IAA Mobility 2021:バッテリー、充電、ADAS、コネクテッドソリューション

Bosch、Magna、Mahle、Valeo、Webastoの展示取材

2021/10/13

要約

IAA 2021 Venue
IAA Mobility 2021 Venue (画像:MarkLines Europe GmbH撮影)

  IAA(国際モータショー)は123年の歴史を誇る。70年前から隔年でフランクフルトで開催され、世界最大級の自動車ショーに成長した。ここ数年、来場者数が減少していることから、主催者であるVDA(ドイツ自動車工業会)は会場をミュンヘンに移し、コンセプトを一新することを決定した。

  来場者数が減少している理由としては、自動車業界全体の混乱が挙げられる。これまでのIAAは、自動車メーカーやサプライヤーが最新の製品や技術を紹介する、どちらかというと伝統的なモーターショーであった。

  VDAは今年から、IAAを革新的な新型車だけでなく、二輪車や電動スクーター、さらにはインテリジェントな公共交通機関など、さまざまなモビリティソリューションに焦点を当てたモビリティプラットフォームにしたいと考えた。それに伴い、今年のイベントのテーマを「What will move us next」とし、より持続可能な世界に向けたソリューションが中心となった。

  2021年9月6日から12日まで(6日と7日は報道関係者向け)、ミュンヘンの街は、テクノロジー企業、モビリティサービス・プロバイダー、公共交通機関及びスタートアップ企業が出会い、議論する場となった。

  新しいIAA Mobilityは展示会場だけでなく、ミュンヘン市内でも開催された。「サミット」は、自動車メーカー、サプライヤー、サービスプロバイダー及びスタートアップ企業が最新製品、技術、コンセプトを展示する場であった。2日目にはプレス関係者や来場者を対象に、国際的なディシジョンメーカーや業界のオピニオンリーダーによる、モビリティの未来に関する講演会が開催された。ミュンヘン市内のいくつかの広場、いわゆる「オープン・スペース」では、人々が未来のモビリティ・コンセプトについて意見を交換したり、最新のテクノロジーを体験したりすることができた。また、「ブルーレーン」では、ミュンヘン市内と見本市会場との間で試乗をすることが出来た。

  IAA Mobility 2021では、32カ国から約744の出展者と936人のスピーカーが参加した。ショーには95カ国から40万人以上の来場者が訪れたが、これは2019年に比べて16万人少ない数字であった。しかしながら、会期が2019年の2週間から1週間に短縮されたことを考慮すると、来場者は極めて多かったと言える。来場者の3分の2は40歳以下であった。

  次回のIAA Mobilityは、2023年9月5日から10日までミュンヘンで開催される。


  IAA Mobilityでは、サプライヤーの果たす役割が以前より大きくなった。

  従来のフランクフルトのIAAは主にB2Cの見本市で、自動車メーカーが派手な車両とショーでホールを占有し、サプライヤーはその陰に隠れた地味な役どころを演じていた。ミュンヘンは違った。サプライヤーもホールで存在感を示し、その数はOEMの数をはるかに上回ったのである。

  本レポートでは、eモビリティ、サステナビリティ(持続可能性)、自動運転、コネクテッドカーに関するソリューションとイノベーションを提供する代表的なサプライヤーを中心に取り上げる。

  サプライヤーの多くはこれまで内燃エンジンに関する技術に特化してきたため、eモビリティに転換する難易度は極めて高い。なお、バッテリー電気自動車(BEV)向けの新技術の他に燃料電池ソリューションも多数展示されていた。

  BoschはIAAで電動モビリティが同社のコア事業になると表明した。

  Webastoは2015年に電動モビリティに移行することを決定した。多額の投資を行い、韓国に大型バッテリー工場を開設しようとしている。


IAA Mobility 2021 レポート:
IAA Mobility 2021:eモビリティ、サステナビリティ、自動運転、コネクテッドカー (2021年10月)
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