第2回クルマの軽量化技術展取材報告(2):樹脂化関連

特定部位の樹脂化と樹脂成形技術の出展

2012/02/20

要 約

 以下は、2012年1月18~20日に開催された「第2回クルマの軽量化技術展」における、樹脂化による軽量化と、各種樹脂成形技術に関する出展の概要である。

 豊田合成は、樹脂を多用したEVコンセプトカーを出展した。樹脂採用の可能性拡大を検討したいとのこと。ビクトレックスジャパンは、エンジン、トランスミッション、ブレーキなどに採用されているスーパーエンプラVictrexを出展した。

 特定部位の樹脂製部品として、フロントエンドモジュール、アンダーボディーシールド、フューエルフィラーパイプ、発泡HVACダクト(空調ダクト)などが出展された。

 樹脂成形技術としては、中空体を成形するダイ・スライド・インジェクション、曲管を成形する特殊ガスインジェクション(RFM)などが出展された。また、金属に表面処理を施すことにより、金属と樹脂を接合する技術が紹介された。

 東レと尾池工業が、金属調意匠を付与するフィルムを出展した。

 また、NTTデータエンジニアリングシステムズは、複雑な形状の製作ができる積層造形法を紹介。コイワイは、同上の装置を利用したフロントサスペンションなどを出展した。

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豊田合成:樹脂ボディーのEVを製作し、テスト走行中

 豊田合成は、トヨタVitzのフェンダーやフードを樹脂化し、EVに改造したコンセプトカー"TG EV"を開発し出展した。現在中部国際空港敷地内で、走行テストを実施している。今回の走行テスト結果を自動車メーカーに提出し、樹脂化を働きかけるとされている。

豊田合成:樹脂を多用したEVを試作・展示

メーカー 製品/技術 概要
豊田合成 樹脂を多用した
EV試作車
 豊田合成は、トヨタVitzベースで開発したコンバージョンEV "TG EV"を展示した。EV 1台を開発することにより、走行性能向上につながる部品発掘と提供を目指す。中部国際空港で実証走行(滑走路見学ツアーバスの先導車として利用)を行っている。
 内外装に樹脂を多用し、フェンダーとフードでそれぞれ40%軽量化、薄肉軽量バンパーで20%軽量化など、車両重量全体で通常ボディーのBセグメントEVと比べ30%低減した(その結果、必要な駆動力はほぼ半減する)。
資料:第2回クルマの軽量化技術展での展示、配布資料、以下同様
(注) 1. 2012年2月の報道によると、豊田合成は3年後にも樹脂製ボディーの採用が本格的に始まると見ている。ただしコストは、現時点では鋼板に比べ3~4割高くなるため、生産工程の効率化などでコスト削減に努める。
2. EVを試作することで、EVの理解が深まり、部品メーカーとして何を開発したらいいのかを明確にすることが目的とされている。またEVは、樹脂化を妨げる発熱が少ないこともあり、走行テスト用車両にEVを選んだ。

 

 



スーパーエンプラ"Victrex"

 英国のVictrex社は、スーパーエンプラVictrexの専業メーカー。ビクトレックスジャパンは、Victrex PEEKを中心に、金属代替可能な高機能樹脂を提供し、エンジン、トランスミッション、ブレーキなどに採用されている。

スーパーエンプラ"Victrex"

ビクトレックス
ジャパン
スーパーエンプラ
Victrex
 Victrex社は、英国の、スーパーエンプラVictrexのメーカー。中心の商品であるVictrex PEEKは、比強度が金属より大きい、防錆処理が省ける、複数部品の統合が可能、摺動(滑って動く)部材として相手材(金属)の表面処理が省けるなど、金属材料に対するメリットがある。機械加工を必要とせず精密な部品を射出成形でき、コスト削減にも貢献する。
 高温環境下で、これまで以上に機械的特性を発揮する"ST STG45"、さらに30%のガラス繊維で強化する"ST ST45GL30"グレード、炭素繊維強化コンパウンドHMFグレード(炭素繊維20~40%)も開発している。
 自動車用途で、エンジン、トランスミッション、ブレーキに使用されている多くの部品を展示した。一例としてトランスミッション部品では、シールリング、スラスト・ワッシャー、ベアリング、ベアリング・ケージなど、金属代替材料として採用されている。

 

 



