第2回クルマの軽量化技術展取材報告(1):軽量素材関連

炭素繊維強化樹脂(CFRP)と軽量な金属による軽量化技術・部品の出展

2012/02/10

要 約

 以下は、2012年1月18~20日に開催された「第2回クルマの軽量化技術展」における、炭素繊維複合材料CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)、ホットプレス加工や精密打ち抜き加工製品、またアルミニウム、マグネシウムなど軽量な金属による軽量化技術・部品に関する出展の概要である。

 東レは、CFRPを多用し、車両重量を846kgに押さえた2シータEVコンセプト"TEEWAVE" AR1を出展した。三菱レイヨンは、現在進行しているCFRP中間基材の計画をパネルで紹介した。

 ワイエイシイデンコーは、ホットプレス技術を提案した。強度を高めて、板厚を薄くするなど軽量化に貢献する。ファインツール・ジャパンは、精密打ち抜き加工した製品を展示した。

 軽量金属では、アルミニウム、マグネシウム、チタン製品が紹介された。また、軽量化に貢献する、各種のボルト、ねじ類が出展された。

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東レ:EVコンセプトカー"TEEWAVE" AR1を出展

 東レは、CFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastic)を多用し、英国の著名なスーパーカー設計者Gordon Murray氏の協力を得て開発した、実際に公道走行が可能な2シータEVコンセプトカー"TEEWAVE"AR1を出展した。


東レが出展した、2シータEVコンセプトカー
東レが出展した、2シータEVコンセプトカー"TEEWAVE" AR1


東レEVコンセプトカーのCFRPモノコック構造
東レEVコンセプトカーのCFRPモノコック構造

 

東レ:次世代EVコンセプトカー"TEEWAVE" AR1を出展

車体基本構造  車体基本構造に、熱硬化性炭素繊維複合材料(CFRP)製の一体成形モノコックと、CFRP衝撃吸収体を採用し、軽量化と同時に優れた車体剛性と衝突安全性を実現した。またボンネットハッチやルーフには、1分程度のハイサイクル成形が可能な熱可塑性CFRPを適用した。
車両設計  車両の構造設計、意匠デザインには、英国で環境対応タウンカーの企画・設計を手がける「Gordon Murray Design(GMD、代表者は、元F1車体設計者であるGordon Murray氏)」を起用し、実際に公道を走行するための車両登録が可能な仕様を備えた。
(注) 1. 「 "TEEWAVE" AR1」は、Toray Eco Efficient Wave Advanced Roadster 1の略語。2シータオープンカー。2011年9月に一般公開し、2011年東京モーターショーにも出展した。
2. 炭素繊維は、比重(密度)が鉄の1/4、比強度(密度あたりの引張り強度)は鉄の10倍、比弾性率(密度あたりの引張り弾性率)は鉄の7倍と、軽くて強いのが特長。炭素繊維は、ダイヤモンドと、構造が少し異なるが組成は同じ。
3. 炭素繊維は、PAN原糸などの原料を、最高3,000℃の高温で何度も蒸し焼きにして、余分な成分を取り除き生産する。この工程が高いコストの大きな要因とのこと。
4. 熱硬化性樹脂は、加熱すると高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂。熱可塑性樹脂は、加熱することで柔らかくなり、目的の形に成形できる樹脂で、いったん固体化しても何度でも柔らかくなる。熱硬化性CFRPでは体積の50~60%が炭素繊維、後出の熱可塑性樹脂では20~30%が炭素繊維とのこと。
"TEEWAVE"AR1の適用材料・技術
モノコック構造  軽量かつ高剛性の、中空構造一体成形CFRPモノコックを採用した。成形時間は10分以下。重量は45kgで、スチール対比で53%軽量化した。部品点数 3点で構成され(スチール車では60点)、ねじり剛性はスチール製セダンと同等以上。
シート  CFRPとウルトラスエード製。超軽量、人工皮革により高意匠を実現。
クラッシュボックス  CFRP製エネルギー吸収体は、スチール比2.5倍のエネルギーを吸収する。
ルーフ、ハッチ  熱可塑CFRP製。PPがベースで、1分でスタンピング成形が可能。

