CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2014年9月

2014年8月は乗用EVの減産により新エネルギー車生産が減少、上海汽車のFCV生産は上海万博後初

2014/10/27

中国国内生産 (概要)

このレポートは北京CATARC科学技術センター*1; のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。



図1 電動車の車種別生産台数 (2014年1~8月)

  中国の電動車生産台数は2014年6月に7,000台を超えたが、7月と8月は2ヵ月連続で減少し、8月は前月比11.3%減の6,175台となった。内訳はHVが603台、EVとPHVが5,572台。PHVは前月比で30%超の増加となったが、EVは30%超の減少となった。8月の生産台数を車種別に見ると、乗用車は4,923台で79.7%、バスは1,030台で16.7%、特殊車両は222台で2.6%を占めた。2014年1~8月の生産台数を見ると、電動車市場における乗用EVおよびPHVの比率は約70%を占めている。








中国国内生産

乗用EV

 2014年8月の乗用EV生産台数は前月比30%超減少し、2,726台となった。生産減少の主な要因は、9月から実施される新エネルギー車に対する取得税免除政策により7月と8月に買い控えが発生しているためである。康迪(Kandi) K10(中国名:小電?)は7月に続き生産台数が最も多く、2014年1~8月の生産台数は9,000台近くとなった。

 航続距離別に見ると、航続距離150~200kmの乗用EVのモデル数および生産台数が最も多い (表1を参照)。主要モデルは北京汽車 E150、華晨BMW 之諾(Zinoro) 1E、啓辰(Venucia) 晨風(e30)、江淮汽車 iEV4などで、用途はタクシーと個人利用が主である。今後、航続距離150~200kmの乗用EVは販売競争が激化すると考えられる。次に多いのは低価格なEVが多い航続距離80~100kmである。航続距離200km超のEVはモデル数が少ない上に販売価格が高額なため、個人需要が低く、主にタクシーとして利用されている。BYDとDaimlerの合弁会社が販売する騰勢(Denza)は航続距離が200km超だが、個人向け販売を拡大していく方針である。

航続距離 (km)7月生産台数 (台)比率 (%)8月生産台数 (台)比率 (%)主要用途
300超 79 1.96 29 1.06 タクシー
近距離バス
200~300 1 0.02 0 0 個人利用
150~200 2,670 66.2 2,041 74.9 タクシー
個人利用
100~150 104 2.6 13 0.48 個人利用
80~100 1,181 29.3 643 23.59 個人利用

表1.乗用EVの航続距離別生産台数と比率 (2014年7月/8月)

乗用PHV

 乗用PHVの生産では、BYD 秦(Qin)の生産が最も多い。秦は2013年の発売以降、受注台数は拡大基調にある。2014年9月から実施される新エネルギー車の取得税減免政策は、秦の生産拡大を後押ししている。BYDは秦の月間生産能力を40%増の1,400台に拡大した。

乗用HV

 乗用HVの生産は日系合弁メーカーが大半を占めている。中国メーカーは補助金の対象でない乗用HVをほとんど生産していない。しかし、乗用車の燃費規制を達成するため、低コストで搭載可能なスタート・ストップ技術を標準装備したモデルを拡充している。そのため、中国メーカーがマイルドHVやフルHVの生産を拡大する可能性は非常に低い。

EVバス

 2014年8月のEVバス生産台数は前月比33%減の167台となった。8月に生産されたEVバスは21モデルで、うち9モデルをBYDが生産している。また21モデル中、航続距離150km超のEVバスは17モデルある。EVバスは主にシティバスとして利用されている。過去5年間のシティバスの走行試験によると、航続距離が短いと利用率が下がり、運営効率が悪化することが問題視されている。

PHVバス

 2014年8月のPHVバス生産台数は863台で、前月比で30%超増加した。メーカー別に見ると、2014年1~8月の累計生産台数の上位3社は鄭州宇通(Yutong)、蘇州金竜(King Long)、中通客車(Zhongtong Bus)で、3社で62%を占めている。