樹脂化し、軽量化した部品とその技術

フロントエンドモジュールと多色成形樹脂製パノラマルーフ

 三菱ケミカルホールディングスグループは、ほとんどをグループ各社の樹脂で製造した、マツダAtenzaのフロントエンドモジュールを出展した。

 また、既にトヨタPrius αが搭載する樹脂製パノラマルーフの材料を供給しているが、新たに開発した多色成形のパノラマルーフを出展した。


マツダAtenzaのフロントエンドモジュール
マツダAtenzaのフロントエンドモジュール
(ほとんどが三菱ケミカルホールディングスグループの樹脂で構成)

 

フロントエンドモジュールと多色成形樹脂製パノラマルーフ

メーカー 製品/技術 概要
日本ポリプロ
(三菱ケミカル
ホールディングス
グループ)
フロントエンドの
モジュール化
 ガラス長繊維強化PP(商品名はファンクスター、ガラス長繊維40%を含む)を射出成形し、シュラウドパネル(注)を生産した。このシュラウドパネルを使用して、フロントエンドをモジュール化し、マツダAtenzaに供給している。
 「ファンクスター」は、日本ポリプロが独自開発した、ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂。従来の短繊維強化樹脂では、ガラス繊維は0.5mm程度まで粉砕されるが、ファンクスターではガラス繊維が、例えば10mmなどの長い状態で絡み合って存在する。このことから、高強度と高耐衝撃性を両立。また流動性が高く、射出成形が可能で、従来素材品に比べ部品点数も削減した。

(注)シュラウドは、ラジエーターとラジエーターの冷却ファンを覆うカバーを指し、またシュラウドを支えるシュラウドパネルは車体骨格の一部となっている。シュラウドパネルは、ラジエーターコアサポートとも呼ばれる。

三菱
エンジニアリング
プラスチックス
多色成形ポリ
カーボネート樹脂
 同社は、三菱ガス化学と三菱化学の合弁会社。トヨタPrius αが採用した樹脂製パノラマルーフの樹脂材料を開発した(ルーフ自体の生産は豊田自動織機)。従来のガラス製品比で8kg(40%)軽量化した。
 現行品は透明だが、新たに、多色成形が可能で自動車用ガラスと同等の日射遮断機能を持つポリカーボネート樹脂を開発した。また現行品はガラス製品より割高なので、取り付け構造(ブラケット、ステイなど)の一体化や、周辺部品(シェードなど)とのモジュール化などによるコストダウンを進めるとしている。

 

軽量化したアンダーボディーシールド

 スターライト工業とクオドラント・プラスチック・コンポジット・ジャパン(三菱ケミカルホールディングスグループ)は、軽量なアンダーボディーシールドを出展した。アンダーボディーシールドは、ボディー下の走行風を整流しエアロダイナミックスを改善して、低騒音化に貢献する。

軽量化したアンダーボディーシールド

メーカー 製品/技術 概要
スターライト
工業
アンダーボディー
シールド
 スターライト工業が提携するドイツのRoechling社は、PPをベースとするガラス繊維マット強化樹脂(GMT: Glassmat-reinforced thermoplastics、商品名はSeeberlite)を使用した、軽量かつ吸音性の高いアンダーボディーシールドを開発した。
 展示したBMW 5シリーズのSide undershield(床下左右のサイド部分をカバーする)の場合、Seeberlite製は1,230g、従来のPP製は1,780gで、550gの軽量化を達成。3 シリーズのSide undershieldは790gで350g軽量化を達成している。また7シリーズのEngine undershieldは870g。
クオドラント・
プラスチック・
コンポジット・
ジャパン
軽量アンダー
ボディシールド
 従来のPP製、GF(ガラス繊維強化)PP製、St(ステンレス)製に替わる、SymaLITE製のアンダーボディシールドを開発した。従来品比30%~40%軽量化を達成。トヨタ、BMW、Audi、ポルシェ他の自動車メーカーに納入している。
 SymaLITEは、熱可塑性樹脂(PP)とガラス長繊維で構成される超軽量なシート複合材。プラスチック繊維がガラス長繊維に均一に行き渡るため、優れた剛性を持つ。また連続気泡を持つため吸音性を付与でき、従来の吸音材を省ける。

 

樹脂製フューエルフィラーパイプ

 豊田合成とキョーラクは、樹脂製フューエルフィラーパイプを出展した。

 キョーラクは、パリソン・ハンドリングロボットでパリソンを誘導する、低コストの成形装置を開発した。


豊田合成が出展した、樹脂性フューエルフィラーパイプ
豊田合成が出展した、樹脂性フューエルフィラーパイプ
(写真手前は従来品)

 