資料:第2回軽量化展での展示・配布資料、以下同様


 東レは、出展した2シータをベースに試算した4シータ車の性能を、現在市販されているスチール製EVと比較した。1回の充電で走行できる距離を一定(185km)とした場合、車体重量が1,520kgから975kgと2/3に軽量化でき、またその分、モーターの最高出力、最大トルクが小さくて済むとしている。

スチールEVと"TEEWAVE"ベースEVの諸元比較

(航続距離を185kmとしての比較)
"TEEWAVE"AR1
(展示車)
"TEEWAVE"ベース
4シータ(試算車)
スチール製EV
(推定値)
車両諸元 寸法(mm) 3975×1766×1154 3990×1766×1480 4500×1780×1550
重量(うち電池重量)(kg) 846 (220) 975 (243) 1520 (300)
最高出力(kW/rpm) 47/3,000~6,000 47/3,000~6,000 80/2700~10,000
最大トルク(Nm/rpm) 180/0~2,000 180/0~2,000 280/0~2700
総電力量(kWh) 16 - -


 また東レは、熱可塑性樹脂を炭素繊維で強化した「トレカペレット」を紹介した。CFRPは、従来ほとんどが熱硬化性樹脂を使用してきたが、加工時間が短縮できる熱可塑性樹脂の研究・開発が進んでいる。トレカペレットは射出成形が可能。短繊維ペレットと長繊維ペレットがあり、短繊維ペレットは、ガラス繊維入りナイロンなどと殆ど同じ条件での成形が可能。

東レの、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(トレカペレット)

トレカペレット  ベースとする熱可塑性樹脂(PP、PC、ABS、他)を炭素繊維(20~30%含む)で強化した、ペレット状の射出成形材料。高い力学特性(高強度、高弾性、耐摩耗性など)と低比重で軽量化に寄与する。優れた電波シールド(電磁場が流れるのを制限する)特性により、電装部品ケースへの適用も期待できる。
 炭素繊維の長さにより、短繊維ペレットと長繊維ペレットとがある。短繊維ペレットは炭素繊維がランダムに配置され、ガラス繊維入りナイロンなどと同一条件での成形が可能。長繊維ペレットは、炭素繊維が同一方向に並び、高強度、高衝撃、低そりの特性がある。

 

 



三菱レイヨンのCFRPの計画

 三菱レイヨンは、既に開発・製品化を完了し、進行している熱硬化性CFRPの計画をパネルで紹介した。今後量産車にCFRPを使用するには、加工時間の短縮が重要とされており、三菱レイヨンは熱硬化に要する時間を1分に短縮するとしている。

三菱レイヨンの、CFRP中間基材生産計画

炭素繊維中間基材と
その成形技術
 自動車外板(対アルミ比40%軽量化)、内装、シート、構造部材を対象に、中量生産(月産3,000台まで)に対応できる熱硬化性CFRPハイサイクル樹脂(2~5分で硬化する)を開発するとともに、高圧プレス成形技術(プレス圧は2~10MPa)を基盤とした各種成形技術を提供している。三菱レイヨンは、「自動車産業の将来展望を変えうる」新技術だとしている。
 今後の課題として、自動車量産に使用するには、加工の高速化が不可欠であり、樹脂硬化に要する時間は現在既に2~5分の短時間を実現しているが、さらに1分に短縮することを目指す。

(注) 三菱レイヨンはBMWと提携し、BMWが2013年にも発売するEV "i3シリーズ"に使用するCFRPの原料である、ポリアクリロニトリル系炭素繊維プレカーサー(中間段階の物質)を供給する。2011年4月に広島県大竹事業所で量産を開始した。本展示は別の案件とのこと。

 

 



ホットプレスによる鋼板の強度アップや、精密打ち抜き加工部品

 自動車メーカー各社は、ハイテン材の使用を拡大し、またハイテン材をホットプレス(ホットスタンプ、ダイクエンチ工法とも呼ぶ)でさらに鋼板の強度を上げ、板厚を下げて軽量化を進めている。

 遠赤外線ヒーター装置のメーカー、ワイエイシイデンコーは、ホットプレスにより強度を上げる技術を提案した。また部分的に焼入れし、1枚板で強度1,800MPaの部分と635MPa程度の部分を持つ鋼板を製作する技術を開発し、第2世代のホットプレスと呼んでいる。自動車業界で顧客開拓を目指し既に成果を得ているとのこと。

