分析レポート エアバッグ (日本市場編)
自動運転に対応する次世代安全システムの開発
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Ⅰ. はじめに
エアバッグは、日本人の小堀保三郎氏により航空機向け乗員保護装置として1963年に考案され、その後米イートン社が1967年に自動車用乗員保護装置への応用を考案した。1973年に米GMがオプションとしてエアバッグを初採用し、日本では1985年にホンダレジェンドの運転席で初採用され、その後、運転席だけでなく助手席へも搭載が広がった。しかし1990年代には低速衝突時にエアバッグに近接した乗員がエアバッグの展開によって死傷する事故が多発し、エアバッグの加害性を低下させることが法規で要求されるようになった。また、作動前のインフレーターガス発生剤として使われたアジ化ナトリウムは有毒であったため(作動後は無害)、硝酸グアニジン等無害なガス発生剤への切り替えが必要となった。
当初、エアバッグはシートベルトを着用しない乗員のための保護装置として採用されたが、シートベルトと併用することでより乗員保護効果が大きくなるとして、米国市場だけでなく欧州・日本を含む世界の市場にその採用が広がり、今や日米欧の先進国のみならず中国等主要国の市場でほとんどのモデルに標準装備されるまでになっている。新興国における装備拡大の例として、インドでは2019年7月以降生産される全ての乗用車に運転席エアバッグの装備が、また2022年1月以降生産される全ての乗用車に助手席エアバッグの装備が義務付けられることを運輸当局が発表し、さらにサイドエアバッグ、カーテンエアバッグを含め計6個のエアバッグ装備を2023年10月以降乗用車に義務付ける法案が提出されていたが、現在この提案は取り下げられた状態となっている。一方で、2023年10月にインドの車両安全評価制度「バーラトNCAP(インド版自動車アセスメント)」が新たに導入されたことにより、義務化の動きに拘らず、インドにおけるエアバッグの需要は拡大している。
インドにおけるエアバッグ需要拡大と、それに伴うエアバッグ構成部品の需要の高まりを受けて、インド国内でのエアバッグモジュール、およびインフレーター、クッション等主要構成部品の現地生産が加速している。この動きを受けて、エアバッグクッション用の自動縫製機やレーザー裁断機等、関連製造設備の海外での売上が伸びており、周辺機器にも需要拡大が波及している。
本稿で取り扱う部品はインフレーターを組み込んだ各種エアバッグモジュール6種(運転席/助手席/サイド/カーテン/ニー/歩行者保護)とし、制御ECU、インフレーター(ガス発生装置)、クッション(袋体)、クッション基布(生地)についても触れる。
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