樹脂製フューエルフィラーパイプ

メーカー 製品/技術 概要
豊田合成 樹脂製フューエル
フィラーパイプ
 給油口から燃料タンクまでのフューエルフィラーパイプについて、従来品は「鉄 + ゴムホース」だが、樹脂で一体化することにより、約50%の軽量化を実現し重量を1kg以下とした。日本と欧州で採用されている。
 開発品は、多層構造によりバリア性(透過防止)や耐久性を向上させ、ジャバラ構造により強度アップと耐衝撃性向上を図り、鉄パイプと同等の衝撃強度とゴムホースと同等の柔軟性を両立させた。
キョーラク 樹脂製フューエル
フィラーパイプ
 燃料タンクの樹脂化に続き、フューエルフィラーパイプの樹脂化が進んでいる。キョーラクは、独自設計による安価なフューエルフィラーパイプ成形装置を開発した(コストは既存メーカー品の1/3)。
 成形装置の上部からおりてくる溶融しチューブ状になった樹脂(パリソンと呼ぶ)を、パリソン・ハンドリングロボットが誘導し、一対の合わせ金型で挟み、内部に空気を吹き込んで、パリソンを膨らませて金型の内面に押し付け成形する(三次元多層ブロー成形と呼んでいる)。
 新たな三次元成形により、バリ(ロス材)発生率を、通常ブローの425%から37.5%に大幅削減した。

(注)フューエルフィラーパイプは、5重層(内層ポリマー/接着剤/バリア層/接着剤/外層ポリマー)の構造になっていて、バリア性(燃料が気化しパイプ外に漏れるのを防ぐ)と耐久性を強化している。

 

キョーラクの発泡ダクト、EA材、デッキボード

 キョーラクは、発泡HVACダクトを出展した。最近は、軽量化とともに断熱効果も注目されているとのこと。

 また軽量なデッキボード(荷室のカバー)を出展した。


キョーラクが出展した、発泡HVACダクト
キョーラクが出展した、発泡HVACダクト

 

発泡HVACダクトとEA材

メーカー 製品/技術 概要
キョーラク 発泡HVAC
ダクト
 発泡ブロー成形技術により、超軽量(通常のブロー成形ダクト比30~50%軽量化が可能)、高断熱のHVACダクトを開発し、断熱用ウレタン貼不要としコストを削減した。トヨタAlphard(天井ダクト)、ダイハツMove(インパネ内ダクト)、トヨタDyna/日野Dutro(インパネ内ダクト)などに採用されている。ダイハツの新型車がインパネ内ダクトに採用を予定。
 近年は、軽量化とともに、発泡による断熱効果も重視されているとのこと。発泡倍率が4.0倍などと高くなると、エアコンダクト経路の断熱性が高まりエアコンが早く効く効果がある。顧客ニーズに合わせた発泡倍率と板厚の設定が可能。
バンパー
アブソーバー
(EA材)
 歩行者保護のためのブロー成形EA材(Energy Absorptionの略、衝撃吸収の意)を出展。1250gのスチール製品と同等の特性を、600gの汎用PP材ブロー成形品で実現した。スズキの、EscudoとKizashiのバンパーアブソーバーに供給している。顧客ニーズに合わせた衝撃吸収性能の設定が可能。
軽量デッキボード(荷室のカバー)
メーカー 製品/技術 概要
キョーラク FLP Lite S  FLPは、Fabric Laminated Plastic(表皮一体成形)の略で、金型にあらかじめ布地をセットしておき、成形と同時に布地を製品に貼り付ける。
 FLP Lite Sは、上記に加え、薄肉ブロー成形により内部を中空にして軽量化し、さらに金型の特殊構造により二重壁内にリブ(中空体内部を補強する壁状の構造)を成形する。キョーラクの最軽量のカーゴフロアリッド(荷室のカバー)。
FLP Lite  FLPのプロセスは上記と共通。さらに金型内に、両側の樹脂基材とともにその内部にコア材をセットし、表皮、樹脂基材、コア材を一体化し成形する。従来のブロー工法ではできなかった、コア材の効果による高剛性と軽量化を実現した。

 

 



樹脂成形技術と関連技術

ダイ・スライド・インジェクションなどの樹脂成形技術

 第一樹脂工業とRP東プラは、ダイ・スライド・インジェクション工法を紹介した。

 RP東プラは、既に欧州自動車メーカーが採用している、樹脂製曲管を成形するRFM工法を提案した。


RP東プラ出展した、RFM工法によるクーラントパイプ
RP東プラ出展した、RFM工法によるクーラントパイプ(写真手前)

 

