分析レポート エアコン (欧州・北米市場編)
電動車化対応に伴うエアコンシステムの構造変更
2025/12/22
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はじめに
自動車用エアコンは、米国市場においては1960年代からカークーラーとして搭載され、1980年代に入り拡大普及するようになった。一方の欧州市場では一部を除き比較的低温&低湿度であった背景から高級車を除けばエアコンの普及は遅かったが、2000年代に入り欧州での温暖化が問題となり広く普及するようになってきた経緯があり、今や自動車には必要不可欠な装備のひとつとなっている。
本編の対象部品としては、エアコンシステムのほかコンプレッサー(電動式含む)、コンデンサー、ヒーターコア(PTC式含む)、ブロワーファン、及び電動車用チラーを取り上げる。
エアコンのシステム構成と原理・機能
- エアコンスイッチをONにすると、コンプレッサーが作動する。
コンプレッサーは低温低圧の冷媒ガスを圧縮し、高温高圧の半液体状冷媒へ変化させる。
なお、エンジン車においてコンプレッサーはエンジンの動力をベルトで伝えて動いたが、ハイブリッド車やEV等の電動車用は電動式である。 - コンプレッサーで圧縮された冷媒が次に送られるのはコンデンサーである。
ここで高温高圧になっている冷媒が、細い管が何列も配置されたコンデンサー内を通る際に熱を放出し、低温高圧の液状冷媒へと変化する。
コンデンサーは、熱伝導率の優れたアルミ製で且つ数多くのフィンが付き、冷却性能を向上させている。 - 次のレシーバードライヤーにて、コンデンサーで冷やされた低温高圧の液状冷媒が一時蓄えられる。この部位は「レシーバー」・「レシーバータンク」或いは「リキッドタンク」などの名称でも呼ばれている。なお、レシーバードライヤーには内部の余分な水分や不純物を取り除くフィルターの役割もある。
- レシーバードライヤーから送られた高圧冷媒を一気に膨張させ霧状に噴霧するのが、エバポレーターの入口に装着するエキスパンションバルブである。
冷媒はエキスパンションバルブを通過する際の膨張により、熱エネルギーが奪われて温度が下がる。 - エキスパンションバルブで気化し冷却された冷媒はエバポレーターの周囲の空気の熱も奪う。この時発生した冷気をブロアファンにより送風することで車内は冷却される。エバポレーターは効率的に熱を奪うために、コンデンサーと同じようにフィンが付いたアルミ製である。
暖房の場合は熱されたエンジン冷却水を、エバポレーターとは別の熱交換器であるヒーターコアに別回路で循環させ、その際発生する温風をブロアファンにて室内に送風する。
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