CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2014年8月

2014年7月の乗用EV生産は引き続き好調、中国では新たなカーシェアリングシステムを模索

2014/10/01

中国国内生産

このレポートは北京CATARC科学技術センター*1のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。今後、毎月1回リリースする予定です。



図1  省/新エネルギー車の車種別生産台数(2014年1~7月)

 中国の省/新エネルギー車(HV/PHV/EV)生産台数は、2014年6月に7,000台を超えたが、7月は6,962台の微減となった。内訳はPHVとEVが6,147台で88.3%、HVは815台で11.7%を占めた。車種別に見ると、乗用車は前月比9.0%増の5,871台(うちPHVとEVは5,056台、HVは815台)、バスと特殊車両はPHVとEVのみでそれぞれ909台、182台であった。乗用車が84.3%、バスが13.1%、特殊車両が2.6%を占めている。EVの乗用車は前年同月比で7.3倍増、前月比で6.8%増となったが、EVのバスは前月比 75.1%減となった。2014年1~7月の生産台数を見ると、PHV とEVの乗用車比率が増加傾向にある。

乗用EV

 乗用EVの2014年7月の生産台数は前月比6.8%増の4,035台であった。6月には自動車メーカー12社が23モデルを生産していたが、7月は15モデルに減少した。この結果から、自動車メーカーが需要の高いモデルの生産拡大に注力しているのが明白である。康迪(Kandi)のK10(中国名:小电跑)は生産台数が最も多く、2014年1~7月の生産台数は7,000台を超えた。

乗用PHV

 乗用PHVは、BYD 秦(Qin)の生産が最も多く、他モデルの生産は落ち込んでいる。中国では2014年1~7月に3モデルの乗用PHVが投入され、生産台数は拡大傾向にあったが、6月からは伸び悩んでいる(図2を参照)。秦(Qin)は2012年末に発売以降、乗用PHV市場をリードしており、競合モデルがない状態である。

乗用HV

 乗用HVの生産は前月比で横ばいの状態が続いている。メーカー別では日系メーカーの生産が大半を占めており、中国メーカーの生産はほとんどない。背景としては、中国政府による「EV推進戦略」の対象にHVが含まれていないことが要因と考えられる(PHVは含まれる)。

EVバス

 EVバスの2014年7月の生産台数は250台と、前月比で75.1%減の大幅減となった。EVバスの市場はまだ小さく、政府からの補助金に大きく依存している状態である。中国政府は補助金によりEVバスの生産拡大を図っているが、2014年7月現在で21モデルしか生産されておらず、生産規模もまだ小さい状態である。その要因の1つとしては、中国の大手バスメーカー宇通(Yutong)、中通(Zhongtong)、恒通(Hengtong)がEVバスを生産していないことが挙げられる。

PHVバス

 PHVバスの生産台数は7月に前月比微増の659台となった。ガソリンエンジン搭載のPHVバス比率は61%を占めている。PHVバスはEVバスに比べ、電池の生産コストが低く、充電施設への投資が少ないので、宇通(Yutong)、金竜(Jinlong)、恒通(Hengtong)、中通(Zhongtong)等の大手バスメーカーが生産している。PHVバスの電池はリン酸鉄リチウムイオン電池と大容量キャパシターを組み合わせたものが最も利用されており、その次にマンガン酸リチウムイオン電池、チタン酸リチウムイオンと続く。

HV輸入

 HVの輸入は、自動車メーカー10社が20モデルを輸入しており、7月の輸入台数は2,399台であった。乗用EVはTesla MotorsとBMWの2社が輸入している。Tesla MotorsのModel Sは7月に1,849台を輸入し、過去最高を記録した。

 


図2 乗用PHVとBYD 秦(Qin)の生産台数(2014年1~7月)


図3 バスのHV/PHV/EV生産台数(2014年1~7月)



国内動向

中国式カーシェアリング

 康迪(Kandi)、众泰(Zotye Auto)等の中規模EVメーカーは、カーシェアリング会社が運営するカーシェアリングとは異なる「中国式カーシェアリング」と呼ばれる新しいシステムを模索している。「中国式カーシェアリング」は充電施設の建設および運営を自動車メーカーが中心となって行う。政府からの補助金が自動車メーカーに支給されれば、充電施設の充実にも繋がるため、利用者にも利点があるシステムである。「中国式カーシェアリング」のターゲット層は車を保有せずに利用したい人で、利用価格を重視する人が多いと言われている。将来的には、ユーザー数増加による利用価格の引き下げに加え、同システムで得た大量のユーザー情報をマーケティングに活用することも視野にいれている。