 ファインツール・ジャパンは、ファインブランキング&フォーミングと呼ぶ精密打抜き加工(プレス加工の一つ)により製作した部品を、数多く展示・紹介した。


ワイエイシイデンコーの、角型遠赤外線予熱ヒーター
ワイエイシイデンコーの、角型遠赤外線予熱ヒーター


ワイエイシイデンコーの、丸型遠赤外線予熱ヒーター
ワイエイシイデンコーの、丸型遠赤外線予熱ヒーター
(スリット(切れ目、隙間)を設けた碍子を、ヒーターエレメント(覆いに包まれた発熱体)で編み上げたタイプ)


ファインツールが出展した精密加工部品
ファインツール・ジャパンが出展した精密加工部品


ファインツール製自動車シートリクライニング機構の軽量化例
ファインツール製自動車シートリクライニング機構の軽量化例

 

ホットプレスによる鋼板の強度アップや、精密打ち抜き加工

メーカー 製品/技術 概要
ワイエイシイ
デンコー
自動車部品加熱装置  遠赤外線加熱により、ハイテン鋼材を均一に最高1,000℃まで予熱することが可能。またダイクエンチ工法(注)に適用し、ハイテン鋼材を予熱、急冷することにより、硬さ、引張強度をさらに高めることができる。
第2世代ホットプレス  鋼板を部分的に焼き入れ(850度以上の加熱と急速冷却)し、1枚板で強度1,700~1,800MPaの部分と通常の635MPa程度の部分を作る。板厚を下げることが可能になり、軽量化に貢献する(従来工法では、強度の高い部分と低い部分を別々に製作し、溶接している)。
金型予熱ヒーター  予熱、放冷により、金型凹凸部の高精度な均一加熱が可能。金型表面を型打ちに適した温度に均一化することにより、鍛造初回打ちから良品製作を可能にした(これまでは、ガスバーナーで加熱している)。角型のインフラパネヒーター(パネルタイプで、最高温度1,000℃)と丸型のラジアントパッドヒーター(折り畳める構造で、金型を包むタイプ、最高温度900℃)などを揃えている。

(注)ダイクエンチは、ダイdie=型、クエンチquenching=焼入れ、からの造語。加熱した鋼板を、冷却した金型でプレスすることにより加工と同時に焼入れを行い、高強度プレス加工品を製作することができる。ホットプレス、ホットスタンプなどとも呼ぶ。

ファインツール
・ジャパン
精密打ち抜き
加工製品
 ファインツールはスイスに本社を置く、「ファインブランキング&フォーミング」と呼ぶ精密打抜き加工のメーカー。一般のプレスは、(1)上部からの力のみにより加工するが、この工法では、(2)被加工材を押え固定し、(3)打抜かれる部位を逆圧(下から力を加える)でホールドし、この3つの圧力が連携しながら作用する。複雑かつ多機能な部品を後工程なしに(即組付け可能な状態で)量産することが可能。鍛造品に比べ加工精度が高く、仕上げ加工は不要。
 部品設計、部品材料、金型設計、金型の材質、ファインブランキングプレス機、加工油の6要素が相互に作用して働き、精度を高める。
 一例として、最新のATやデュアルクラッチトランスミッションには、40種類余りの本工法による部品が採用されている。またMT用シンクロナイザー部品、シートアジャスター部品などにも使われている。

 

 



アルミニウム、マグネシウム、チタン部品による軽量化

 アルミニウム、マグネシウム、チタンなど軽量な金属による軽量化の提案が出展された。比重は、鉄7.8、チタン4.5、アルミニウム2.7、マグネシウム1.7で、マグネシウムが構造材として使用される実用金属で最も軽い。

 京信はアルミニウム製の車載照明機器用ヒートシンクを出展、STグループ(三輝ブラスト)はマグネシウム製キーロックを展示した。森村商事は、提携するMagontec社製マグネシウム製品、スロベニアAkrapovic社のチタン製排気部品を紹介した。


