デトロイトモーターショー 2012:韓国と欧州の自動車メーカーの展示取材

各社がHV/PHV/EVを数多く出展

2012/02/23

要 約

 以下は2012年北米国際自動車ショー(以下デトロイトモーターショー:2012年1月9日から22日までデトロイトで開催)における、韓国と欧州の自動車メーカーが展示したコンセプトカーと市販(予定)車の概要である。韓国からはヒュンダイとキアが、欧州からはメルセデスベンツ、BMW、フォルクスワーゲン(以下VW)、AUDI、VOLVO、ポルシェが、新型の内燃エンジン搭載車やハイブリッド車 (HV)など環境対応車を多数披露した。

関連レポート: 

デトロイトモーターショー2012:日本の自動車メーカーの展示取材:2012年1月
デトロイトモーターショー2012:米国の自動車メーカーの展示取材:2012年1月
フランクフルトモーターショー2011 (1):VW、BMW、Daimlerの展示取材:2011年9月



ヒュンダイとキア:2012北米カーオブザイヤーを獲得したElantraや、高性能スポーツクーペGenesis Coupe、Elantra EVを出展

 2011年の米国販売台数を前年比26.5%増の約110万台に伸ばし、シェアを拡大したヒュンダイ (現代自動車) ・ キア (起亜自動車) グループは、デトロイトモーターショーで両社合わせて35台の車を展示した。

 

ヒュンダイElantraが2012年北米カーオブザイヤーを受賞

 Elantraはトヨタカローラやホンダシビックと同じ小型クラスのセダンで、高出力で低燃費の1.8Lエンジンと6速AT (もしくは6速MT) を搭載する。ワンクラス上のSonata同様、ボディサイド上のフロント・ホイールからリアのテールランプまで流れるライン上に前後のドアハンドルを配置するモダンなデザインを採用。


Elantraとカローラ、シビック仕様比較

Elantra トヨタカローラ ホンダシビック
全長(inch) 178.3 180.0 177.3
全幅(inch) 69.9 69.4 69.0
全高(inch) 56.5 57.7 56.5
エンジン排気量 1.8L 1.8L 1.8L
最高出力 148hp 132hp 140hp
city/hwy燃費(mpg) 29/40
(6速AT,6速MT)
27/34(5速MT)
26/36(4速AT)
28/36(5速MT)
28/39(5速AT)
29/40(HFグレード)
価格帯($) 16,445~20,445 16,130~18,820 15,805~23,455


2012年北米カーオブザイヤー受賞のヒュンダイ Elantra
2012年北米カーオブザイヤー受賞のヒュンダイ Elantra

 

2013年型ヒュンダイVelosterターボ

 ヒュンダイは小型クーペのVelosterにターボエンジンを追加し2012年夏から販売する。Velosterは後部ドアが右側だけにある独特のスタイルで、1.6Lの直噴エンジン(138hp/123lb・ft)と6速DCT(Dual Clutch Transmission)を搭載する。 大型のフロントグリルが特徴のターボ車は、ツインスクロールターボとインタークーラーを直噴1.6 Lエンジンに追加し、201hp/195 lb・ftに性能をアップした。


Velosterターボ仕様車
Velosterターボ仕様車

 

2013年新型ヒュンダイGenesisクーペ

 高級車Genesisには4ドアセダンとクーペがあり、ヒュンダイは2013年初頭にモデルチェンジ予定のクーペを出展した。後輪駆動の2ドア スポーツクーぺはフロントグリル周りのデザインを大きく変更し精悍なイメージとした。また2Lターボエンジンと3.8Lエンジンの出力を、それぞれ210hp、306hpから274hp、348hpへと大幅にアップし、オプション設定のATも5速AT (2Lエンジンモデル) と6速AT (3.8Lエンジンモデル) から、いずれも8速ATへ変更した。ヒュンダイが競合車としているInfiniti G37クーペ(日本名:スカイラインクーペ)との仕様比較は下表の通り。

Genesisクーぺ Infiniti G37クーペ
全長(inch) 182.3 183.1
全幅(inch) 73.4 71.8
全高(inch) 54.5 54.8
エンジン 2.0Lインター
クーラー付 ターボ
直噴3.8L 3.7L
最高出力 274hp 348hp 330hp
最大トルク 275lb・ft 295lb・ft 270lb・ft
city/hwy燃費(mpg) 21/30(6速MT)
20/31(8速AT)
18/27(6速MT)
18/28(8速AT)
19/27(7速AT)


2013年新型Genesisクーペ
2013年新型Genesisクーペ

 

