ASEAN:2018年新車販売は過去最高、景気後退による内需・輸出不振が懸念

タイで電動車生産が加速、マレーシア・ベトナムで新工場設立の動き

2019/02/28

要約

Proton X70
Protonと吉利汽車が共同開発したX70
(写真:Proton)

  ASEAN市場主要6カ国の2018年の新車販売は前年比5.5%増の約345万台。3年連続で前年を上回り、これまでの過去最高だった2013年の実績を超えた。インドネシアとタイでは景気回復により販売が拡大。マレーシアは政権交代による3カ月の税金の空白期間に販売が増加したが、その後、反動減が続き、販売台数は微増。ベトナムは非関税障壁となる政令の影響で完成車輸入が減少したが、内需が伸びて販売は拡大した。一方、フィリピンは2018年1月の税制変更を前に需要先食いが生じ、その反動減が2018年下期まで続いて国内販売が縮小。シンガポールも販売が減少した。2019年の新車販売は、昨年来の金利上昇の影響と、米中貿易摩擦や中国の景気減速による対中輸出の減少で、域内経済の減速が予想されることから、インドネシア、タイ、マレーシアの業界団体は前年比横ばいと見ている。

  ASEAN主要4カ国の2018年の生産台数は前年比8.5%増の416万台で、過去最高の2013年に次ぐ水準。タイは内需が増加して生産台数は5年ぶりに200万台超に回復。インドネシアは輸出向けが拡大し、初めて130万台を超えた。マレーシアも前年比13.1%増の56万台に拡大。4カ国の中で唯一フィリピンは、国内販売の落ち込みにより生産が前年を下回った。2019年のASEANの生産台数について、LMC Automotiveは2018年を若干下回る水準と予測している。

  最近はASEAN諸国でもEVシフトの機運が高まり、電動車の普及を進める施策が策定されている。タイ政府は2018年12月末までに電動車生産投資奨励策への参加申請を受け付け、既にトヨタ、日産、ホンダ、マツダにはHV生産、Mercedes-Benz、BMW、SAIC Motor-CPにはPHV生産、FOMMにはEV生産投資プロジェクトを認可した。電動車向けバッテリー生産や充電ステーションの設置プロジェクト等も認可している。

  ASEAN市場ではライドシェアリングなどモビリティサービスが拡大している。配車サービス大手のGrabは2018年4月にUberの東南アジア事業を統合。2018年にはトヨタが10億ドル、現代自グループが計2億7,500万ドルを出資した。同じく配車サービス大手のGO-JEKはGoogle、Temasek、Tencent等から出資を受け、本拠のインドネシアからベトナムやシンガポールへ進出している。

 

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