マグネシウム製ハンドルキーロック(STグループの出展)
マグネシウム製ハンドルキーロック(STグループの出展)


Chevrolet Corvetteが搭載するマグネシウム製エンジン架台(森村商事の出展)
Chevrolet Corvetteが搭載するマグネシウム製エンジン架台(森村商事の出展)


Volvoが採用したマグネシウム製インストルメントパネル(森村商事の出展)
Volvoが採用したマグネシウム製インストルメントパネル(森村商事の出展)


BMW車が搭載する、Akrapovic社のチタン製排気部品(森村商事の出展)
BMW車が搭載する、Akrapovic社のチタン製排気部品(森村商事の出展)

 

アルミニウム部品による軽量化

メーカー 製品/技術 概要
京信 アルミ部品  京信は、アルミニウム材料部品のダイカストメーカー。自動車部品では、高熱伝導材料を含むアルミダイカスト製品を使用した、照明機器のヒートシンク(放熱器)、ECUケース、センサーケースなどを出展した。
テクノアソシエ 高強度アルミ押出
材料TAL400
 住友軽金属工業(株)、(株)住軽テクノが開発した、高強度高耐食性アルミ新合金の押出材料。ハガネと同等の引張り強度を持ち、高強度を必要とする部材の軽量化に最適。中空など複雑形状への自由な成形も可能。熱間鍛造で製品化し、鉄やA6061(高耐食性アルミ合金)からの代替を見込む。

マグネシウム部品

メーカー 製品/技術 概要
森村商事 マグネシウム製品  森村商事は、Magontec Group(本社オーストラリア、生産拠点はドイツ、中国)と提携し、開発から合弁生産まで一貫したマグネシウム事業を展開している。Magontec製の、Chevrolet Corvetteが搭載するエンジン架台やVolvo車に採用されたインストルメントパネルなどを展示した。
STグループ
三輝ブラスト
マグネシウム製品   三輝ブラストは、マグネシウム成形メーカー。業務用ビデオカメラ部品、ノートパソコン部品、二輪車用外装・カバー類など幅広く提供している。自動車部品では内装、キーロック、イモビライザーカバー、オイルカバーに納入実績がある。マグネシウムの自動車部品への今後の普及は、自動車メーカーの方針次第とのこと。
丸ヱム製作所 マグネシウム/
アルミニウム
合金ねじ
 丸ヱム製作所は、ねじメーカー。軽量かつ高強度のマグネシウム合金ねじを開発した。マグネシウム構造物にはマグネシウム合金ねじが最適との提案。通常のステンレスねじを使用している場合も多いが、電食、熱応力の違い、ゆるみなどの問題が発生する可能性がある。同様の趣旨で、アルミニウム合金ねじも提案。

(注)森村商事は、オーストラリアのMagontec Group、英国のMagnesium Elektron社と提携している。

チタン製排気部品

メーカー 製品/技術 概要
森村商事 排気部品  スロベニアに本社を置く、世界No.1マフラーメーカーAKRAPOVIC社によるチタン製排気部品(鋳造品)を展示した。同社製品は二輪車用が中心で、レースで蓄積した排気系部品のノウハウを織り込んでいる。BMW、Porsche等欧州自動車メーカーにも納入している。

(注)チタンの比重は鉄の約半分で、鉄以上の強度がある。アルミニウム対比で60%重いが2倍の強度がある。

 

 



ボルト、ねじ類の軽量化

 ボルト、ねじ、ホースをとめるバンド、セルフタッピンねじなどが出展された。一つ一つの重量は大きくないが、1台に数多く使用されるので、軽量化に貢献する。

 セルフタッピンねじは、事前にタッピング(めねじ加工)をせず、自らめねじ加工をしながら締結するねじで、車両1台あたり2,034円の費用削減になるとの試算もある。

 なおこれらの分野は、オエティカ社はスイスのメーカー、タッピンねじはドイツEJOT社のライセンスによるなど、海外メーカー系の技術が多い。


テクノアソシエ社が出展した、低頭ボルト
テクノアソシエ社が出展した、低頭ボルト
(写真のそれぞれ右側が、小型化、軽量化された低頭ボルト)


ドライブシャフトに使用されたオエティカ社の締め具
ドライブシャフトに使用されたオエティカ社の締め具
(写真の矢印の先の部品)