ヒュンダイElantra EV

 ヒュンダイは、このほか2012年北米カーオブザイヤーに選ばれたElantraのEV仕様、Elantra EVとEVシステムのモックアップを展示した。車の前部に電動モーターと減速機、制御ユニットを、車両中央とトランクルーム床下にバッテリーを配置。展示車両には充電ソケット用の小さい開口扉がないことから、恐らくコンセプト段階のモデルと見られるが、デトロイトモーターショーでヒュンダイがEVを出展するのは初であり、今後の取り組みが注目される。


Elantra EVモックアップ
Elantra EVモックアップ


Elantra のEVシステムの模型
Elantra のEVシステムの模型

 

2012年新型キアRIO

 キアは2011年に直噴1.6Lエンジン搭載の小型車RIOをフルモデルチェンジした。RIOは4ドアセダンと5ドアハッチバックがある。前年モデルと比べて車体全体に丸みを持たせモダンなデザインを採用、エンジンは出力、燃費とも向上させた。またアイドルストップを2012年から設定する予定。競合日本車との主な比較は下表の通り。

キア RIO 5ドア ホンダ Fit 5ドア トヨタ Yaris 5ドア
全長(inch) 159.9 161.6 153.5
全幅(inch) 67.7 66.7 66.7
全高(inch) 57.3 60.0 59.4
エンジン排気量 1.6L 1.5L 1.5L
最高出力 138hp 117hp 106hp
city/hwy/comb燃費(mpg) 30/40/33(6速AT) 27/33/30(5速AT) 30/35/32(4速AT)


キアのRIO 5ドアハッチバック
キアのRIO 5ドアハッチバック

 



VW (Volkswagen) はJetta HVを初披露 ビートルベースのEVコンセプトも出展

 VWは米国テネシー州に新工場を建設し、2011年からPassatの生産を開始。2011年の米国販売台数も前年比26%増の32万台 に伸ばし、北米市場での存在感を高めつつある。

 

Jetta HV

 VWはデトロイトモーターショーでJettaのHV (ハイブリッド) を発表展示した。この新型Jetta HVは従来からJettaを生産しているメキシコのPuebla工場で生産され、2012年の末に米国で販売の予定。


 ガソリン車が2.0Lもしくは2.5Lエンジンを、またディーゼル車が2.0Lエンジンを搭載するのに対し、HVには1.4Lガソリンターボエンジンを採用。モーター(27hp)とLiイオンバッテリー(1.1kWh)を搭載し、システム出力は170hp。HVシステム搭載による重量増を221ポンド(約100Kg) に抑えた。VWはCombined燃費の45mpgのみを公表しており、ホンダCivic HV(44mpg)とほぼ同じ値。Jetta HVはバッテリーだけによるEV走行モードで最高速44mph(70km/h)、1.2マイル(約2Km)まで走行が可能。トランスミッションには7速DSG(デュアルクラッチ)式ATを採用。VWではHVの他にcity/hwy燃費 で30/42mpgのJetta TDI (2.0Lディーゼル) も展示した。


Jetta HV
Jetta HV


Jetta HVのエンジンルーム
Jetta HVのエンジンルーム

 

VW E-BUGSTER

 VWはビートル (カブトムシの意) をベースにしたコンセプトEVを展示。その名もE-BUGSTER (BUGはムシの意)。脱着式のルーフを持つ2シーター車で、28.3kWhのLiイオンバッテリーを搭載し、1回の充電で180Kmまでの走行が可能。フロントとリアのガラスの傾斜を大きくし、またビートルよりもルーフを低くした車体に20インチ径のタイヤを装着し、「走り」を予感させるデザインとした。


VW E-BUGSTER
VW E-BUGSTER

 



Audiは2013年新型A4、S4やA3 e-tronを展示

 VW傘下のAudiは2012年夏に販売予定の2013年型A4を展示した。大型のフロントグリルやLEDデイタイムランニングライトなど、フロントマスクは2011年に発売された新型A6と似ている。エンジンは現行の2.0Lターボを流用する。


 Audiはまた、A3をベースにしたEVのe-tronを展示。水冷式で85kW/199lb・ftのモーターと、同じく水冷式Liイオンバッテリー (26.5kWh) を搭載し、フル充電で92miles/147Kmの走行が可能。展示車両のドアやエンジンフードはロックされていた。


2013年新型A4
2013年新型A4


A3 e-Tron
A3 e-tron

 



BMWは5シリーズと3シリーズのActiveHybridなどを展示

 BMWは今年のデトロイトモーターショーでは、2011年に続いてHVの展示を行なった。 カリフォルニア州の燃費規制が電動車両の導入を促す内容であるため、BMWの展示内容も過去2年間と比較すると、北米での環境技術の流れがディーゼルエンジン導入の機運からHVやEVへと移ってきたことを反映している。

 