北京の電動車登録台数:上半期が600台

 北京では2014年2月より電動車のナンバープレート発行を抽選方式にした。新エネルギー車に適用する自動車を対象に年に3回行われ、計9,382枚(うち、業者向けが4,530枚、個人向けが4,852枚)を発行した。しかし、6月末までに登録された電動車は600台なので、発行された枚数の6.4%しかない。

 北京では新エネルギー車の取得税減免政策が2014年9月に実行される予定である。2月に当選したナンバープレートの有効期限は6ヶ月後の8月26日なので、有効期限内に自動車を買うと、9月の優遇政策が受けられなくなる。そのため、2月の当選者から不満が出ている。この問題を解決するため、北京市科学技術委員会は、2月の当選者に限って有効期限の延長を同市の交通委員会と検討している。

上海市新エネルギー車:無料ナンバープレートを2017枚発行

 上海市は新エネルギー車の個人購入を促進するため、2012年末に2万の無料ナンバープレートの発行を承認した。2014年上半期の個人向け新エネルギー車の販売・ナンバープレートの無料発行量は1,436台で、2013年の581台を上回った。上海市は2014年7月末までに計2,017個の無料ナンバープレートを発行した。

武漢のEVリースを試験運営

武漢の企業数社はEVのリース業務を試験的に行っている。身分証明書、運転免許証を持っている人は、保証金を支払えば、EVを利用することができる。リースの期間は年または時間単位で提供される。道路・橋梁・トンネルの通行料、市内への乗り入れ制限、充電スタンドの使用料等の免除が適用される模様。

第一汽車集団、自主ブランド「欧朗」をラインオフ

 2014年7月15日、第一汽車集団は欧朗EVをラインオフした。第一汽車集団のEVプロジェクトは2013年1月に立ち上げ、少量生産を開始、2014年末までに市場投入される予定である。ベース価格は21.98万元。自主開発のモーター、バッテリーを搭載する。0 - 50km/h加速は4.5秒、最高速度は140km/h。バッテリーの容量は 21kWh。航続距離は150km、充電時間は急速充電で48分、普通充電で6時間。サイクル寿命は5,000回。

2014年10月に北京で路上充電用救援車を投入

 北汽新能源汽車の王水利CMO(Chief Marketing Officer)は、充電インフラ整備を推進するため、北京汽車が中国石油化工と提携し、北京市郊外(三環路以外)の東西南北4方向にガソリンスタンドと一定の距離をおいて、充電スタンドを設置する。市内(三環路以内)にはバッテリー切れのEVを充電する充電救援車を2014年10月に投入する。

北京汽車は「楽視網」と新エネルギー車を共同開発

 北汽集団の徐和誼会長と中国動画配信サービス大手の「楽視網(letv.com)」のCEO賈躍亭氏は、米国のシリコンバレーで新エネルギー車についての協議を行った。徐和誼会長は2014年4月、「自動車メーカーは将来、インターネット企業にOEM供給するだろう。」と発言し、さらに「楽視網」に供給する可能性を示した。また、「新エネルギー車は伝統的な自動車産業の方式に従ってはいけない。新しい方式で対応すべきである。」とも述べた。

Tesla Motorsは充電設備の建設に注力

 Tesla Motorsは2015年末までに上海の充電スポットを5,000ヵ所に増大する他、成都や広州、重慶にも急速充電スタンド「スーパーチャージャー」を設置すると発表した。Tesla Motorsは充電インフラの整備を推進しており、2014年7月時点で、スーパーチャージャーは7ヵ所(北京2、上海3、杭州1、深圳1)、充電スポットは全国21都市に100ヵ所設置している。

Tesla Motors車は杭州にナンバープレートの抽選を免除

 Tesla Motors車は上海で無料ナンバープレートを取得後、杭州でもナンバープレートの抽選が免除される優遇策の対象となった。

BMWは中国で電動車及びIoV (Internet of Vehicles )に研究開発を集中

 BMWグループは7月9日、中国研究開発事業の進捗を明らかにした。BMWグループ取締役のHerbert Diess氏は、中国の研究開発事業は新モデルの研究開発だけでなく、電動車及びIoV (Internet of Vehicles)の開発にも注力している。中国での研究開発活動はBMWグループのグローバル研究開発体制の一部となっている。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。北京CATARC科学技術センター(CATARC自動車産業発展研究所)はCATARCの北京事務所で、中国自動車産業推進政策及び方針の研究、自動車業界標準及び技術法規の策定を行う。