トヨタのモビリティ戦略:DCM標準搭載車の投入を開始
プラットフォーマーとして、ライドシェア、カーシェア、タクシーなどと連携
2018/08/17
- 要約
- 初代コネクティッドカー:新型クラウンと新型カローラ スポーツを発売
- 東京2020オリンピックで、Concept-愛iやe-Paletteが選手の移動をサポート
- トヨタのConnected戦略
- ライドシェア事業者との提携
- カーシェア・レンタカー事業者との提携
- タクシー事業者との連携強化
要約
トヨタのモビリティサービスのベース: モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF) 資料:トヨタ(以下の図表も同じ) |
本レポートは、トヨタのモビリティ/コネクティッド戦略について報告する。
豊田社長は、2018年5月に行った2017年度決算発表において、「トヨタを"自動車をつくる会社"から"移動に関わるあらゆるサービスを提供するモビリティ・カンパニー"に変革する」と宣言した。
2018年6月に、車載通信機(DCM:Data Communication Module)を標準装備し、初代コネクティッドカーとなる新型クラウンと新型カローラスポーツ(ハッチバック)を発売した。今後、日米で発売するほぼ全ての乗用車にDCMを搭載していく。
トヨタは、本格的なコネクティッドの時代を迎えるにあたり、2016年4月の組織変更で社内カンパニー「コネクティッドカンパニー」を設立した。その戦略として下記3項目を掲げている。
1)全てのクルマをコネクティッド化し、「つながるプラットフォーム」を構築
2)ビッグデータの活用を推進し、顧客や社会に貢献すると同時に、「トヨタ自身のビジネス変革」を推進
3)あらゆる異業種、IT企業と連携し、「新たなモビリティサービスを創出」
トヨタは、既存のトヨタスマートセンターの上位に、モビリティサービスに必要な様々な機能を備えたモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)を構築する。MSPFを介して「ライドシェア事業者」「カーシェア事業者」「タクシー事業者」「保険会社」などと連携し、トヨタは「モビリティサービス・プラットフォーマー」として、あらゆる企業、サービスと連携するとしている。
既に、ライドシェアではUber、Grabと、カーシェア・レンタカーではGetaround、Avisと提携した。ハワイにおいて、トヨタの販売店Servco社は、2018年7月にカーシェアサービス「Hui」を開始した。今後販売店の新たな収益源として、カーシェア事業を拡大する。またタクシー向けに、「レーン別渋滞情報」「タクシー配車支援システム」の開発とトライアルを行っている。
トヨタは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に、3,000台を超える車両を提供する。MaaS専用次世代電気自動車「e-Palette」が選手村での移動を支援し、会話を行うエージェント機能を搭載した「TOYOTA Concept-愛i」のデモ走行により、新しい移動体験を提案すると発表した。
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