AvtiveHybrid3とActiveHybrid5

 BMWは535iベースのHV、ActiveHybrid5、市販済のActiveHybrid7のに続き、今回のデトロイトモーターショーで335iベースのActiveHybrid3を発表展示した。AvtiveHybrid3はハイブリッドシステムをActiveHybrid5から流用。主な仕様は下表の通り。

ActiveHybrid3
ActiveHybrid5
(参考) ActiveHybrid7:
マイルドハイブリッド
エンジン 3.0L直6 ターボ
(ツインスクロール)
直噴4.4L V8ツインターボ
システム最高出力 335hp 455hp
システム最大トルク 330 lb・ft 516 lb・ft
エンジン最高出力 306hp 440hp
エンジン最大トルク 295 lb・ft 475 lb・ft
T/M 8速AT(モーター内蔵) 8速AT
モーター 40kW210N・m 発電機兼用15kW/210N・m
バッテリー Liイオン675Wh、317V Liイオン400Wh,120V
重量:59.5 lb or 27 kg
燃費 ActiveHybrid3:
6.4L/100Km:EUモード(=36.7mpg)
17/24mpg(city/hwy)


 上記ActiveHybrid3,5,7は、いずれもアイドルストップと回生ブレーキを搭載。またこの3車はエンジン冷機時にラジエーターグリル内側に設置されたベントを閉じ、温度上昇時に開口するエアベントコントロールと呼ぶシステム装着。閉弁時はラジエーターグリルからエンジンルームへの空気の流れが遮断され、空気抵抗が下がり燃費向上につながる。


初公開されたActiveHybrid3
初公開されたActiveHybrid3

 

i3コンセプトとi8コンセプト

 BMWはフランクフルトモーターショーや東京モーターショーに出展した4人乗りEVのi3コンセプトとプラグインハイブリッドのi8コンセプトをデトロイトでも展示し、多くの観客の注目を集めた。 (詳細はフランクフルトモーターショーレポート東京モーターショーレポートを参照) 。BMWは約600台のEV (MINI E) を使い、モニター走行実験を米国、ドイツ、英国で実施してきた。その結果、MINI E の航続距離 (約160Km) で市場走行頻度の約90%をカバーできることが分ったが、EVを販売するに当り100%のユーザーが満足できるよう、オプションとして発電専用の小型ガソリンエンジンを搭載するレンジ・エクステンダーを設定することとした。

 i3 コンセプトに使われるモーター出力はMINI Eと同じ125kW/250N・mとし、25%小型化した。


充電中のi3コンセプト
充電中のi3コンセプト

 



メルセデスベンツは高級車の新型SLやEシリーズをベースにしたHVを展示

 

新型スポーツクーペSL

 メルセデスベンツは2013年新型SL550 ROADSTERを発表展示した。2人乗り の高級スポーツクーペは、車体の90%以上にアルミを使用し、現行モデルより275ポンド(約125Kg)軽量化した。エンジンはV8直噴4.6Lツインターボを搭載。出力とトルクは現行モデルより47hp/125 lb・ft高い429hp/516 lb・ftとした。ルーフは自動格納式ハードトップで、材質は軽量マグネシウム製、透明ガラス、スイッチ操作で自動変色メガネのようにガラスが瞬時に黒くなるMagic Skyと呼ぶルーフ、の3種から選択できる。燃費は未公表で、米国では2012年春に販売される予定。


初公開された2013年新型SL550
初公開された2013年新型SL550


SL300レースカーと新型SL550 の後ろ姿
1952年に作られた初期の頃のSL300レースカー(手前)と新型SL550 の後ろ姿(後方)

 

2台のEクラスHV:E300 BlueTEC HYBRIDとE400 HYBRID

 メルセデスベンツはディーゼルエンジン搭載のE300 BlueTEC HYBRIDとガソリンエンジン搭載のE400 HYBRIDを展示した。E300 BlueTEC HYBRIDは2010年のジュネーブモーターショーに初出展されている。ディーゼルエンジン搭載のHVは一般に高コストとなるため、従来はトラックやバス、鉄道などで使われて来が、昨年のフランクフルトモーターショーでPSAが3台の販売予定のディーゼルHVを出展した(参考)。メルセデスベンツもディーゼルHVのE300 BlueTEC HYBRIDを今後、欧州で販売する計画であるとしている。E400 HYBRIDは米国、日本、中国などで販売される予定。HV 2 モデルの主な仕様は下表の通り。

