上汽集団:グローバル市場の開拓、水素燃料電池車に注力
MG、五菱が初のNEVグローバルモデルをリリース、上汽GMが電動化などへ700億元の投資
2023/01/10
- 要約
- 電動化/コネクテッド:燃料電池車の産業化を推進、2025年にNEV販売台数比率を40%に
- 国際化:完成車輸出で中国トップ、BEVグローバルモデルでさらに海外を開拓
- 自主ブランド:販売台数の半分強、バッテリー交換と水素エネルギーに焦点、NEVの取り組みを深化
- 外資合弁:上汽VWはNEV生産拡大を推進、上汽GMは電動化への転換を加速
- 経営概況:NEV販売台数が急速に増加、営業収入に占める開発投資額の割合は上昇を続ける
- 上汽グループの中国販売台数(工場出荷台数)
- LMC Automotive生産予測:上汽グループの2025年のライトビークル生産台数は277万台
要約
![]() |
上海汽車集団股份有限公司(以下、上汽グループ)の2021年の販売台数は536.5万台で、中国の自動車メーカーグループの中で第1位。うち商用車は66.9万台、乗用車は469.6万台、また新エネルギー乗用車は70.9万台であった。2022年1-10月の上汽グループの販売台数は前年同期比1.6%増の418.5万台となった。2025年には、グループの新エネルギー車(以下、NEV)の販売台数比率は40%に達する見込みとなっている。
本レポートは上汽グループの2022年の主要動向について紹介する。上汽グループは、「新四化」(電動化、インテリジェント化、コネクテッド、共有化)の流れに対して、新エネルギーインテリジェントコネクテッドカーの技術開発を急ぎ、2022年3月に創新研究開発総院を設立した。傘下の技術センター及び海外のイノベーションセンターを統合し、将来的にはグローバル研究開発人材は1万人を超える規模となる。2022年8月には、上汽人工知能実験室(SAIC AI LAB)がハイレベル自動運転2.0技術アーキテクチャを発表。本アーキテクチャを採用したRobotaxi 2.0により、上海市臨港地区と深圳で2022年12月に運行が開始された。将来的には小馬智行(Pony.ai)と共同で無人運転フリートを構築する計画もある。この他、グループ傘下のスマートカー開発企業である零束科技有限公司(以下、零束科技)が、地平線(Horizon Robotics)、OPPO、Qualcomm等とスマート運転及びスマートコックピット分野で戦略的提携に合意している。
上汽グループは、2022年に入りNEVと海外での販売が大幅に増加している。グループの生産販売速報によると、2022年1-10月のNEV販売は、前年同期比44.0%増の80.0万台で、輸出及び海外生産の販売は前年同期比46.1%増の77.2万台となった。上汽GM五菱は新エネルギー戦略を発表し、2023年にNEV販売台数100万台の達成を目指す。五菱ブランドと上汽乗用車傘下の名爵(MG)ブランドは、初めてNEVのグローバルモデルをリリースし、世界のNEV市場の開拓に力を注いでいる。この他、上汽グループはFCV商用化の推進を加速しており、2022年8月に商業化実証運行をスタートさせた。外資合弁の上汽VWは近年販売台数が減少しているが、2022年のNEVの販売台数は急速に伸び、生産能力の拡充を推進。上海安亭拠点MEB工場は2023年に生産能力が30万台に達する見込み。また、上汽GMは電動化への転換を加速し、2025年までに電動化及びインテリジェントコネクテッド化の新技術分野へ総額700億元を投資する。
関連レポート:
中国市場2022年第3四半期:上汽、一汽、トヨタがFCVの商業化を推進(2022年10月)
中国市場2022年上半期:販売は前年割れの1,205万台、NEVは前年同期比2.2倍の260万台(2022年8月)
中国市場2022年第2四半期:中国メーカーは駆動用バッテリーの生産体制整備に注力(2022年7月)
中国市場2022年第1四半期(1):上汽、一汽、BYDなどがバッテリーやエネルギー分野の展開を加速(2022年4月)
上海汽車:スマートEVなどの分野に3,000億元投資、ユーザー志向のハイテク企業に向けて転換へ (2022年1月)