樹脂成形技術の紹介

メーカー 製品/技術 概要
第一樹脂工業 ダイ・スライド・
インジェクション
(DSI)
 中空体を射出成形するための成形技術。金型内で、半割り中空体の一次製品を別々に成形し、次に金型をスライドさせて向き合わせそれらの接合面に二次樹脂を射出して接合し、中空体を製作する。一体化により部品の削減ができ、軽量化や従来品比30~60%のコストダウンが可能。
 第一樹脂工業は、DSI成形した携帯電話、家電用部品を1,700万個以上出荷している。自動車用部品はこれからの事業とのこと。
RP東プラ ダイ・スライド・
インジェクション
(DSI)
 上記と同じ成形法。一次製品を金型から取り出して、溶着用の金型に再設置した上で一体化する方法(Welding in Mold)もある。どちらの方法も、大型製品に対応でき、部品のインサートが容易に行えるメリットがある。
RP東プラ 特殊ガス
インジェクション
RFM
 特殊なガス射出成形により曲管を形成する技術。ガスを使ってフローティングコア(金属または樹脂製)を移動させることにより、製品内部の樹脂を押し出してパイプを成形する。RFMは、「曲管射出成形 RP TOPLA Floating Core Molding」の略。管の長さは2.5mまで、内径は3~34mmで実績がある。
 欧州では、BMW、VWの冷却水配管用に実績がある。日本では、ヤマハの大型自動二輪車のクーラントパイプ(冷却水用パイプ)に採用され、従来の鉄パイプ比約60%軽量化し、約10%コストダウンした。
高中空体の成形
(H2M)
 金型を拡大しながら製品内部にガスを注入し、リブ(製品の上下をつなぐ壁状の部分)を作りながら高中空体を成形する「H2M」と呼ぶ技術を紹介した。

 

金属と樹脂の一体成形技術

 メックとテクノアソシエは、金属表面を処理することにより、金属と樹脂を一体成形する技術を提案した。一部金属を残しながら樹脂化する場合や、アンテナなどの金属とセットする場合に有効。

 

金属と樹脂の一体成形技術

メーカー 製品/技術 概要
メック 樹脂と金属の
接合技術
 メックは、樹脂と金属を接合する技術アマルファ(AMALPHA)を開発した。金属の表面を化学処理することで、樹脂との接合に最適な表面を形成し、接着剤を使用することなく、金属と樹脂を一体成形する。一部金属を残しながら樹脂化する場合などに最適。
 具体的には、金属をエッチング薬液に浸し、処理した金属を金型に入れて、そこへ樹脂を射出成形する。金属は、銅、アルミニウム、ステンレス、スチールなどで、樹脂はフェノールなどの熱硬化性樹脂、PPS、PAなどの熱可塑性樹脂で可能。(金型内に挿入した金属部品の周りに樹脂を注入して、金属と樹脂を一体化する射出成形をインサート成形と呼ぶ。)
テクノアソシエ 金属と樹脂の
一体成形技術
 金属表面に処理を行い、化学膜で覆い、樹脂をインサート成形する。金属側は、アルミ合金、銅、ステンレス、スチール等、樹脂側は、6ナイロン、ABS、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などで可能。接合部を封止でき防水機能を持たせることも可能。
 使用例としては、筐体(電気機器などを納めた箱、ケース)、電子機器ケース類、ヒートシンク(放熱器)、防水パッキンの代替など。樹脂成形体に、アンテナや金属端子などの金属がセットされるときなどに有効。

 

樹脂製ハードコートや、金属調加飾フィルム

 尾池工業は、ガラスや樹脂に貼り付け、省エネや耐擦傷性を強化するフィルムを出展した。

 東レと尾池工業は、金属調意匠を付与するフィルムを出展した。それぞれ反射機能とともに光を透過させる機能があり、内部に光源を設置することにより、固有の色彩を演出することができる。


東レが出展した、金属光沢調フィルム"ピカサス"
東レが出展した、金属光沢調フィルム"ピカサス"
(ダイハツ・タントExeカスタムのセンターコンソールに採用)

 

ウィンドウフィルムや樹脂グレージング用ハードコート

メーカー 製品/技術 概要
尾池工業 ウィンドウフィルム  自動車やビルの窓に貼り付け、省エネ、飛散防止などに寄与するフィルム。ニーズに応じて、高可視光透過と熱線カットの両立や、ハードコート(耐擦傷性向上)、帯電防止などの機能を付与することが可能。「金属光沢フィルム」と「透明熱線反射フィルム」を用意した。同社は住宅・ビルで実績が多いとのこと。
 車用途では、ウインドウガラスやルーフに貼り付け、不快な熱線や紫外線をカットし快適な車内環境実現に貢献する。
樹脂グレージング用
ハードコート
 耐擦傷性を飛躍的に向上させる、樹脂グレージング用の独自ハードコート技術を開発する。PC(ポリカーボネート)製グレージングの場合、耐摩耗性を従来PC比数倍以上に向上させることを目指し開発中。

