MaaSプラットフォームの本質と戦略

売切り事業から継続してソフトウェアを更新するオンライン事業へ

2021/02/22

要約

トヨタのモビリティサービス・プラットフォーム
トヨタのモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)
(出典:トヨタ)

  本レポートは、2021年1月に開催された「オートモーティブ ワールド セミナー 2021」での、インテル株式会社デジタルインフラストラクチャー、チーフ・サービス・アーキテクト(兼)ダイレクター/名古屋大学 未来社会創造機構 客員准教授 野辺継男氏による「MaaSプラットフォームの本質と戦略」と題した講演の概要を報告する。

  2001~2020年にかけて、ICT「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の発達による産業構造の変化があった。すなわちクラウド上に流通・製造・医療・農業など様々な新しいサービスを構築し、スマートフォンなどのマルチデバイスにより閲覧したり利用したりすることが可能になった。こうしたシステムが交通分野にも繋がり、MaaSプラットフォームが構築された。

  2015年頃からUber(ウーバー)などのRide-hailing(配車サービス)事業が本格化し、MaaSが人、物、サービスを運び、さらに大容量のバッテリーを搭載するEVはエネルギーも運ぶようになった。

  現在世界で37億人が利用するとされるスマートフォンが需要と供給をマッチメーキングするためのツールとして重要な役割を担っている。またクラウド上で需要と供給を確認してマッチメーキングするMaaS事業者はそれをいかに効率的に行うかのシステムを構築する、そこにMaaSプラットフォームの本質があるという。

  MaaS事業者は、人や物の動きなどのモビリティから始めて、その後カバーする範囲を広げ、交通全般、医療やセキュリティのニーズなど現状を幅広く把握し、それに応えるサービスをクラウド上に展開していくことが可能になる。

  さらに、地図情報、決済などの関連する多くのサービスがAPI(Application Programming Interface)を介して連携する。

  また、今後は売切り事業からオンライン事業への事業・産業構造の変化が起こると見込んでいる。オンライン事業では発売後もソフトウェアの開発を続け、サービス内容や機能を継続的に改善していくことでユーザー数を拡大していくことが可能。従って、MaaS用サービスカーの開発はオーナーカーとは異なり、ソフトウェア開発がポイントになると述べて講演を締めくくった。


関連レポート:
CES 2021 総括:デジタル開催のCESでも業界リーダーが際立つ(2021年2月)
自動運転シャトルバス:テスト走行からスケジュール化されたサービスへ(2020年12月)
GoogleのAndroid Automotive OS、2020年からOEM3社が採用(2019年12月)
トヨタ:モビリティカンパニーへの変革を加速(2018年11月)

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 6 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。