上海汽車:スマートEVなどの分野に3,000億元投資、ユーザー志向のハイテク企業に向けて転換へ

2025年の炭素排出のピークアウトとNEV販売台数270万台を目指す

2022/01/07

要約

上汽集团销量

 上海汽車集団股份有限公司(以下、上汽グループ)が発表した販売台数データによると、上汽グループの近年の販売台数は減少傾向にあるが、新エネルギー車(以下、NEV)および海外での販売台数は大きく増加している。2020年の完成車販売台数は560万台、そのうちNEVが32万台、海外は39万台で、NEVと完成車の輸出台数ともに中国自動車メーカーの中でトップとなった。2021年1-11月の販売台数は前年同期比1.1%減の480.3万台で、うちNEV販売台数は前年同期比155.5%増の63.8万台。海外での販売台数は前年同期比87.4%増の60.3万台となった。

 上汽グループは中国国内で最大の生産・販売規模を誇る自動車上場企業であり、傘下には外資合弁会社の上汽大衆汽車有限公司(SAIC Volkswagen Automotive Co., Ltd.、以下 上汽VW)や上汽通用汽車有限公司(SAIC General Motors Corporation Limited、以下上汽GM)、自主ブランド「栄威(Roewe)」「名爵(MG)」を有する上海汽車集団股份有限公司乗用車分公司(以下、上汽乗用車)、小型電動車「宏光MINIEV」でNEV乗用車市場をリードする上汽通用五菱汽車股份有限公司(以下、上汽GM五菱)、およびNEV市場に向けて新設された飛凡汽車科技有限公司(以下、飛凡汽車)、智己汽車科技有限公司(以下、智己汽車)などが含まれる。近年では、燃料電池の開発を行う上海捷氫科技有限公司(以下、捷氫科技)、ソフトウェアの研究開発を行う零束科技有限公司(以下、零束科技)など、CASE関連の子会社を複数育成している。本レポートでは、主にNEVとインテリジェント・コネクテッド分野における上汽グループの自主ブランドとその子会社の主な動向を報告する。なお、上汽VWと上汽GM傘下の外資ブランドの動向は特に大きく取り上げない。

 第14次5カ年計画期間中(2021-2025年)中に、上汽グループはスマートEVなどの革新的な分野に3,000億元を投資し、ユーザー志向のハイテク企業へ転換し、グローバル競争力とブランドの国際的な影響力を備えた1兆円規模の自動車産業グループへの成長を加速させる。NEVについて、上汽グループは2025年までに炭素排出のピークアウトを達成し、2025年までにグローバルでNEV販売台数を270万台超、商用車販売台数におけるNEVの比率を38%にすることを目指す。商用車を中心に2025年までに少なくとも10モデルの燃料電池車を発売し、1万台規模の生産・販売を形成し、市場占有率を10%超とすることを計画。この他に、第14次5カ年計画期間中に海外販売台数は150万台、グループ全体の約15%を目指す。

 

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