 

金属光沢調加飾フィルム

メーカー 製品/技術 概要
尾池工業 蒸着フィルム
「エコモールド」
 金属調意匠を付与する蒸着フィルム「エコモールド」を展示。 金属調を演出するため採用した「蒸着」は、真空状態で、成膜材料である金属に、イオン化した高エネルギーのガス電子を衝突させて、金属の粒子をたたき出し(この技術は「スパッタリング技術」と呼ぶ)、フィルムの表面に付着させて薄膜を形成する。金属メッキ代替を目指す。
 車の内外装、アクセサリーに適用を目指す。また反射性とともに光透過性があり、下部に光源を置くと固有の色調が得られ、デザインのバリエーションを豊富にする効果がある。
東レ 金属光沢調
フィルムピカサス
 金属光沢調加飾フィルム「ピカサス」を開発した。高屈折率ポリマーと低屈折率ポリマーを重ね合わせ、可視光線領域を干渉反射させることで、金属を使わずに金属調を実現している。
 反射の機能とともに光を透過させる機能を持ち、下部に光源を置くことにより、通常の金属調とは異なる色調の演出が可能。
 ダイハツ「タントExeカスタム」のセンターコンソールとオーバーヘッドコンソール(製品自体はトヨタ紡織製)に使用されている。第2回軽量化技術展に出展したEVコンセプトカー"TEEWAVE" AR1にも採用した。(従来品は、樹脂成形体にめっき、塗装、金属蒸着をしているので、長い工程が必要だった)。

 

 



3Dデータによりダイレクトに製品を製作する粉末積層造形法

 NTTデータエンジニアリングシステムズは、プラスチック、金属、鋳砂などの粉末材料から、3Dデータによりダイレクトに製品を生産する装置(EOSINTとFORMIGA)および技術サービスを提供する。

 コイワイは、上記のシステムを活用した砂型製作と完成品を紹介した。従来の鋳造工法では製作が困難であった、中空部の板厚2mmのフロントサスペンションを出展した。


積層造形法による金属ストラクチャ構造サンプル
積層造形法による金属ストラクチャ構造サンプル
(金属材料をダイレクトに造形するEOSINT M工法による)

 

3Dデータにより自由に造形できる粉末積層造形法

メーカー 製品/技術 概要
NTTデータ
エンジニアリング
システムズ
粉末積層造形法  同社が販売する装置EOSINTとFORMIGAは、積層造形法(Additive fabrication)の一つであるレーザーシンタリング技術を採用(シンタリングは「焼結」の意)。プラスチック、金属、鋳砂などの粉末材料から、3Dデータによりダイレクトに部品や製造ツールを製作する。
 具体的には、3D CADなどで作成された3Dデータを、レイヤー(層、厚みは0.02~0.2mm)毎にスライスする。スライスしたデータに基づき、レーザーのエネルギーを上記の粉末材料に注入し、目的の形状をレイヤー単位で焼結あるいは溶融・固化させる。レイヤーが積み重なって立体を形成する。
 用途により、複数の機種を用意した。鋳砂を使用し砂型を造形するEOSINT S(積層厚0.2mm)、金属材料を使用し、製品や金型を造形するEOSINT M(0.02~0.08mm)、プラスチックを造形するEOSINT P(0.06mm~0.18mm)、微細な形状の再現性能に優れたFORMIGA P(0.1mm)などがある。
KOIWAI EOSINT Sを活用した
砂型と製品製作
 株式会社コイワイは量産・試作鋳造部品の製造販売会社。NTTデータエンジニアリングシステムズのEOSINT S(砂型を製作するシステム)を使用して、自動車メーカーや部品サプライヤーから試作・量産を請け負っている。
 EOSINT Sでは、木型や金型を用いず、3Dデータからダイレクトに砂型(主型および中子)を製作する。複雑な形状の砂型の一体造形が可能となり、一型あたりの砂型の点数を減らし(10パーツが1パーツになった例もある)、組立の精度が向上し、歩留まりも向上した。
 従来の鋳造工法では困難であった問題の多くが、EOSINT Sを使用することにより解決するとしている。例えば、薄肉形状で湯を流すと、肉が厚い方に流れて薄い方には流れなかった。展示したフロントサスペンションの中空部肉厚は2mmで、従来の鋳造では製造が困難であった。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>