インド Auto Expo 2023 (1):EV・乗用車

インドの自動車産業は電動モビリティとSUVセグメントに向けて飛躍

2023/02/06

要約

 インドで最も権威のある最大の自動車展示会「Auto Expo 2023 - The Motor Show」(インドオートエキスポ2023)が、2023年1月11日から1月18日までグレーター・ノイダのエクスポジション&コンベンションセンター「India Expo Mart」にて開催された。最初の2日間はメディア専用日(プレスデー)であった。Auto Expo 2023は、総面積23万5,000平方メートルの展示フロアを占め、主要自動車メーカーが総面積6万4,000平方メートルの屋内展示スペースを利用した。来場者数は63万6,743人で、Auto Expoとしては過去最高を記録した。

 Auto Expoは、インド自動車工業会(SIAM)、インド工業連盟(CII)、インド自動車部品工業会(ACMA)が共同で開催する、インドで最も人気の高い自動車展示会の1つである。今回は2020年2月に開催されたIndian Auto Expo 2020以来、3年ぶりの開催となった。最近のインド市場の動向を受けて、大多数の自動車メーカーが電気自動車の展示や発表を行った。インド、日本、韓国の自動車メーカーが中心だったが、中国のBYD Co. Ltd.がこのイベントに今回初めて参加した。また、スタートアップやベンチャー企業数社が、今後市場に投入する製品を発表した。

 この展示会では、乗用車、商用車、バス、三輪車、二輪車の分野で、ICE(内燃機関)と電動パワートレイン、水素やエタノールなどの代替燃料技術を搭載した車両が展示された。全パワートレインカテゴリーで70社以上のメーカーが、最先端の技術を用いて開発したクラス最高の製品を出展した。今回のAuto Expoでは、スタートアップ企業の製品への貢献も含め、全カテゴリーで30社以上のEV(純粋な電気自動車)メーカーが出展した。

 イベントは、マルチ・スズキ(Maruti Suzuki)の電動SUVコンセプト「eVX」の発表で幕を開けた。また、マルチ・スズキはSUVの「Fronx」と「Jimny」も発表した。世界最大の自動車メーカーのトヨタは最新技術を展示し、高級車ブランドのレクサスは5代目「RX」を発表した。タタ・モーターズ(Tata Motors)は複数の製品を展示し、電気自動車、CNG、ICEセグメントで「Avinya Concept」、「Harrier.ev」、「Sierra.ev」、「CURVV」、「Altroz iCNG」、「Punch iCNG」などを発表した。また、ガソリンエンジン搭載の新型車2モデルも展示した。起亜自動車は2トンのMPV「KA4(Carnival)」とコンセプトモデル「EV9」を、現代自動車は電動SUV「IONIQ 5」を展示した。中国のBYDは「Seal」と「ATTO 3」を発表した。MG Motorは次世代「Hector」、「MG EHSプラグインハイブリッド」、「MG 4」、世界初の水素燃料電池MPV「EUNIQ 7」などのモデルを展示した。このイベントでは、他の製品メーカーもバッテリーや燃料電池技術の展示を行った。

 本稿は、Auto Expo 2023で乗用車メーカーが展示した新発表の製品および主要製品について報告する。第2稿では電動二輪車、第3稿では商用車の展示内容を紹介する。

Auto Expo 2023 Tata Motors
Auto Expo 2023 Tata Motors パビリオン
Tata Motors Kia Motors
MG Motor パビリオン 起亜 Concept EV9の発表

 

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