 

ホースをとめるバンドや、ボルト・ねじなどによる軽量化

メーカー 製品/技術 概要
テクノアソシエ 低頭ボルトとソケット
(LH-SS低頭)
 ボルトの頭部の高さを、通常の六角フランジ(締めて固定するのに使用する出っ張った部分)より30~40%低くし、径は20%小さくして軽量化に貢献する。同時に、それに合う小型化したソケット(レンチ、スパナ)を開発した。従来より締付け強度も向上する。
 導入するには、ソケット等工具が変わるため、一定の範囲をまとめて設計や生産工程を変更することが必要で、この点が普及のネックになるとのこと。
大同興業 フロードリル  フロードリルは、オランダに本社のあるFlowdrill社の技術。タングステン工具を使用し、華氏 1,200~1,400度の熱間ドリルで、鉄板等に穴を形成するのと同時に、切削した材料を熱してブッシュ(開けた穴の下部に形成される円柱状の壁)を作る。
 ブッシュの深さは元板の厚みの3倍になり、ブッシュにねじ切り加工ができるのが最大の特長。十分な強度があり、従来のブッシュ溶接などの工程が省ける。軟鋼、ステンレス、アルミニウム、銅、しんちゅうなどに可能。
オエティカ ホースをとめる
バンド
 オエティカ社は、スイスに本社を置き、ホースやチューブ管のコネクティング技術を提供する。ホースをとめるバンド(1枚もののリングとクランプ(締め具))が車の各部に使用されている。360度均一の密封性能に優れ、取り付けも容易。大部分の製品は、ステンレス鋼を標準素材として使用している。
 自動車部品では、欧米自動車メーカーのドライブシャフト、オイル・ライン系統、エアバッグシステムなどに数多く使用されている。日本自動車メーカーでは、トヨタが中国向け車に採用しているとのこと。
ワンタッチで
とめられるパイプ
 エンジンの最終組立工程で、作業員の手で差し込むだけで固定されるパイプを開発し、欧州の自動車メーカーに採用された。最近のエンジンルームはスペースが狭く、工具を使えない場合があるため。
ナテック セルフタッピンねじ
(注)
 セルフタッピンねじは、めねじのない箇所に、自らめねじ加工をしながら締結するねじを言う。タップ加工(めねじ加工)の手間と費用が省かれ、また長期的に安定した締結が可能。
 軽合金素材に締結する場合に使用するAltracs Plus(オイルポンプなどに使用されている、ドイツEJOT社のライセンス商品)、樹脂材料に使用するDelta PT(EJOT社商品)、高張力鋼板に対応するG.T.Oタッピンねじ((株)ジー・ティー・オノエの商品)などを扱っている。
アルミ合金製ねじ  アルミ合金製セルフタッピンねじ。アルミ構造物にはアルミ製ねじが最適であり、電食(錆び)など材質が異なるねじを使用することから発生する問題を解決する。加工技術の進歩から、鉄に劣らない強度と耐力が可能になった。そのままリサイクルも可能。さらにアルミ材へのタップ加工を省いた。
ヤマシナ タッピンねじ(注)  金属用ねじ、樹脂用ねじ、多機能部品を取り扱うヤマシナは、EJOT社と提携し、樹脂用タッピンねじのPT、Delta PTなどのタッピンねじを扱っている。
TAPTITE 2000  現在は、CONTI(スイス)/REMINC(米国)社の新しいタッピング製品TAPTITE 2000の普及に注力している。画期的な新しいねじ山構造を実現し、ねじ山の噛み合いが深い大径品への適用を可能にした。Mercedes-Benz、BMW、Volkswagen、Ford、GMなど多くの欧米自動車メーカーが採用しているとのこと。
 ヤマシナによると、欧州自動車メーカーでは、締結部品使用数を1,800箇所/台とし、その1/3をタッピング化すると、約18ユーロ=2,034円/台の費用削減が図れる、と試算している。 

(注)従来の締結方式では、対象部品の成形、ドリル加工、タップ(めねじ)加工、切粉清掃、ねじ締結の5段階の作業が必要。セルフタッピンねじは、成形から直ちに締結できる。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>