Tesla:Model 3の拡販で業績改善、小型SUVのModel Yを発売
上海工場が稼働開始、完全自動運転に対応する車載コンピュータを自社開発
2020/03/19
- 要約
- 2019年からModel 3の米国外への輸出開始
- 2019年下期の営業利益は黒字
- Fremont工場の年産能力は59万台へ、上海工場・ドイツ工場でもModel Yを生産
- 2020年にコンパクトSUVのModel Y、2021年にピックアップトラックのCybertruckを投入
- 中国:新型コロナウイルスの影響で10日間工場閉鎖、Model 3の上級バージョンも生産へ
- 完全自動運転(FSD)対応の車載コンピュータを自社開発、ロボタクシー導入へ
- LMC Automotive販売予測:Teslaの2020年販売は46万台と予測
要約
Teslaは、2019年は同社にとってターニングポイントだったとしている(Q4 '19 Update)。米国・Fremont工場における主力セダンModel 3の生産は前年の2倍の30.2万台に増加し、Model S およびModel Xを含む全生産台数は36.5万台。一方、2019年初頭からModel 3の欧州・中国など北米外への輸出を開始。堅調な需要を背景にModel 3の販売は約30万台に倍増し、全車種の世界販売は36.7万台となった。それに伴って売上高も増加し、下期に営業利益は黒字転換した。2019年通年の営業利益は赤字だが、赤字幅は大幅に縮小。2019年第4四半期のフリーキャッシュフローは10億ドルに達した。
Teslaが2020年1月末に発表した見通しによると、2020年の販売台数は前年比36%増の50万台超となる見通し。上海工場でModel 3、Fremont工場で新型SUVのModel Yの生産が拡大するため、生産台数も50万台を上回る。販売台数の増加に伴い、売上高も増加する見込み。各四半期のフリーキャッシュフローと純利益は黒字が続くと予想されるが、新型車の投入・生産開始時には一時的に赤字になる可能性はあるとしている。
TeslaはFremont工場でModel 3の生産を拡大してきており、2019年第4四半期の生産台数は年率換算で41.5万台に達した。2020年1月からはModel Yの生産を前倒しで開始。中国では上海に建設していた工場を着工から10カ月で稼働し、2019年12月からModel 3の出荷を始めた。欧州では、ドイツ・Berlin近郊に新工場を建設する計画で、出荷は2021年に開始する予定。
新型車投入計画では、2020年3月にコンパクトSUVのModel Yを米国で発売。ピックアップトラックのCybertruckは2021年に投入予定だが、2019年11月の発表から1週間で25万件の予約注文が届いた。クラス8の重量級トラック・トレーラーのSemiは2019年3月に予約受付を開始。2020年中に投入する予定。
中国では上海工場からModel 3の出荷を開始した矢先、新型コロナウイルスの感染が拡大し、中国政府の要請で上海工場を1月30日から10日間閉鎖。2月10日に生産を再開した。Teslaは、Model 3の納車が1週間半ほど遅れたが、第1四半期の業績に大きな影響を与えるものではないとしている。3月には中国政府からModel 3のロングレンジ・後輪駆動バージョンを生産する認可を得た。
自動運転機能については、2019年4月に自社開発の完全自動運転(Full Self-Driving: FSD)対応の車載コンピュータを発表。今後は、処理速度が従来の21倍となるこのコンピュータをすべてのTesla車に搭載する。また、2019年にはソフトウェアの無線による更新(OTAアップデート)で、「レーン逸脱回避機能」や駐車場で車両を呼び寄せる「Smart Summon機能」等を導入した。
新型コンパクトSUVのModel Y (写真:Tesla) | 着工から10カ月で稼働した上海工場(写真:Tesla) |
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