E300 BlueTEC HYBRID E400 HYBRID
エンジン 2.1L直4 ツインターボ 直噴3.5L V6
エンジン最高出力 204hp/150kW 306hp/225kW
エンジン最大トルク 396 lb・ft/500N・m 273 lb・ft/370N・m
T/M 7速AT 7速AT
モーター 27hp/20kW
184 lb・ft/250N・m
27hp/20kW
184 lb・ft/250N・m
バッテリー Liイオン
容量0.8kWh
出力19kW
Liイオン
容量0.8kWh
出力19kW
燃費/CO2 4.2L/100Km:EUモード
(=56.3mpg)
109gCO2/km
24/31/27mpg
(city/hwy/combined)


 上記2モデルは、いずれもアイドルストップと回生ブレーキを搭載。メルセデスベンツはE300 BlueTEC HYBRIDを「世界で最も燃費の良い高級車The world's most economical luxury-class model」と呼んでいる。


E300 BlueTEC HYBRIDとエンジンルーム内部
E300 BlueTEC HYBRIDとエンジンルーム内部

 

ダイムラーの子会社smartからEVコンセプト

 smartはデトロイトモーターショーでEVコンセプトsmart for-usを出展した。smart for-us は小型の二人乗りピックアップで、荷台に2台のsmart ebikes(電動バイク)を搭載でき、smart for-usの充電器からいつでも充電が可能。55kW (74hp)/130N・m (96lb・ft) のモーターと17.6kWhのLiイオンバッテリーを搭載する。市販されているsmartにはベースのガソリン車のほかにEVがあり、米国ではEVはリース販売されている。


ダイムラーのsmart for-us
ダイムラーのsmart for-us

 

つや消し塗装のCL63AMG

 2012デトロイトモーターショーでメルセデスベンツからCLS550とCL63AMGが、またヒュンダイがVelosterターボに、matte finishesというつや消し塗装されたモデルを展示した。いずれの車も離れてみると車体表面がザラザラな様に見えるが、表面にはクリアコートが施されて滑らかである。これまで内外装樹脂部品ではつや消し塗装された部品はあったが、つや消し塗装の渋さが好まれれば、ボディー塗装に使うモデルが増えるかも知れない。


つや消しシルバーのCLS550

つや消しシルバーのCLS550の車体表面
つや消しシルバーのCLS550 つや消しシルバーのCLS550の車体表面

つや消しホワイトのCLS550ヘッドランプ周辺

つや消しグレーのVelosterターボのルーフ
つや消しホワイトのCLS550ヘッドランプ周辺 つや消しグレーのVelosterターボのルーフ

つや消しブルーのAudi R8GTSpyder
つや消しブルーのAudi R8GTSpyder

 

 



VOLVOがPHVのXC60 Plug-In Hybrid Conceptを出展

 Volvoは、XC60 Plug-In Hybrid Conceptを展示した。XC60のボディーに直噴2.0Lターボエンジン、モーター、スターター兼発電機、Liイオンバッテリーなどを搭載したコンセプト車で、EPAのcombined燃費は50mpgに達する。エンジンで後輪を駆動し、モーターで前輪を駆動する4輪駆動車で、バッテリーをフル充電した状態からモーターだけによるEV走行での航続距離は35マイル(56Km)。街中に入った場合に静かなEV走行をしたいと思うドライバーは、"Save"機能をオンにすると、エンジンの動力によりバッテリーに充電し、約12マイル(20km)をEV走行する電力を蓄えることができる。主な仕様は次の通り。

XC60 Plug-In Hybrid Concept
エンジン 直噴2.0L ターボ
システム最高出力 350hp
システム最大トルク 111 lb・ft
エンジン最高出力 280hp
エンジン最大トルク 280 lb・ft
T/M 8速AT
モーター 70hp(50kW)
148lb・ft(200N・m)
バッテリー Liイオン 12kWh
バッテリー充電時間 3.5h (220V)
7.5h (110V)
スターター兼発電機 45hp(34kW)
111lb・ft(150N・m)
燃費 EVモード:105mpge
EPA combined:50mpg (HVモード)
NEDCモード:2.3L/100Km(=102mpg)
CO2 EVモード:83 CO2g/mile
EPA combined: 175 CO2g/mile (HVモード)
NEDCモード:53 CO2g/Km


XC60 Plug-In Hybrid Concept
XC60 Plug-In Hybrid Concept

 



ポルシェは911のオープンカーを出展

 ポルシェは新型911のオープンカーを展示した。ソフトトップのルーフを持つ911 Carrera Cabrioletは3.4L水平対向直噴6気筒エンジン(350hp) を搭載。最高速度は176mph(286km/h)。 また3.8Lエンジンを搭載する911 Carrera S Cabrioletは385hpで最高速度は188mph(300km/h)。燃費は未公表。


ポルシェ911のオープンカー911 Carrera Cabriolet
ポルシェ911のオープンカー911 Carrera Cabriolet

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>