalueジャパンを含めた4社共同ブースに出展した。

Heter Electronics Group (中国) Super Capacitor  Heter Electronics Groupは、リチウムイオン電池とともに、Super capacitorを展示した。同社資料によると、自動車関連では、EV、HV、寒冷時の始動用、緊急時始動用、またディーゼル機関車始動用などに供給している。

 

 



リチウムイオンキャパシタの出展

 リチウムイオンャパシタは、正極にEDLCの正極と同じ活性炭を、負極にリチウムイオン電池の負極と同じ炭素材料を使用する。充放電は、正極が電解液中のイオンを吸脱着することで、負極がリチウムイオンを吸蔵・放出する(リチウムイオン電池の負極と全く同じ化学反応)ことで行う。EDLCを上回る高出力と、EDLCの3倍以上のエネルギー密度を持ち、生産する各社はリチウムイオン電池とEDLCの長所を兼ね備えた蓄電デバイスであると訴求している。

 ここ数年間に実用化された新しい技術で、JMエナジーは2008年11月に世界初の商業生産を開始した。新神戸電機は、2011年2月に、世界初の、大型(1Wh以上)円筒形リチウムイオンキャパシタを開発した。旭化成FDKエナジーデバイス(株)は、旭化成とFDK両社のリチウムイオンキャパシタ事業を統合し、2011年10月に設立された。

 車用途に搭載された、または搭載予定の発表はないが、新神戸電機は自動車メーカーと共同でテストを実施済みとのこと。旭化成FDKエナジーデバイスは、EV試作車を展示し、またリチウムイオンキャパシタのみをアシスト電力とするHVを提案した。

新神戸電機が展示したリチウムイオンキャパシタ円筒型セルとモジュール 新神戸電機が展示したリチウムイオンキャパシタ円筒型セルとモジュール (写真右は、サイズアップし電力量を2.4Whに高めた新製品)

リチウムイオンキャパシタをメイン電源とする小型EV "Miluira" 旭化成FDKエナジーデバイスが展示した、リチウムイオンキャパシタをメイン電源とする 小型EV "Miluira" (製作は(株)Takayanagi)

旭化成FDKエナジーデバイスが展示した、HV用キャパシタモジュール 旭化成FDKエナジーデバイスが展示した、HV用キャパシタモジュール

 

リチウムイオンキャパシタの出展

新神戸電機 リチウムイオン キャパシタL-CAP  高出力、長寿命の円筒形リチウムイオンキャパシタ"L-CAP"を出展。アイドリングストップ用、無人搬送車などの産業機器、スマートグリッドのピークカット用などに向く。アイドリングストップ用には、自動車メーカーとの共同テストも済んでいるとのこと。耐熱性が高く、エンジンルーム内に設置が可能。
 二つのタイプがあり、SLC-B110型は電力量 1.47Wh (0.49Ah、1100F(ファラデー))、SLC-B152型の電力量は 2.4Wh (0.8Ah、1800F)。
旭化成FDK エナジーデバイス リチウムイオン キャパシタモジュール  12V電源系に適用するモジュール(定格電圧15V、電力量12Wh)と、42V電源系に適用するモジュール(定格電圧45V、電力量36Wh)を製品化している。それぞれ、10万サイクルを超える長寿命がある。
小型EV試作車 "Miluira"  リチウムイオンキャパシタのみをメインの電源とする小型EV試作車 "Miluira"((株)Takayanagiが製作)を展示した。全長2180mm、1人乗り、車両重量350kg。833F(ファラデー)のリチウムイオンキャパシタで10km走行可。さらに小型発電機をrange-extenderとして使用すると走行距離は倍増する。
HVへの 適用の提案  リチウムイオンキャパシタをメインの電源とする(鉛蓄電池も併用)HVの提案をパネル展示した。リチウムイオンキャパシタを、メイン電池用、加速用、アイドリングストップ用、ブレーキバックアップ用など数カ所に装備する。HV用キャパシタモジュールを提案・展示した。
Hybrid-Battery  「 リチウムイオン電池 + リチウムイオンキャパシタ」、「鉛蓄電池 + リチウムイオンキャパシタ」、の組み合わせでテストした結果を発表した。キャパシタのサポートで、回生エネルギーの吸収とそれぞれの二次電池の劣化抑制に効果がある(寿命が伸びる)としている。
JMエナジー リチウムイオン キャパシタ  同社は2007年8月にJSRが100%出資して発足し、2008年末に、世界で初めてリチウムイオンキャパシタの商業生産を開始した同製品の専門メーカー。現在、産業用途、UPS、医療機器などに供給している。
 車載用途については、コストの要求が厳しいので、慎重に検討中とのこと。

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