電動車輸入

 乗用HVの輸入は自動車メーカー7社が17モデルを輸入しており、2014年8月の輸入台数は1,801台と2ヵ月連続で減少、2,000台を下回った。2014年8月の乗用EV輸入はTesla MotorsのModel Sのみで、台数は435台、2014年8月までの累計輸入台数は2,288台となった。Model Sの中国での受注台数は6,000台を超えているため、輸入台数が受注台数に追いついていない状態である。一方、BMW i3は2014年8月に中国へ輸入されなかった。

 


図2 乗用EV/PHVとBYD秦(Qin)の生産台数 (2014年1~8月)


図3. バスのEV/PHV/HV生産台数 (2014年1月~8月)



国内動向

中国で燃料電池車 (FCV)の走行試験を再開

 上海汽車は2014年9月3日にFCVの走行試験を開始した。3台の乗用FCVを利用し、上海~北京、杭州~成都の2ルートで走行試験を行う。これは2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博でFCVを利用して以来の走行試験である。上海汽車の先進技術研究部門 (前瞻技術研究部)の部長黄晨東氏は、2015年に栄威(Roewe)750ベースのFCV 80台を北京、上海、大連、仏山の4都市に投入することを明らかにした。

中国科学院は15Ahのリチウム硫黄電池を開発、エネルギー密度は430 Wh/kg以上

 中国科学院大連化学物理研究所は2014年8月、高いエネルギー密度の充電式リチウムイオン電池として、定格容量が15Ahのリチウム硫黄電池の開発に成功し、少量生産体制を整備したと発表した。試験結果によると、同電池のエネルギー密度は430 Wh/kg以上。2014年8月まではSion Power社が開発したリチウム硫黄電池が最も高い密度であったが、中国科学院大連化学物理研究所はその密度を超えた。

 リチウム硫黄電池は新エネルギー車用電池として開発が進められ、低コストで且つ、リサイクル可能な高密度の充電式電池である。現在、リチウム硫黄電池のエネルギー密度は中国外における技術レベルが約350Wh/kg。Sion Power社は2016年までにリチウム硫黄電池のエネルギー密度を400~600Wh/kgに拡大し、同電池を採用した新エネルギー車の航続距離を500km超とする計画である。

北京市は500台のEVタクシーを追加投入、1,000ヵ所の急速充電スタンドを建設

 北京市政府は、2014年に1,300台のEVタクシーを追加投入する計画を明らかにした。充電施設を拡充し、都市部のEVタクシーの充電インフラを整備していく。2014年末までに1,000ヵ所の急速充電スタンドを設置し、北京市五環路内の急速充電ネットワークを構築する。

天津初の新エネルギー車向け充電施設の建設に着工

 2014年8月、天津市政府は天津市浜海新区に天津初の新エネルギー車用の充電施設の建設に着工し、2014年末までに完成する見通しである。充電施設が完成すると、1日当たり72台のシティバスと84台の乗用EVの充電が可能となる。充電施設は北塘京津高速公路 (北京市と天津市を繋ぐ高速道路)の入り口に位置し、敷地面積は2,683平方メートル、施設の電力容量は3760kVA。

BYDは新エネルギー車のフルラインアップを公開

 BYD総裁の王伝福氏は株主総会で、「BYDは全面的な都市電動化ソリューションを提供する。」と発表した。既に投入している新エネルギーのシティバス、タクシーの他に、長距離バス、トラック、特殊車両等、様々な領域の新エネルギー車を投入していく。新エネルギー車の2014年1~5月の販売台数は6,000台超となり、うちバスの受注台数は約5,000台である。王氏は2014年内に4,000台の新エネルギーバスを出荷し、2014年の新エネルギー車出荷台数は1万台を超えるとの見通しを示している。

2014年1~6月、上海市の新エネルギー車の販売は1,000台超

 上海市政府は、2014年1~6月の上海における新エネルギー車販売は1,000台を超え、2013年度通年の581台を大幅に上回ったと発表した。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。北京CATARC科学技術センター(CATARC自動車産業発展研究所)はCATARCの北京事務所で、中国自動車産業推進政策及び方針の研究、自動車業界標準及び技術法規の策定を行う。