トヨタ:モビリティカンパニーへの変革を加速
ソフトバンクとの共同会社でモビリティAI革命を牽引、国内販売店でカーシェアリングを開始
2018/11/28
- 要約
- トヨタ:モビリティ推進の布石を打つ
- ソフトバンクと共同出資会社を設立し、モビリティAI革命を牽引
- 今回の提携が生まれた時代の流れ:両社社長のスピーチから
- Uberと共同で自動運転のライドシェア専用車両を開発
- 未来のモビリティ社会に向け、日本の販売ネットワークを変革
- 2018年度業績は好調だが、新分野への投資に備え収益改善活動を推進
- LMC Automotive生産予測:トヨタグループの2021年の生産は1,080万台
要約
トヨタとソフトバンクが「MONET Technologies」を設立 |
トヨタの豊田社長は、2018年1月のCES 2018において、トヨタを、クルマをつくる会社からモビリティに関わるあらゆるサービスを提供する会社、「モビリティカンパニー」に変革すると発表した。その後、下表のように毎月何らかの進展を発表するなどモビリティ戦略を加速させている。
本レポートは、ソフトバンクと共同で設立した次世代の移動サービスを手掛ける新会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)株式会社」の狙いと計画、Uber社とGrab社への出資と協業、および日本の販売ネットワークの変革について報告する。
新会社モネ・テクノロジーズ(MONET Technologies)は、2018年度内に過疎地などでの「地域連携型オンデマンド交通」や「企業向けシャトルサービス」などを展開し、2020年代半ばまでには、トヨタのモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)「e-Palette」によるAutono-MaaS(注)事業を展開する。世界トップクラスの自動車メーカーであるトヨタとAIに注力しているソフトバンクが協力して、全く新しいモビリティを創出する(モビリティAI革命と呼んでいる)。
ライドシェア事業者との提携では、トヨタはUber社へ5億ドル出資し、ミニバンSiennaベースの自動運転モビリティ車を共同開発し、2021年にUberのライドシェアネットワークに導入する計画。Grab社へは10億ドル出資し役員等2名を派遣して協業を深化させる。
国内販売網については、販売店によるカーシェアリング事業を開始し、数年かけて全車種全販売店併売体制としていく。国内販売台数は今後更に減少し、トヨタ単体の販売台数が現在の160万台レベルから2025年には120万台に落ち込むシナリオも見込み、カーシェアリングの強化などで国内販売150万台を維持する方針。
(注)Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaS(Mobility-as-a-Service)を融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語。Uberと共同開発するSiennaベース車が第1号車となる。
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